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2011年11月 5日 (土)

マリオンに映画「一命」を見に行く

映画「一命」ポスター

今日は有楽町マリオンに行って、映画「一命」を見て来ました。滝口康彦原作、市川海老蔵主演、三池崇史監督作品です。音楽担当は坂本龍一となっています。なお、原作は短編集『一命』に収録されている「異聞浪人記」で、約50年前の1962年に「切腹」という題で小林正樹監督作品として映画化されているそうです。誠に残念ながら、私は「切腹」の方は見ていません。
徳川幕府の下で天下統一がなされた17世紀前半、天下泰平の裏側で豊臣寄りの大名はもちろん、親藩や譜代まで含めて多くの大名が改易され浪人が街にあふれる中、貧窮を極める浪人生活の最後にと浪人が名のある大名家の庭先・玄関先で「偽装切腹」を願い出て、うまくいけば召し抱えられたり、あるいは、なにがしかのお金をもらったりするのが流行する中、井伊家に切腹を願い出た浪人がホントに切腹させられ、その岳父が復讐を果たすというストーリーです。
原作も映画も、いずれも井伊家の方を上辺だけを取り繕った悪者に仕立て上げ、主人公の津雲半四郎やホントに切腹させられた千々岩求女を、いわば『フランダースの犬』のネロみたいに扱っています。おそらく、それはそれで正しい解釈だと私は考えますが、逆に、浪人の津雲半四郎や千々岩求女を「情けない武士」ととらえる見方も一部の人には受け入れられそうな気もします。特に、映画では原作になかった「せめて3両」という具体的な金額を千々岩求女に言わせていますから、「情けない度」がやや上がっているかもしれません。でも、少し前に流行った言葉で、このブログでは意図的に使わないようにしているんですが、ここであえて使うと、「負け組」の浪人と「勝ち組」の井伊家家臣団とを強烈に対比した原作にかなり忠実に仕上がっています。ただし、「情けない度」を上げているのは、先に指摘した「せめて3両」という発言と落ちた卵を腹ばいになってすする、というシーンかもしれません。逆に、最後の井伊家上屋敷での大立回りは映画ならではの見ごたえがありました。

評価の分かれる映画だという気がします。私は山田洋二監督作品の「たそがれ清兵衛」、実は原作はほとんど「祝い人助八」なんですが、この映画は多くの方にオススメ出来ると考えています。しかし、この「一命」は難解というか、見る人によって浪人達に人間の真実を見る人と、逆に、浪人達を理解できない人に分かれそうな気がします。

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