3連休に学術論文を整理する
この3連休で私自身が書き溜めた学術論文を整理しました。もっとも、印刷された別刷り冊子というわけではなく、いわゆる電子媒体のpdfファイルです。私の最近10-15年くらいの学術論文の主たる成果は、ジャカルタに3年間駐在していたころにmimeo扱いのディスカッションペーパーが10本ほど、地方大学に2年間単身赴任していたころに主として紀要などの公刊論文が20本ほど、その他がパラパラと合わせて40本ほどになります。そのうち査読に通ったのが、誠に力及ばず、わずかに1本だけです。それなりにチャレンジはしたんですが、1本の例外を除いてことごとくレフェリー審査で落とされていたりします。
ただし、ただしなんですが、査読付きの論文ほどではありませんが、アカデミックな世界で評価される引用については、査読に通った論文のディスカッションペーパーのバージョンを含めて4本あります。このあたりを整理していたわけです。なお、私は常々自称している通り、国際派エコノミストですので海外の公刊論文でも私のペーパーが引用されていたりします。中国とオーストラリアです。ということで、誠に自慢たらしいことながら、私のペーパーを引用している公刊論文は以下の通りです。
- XIN Nian-jun and ZHANG Pei-li (2005) 「20世纪90年代以来国内外对二元经济理论的修正」"A Review of Revision on Dual Economic Theories since the 1990s at Home and Abroad," 『教学与研究』V(10)、中国人民大学、2005年、pp.76-82
- van der Eng, Pierre (2009) "Capital formation and capital stock in Indonesia, 1950–2008," Bulletin of Indonesian Economic Studies 45(3), 2009, pp.345-71
- 下田憲雄・小野宏(2010)「大分県ストック・ワトソン型景気指数の試算」大分大学『経済論集』第62巻第3・4合併号、2010年12月、pp.17-34
- 林直嗣 (2011)「扶養控除廃止による子ども手当と高校無償化の経済効果: あるべき少子化対策・子育て政策 (下)」法政大学『経営志林』第48巻第2号、2011年7月、pp.1-18

1番上の論文は、経済発展の際の二重経済を描写したルイス・モデルについて、数学的にかなりエレガントに展開した私の論文を引用しています。英語で書いたペーパーですが、予算がなくてネイティブ・チェックはしてもらっていないので、読みこなしていただいて有り難い限りです。私は中国語をまったく理解しませんので、どのように引用・評価されているのか不明だったりします。その次の論文はインドネシア経済の計量モデルをかなり長期に渡ってシミュレーションした結果を取りまとめた私の論文を引用しています。これもネイティブ・チェックしていない英文論文だったりします。そのグラフのひとつを引用したのが上の画像です。ただし、本文では私のペーパーのシミュレーション結果は他の人のと合わせて、"seem unrealistic" と表現されていたりします。誠に残念ですが、明確な評価かもしれません。3番目は長崎経済のストック・ワトソン型の景気指標を状態空間モデルで表現してカルマン・フィルターで推計した私の論文を、また、4番目は世代間格差の観点から子ども手当を評価した私の論文を、それぞれの大学の紀要で引用していただいています。いずれも日本語論文です。
「官庁エコノミスト」を自称しつつも何せ本来がサラリーマンですから、私の研究成果はレフェリー審査論文はわずかに1本だけと少ないんですが、少しは国際的に引用されていることが確認できて、有意義なペーパーの整理作業であったと評価しています。
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