« 来週に集中する株主総会の注目点について考える! | トップページ | 貿易赤字の続く貿易統計から何を読み取るか? »

2012年6月19日 (火)

国連難民高等弁務官事務所のリポート UNHCR Global Trends 2011

昨日、国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) から難民に関する年次リポート UNHCR Global Trends 2011 が発表されています。もちろん、全文リポートの pdf ファイルもアップされています。国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの特徴の一つですが、これは今回初のリポートかもしれません。まず、リポートの内容をコンパクトに取りまとめているフラッシュが UNHCR のサイトにあり、これに直リンすると以下の通りです。全部で5ページあり、一番下のボタンで左右にスクロールします。

UNHCR 2011 Global Trends

次に、上のフラッシュにも埋め込まれていますが、居住地を追われた難民数の推移を示すグラフはリポートの p.6 Fig.1 Global forced displacement を引用して、以下の通りです。なお、凡例にある "IDPs" とは "Internally Displaced People" の略であり、詳しくは UNHCR のサイトに解説があります。その他の定義も含めて、ブログに取り上げておきながら、やや私には不案内な分野ですので、説明能力はありません。上のフラッシュ1枚目のグラフの下の凡例をマウスでポイントすると左側に定義が現れます。今夜のエントリーでは、誠に雑ながら、「難民」ですべて表現してしまいます。悪しからず。

Fig.1 Global forced displacement

さらに、これもフラッシュにも埋め込まれていますが、難民を受け入れている国や地域と出している方について、リポートの p.14 Fig.4 Major refugee-hosting countries 及び Fig.5 Major source countries of refugees を引用すると以下の通りです。上のパネルが受入れ国・地域、下が難民を出している国と地域です。軽く想像されますが、アフガニスタンを逃れてパキスタンに入った難民が最も多くなっていることが読み取れます。それに次ぐのが、イラクを逃れてイランに行った難民です。ソマリアも多くの難民を出しており、先進国の中ではドイツの受入れが群を抜いていることが見て取れます。

Fig.4 Major refugee-hosting countries & Fig.5 Major source countries of refugees

リポートにも明記されている通り、難民の80パーセントは発展途上国から出ており、政治的な混乱とその背景となっている低開発が原因であると私は考えています。先進国では Décroissance が話題になって、地球環境保護などの観点から成長にブレーキをかけることが議論されていることは事実ですが、エコノミストの目から見て途上国にはまだまだ経済成長が必要です。政治面からはいろいろな議論がありますが、例えば、先日、『収奪の星』を読書感想文で取り上げたコリアー教授などは『最底辺の10億人』で先進国の軍事介入の必要性を論じています。サックス教授は『貧困の終焉』や『地球全体を幸福にする経済学』などの一連の著書で開発援助の重要性を指摘しています。
難民が発生しているのはいわゆる低開発国に集中しており、例えば、コリアー教授のいう「最底辺の10億人の国々」になぞらえられます。これらの諸国や地域が難民を出さなくてすむような経済開発については、現時点で、必ずしも確立された処方箋が存在しないわけで、これからも試行錯誤が続くのかもしれませんが、開発経済学にいくらかなりとも取り組む私のようなエコノミストにとって、何とか緩和・解決したい大きなポイントであることは確かです。

2005年に英国で開催されたグレンイーグルズ・サミットからアフリカの経済開発がクローズアップされた印象があります。ベトナムのボートピープル以来、東アジアでは難民が注目されなくなった気がしますが、アフリカから中東、中央アジアではまだまだ難民はなくなりません。難民は世界で最も恵まれない集団のひとつであるという意味でロールズ的な正義の観点からも、難民問題の解決が望まれます。

|

« 来週に集中する株主総会の注目点について考える! | トップページ | 貿易赤字の続く貿易統計から何を読み取るか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/20840/45717033

この記事へのトラックバック一覧です: 国連難民高等弁務官事務所のリポート UNHCR Global Trends 2011:

« 来週に集中する株主総会の注目点について考える! | トップページ | 貿易赤字の続く貿易統計から何を読み取るか? »