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2012年6月12日 (火)

企業物価に見るデフレ脱却の気配やいかに?

本日、日銀から5月の企業物価が発表されました。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で見て、4月に▲0.3%下落とマイナスに舞い戻った後、5月は▲0.5%と下落幅を拡大してしまいました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業物価、0.5%下落 2カ月連続マイナス 原料価格の下落反映
日銀が12日発表した5月の国内企業物価指数(2005年%100、速報値)は105.0と、前年同月に比べ0.5%下落した。前年比では2カ月連続でマイナスとなった。原料価格の下落で鉄鋼や非鉄金属の価格が下がったことが響いた。
企業物価指数は出荷や卸売り段階で企業同士が取引する製品の価格水準を示す。下落した品目数は442(全体の51.7%)となり、上昇品目(290)を上回った。下落品目の数が上昇品目を上回るのは3カ月連続。日銀は今後について「欧州債務問題を巡って投資家のリスク回避姿勢が続けば、さらに下落圧力がかかる」とみている。
項目別では、非鉄金属が8.2%下落、鉄鋼が6.0%下落となり、マイナス幅が大きかった。銅や銀などの非鉄金属は投資家のリスク回避姿勢が強まるとともに、国際価格が下落した。鉄鋼では鉄鉱石や原料炭といった原料の価格が下落し、製品価格に波及した。一方、電力・都市ガス・水道は10.1%上昇した。
輸出物価(円ベース)が前年同月比で3.4%下落。電気・電子機器や金属・同製品、化学製品の下げ幅が大きかった。景気の減速で原材料の価格が下がったほか、製品の需給が緩和したことが背景にある。一方、輸入物価(同)は同2.5%下落。金属・同製品や木材・同製品の下げが目立った。

次に、いつものグラフは以下の通りです。いずれも季節調整していない原系列の前年同月比で、上のパネルは国内、輸出、輸入別、下は重要段階別で素原材料、中間財、最終財です。色分けは凡例の通りです。

企業物価上昇率の推移

国内物価の前年同月比上昇率で見ると、2010年9月以来のマイナスに戻ったわけですが、現時点では見極めが難しいところで、物価は需給ギャップに応じた一般物価水準の上昇によってプラスの上昇率に転じる過程にあるのか、あるいは、相対価格の変化でしかないエネルギー価格上昇が全体の指数水準を押し上げていただけなのか、確たる実証結果はまだ観察されないのかもしれません。例えば、先週5月8日付けの2次QE発表の際のエントリーで私は前者の可能性を示唆しましたし、4月27日付けのエントリーでも日銀の白川総裁が早ければ2014年度にも物価上昇率が日銀の「物価安定の目安」の中央値である1%に達する可能性について発言したと書きましたが、逆に、5月25日付けのエントリーで消費者物価を取り上げた際、東京都区部の生鮮食品を除くコアCPIが4月5月とマイナス幅を拡大していることをリマインドしており、後者の可能性も否定し切れない気がします。例えば、東京都区部のコアCPI前年同月比上昇率は4月の▲0.5%から5月には▲0.8%とマイナス幅が▲0.3%ポイント拡大していますが、全国のコアCPIが4月で+0.2%の上昇ですから、▲0.3%ポイント下振れすれば5月の全国コアCPIがマイナスに転じる可能性は否定できません。このあたりは、もう少しデータがそろった時点で実証分析を行うエコノミストの世界と、統計が発表された時点で取りあえずのコメントを出すエコノミストの世界が違うということなんだろうと思います。いつもの私の主張ですが、金融市場で時々刻々と変化する資産価格を追うマーケット・エコノミスト、景気循環の1サイクルくらいを見通す中央銀行エコノミスト、さらに長い国家100年の大計を見据える政府エコノミスト、あらゆる時間軸を縦横無尽に行き来するアカデミック・エコノミスト、などなど、エコノミストもさまざまです。

Figure 1.2. Pensionable age under long-term rules, by sex

物価の議論を離れて、昨日、経済協力開発機構 (OECD) から OECD Pensions Outlook 2012 と題する年金に関するリポートが発表されています。主として、東欧の移行国の年金制度構築に向けた分析や提言と私は受け止めていますが、国内メディアでは、「『年金67歳以上』OECD加盟国の4割 改革進む」と題した日経新聞の記事のように、「支給開始年齢を引き上げるのが年金改革である」といった論調で報じられています。リポートの p.27 Figure 1.2. Pensionable age under long-term rules, by sex の男性部分を引用した上のグラフに見られる通りです。しかし、私の主張は世代間格差の是正にあり、この観点からは、年金支給開始年齢を引き上げるのは世代間格差の拡大にしかならず反対すべきであり、現在の高齢者を含めてすぐさま支給水準を切り下げることが必要であると考えています。

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