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2012年4月13日 (金)

国際通貨基金 (IMF) の「世界経済見通し」 World Economic Outlook 分析編を読む

取り上げるタイミングが少し遅くなりましたが、来週の4月20日から米国の首都ワシントンにて始まるIMF世銀総会を前に、国際通貨基金 (IMF) が「世界経済見通し」 World Economic Outlook の分析編を公表しています。もちろん、pdf のリポートも、日本語サマリーも、IMFのサイトにアップされており利用可能です。リポートの副題は "Growth Resuming, Dangers Remain" となっています。分析編の第3章と第4章で何を取り上げているのかは、以下のタイトルを見れば明らかですが、ちょっと変わっていて、第3章では注目の政府債務ではなく家計の債務を、また、第4章では非産油国や商品輸入国ではなく商品輸出国における商品価格の変動の影響を、それぞれ分析しています。

  • Chapter 3: Dealing with Household Debt
  • Chapter 4: Commodity Price Swings and Commodity Exporters

日本に大きな直接の影響がなく、その意味で、消費を中心に日本のマクロ経済を見ている私自身はさほどの興味を持てないテーマなんですが、今夜はリポートからいくつかグラフを引用して、簡単に「世界経済見通し」の分析編を紹介したいと思います。

Figure 3.2. The Great Recession: Consumption Loss versus Precrisis Rise in Household Debt

まず、第3章の家計の負債に関する論点について、上のグラフはリポートの Chapter 3 p.4 Figure 3.2. The Great Recession: Consumption Loss versus Precrisis Rise in Household Debt を引用しています。縦軸に消費の低下を、横軸に家計の負債・所得比率を取っています。明らかに負の相関があり、因果関係は明らかではないものの、負債比率が高いと消費の落ち込みも大きくなる可能性が示唆されています。回帰線の右下の方はダメージが大きい国々で、逆に、左上は小さい国です。日本はほぼライン上ですが、後者に属しているように見えます。いずれにせよ、消費拡大のためには家計の負債を減らす必要があることは常識的にも明らかです。

Figure 3.3. Economic Activity during Housing Busts

続いて、上のグラフはリポートの Chapter 3 p.6 Figure 3.3. Economic Activity during Housing Busts を引用しています。赤の折れ線グラフが家計における負債が高水準である場合、水色が低水準の場合ですが、住宅価格が急落した場合、消費、GDP、失業率などに及ぼす影響を試算しています。点線は1標準偏差の信頼区間を示しています。こんな試算をするまでも明らかなんですが、家計の負債が高水準に積み上がった方が住宅価格の急落に伴ってダメージが大きくなるのは当然です。金融緩和によって金利を引き下げて家計のローン支払い負担を軽減してもゼロ金利制約がありますし、また、セーフティネットによる政府からの移転所得を増加させて負債・所得比率を引き下げる方法も、リポートで論じられている家計負担の緩和策のいずれも限界があるように私は感じます。

Figure 4.3. Macroeconomic Performance of Commodity Exporters during Commodity Price Swings

第4章に入って、商品価格の影響について、上のグラフはリポートの Chapter 4 p.9 Figure 4.3. Macroeconomic Performance of Commodity Exporters during Commodity Price Swings を引用しています。商品価格が変動した際の商品輸出国のGDP成長率や経常収支などのマクロ経済指標を商品価格の上昇と下降に分けて、さらに、エネルギー・金属・食料・原材料の商品別に示しています。当然ながら、商品輸出国の経済は商品価格から大きな影響を受けます。脆弱だとも言えます。中でも、原油輸出国における影響が最も大きく、原油の実質価格を約+12%押し上げるショックが1年続けば、短期的に石油輸出国の実質GDPを+0.4%、中期的に3年間に渡って約+2%押し上げるとの試算がリポートで明らかにされています。下のグラフの通りです。モノカルチャーの度合いが強いからだという気もします。また、商品価格の変動と同じ意味を持つ為替の変動についても分析しています。

Figure 4.7. Real Output Effects of Commodity Market Shocks

繰返しになりますが、上のグラフはリポートの Capter 4 p.15 Figure 4.7. Real Output Effects of Commodity Market Shocks から引用しています。金属代表の銅、食料代表のコーヒー、原材料代表の綿よりもエネルギー代表の石油の影響がもっとも大きいことが読み取れます。同時に、赤い折れ線の供給サイドのショックよりも、水色の需要サイドのショックの方がインパクトが大きくなっています。商品輸出国から見て国内要因よりも海外要因の方が影響が大きいと受け止めています。点線はやはり1標準偏差の信頼区間を示しています。リポートでは商品のうち石油を例に上げて、財政政策で対応した場合の効果について、均衡財政ルール、countercyclicalな景気調整ルール、構造黒字ルールの3ルールの別から、さらに、商品価格変動が一時的か持続的かにより分析を行っています。基本的には、価格上昇期には商品輸出に伴う収入の増加分を蓄えてバッファーとし、価格下落時にボラティリティーを抑制すべくバッファーを活用する景気調整ルールがベストながら、世界経済の生産性ショックへの影響を緩和するためには、少しcountercyclicalな要素を減じた景気調整ルールに従う財政政策がベストと結論しています。

発表から少し遅れてのエントリーですが、国際機関のリポートを取り上げるのは私のこのブログのひとつの特徴です。もうひとつの特徴はヨソさまのフラッシュに直リンすることなんですが、最近はご無沙汰しているような気がします。

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