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2012年6月20日 (水)

貿易赤字の続く貿易統計から何を読み取るか?

本日、財務省から5月の貿易統計が発表されました。季節調整していない原系列で見て、ヘッドラインとなる輸出は前年同月比10.0%増の5兆2347億円、輸入は9.3%増の6兆1420億円、差引き貿易収支は9073億円の赤字を記録しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字3カ月連続 5月9072億円、過去最大に
欧州向けも初の転落

財務省が20日発表した5月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9072億円の赤字となった。赤字は3カ月連続で、5月としては東日本大震災後に落ち込んだ昨年を上回って過去最大だった。債務危機に揺れる欧州向けが初の赤字となったほか、引き続き原油や液化天然ガス(LNG)の輸入増が響いた。
5月の赤字幅は市場予想(5100億円)を上回った。比較可能な1979年以降では単月で過去3番目に大きな水準。先行きについては「世界景気の持ち直しで輸出が改善するものの、燃料輸入は高水準なため年度内は小幅赤字が続く」(ゴールドマン・サックス証券)との見方がある。
輸出は前年同月比10.0%増の5兆2346億円。自動車は昨年に落ち込んだ反動もあって米国向けを中心に87.4%増えた。米国向け輸出は7カ月連続の増加。中国向け輸出も自動車や自動車部品が好調で8カ月ぶりに増加した。
輸入は、9.3%増の6兆1419億円。LNGが44.3%、原油も10.9%増えた。停止した原子力発電所の代替として火力発電所の稼働が増えているためだ。このほか中国からの輸入が携帯電話などの基地局用機器が増えて3カ月連続で増加。ユーロ安を背景にドイツからの自動車輸入も増え、欧州からの輸入額は2カ月ぶりに増えた。
地域別にみると欧州との貿易収支が111億円の赤字。輸出が0.9%減の5564億円と、政府債務問題が深刻化した昨秋から8カ月連続でマイナスとなった。特に半導体などの電子部品が落ち込んでいる。景気の持ち直しが続く米国との貿易収支は3343億円の黒字。黒字額は4カ月連続で増えた。
貿易赤字の主因である燃料輸入については、5月以降に原油価格が下落している。財務省の担当者は「価格下落が6月分の貿易収支から反映されるため、燃料の輸入額は今後下がる可能性がある」と見通している。5月は大型連休があって製造業の営業日が少ないため、赤字が大きくなりやすい季節性もある。

次に、いつもの貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも折れ線グラフが輸出入で、その差額たる貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計を、下は季節調整済みの統計を、それぞれプロットしています。

貿易統計の推移

原系列の統計でで見ると、貿易赤字は3カ月連続にしか過ぎないんですが、季節調整済みの系列で見ると、昨年3月の震災以来15か月連続の貿易赤字が傾向的に続いていることが読み取れます。私が重視する輸出について見ると、5月の輸出は昨年の供給制約からの反動があり、季節調整していない原系列では前年同月比でプラスなんですが、季節調整した統計では5月の輸出は前月比でマイナスをつけました。最近2-3カ月は昨年3月の震災からのリバウンドを考慮すれば、前年同月比でプラスになっても、欧州のソブリン危機などから世界経済が弱含んで、季節調整値で傾向をみると前月比でマイナスを記録する指標が多いことは忘れるべきではありません。輸出も同じです。引用した記事にあるような輸出が前年同月比2ケタ増というのは、足元の輸出動向をミスリードする可能性があります。貿易赤字もわずか3か月連続ではなく、震災以来、1年以上続いていると認識すべきです。

輸出の推移

特に輸出についてグラフを示すと上の通りです。どうしても、貿易統計の制約上、季節調整していない原系列の統計しか利用可能ではないので、輸出の動向を原系列の前年同月比でプロットしています。いずれも折れ線グラフの輸出額指数の前年同月比増減の要因分解なんですが、上のパネルは数量指数と価格指数で寄与度分解しており、下は地域別に寄与度を見ています。第1に、輸出額は価格の上昇ではなく数量の増加を反映して前年同月比で伸びており、第2に、地域別では北米が好調を持続する一方で、欧州は減少が続いており、アジアもここ2-3か月で減少から増加に転じつつある段階と見受けられます。引用した記事にもある通り、欧州向けの輸出は8か月連続で前年同月比マイナスを続けています。

2012年上期日経MJヒット商品番付

最後に、貿易統計を離れて、本日の日経流通新聞トップで報じられていた2012年上期の日経MJヒット商品番付のランキングの画像を日経新聞のサイトから引用すると上の通りです。東京スカイツリーが1人勝ちで東の横綱、乗り物や輸送関係が大関を占め、パソコンやスマホが関脇、飲料が小結です。私が体験したのは前頭以下の小物が多く、映画の「テルマエ・ロマエ」、渋谷ヒカリエ、ガンダムフロント東京、書籍では『舟を編む』、『共喰い』といったあたりをこのブログで紹介しています。記事にもある通り、消費者の外出を促す新施設やサービスが上位に登場しているようです。

ホントの最後の最後に、メキシコのロスカボスで開催されていたG20サミットの首脳宣言へのリンクは以下の通りです。

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