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2012年5月17日 (木)

1-3月期1次QEの高成長は持続するか、それとも一時的な特殊要因か?

本日、内閣府から1-3月期のGDP速報、エコノミストの業界で1次QEと呼ばれる統計が発表されました。ヘッドラインとなる季節調整済みの実質GDPは前期比で+1.0%増、前期比年率で+4.1%増と潜在成長率を大きく上回る高成長を記録しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質成長率、年率4.1%増 1-3月、3期連続プラス
内閣府が17日発表した2012年1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増、年率換算で4.1%増となった。季節調整で昨年10-12月の伸びがプラスに改訂され、3四半期連続のプラス成長になった。自動車販売を中心に個人消費が堅調だったほか、東日本大震災からの復興需要も景気をけん引している。
政府は1-3月期のプラス成長をみて5月の月例経済報告で景気の基調判断の引き上げを検討する。上方修正すれば9カ月ぶり。4月までは基調判断を「緩やかに持ち直している」と6カ月連続で据え置いており「回復」などの表現を使うことを検討している。
実質GDPは年率換算で約517兆2729億円と08年7-9月以来の高水準。生活実感に近い名目GDPは前期比1.0%増、年率換算で4.1%増だった。実質GDPの前期比の増減にどれだけ影響したかを示す寄与度は民間需要が0.5%分と大きく、公的需要は0.4%分。外需は0.1%分を押し上げた。
需要項目別では個人消費が1.1%増えた。昨年末に復活したエコカー補助金の影響で自動車を含む耐久財が大幅に伸びたほか、レクリエーションなどサービスも好調だった。住宅投資は足元で着工が増えているが、人手不足などで工事は進んでおらず1.6%減。設備投資は電子通信分野などを中心に3.9%減った。
公共投資は5.4%増と3四半期ぶりのプラス。特に被災地での公共工事が増えている。輸出は2.9%増となり、タイの洪水の影響で3.7%減と落ち込んだ昨年10-12月期から大幅に回復した。米国経済が持ち直しつつあり、自動車の輸出も堅調だった。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは季節調整値の前期比で0.02%と13四半期ぶりにプラスに転じた。生鮮食品の値上がりが影響している。ただ前年同期比ではマイナス1.2%とデフレ基調は続いている。
内閣府が同日公表した11年度の実質GDP成長率はマイナス0.01%。震災やタイの洪水で輸出が落ち込んだ影響が響き、2年ぶりのマイナス成長だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2011/
1-3
2011/
4-6
2011/
7-9
2011/
10-12
2012/
1-3
国内総生産GDP▲2.0▲0.3+1.9+0.0+1.0
民間消費▲1.5+0.6+1.1+0.7+1.1
民間住宅+1.6▲3.1+4.8+0.1▲1.6
民間設備+0.2▲0.4▲0.2+5.2▲3.9
民間在庫 *▲0.9+0.0+0.3▲0.4+0.4
公的需要▲0.6+2.0+0.1+0.2+1.5
内需寄与度 *▲1.8+0.7+1.1+0.7+0.9
外需寄与度 *▲0.2▲1.0+0.8▲0.7+0.1
輸出▲0.4▲6.3+8.7▲3.7+2.9
輸入+1.2+0.2+3.5+0.9+1.9
国内総所得GDI▲2.8▲0.6+1.5▲0.0+0.8
名目GDP▲2.6▲1.0+1.5▲0.3+1.0
雇用者報酬+1.1▲0.3▲0.2+0.6+0.2
GDPデフレータ▲1.9▲2.4▲2.2▲1.9▲1.2
内需デフレータ▲1.0▲1.1▲0.7▲0.6▲0.3

さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年1-3月期の最新データでは、前期比成長率がかなりの高成長であるとともに、それに大きく寄与しているのが赤の消費と黄色の公的需要であるのが見て取れます。

GDP前期比成長率と需要項目別寄与度の推移

さらに、下のグラフは復興需要のひとつの大きな要素を占めると考えられる公的固定資本形成の推移をプロットしています。2009年の政権交代から一定のラグを経て、マニフェストの「コンクリートから人へ」が実行されて公共投資は抑制気味で推移していたところ、昨年4-6月期にいわゆる仮設住宅の建設で大きく増加した後、政治情勢などを反映して年後半はサッパリだったんですが、今年に入って1-3月期に復興需要が顕在化したことが読み取れます。海外の報道でも、Wall Street Journal のサイト"One major driver of the first quarter expansion was public investment." と指摘されていたりします。

公的固定資本形成の推移

今回の1次QEのもうひとつの特徴は引き続きデフレータのマイナス幅が縮小していることです。季節調整していない原系列のデフレータの前年同月比は下のグラフの通りですが、季節調整済みのデフレータは、GDPデフレータ、国内需要デフレータ、民間消費デフレータとも、2005年=100となる指数値で10-12月期から0.1ポイント上昇しています。なだ先は長そうですが、着実にデフレ脱却の必要条件を満たしつつあると私は受け止めています。誠についでながら、何度もこのブログで書いた通り、デフレ脱却の十分条件は賃金の上昇と私は考えていますので、念のため。

デフレータ前年同期比上昇率の推移

最後に考えるべきポイントは、1-3月期の潜在成長率を上回る高成長が足元の4-6月期以降も続くかどうかですが、私は否定的に受け止めています。すなわち、1-3月期の高成長の背景はGDPコンポーネントで考えると消費と公的固定資本形成であり、さらに、くわしく見るとエコカー補助金とうるう年が消費を押し上げ、復興事業が公共投資をかさ上げしたと考えるべきです。いずれも多くのエコノミストの間で、持続可能性はほとんどないと考えられています。せいぜい、エコカー補助金が年度半ばまで継続するかどうかであって、予算残高をにらんでの最後の駆込みが終われば一定の反動減は避けられません。特定の財に対して特定の期間だけ補助金を出す政策の限界です。特定の業界の利害を代弁する場合は別にして、こういった政策がマクロの成長策として好ましいと考えるエコノミストは少ないと私は受け止めています。加えて、1-3月期にはわずかながらプラスになった外需も、欧州のソブリン・リスクと為替動向と国際商品市況の3つのリスクにさらされていますので、どこまで持続可能かは疑わしいと考えるべきです。もちろん、原発稼働とも連動して電力制約が極めて大きくなったりしない限り、足元の4-6月期からマイナス成長に陥るとまでは見込まれず、引き続きプラス成長を維持するものと私は予想していますが、成長率は鈍化するものと覚悟すべきです。

デフレ脱却に向けて必要条件が満たされつつあるのは喜ばしい限りですが、量的に雇用を拡大し、質的に賃金を上昇させる政策を指向する必要性を繰返し主張しておきたいと思います。

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