毎月勤労統計に見る雇用動向やいかに?
本日、厚生労働省から9月の毎月勤労統計調査の結果が発表されました。同時に、今年の夏季ボーナスの統計も公表されています。私がいつも注目している賃金動向は季節調整していない原系列の現金給与指数で見て前年同月比持合いとなりました。夏季ボーナスは昨年と比べて▲0.8%減を記録しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
11年夏のボーナス、0.8%減 2年ぶり減少、中小で伸び悩み
厚生労働省は1日、2011年の夏季賞与(夏のボーナス)が全産業平均で36万4252円になったと発表した。前年の夏季賞与に比べ0.8%減った。減少は2年ぶり。厚労省が大企業を対象にした夏の賞与調査では5.0%増えたが、中小企業を含めると前年の水準を下回った。円高や東日本大震災の影響で中小企業は賞与を抑えたことが浮き彫りになった。
6-8月に賞与として支給されたものを集計した。産業別には、製造業が前年比6.7%増、生活関連サービス業が10.7%増と伸びた一方、卸・小売業が2.0%減、医療・福祉が2.7%減と落ち込んだ。企業規模別にみると、従業員が30人以上の企業は0.5%増と伸びたが、5人以上の企業を加えると前の年を下回った。
同時に発表した9月の現金給与総額は前年同月と同じ26万7948円。景気動向に敏感に反応する製造業の所定外労働時間(季節調整済み)は前月比0.7%減と2カ月連続で落ち込んでおり、海外経済の減速で企業の生産活動の停滞を裏付けている。
まず、毎月の注目点で、下のグラフは季節調整していない原系列の現金給与指数の前年同月比と季節調整済みの所定外労働時間をプロットしています。いずれも5人以上事業所で、影を付けた部分は景気後退期です。
賃金は先月まで3か月連続で前年割れだったんですが、9月はようやく前年水準に戻りました。緩やかながら雇用情勢が改善していることが背景となっていると受け止めています。他方、所定外労働時間はここ1年半ほど総じて停滞しており、9月は生産が減産に転じたことから前月からほぼ横ばいとなっており、先行きも大きく増加する見込みはありません。生産などと同じで、先行きは国内要因の復興需要と海外要因の世界経済の失速と円高の影響のいずれの効果が大きいかに依存します。
簡単に産業別の夏季ボーナスを見ておくと上のグラフの通りです。調査産業計で▲0.8%の減少なんですが、これは5人以上事業所の統計であり、30人以上事業所では+0.5%の増加となっていますから、引用した記事にもある通り、中小の事業所が低調だった結果を反映しています。産業別でみると、製造業、情報通信業、運輸業・郵便業、生活関連サービス業等でプラスを記録したほかは軒並みマイナスとなっています。電気・ガス・熱供給等は伸び率はナイマスなんですが、額はまだまだ大きく、東京電力なんかは値上げの前に賃金リストラで賠償原資がもっと出そうな気もします。
ここで、毎月勤労統計調査を離れて、OECDからG20サミットに向けた改定経済見通しが発表されていますので、簡単に取り上げたいと思います。上の表の通りなんですが、これは昨日、グリア事務総長の記者会見の際に配布されたハンズアウトで、Economic Outlook and Policy Requirements for G20 Economies と題されています。今年2011年の成長率を見ると、我が日本が5月時点の▲0.9%から▲0.5%に上方改定された一方で、米国は+2.6%から+1.7%に、ユーロ圏諸国は+2.0%から+1.6%に、それぞれ下方修正されています。しかし、政府債務のGDP比はユーロ圏で落ち着く一方で、日米では上昇を続けると見込まれています。なお、次回の経済見通しは11月28日公表と予定されています。
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