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2011年11月22日 (火)

今冬のボーナスの動向やいかに?

そろそろ11月も終わりに近づき、日本では明日が勤労感謝の日のお休み、米国では明後日の Thanksgiving Day の後、いわゆる Black Friday からクリスマス商戦が始まります。日本でも本格的な年末商戦の始まりが近づいています。足もとから近い将来の景気動向を占うことが出来るかもしれません。ということで、日本の年末商戦を占う大きな要因となる年末ボーナス予想について取り上げたいと思います。まず、シンクタンクから公表されている年末ボーナス予想を取りまとめると以下の通りです。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名民間企業
(伸び率)
国家公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研37.5万円
(▲1.1%)
53.4万円
(▲10.0%)
今冬の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比▲1.1%と夏季賞与の同▲0.8%に続き、小幅マイナスとなる見通し。
みずほ総研37.7万円
(▲0.7%)
71.1万円
(+2.4%)
民間と公務員を合わせた支給総額は前年比▲0.1%と小幅な減少が予想される。時系列でみると、リーマンショック後に大きく落ち込んだ水準で、底ばいの動きとなりそうだ。
第一生命経済研37.3万円
(▲1.6%)
n.a.大企業については震災の影響は来年夏以降のボーナスに出るとみられる。一方、中小企業では、大企業に比べて業況が厳しいことに加え、震災後の業績悪化による押し下げ圧力もあることから、夏に続いて、冬のボーナスも減少するだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング37.3万円
(▲1.8%)
54.7万円
(▲7.8%)
震災の影響もあって、企業規模や業種、個別企業間でボーナスの支給状況や支給額の格差はより広がることになるだろう。

一応、念のためですが、公務員のボーナスについて、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングは表記の通り国家公務員ベースで、人事院勧告が実施されると微増のハズなんですが、すでに 閣議決定されている給与削減法案が成立した場合、表にある通り、大幅な減少となります。みずほ総研については、管理職を含むベースで給与削減法案を盛り込まず人事院勧告実施を前提としています。
上の表にあるリポートの一例として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートの p.5/7 から民間企業の支給労働者数と支給労働者数割合及び支給総額のグラフを引用すると以下の通りです。詳しくは出典元のリポートをご覧ください。

冬のボーナス予想

額や伸び率の予想は上の表の通りなんですが、別の観点から、今年は格差が大きい年末ボーナスと受け止められています。いつもの官民格差が目につきますが、この官民格差については給与削減法案が成立すれば、わずかなりとも縮小する方向にあります。しかし、民間ボーナスの中で大手と中小の格差が広がっているといわれています。すなわち、大手企業については震災後ながらも春に年内のボーナス、夏季と年末を一括して妥結しているのに対して、中小企業では夏季と年末のボーナスを都度妥結しているので、この間の景気の下振れに影響されやすくなっています。もちろん、大企業もラグを伴って景気にアジャストするんでしょうが、この年末ボーナスについては調整遅れのおかげで少し高めのボーナスとなっているわけです。ですから、大手企業を対象とした日経新聞の調査結果(中間集計)経団連による大手企業業種別妥結状況調査結果ではボーナスは前年比でかなりのプラスと結論されています。しかし、上の表に見られる通り、中小企業を含むベースでのボーナス予想は軒並み前年比マイナスと予想されています。ただし、注意すべきは、支給者数が増加すると予想されていることです。マクロの消費に影響するのは1人当たりボーナス支給額もさることながら、1人当たりに支給者数をかけた支給総額です。今冬のボーナスは1人当たり支給額が減少する一方で、日本総研とみずほ総研では支給者数は増加、第一生命経済研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングは支給者数も減少、とそれぞれ予想しています。日本総研とみずほ総研も含めて、支給総額は減少と予想されています。
この結果から、年末商戦を含む今後の消費を占うと、必ずしも明るい展望は描けません。7-9月期GDP速報では消費は伸びましたが、10-12月期にはマイナスに落ち込む可能性も否定できません。ただし、基本的には消費は底堅く推移すると私は予想しています。ひとつには、消費がどれだけボーナスに敏感かという問題があります。恒常所得仮説に従えば消費がボーナスに非感応的な可能性が強いですし、家計調査のデータは賞与にほとんど反応しないとの正準相関分析に基づく研究成果も見られます。別の観点で、消費が強いか弱い課ではなく、本来のあるべき消費の動向を探る意味もあります。すなわち、昨年の政策効果による消費の撹乱が今年10-12月期には存在しないという事情も興味深いと私は受け止めています。昨年は9月上旬で中止されたエコカー補助金による自動車販売の変動、家電エコポイントの12月の制度変更で11月に膨大な駆込み需要が発生したテレビ、10月からの大幅値上げで9月に駆込み需要が発生したたばこ、などの政策要因による消費の変動が観察されました。今年はそういった事情は昨年に比べてグっと小さく、もちろん、何らかの反動は含まれるものの、政策による変動の少ない本来の消費の動向が観察される可能性が高いと私は考えています。

エコノミストとしては年末ボーナスに基づく消費の動向が気がかりですが、我が家の大黒柱としては国家公務員の給与削減法案の行方が気がかりです。すでに閣議決定されているので、ひょっとしたら、さかのぼって適用される可能性があるのか、それとも、一定の時期を過ぎれば今年については逃げ切れるのか、私は詳しくないんですが、我が家の所得には一定の影響を及ぼすことは明らかです。

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