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2011年12月22日 (木)

来年度の経済見通しやいかに?

年末、残すところわずかとなり、経済週刊誌では今週号が来年の予測、来週号の合併号が今年のベスト経済書と定番特集が続きますが、私のこのブログでは反対の順番で、今夜は先行き経済見通しを取り上げたいと思います。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、先行き見通しについては特に長々とフォローしています。もちろん、いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名201120122012ヘッドライン
日本総研▲0.2+1.8n.a.海外経済の減速や円高による輸出の増勢鈍化、企業の海外シフト加速に伴う設備投資の伸び悩み、などから減速感が強まる見込み。もっとも、①中国をはじめとする堅調な新興国経済が輸出を下支え、②復興需要が本格化し、住宅投資や官公需が増加、③雇用・所得環境の緩やかな改善が見込まれるなか、個人消費が徐々に持ち直し、などから、景気の腰折れは回避される見通し。ただし、景気回復ペースが一段と鈍化するリスクも根強い状況。
ニッセイ基礎研▲0.5+1.8+1.32011年10-12 月期はほぼゼロ成長にとどまり、2012 年に入ってからも輸出の低迷は続くが、2011 年度第3 次補正予算の執行に伴い復興需要が本格化することから、景気後退は回避されるだろう。国際金融資本市場は依然として不安定な状態が続いており、世界経済は下振れリスクが高い。当面は復興需要による押し上げ要因と海外経済減速による輸出の低迷という下押し要因が綱引きする展開が続くだろう。
大和総研▲0.3+1.8n.a.足下の主要経済指標を見ると、2011年の夏場以降、日本経済・世界経済の減速懸念は着実に強まっている。日本経済は、「輸出主導型」の経済構造を有するため、現状は「踊り場」から「二番底」に入る瀬戸際であると考えられる。とりわけ、最大の懸案である「欧州ソブリン危機」の展開次第では、日本経済が「二番底」に陥るリスクを否定し得ない。
みずほ総研▲0.4+1.9n.a.2011年度後半から2012年度にかけての日本経済は、復興需要が顕在化することによって、景気回復を維持するとみられる。(中略)しかし、2012年度後半になると、復興需要の伸びも鈍化してくることが予想される。年度ベースで復興関連支出が最大となるのは2012年度とみられ、事業の進捗ペースにもよるが2012年度半ばには復興関連支出はピークに達する可能性が高い。(中略)最大のリスク・ファクターは海外経済の下振れと円高の進行であろう。
三菱総研▲0.5+1.8n.a.先行きの実質GDP成長率は、海外経済の減速などによる輸出の停滞を背景に、10-12月期は前期比年率+0.1%と横ばいでの推移を見込む。その後は、世界的な景気減速による輸出の減速、円高持続による企業収益への影響などのマイナス要因と、国内の復興需要の顕現化が綱引きする形で、12年1-3月期は同+1.2%、4-6月期は同+1.8%を予想する。
第一生命経済研▲0.7+1.4+1.2月次統計で見れば7月以降回復が滞っており、既に景気は足踏み状態にある。足元で輸出が下振れていることに加え、テレビ販売の減少等から個人消費が弱い動きになっていることもあり、10-12 月期の成長率はマイナスに転じると予想している(前期比年率▲0.5%を予想)。海外景気は減速が続き、輸出を下押しする。欧州の債務問題についても、極めて不透明感の強い状況が持続するとみられ、金融市場は不安定な状態にとどまると予想される。IT部門の不振に加え、円高による輸出下押し圧力が強まることもマイナス要因になり、輸出は低迷が見込まれる。また、景気下支えが期待されていた設備投資についても、企業の慎重姿勢が足元で強まりつつあることから、弱含む可能性がある。景気は当面停滞感を強め、踊り場的状況に陥る可能性が高いだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.4+1.8n.a.2012年度は、官公需中心に復興需要が高まることに加えて、民需、外需とも増加し、景気の回復力が徐々に盛り返してくると期待される。官公需は下期になると効果が一巡してくるが、海外景気の持ち直しを受けて外需寄与度が小幅ながらプラスに転じてくる。個人消費は雇用・所得状況が改善することから緩やかな増加を続け、企業業績の改善を背景に設備投資は増加基調が維持される。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング▲0.3+2.4n.a.12年度にかけての日本経済に対する見方については、概ね前回予測時点の判断を維持している。すなわち、①官民による復旧・復興需要の顕在化、②海外経済の拡大を背景とする輸出の増加―を支えに、予測期間中、日本経済は緩やかながら回復に向けた動きが継続するとみている。ただし、欧州債務危機の広がりなどにより、外需に不安を抱えるなか、民間需要の回復力に乏しいため、外部ショックに対して脆弱な面を残す点には注意が必要と考えている。
伊藤忠商事▲0.5+1.9+1.72012年前半は海外経済の低迷により輸出は低調な状態が続くものの、復興投資による押し上げが勝り、プラス成長を確保すると考えられる。2012年後半は復興投資の勢いが鈍るものの、逆に輸出が持ち直すため、成長ペースは大きく変わらない見込みである。(中略)最大のリスク要因は、欧州ソブリン問題の行方である。欧州各国は一定の対応策を取り纏めたが、先行きは極めて不透明と言わざるを得ない。ソブリン問題が、欧州で封じ込められなければ、日本を含め先進国全てが景気後退に陥るリスクがある。
農林中金総研▲0.6+1.7+1.9すでに大震災からの復旧といったフェーズはほぼ終了しており、今後は、牽引役として期待されている輸出の裏付けとなる世界経済情勢、さらには震災復興に向けた動きが、国内経済の趨勢を決めると考えるのは極めて妥当であろう。
帝国データバンク▲0.2+2.2n.a.2012 年度の日本経済は、外需が再びプラス寄与に転じることに加えて、財政支出にともなう公的需要の拡大のほか、震災復興の本格化などで設備投資が成長に寄与する。また、個人消費も再び拡大傾向を示すとみられるなど、日本経済は再び成長過程に向かうと見込まれる。

上のテーブルを見れば明らかなんですが、ほぼ各機関とも本年度2011年度がマイナス成長、来年度2012年度で+2%近いプラス成長に回帰し、いくつかの機関では2013年度も順調にプラス成長を維持する、と見込まれています。本日午後の臨時閣議において政府経済見通しが決定され、来年度成長率は+2.2%と見込まれていますから、帝国データバンクを除く他機関はやや政府よりも慎重な見通しとなっています。ただし、この経済見通しに関しては、上振れリスクは極めて少なく、下振れリスクがいっぱいある、と私は考えています。主として対外経済や貿易などに関するリスクなんですが、何といっても、欧州債務危機の深刻化と円高です。基本的に、米国はクリスマス商戦に代表されるように私は楽観していますが、何らかの形で欧州の債務危機が米国や我が国に伝染しないとも限りません。このあたりは、私の貧困なる想像力をはるかに超えていますので、確実なことはいえませんが、直観的に、来年2-3月に集中している返済・借換を乗り切れば、何とか欧州は持ちこたえそうな気もします。問題は円高の方かもしれません。

「来年のことをいえば鬼が笑う」といわれますが、先行きを語らねばエコノミストとは見なされません。しかし、ここまでシンクタンクなどの意見が一致しているわけですから、「来年度は復興需要もあってプラス成長」という大きな方向としては、エコノミストの間で緩やかなコンセンサスがあります。しかし、7-9月期1次QEの段階では今年度プラス成長と見込んでいた機関も少なくありませんでしたから、急激に下振れリスクが顕在化する可能性も頭に入れておく必要があります。

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