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2012年3月12日 (月)

順調な回復を示す機械受注統計と雇用に不安を生じた消費者態度指数

本日、内閣府から1月の機械受注統計調査の結果と2月の消費者態度指数が発表されました。機械受注は、民間設備投資の先行指標である船舶と電力を除く民需、すなわち、コア機械受注が季節調整済みで前月比3.4%増の7578億円と、2%強だった市場の事前コンセンサスを上回る伸びを示しました。消費者態度指数も順調に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月機械受注3.4%増 スマホ関連投資伸び2カ月ぶりプラス
内閣府が12日発表した1月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は7578億円だった。前月比3.4%増で、2カ月ぶりにプラスに転じた。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)関連投資が伸びた。
機械受注統計は機械メーカーから工場の生産設備などの受注額を聞き取り算出する。船舶・電力を除くベースの民間需要は、3カ月から半年ほど先の民間設備投資の先行指標とされる。内閣府は基調判断を「一進一退で推移している」と据え置いた。
業種別に見ると、製造業は1.8%減。石油製品・石炭製品で前月の反動減があったほか、鉄鋼業が2カ月連続で減少した。ただ自動車は4カ月連続増え、「金属加工機械の発注など、生産能力増強の動きもみられる」(内閣府)。非製造業は2.3%増。特にスマホ関連の基地局増設で通信業が26.0%増だった。
国内の民需とは別に海外からの受注をまとめた外需は20.1%増。化学機械などで100億円以上の大型受注が3件あったことが押し上げた。官公需は前月に防衛省関連の大型受注があった反動で17.7%減ったが、地方自治体の焼却炉や水処理設備など、東日本大震災からの復旧関連の受注は堅調だった。
船舶・電力や官公需などを含む機械受注の総額は21.6%増の2兆5519億円。伸び率は06年3月(24.1%増)に次いで過去2番目。
2月の消費者態度指数、3カ月ぶり悪化 給与世帯が慎重に
内閣府が12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.5ポイント低下の39.5だった。悪化は3カ月ぶり。給与世帯を中心に先行きに対して慎重な見方を強めた。
指数を構成する「収入の増え方」など3項目で低下。調査期間中に、今春闘での定期昇給見送りなどの報道が相次いだことや、2012-13年度の国家公務員の給与引き下げで与野党が合意したことが重なり、先行きの不透明感が強まった。「暮らし向き」についても前月から悪化し、給与世帯から「悪くなる」との回答が増えた。
完全失業率が小幅に上昇していることから、「雇用環境」の捉え方も悪くなった。一方で、「耐久消費財の買い時判断」については前月から横ばいとなり、内閣府は基調判断を「このところ持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
1年後の物価見通しについては、生鮮食品価格の高止まりや灯油価格の上昇を受けて、「上昇する」と答えた消費者の割合は63.4%と前月(63.1%)からやや増加。「低下する」との答えは7.3%と前月(8.1%)から減少した。
調査は全国の6720世帯が対象。今回の調査基準日は2月15日で、有効回答数は5034世帯(回答率74.9%)だった。

次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルはコア機械受注と呼ばれる船舶と電力を除く民需とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

機械受注統計の推移

引用した記事にも満たれる通り、統計作成官庁である内閣府はは基調判断を「一進一退」と据え置いたんですが、テンポは緩やかながら順調に回復を示していると私は受け止めています。もちろん、」昨年3月の震災や10-11月のタイ洪水などの供給制約があったり、長引く円高で輸出が振るわない影響があったり、伸びが鈍化したり、単月ではマイナスを記録することが何度かありましたが、ならして見れば、円高による製造業の空洞化に伴う設備投資へのネガティブな効果を上回って設備投資意欲が盛り上がっている可能性が指摘できます。直近では、これも報道にあるように、スマートフォンの売れ行き拡大に伴う設備投資の増加が寄与しているのかもしれません。ただし、より詳しく中身を見ると、復興需要の顕在化はまだ遅れている印象を私は持っています。外需が大きくジャンプしましたので、従来通りの見方で外需が先行指標となるのであれば明るい材料です。

消費者態度指数の推移

次に、消費者態度指数は▲0.5ポイント低下しました。上のグラフの通りです。市場の事前コンセンサスではわずかなりとも上昇すると見込まれていましたし、先週の景気ウォッチャーの結果などから私も上がるのが当たり前と思っていましたが、やや意外な結果と受け止めています。中身を詳しく見ると、4つのコンポーネントのうち雇用と所得がマイナスで足を引っ張っています。報じられているように、公務員給与の引下げが雇用や所得に影を落としています。政府統計では、総務省統計局の家計調査のサンプルに公務員が多いとのウワサがあるんですが、消費者態度指数もそうなんでしょうか。直感的ながら、年度末を前にして非正規雇用の先行き不安の顕在化も部分的に見られる可能性もあるという気はしますが、特段の根拠はありません。

この先の復興需要も含めて、要素需要のうちの設備投資はようやく盛上りを見せつつあるという気がしますが、雇用が消費に悪影響を及ぼす可能性、それも、公務員給与の引下げが雇用を通じて消費を抑制しかねない可能性については、増税に対する生活防衛とともに、何らかの警戒をする必要があるかもしれません。なお、今日は日銀から企業物価指数も発表されていますが、消費者物価とともに大きな動きが見られませんのでパスします。

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