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2012年3月 7日 (水)

景気は一時の足踏み状態を脱したか?

本日、内閣府から1月の景気動向指数が発表されました。一致指数はわずかに低下したものの、先行指数は上昇しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

1月の景気一致指数、2カ月ぶり悪化 中国向け輸出が反動減
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(2005年=100、速報値)によると、景気の現状を示す一致指数は93.1となり、前月比0.5ポイント悪化した。前月水準を下回るのは2カ月ぶり。太陽電池パネルの中国向け輸出が昨年12月に集中した反動が出た。数カ月先の景気を示す先行指数は3カ月連続で改善しており、景気は足踏み脱却の兆しを見せている。
内閣府は、一致指数から機械的に求める景気の基調判断を「上方への局面変化」と据え置いた。景気のトレンドを捉える過去3カ月の移動平均が2月もプラスなら、判断を「改善」に上方修正する可能性があるという。
1月の一致指数では、現時点で明らかな9標のうち5指標が悪化した。中国の春節(旧正月)の影響などもあって、太陽電池パネルの出荷が鈍ったほか、半導体など電子部品の動きも低調だった。一方、自動車やデジタルカメラの生産は改善。タイの大洪水による部品の調達難が解消したためだ。大口電力使用量も伸びた。
先行指数は1.1ポイント上昇の94.9。生産の回復を受け、家計や企業のマインドが持ち直した。また東日本大震災の復旧・復興需要で、東北や関東の建設業などを中心に新規求人が増えたことも先行指数を押し上げた。

次にいつものグラフは下の通りです。上のパネルは景気動向指数のCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

景気動向指数の推移

CI一致系列の前月差に対して、有効求人倍率や鉱工業生産などがプラスの貢献を示した一方で、出荷や卸売及び小売の商業販売がマイナスの寄与となっています。全体としての基調判断は、引用した記事にもある通り、「上方への局面変化」と据え置かれています。もっとも、引用した記事にもある通り、2月にも「改善」にさらに上方修正される可能性があります。大雑把に、昨年3-4月に震災に伴って一時的な底をつけた後、夏までV字型の回復を見せ、秋にタイ洪水などの供給制約により景気回復が足踏みとなった後、昨年暮れから今年に入って再び回復基調を取り戻した、と私は受け止めています。1月の一致指数の低下は中国の春節の影響によるものであり、決して我が国の景気が停滞していると考えるべきではありません。それにしても、従来から強調している通り、景気に対する為替の影響は大きく、足元で為替が円安に振れている分、景気にはプラスに作用していることは誰の目にも明らかです。引き続き、日銀が本格的に心を入れ替えて金融緩和を進めるよう期待しています。

TDB地域別景気DI

政府の景気動向指数では地域別は明らかにされないんですが、今日のエントリーでは帝国データバンクの景気動向調査から、ほぼ震災から1年を経た東北地方の景気について他地域と比較して簡単に見ておくと、上の画像の通りです。帝国データバンクのサイトから最新2月調査の地域別景気DIを引用しています。凡例にある通り、水色が全国平均を下回っている地域、黄色が上回っている地域を表しており、東北は昨年7月調査までは全国平均を下回っていたものの、昨年8月以降は最新調査の今年2月まで全国平均を上回って推移しています。特に、昨年9月以降は一貫してDIのレベルで全国最高水準を記録しています。もちろん、DIですから変化の方向を見るべき指標であり、水準について全国平均と地域の指数を比較するのにどこまで意味があるかは疑わしいんですが、方向を見ても、東北は昨年3月を底に今年1月まで上昇を続け、2月も1月と同レベルとなっています。GDP統計を見る限り公共投資は冴えない動きを続けていますが、地域の実感としては東北の景気は悪くないのかもしれません。

足元の景気動向は為替の円安傾向を受けてまずまず順調と言えますが、先行きは下振れリスクも少なくありません。最大のものは今週に入ってから東証株価を抑え込んでいるギリシアのソブリン危機です。もちろん、日銀がポントに心を入れ替えて金融緩和にさらに取り組むかどうかもまだ見極めが必要なのかもしれません。

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