« 東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店) を読む | トップページ | 今年の新入社員はどのようなキャリアプランを持っているか? »

2012年4月24日 (火)

企業向けサービス価格指数 (CSPI) から何を読み取るか?

本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。前年同月比で▲0.3%のマイナスとデフレが続いています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、3月は0.3%下落 11年度は過去最低に
日銀が24日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2005年=100)は96.4となり、前年同月比で0.3%下落した。前年同月比でのマイナスは3年6カ月連続。オフィス賃貸料を含む不動産や情報通信、リース・レンタルなどで価格下落が続いたことが響いた。
企業向けサービス価格指数は輸送や広告など企業間で取引するサービス価格の動向を示す。
マイナス幅は前月に比べ縮小した。昨年3月に発生した東日本大震災の直後で落ち込んでいた雑誌などの広告はプラスに転じたほか、運輸もプラスに寄与した。外航貨物や国際航空貨物など外貨建ての価格が円相場の下落で押し上げられたうえ、燃油サーチャージ(特別付加運賃)が上乗せされた。
同時に発表した2011年度の指数は96.1と、前年度比0.5%下落し、統計の公表を開始した1985年以降では最低を更新した。マイナス幅は縮小したものの、下落は4年連続。不動産や広告、情報通信などでマイナスが続いた。一方、仮設資材レンタルや建設機械レンタル、プラントエンジニアリングでは値上がりの動きがあり、震災からの復興需要がプラス寄与した。
例年、新年度が始まる4月はサービス価格の改定時期。昨年末までは円高や海外景気の減速によって下押し圧力が強かった半面、年明け以降は円高修正が進み、欧州景気の悪化の動きにも歯止めがかかってきた。日銀は「4月以降はどちらの動きがサービス価格に強く出てくるのかを見ていきたい」(調査統計局)としている。

次に、企業向けサービス価格指数の前年同月比上昇率の推移のグラフは以下の通りです。リーマン・ショック後の大きなマイナスから徐々にゼロ近傍に近づきつつありながら、まだマイナスが続いているのが見て取れます。

企業向けサービス価格上昇率の推移

日銀レビュー「企業向けサービス価格指数からみた日本経済」では、企業向けサービス価格指数は企業物価 (CGPI) や財のみを取り出した消費者物価 (CPI) などよりも需給ギャップとの相関関係が高いと分析されており、相関係数はほぼ0.9と推計されています。他方、3月の下落率は前年同月比で▲0.3%となり、2月の▲0.6%から下落幅が縮小したように見えますが、昨年12月には▲0.1%までゼロに肉薄した月もあり、当然のことながら、一直線にゼロあるいはプラスに向かっているわけではありません。国際商品市況にある程度の影響を受けるCGPIやCPIよりCSPIが需給ギャップに敏感なのは当たり前ですが、昨年の震災から徐々に我が国経済が回復過程に向かい、それに伴って需給ギャップが縮小し、コアCPIがプラスに向かっているというのが、日銀の見方ですし、私を含めて多くのエコノミストの間でもコンセンサスが形成されている一方で、40か月を超える長期に渡ってCSPIがマイナスを続け、いまだにプラスに転じないという事実は、このコンセンサスほどにデフレからの脱却が進んでいないリスクが存在する可能性を示唆しているかもしれません。

デフレが終結しない中で、賃金は上がりません。デフレ脱却の必要条件は物価を観察すればいいんでしょうが、従来からこのブログで主張している通り、デフレ脱却の十分条件は賃金上昇であると私は考えています。

|

« 東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店) を読む | トップページ | 今年の新入社員はどのようなキャリアプランを持っているか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/20840/45012151

この記事へのトラックバック一覧です: 企業向けサービス価格指数 (CSPI) から何を読み取るか?:

« 東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店) を読む | トップページ | 今年の新入社員はどのようなキャリアプランを持っているか? »