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2012年6月25日 (月)

イーグルトン『批評とは何か』(青土社) を読み左翼運動について考える

イーグルトン『批評とは何か』(青土社)

イーグルトン『批評とは何か』(青土社) を読みました。長らくオックスフォード大学を拠点にして新左翼的な文芸評論家として著名だったイーグルトン教授に対してマシュー・ボーモントがインタビューした結果を取りまとめた本です。出版社はいつもの青土社、翻訳はいつもの大橋洋一教授です。副題は「イーグルトン、すべてを語る」となっています。私は前著の『宗教とは何か』を途中で放棄してしまったので、この新著はがんばって読み通したんですが、やっぱり、私には不可解なカトリックの神学が根底にあるように感じられます。税込みで5000円を超えるぶ厚い本なので近くの図書館で借りました。
さて、本の内容はともかく、今夜のエントリーではイーグルトン教授が属する新左翼、トロツキストも含めた左翼運動について簡単に振り返っておきたいと思います。私の勝手な分類によれば、左翼運動は大雑把に3派に分けられます。もっとも左寄りなのがイーグルトン教授らの属する新左翼です。かつてのソ連の独裁者であったスターリンと袂を分かったトロツキーの名を取ってトロツキストと呼ばれる場合がありますし、日本では「過激派」と称されることもあります。左翼本流とは各国共産党である、と見なされる場合が多いと私は受け止めています。もちろん、かつての「ユーロ・コミュニズム」や我が国の共産党など、特に先進諸国ではかなりの幅を持っているわけで、単純にひと括りにするのは難しいかもしれません。そして、左翼運動の中でももっとも右派なのが社会民主主義と考えられます。我が国の社会民主党も連立政権に入っていたのは記憶に新しいところで、西欧諸国ではフランスのオランド大統領は社会党所属ですし、英国の労働党も長らく政権の座にあり、ドイツの社会民主党も大連立で政権の一翼を担っています。
我が国ではいわゆる60年安保から70年安保にかけて、左翼運動は大きな盛上りを見せ、東京都、大阪府、京都府などで革新系の知事が地方自治の場で活躍したりしまし、世界的にも日本でいえば「団塊の世代」に属するようなベビーブーマーが、例えば、ベトナム戦争反対などの声を上げていました。その後、70年代の2度にわたるオイルショックなどで経済が曲がり角を迎えたのを機に、80年代になって米英で保守的な政権が成立し、当時のレーガン米国大統領やサッチャー英国首相が、今で言うところの新自由主義的な政策、すなわち、国営企業の民営化や規制緩和などを推進しました。日本では国鉄などの民営化を進めた中曽根政権が思い出されます。もっとも、このころ、大陸欧州ではこういった保守的な政権が成立したわけでもなく、例えば、フランスでは1981年から2期14年に渡って社会党のミッテランが大統領職にありました。世紀の変わり目あたりから保守主義が強くなり、米国ではブッシュ大統領が2001年から大統領職を2期8年務め、フランスではシラク大統領からサルコジ大統領とつい最近まで保守派の大統領でした。ドイツでは大連立なった2005年から現在のメルケル首相ですし、日本では小泉総理がかなり長くに政権の座にありました。なお、英国のブレア政権は労働党とはいえ、かなり保守的な政策運営ではなかったかと思います。その後、米国でのサブプライム・バブルの崩壊とともに、新自由主義的な政策が見直され、米国では現職のオバマ大統領が当選しましたし、フランスでも最近オランド大統領が就任し、我が国でも2009年に政権交代がありました。世界的な大きな歴史の流れとして、1960年代と70年代はベトナム戦争反対などで左翼的な運動が盛上りを見せ、逆に、オイルショックに起因する経済的な混乱を経て1980年代は保守主義が復活し、日本が「失われた10年」を経験した1990年代の後、世紀の変わり目あたりから再び新自由主義的な政権や政策が目につくようになりましたが、サブプライム・バブル崩壊からまたしてもリベラルな政権・政策が主流になりつつあります。なお、「リベラル」と「左翼」は政治や主義や運動として決して同じではないんですが、政策的には似通った目標を追求する場合があるんではないかと、シロートなりに受け止めています。

京都に生まれついて1980年代前半くらいまでに京都大学を出ると、今はどうかよく知りませんが、私のように必然的に野球はタイガースのファンになり、左翼運動については「門前の小僧」になります。トロツキストというのは必ずしもいいイメージはないんですが、イーグルトン教授は文化人の面もあり、すべての読書子にオススメ出来るわけではないものの、それなりに興味深い本でした。専門家向けかもしれませんが、参考文献も学術書並みに立派でした。

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