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2011年12月28日 (水)

年末最後の政府統計の発表に何を読み取るか?

今日は、私のような公務員には今年最後のお仕事の日、いわゆる御用納めです。従って、いろんな政府統計がいっせいに発表されました。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局から失業率、厚生労働省から有効求人倍率毎月勤労統計などの雇用統計が、総務省統計局から消費者物価が、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ発表されています。他にもありますが、今夜のエントリーで取り上げる指標はここまでで、いずれも11月の統計です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産11月2.6%低下 タイ洪水響く
経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整済み)速報値は90.1と、前月に比べて2.6%低下した。2カ月ぶりのマイナス。タイの洪水による部品不足などで、自動車や電機の生産が落ち込んだ。ただ減産は一時的で、12月以降は回復を見込む。基調判断は「横ばい」で据え置いた。
生産指数は市場の事前予想(0.7%低下)を下回った。
11月は主力の輸送機械工業が9.5%減と大幅に落ち込んだ。タイ洪水で部品供給が滞り、欧州向けの普通乗用車や国内向け小型自動車の減産につながった。携帯電話やデジタルカメラの部品が届かなかった情報通信機械工業も23.7%のマイナスだった。
最終製品の生産減少は川上の部品・素材産業に波及し、鉄鋼業は1.2%減った。生産指数は8業種でマイナスになった。
一方、電子部品・デバイス工業は3カ月ぶりに0.6%のプラスに転じた。発光ダイオード(LED)などで、タイでの生産分を国内で代替する動きがあった。
経産省が同日発表した製造工業生産予測調査によると、生産指数は12月に4.8%上昇する見通し。1月も3.4%の上昇を見込む。
タイ洪水で傷んだサプライチェーン(供給網)は早期に復旧し、輸送機械工業や情報通信工業、一般機械工業といった主力産業が上昇のけん引役になるとみている。ただ、円高や東京電力による産業用電気料金引き上げなどが、企業の生産活動に影響を与える可能性もある。
11月失業率横ばい4.5% 求人倍率わずかに上昇
総務省が28日発表した11月の完全失業率(季節調整値)は前月と同水準の4.5%となった。厚生労働省が同日発表した有効求人倍率(同)は前月より0.02ポイント上昇し、0.69倍となった。雇用情勢は東日本大震災後は持ち直しが続いているが、円高やタイの洪水の影響などで製造業の一部では雇用を調整する動きが出ている。
完全失業者数は296万人で前月よりも4万人(1.4%)増えた。自発的に離職した人は4万人増え98万人となり、勤め先の都合など「非自発的な離職者」は5万人減の109万人だった。一方、非労働力人口は前月に比べ8万人減少した。厚労省は「震災の復興需要などで求人が増えているため、求職活動を始める人が増えている」と分析している。
ハローワークに新たに寄せられた求人動向を示す新規求人数は前月比3.4%増の70万人。製造業では、自動車など輸送用機械で新規求人が大幅に増えたが、円高の影響などで電子部品では減少した。新規求人倍率は0.05ポイント上昇し、1.18倍となった。
所定内給与11カ月ぶり増加 11月0.3%増
厚生労働省が28日発表した11月の毎月勤労統計調査(速報)によると、基本給や家族手当などを含んだ労働者1人当たりの「所定内給与」は前年同月比0.3%増の24万5212円となった。増加に転じたのは11カ月ぶり。
現金給与総額は前年同月比1.0%減の27万6218円で、2カ月ぶりのマイナスとなった。ボーナスなどの「特別に支払われた給与」が減少したことが主因だ。総労働時間は前年同月比0.1%増の148.8時間。労働時間は東日本大震災後に落ち込んだが、足元では持ち直し基調が続いている。
消費者物価11月0.2%下落 2カ月連続マイナス
テレビや冷蔵庫、下げ止まらず

総務省が28日発表した11月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除くベースで99.6となり、前年同月比0.2%下落した。2カ月連続の下落で、マイナス幅は10月(0.1%)より拡大した。テレビや冷蔵庫の値下がりがとまらないほか、教養娯楽サービスも下落した。
テレビや電気冷蔵庫は約3割下落した。家電エコポイント終了などを背景に販売不振に陥り、値下げ競争が広がっている。外国パック旅行はアジア向けが安かった。一方でエネルギー価格は高止まりしている。ガソリン価格は8%、電気代は6%それぞれ上がった。
生鮮食品を含むベースでは0.5%下落し、食料とエネルギーを除くベース(欧米型コア)は1.1%下落した。
総務省が同日発表した12月の東京都区部のCPI(中間速報値)は生鮮食品を除くベースで、0.3%下落した。テレビやエアコンなど耐久財の価格下落が激しい一方、家族旅行の需要が上向きつつある宿泊料がマイナス幅を縮めた。生鮮食品では、タイの大洪水で輸入が減った影響で、エビの価格が上がった。
11年の東京都区部のCPIは生鮮食品を除くベースで前年比0.4%下落。3年連続のマイナスだが、下落幅は10年(1.2%)より縮まった。
11月の小売業販売額2.3%減 機械器具、大幅落ち込み
経済産業省が28日に発表した11月の商業販売統計(速報)によると小売業の販売額は10兆9400億円で、前年同月比2.3%減と2カ月ぶりに減少した。内訳をみると機械器具小売業が51.8%減で、比較可能な1980年1月以来最大の減少率を記録した。昨年12月の家電エコポイント減額前の駆け込み需要の反動で薄型テレビやエアコン、冷蔵庫などが落ち込んだ。
大型小売店の販売額は1兆6373億円で前年同月比1.6%減と4カ月連続の減少。百貨店は冬物衣料の低迷などで2.2%減、スーパーも昨年のエコポイント減額前の駆け込み需要の反動が出て1.2%減少した。
コンビニエンスストアの販売額は10.5%増の7314億円。昨年10月のたばこ増税に伴う大幅値上げで、たばこの買い控えが起きていたことの反動増などが影響した。

続いて、鉱工業生産のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100とした鉱工業生産指数そのもの、下のパネルは輸送機械を除く資本財と耐久消費財の出荷指数です。色分けは凡例の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

鉱工業生産の推移

11月の鉱工業生産は、引用した記事にもある通り、タイの洪水に伴う自動車や電機の部品供給不足に起因する一時的な減産と考えられています。ですから、製造工業予測指数では今年12月から来年1月にかけてリバウンドして増産に転ずると見込まれています。私も基本的に生産は楽観視しています。先行き生産の最大のリスクは円高と報道では指摘されていますが、グラフの耐久財出荷が落ち込んでいるのは、後ほど消費者物価や商業統計でも焦点を当てますが、家電エコポイントの反動に伴うテレビの売行き不振が原因です。11月には景気ウォッチャーや消費者態度指数などのマインド指標が軒並みマイナスに転じていますから、やや気がかりなところです。

雇用統計の推移

上のグラフは、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数、賃金指数前年同月比を並べています。最後の賃金指数の前年同月比を除いて、季節調整済みの系列です。鉱工業生産と同じように、影をつけた部分は景気後退期です。一時的に生産が弱含んだので、雇用にも影響を及ぼした部分があります。時間外労働時間、すなわち残業の減少、これに伴う賃金の減少です。しかし、労働の価格たる賃金部分を除いて、基本的に、雇用の数量部分は緩やかながら回復を示していると私は受け止めています。ただし、力強さに欠けており、有効求人倍率は上昇したといえ1にはまったく届きませんし、失業率も本格的な低下につながるまでもう少し時間がかかりそうです。目先のところでは今後の本格的な復興需要待ちと私は見ています。もっとも、復興需要で増加する求人と求職の間でミスマッチが生じないかどうか注意が必要です。

消費者物価上昇率の推移

物価は昨年10月のたばこの値上げが一巡し、引用した報道にもある通り、家電エコポイントの対象商品だったテレビや冷蔵庫などの家電耐久財が軒並み大きく値崩れを起こしています。マクロレベルではなく、一部の財のレベルですが、明らかに需給ギャップの拡大が生じていると私は受け止めています。エネルギーに加えて食料まで物価上昇に寄与し始めましたが、エネルギーと食料を除くコアコアCPIはマイナス幅を拡大しています。一向にデフレから脱却する兆しすら見えません。なお、上のグラフについて、いつものお断りですが、総務省統計局では、端数をもった物価指数で上昇率や寄与度を計算しているそうですが、その端数をもった指数は発表されていませんから、私は小数点以下1位までの指数で上昇率や寄与度を計算しています。そのため、統計局発表の数字と異同がある可能性があります。キチンと端数をもった指数を発表すべきだと私は考えていますが、エコノミストの間で世論が盛り上がらないようです。

商業販売統計の推移

最後に、商業販売統計では、特に小売りで「機械器具」の販売が大きく落ち込んでいるのは報道の通りです。このブログでは取り上げませんが、総務省統計局の家計調査でも同じ傾向が観察されています。ですから、基本的には、家電エコポイントの制度変更に伴う昨年11月の猛烈な駆込み需要の反動ですが、気にかかるのは、先に指摘したマインドの悪化です。順調に回復して来ていた消費者マインドが11月からマイナスを記録するようになり、円高や海外経済が原因と受け止めていますが、先行き改善するかどうかは不透明です。消費は所得とマインドに左右され、年末ボーナスは大手企業で増加するものの、中小企業を含めれば決して楽観できないと私は考えていますので、所得もマインドも消費にブレーキをかける可能性があります。

今年の仕事納めの最後の勤務日に、少し遅くなったこともあり、ごく簡単に今日発表された指標を振り返りました。ここ数か月の間ずっと主張し続けて来たところですが、この先の我が国の景気動向は復興需要の内需と失速した海外経済の綱引きになります。もっとも、海外経済も一様ではなく、債務問題を抱える不安定な欧州とクリスマス商戦が好調だった米国では大きな温度差があります。複雑な方程式を解いて行った先に、来年の日本経済の見通しが見えて来ます。

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