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2012年4月 5日 (木)

みずほ総研リポート「国民負担の世代間格差と税・社会保障改革」に見る世代間不平等

やや旧聞に属する話題ですが、先週の3月30日にみずほ総研から「国民負担の世代間格差と税・社会保障改革 - 世代会計による財政再建策の影響シミュレーション」と題するリポートが公表されています。タイトル通りのリポートなんですが、私がこのブログで従来から主張している世代間不平等について世代重複モデルを用いたシミュレーションにより試算しています。まず、リポートの p.1 のサマリーを5点引用すると以下の通りです。

◆ 国民負担の先送りによる世代間格差の拡大が懸念されている。問題となる世代間格差には、将来世代と現存世代間、現在の高齢世代と現役世代間 (現存世代間) という2つの格差がある。
◆ 将来世代と現存世代の生涯受益と生涯負担を「世代会計」の手法により試算すると、生涯所得に対する純負担の割合は、将来世代と現役世代とで34%Ptもの差が生じることになる。
◆ 財政再建を実現すれば、将来世代と現存世代間の格差は大幅に改善する。一方で、財政再建の取り組みが遅れれば遅れるほど、将来世代への先送りが増大し、格差是正は困難となる。
◆ 現存世代間の格差は、消費税増税に依存して財政再建を進めると、むしろ拡大する。現存世代間の格差是正のためには、高齢世代向けの社会保障費の抑制も財政再建の手段に組み込む必要がある。
◆ 今回の社会保障・税一体改革案を実行したとしても、抜本的な格差是正には至らない。現存世代間の格差解消まで視野に入れるならば、大幅な給付削減など相当な改革を実行に移す覚悟が必要だ。

もうほとんど、私から付け加えることはないんですが、簡単に現状と今後のあり得るシナリオについての世代間格差のグラフだけ引用しておきます。まず、リポートの pp.2-3 に示された世代会計に基づく計測方法に従って試算された世代間格差の現状を示したのが下のグラフであり、p.3 の図表1 世代別の受益と負担(現状維持シナリオ)を引用しています。将来世代の生涯純負担は現在割引価値で約9600万円、所得に占める割合、すなわち、純負担率は38.8%に達すると試算されています。現存世代の純負担率は、このグラフに現れるもっとも若い20代でも約1300万円、4.9%との試算ですから、現行の社会保障システムは将来世代に膨大な負担を強いることを前提にして成り立つ制度であることが理解できると思います。まだ生まれておらず、当然に選挙権や被選挙権すらない将来世代に対して、これだけの負担を強いることが正当化されるかどうか、はなはだ疑問と言わざるを得ません。

世代別の受益と負担 (現状維持シナリオ)

現状維持シナリオでは将来世代に極めて大きな負担を強いることから、いくつかの財政健全化シナリオが代替シナリオとして提示されており、リポートの pp.4-6 までの財政健全化シナリオに沿った試算結果について、p.6 図表4 健全化シナリオ別にみた世代別障害純受益率/純負担率を引用しています。さすがに現状維持シナリオよりは改善されるものの、財政健全化に向かうとしても、将来世代への過重な負担は残ると試算されています。

健全化シナリオ別に見た世代別生涯純受益率/順負担率

何度か、このブログで指摘したことですが、現在の社会保障制度は将来世代への過重な負担を強いることを前提として成り立っています。その意味でまったくサステイナブルではありません。閣議決定された社会保障と税制の一体改革は増税に傾斜した取りまとめとなっており、現存世代のうちの高齢の引退世代への社会保障給付を思い切って削減する必要を強く訴えたいと思います。

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