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2012年7月18日 (水)

最近読んだ新書版の経済書から

最近読んだ新書版の経済書

今夜は宴会があって帰りが遅くなりましたので、最近読んだ新書版から何冊か経済書を軽く取り上げたいと思います。上の画像に見える通りなんですが、改めて箇条書きにすると以下の通りです。勝手ながら、私が読んだ順です。

最初の『震災復興欺瞞の構図』はどう考えても過大な震災復興費を取り上げています。この本によれば、日本人1人当りの実物資産は966万円なのに、復興予算では被災地1人当り4600万円が計上されており、地元自治体の積算から見ても、宮城県はかなり過大に要求しているとしても、岩手県や福島県の見積りに比較して震災復興費は余りに過大であり、帯にあるように何らかの「役人の悪だくみ」を読み取っています。精緻なデータ分析を元に、「復興」の美名の陰で進む欺瞞の構図を明らかにしています。主張はよく分かりますし、私もその通りだと思いますが、いかんせん、記述がくどくて20ページほどで終わりそうな内容をクドクドとムダな紙幅を費やしているような気がしてなりません。
2番めの『商店街はなぜ滅びるのか』は歴史的に商店街を説き起こし、縦に伸びる百貨店と横に広がる商店街の比較など、色々と面白い視点を提供しています。しかし、コンビニの出現あたりから、論調が乱れます。スーパーは商店街の外から現れたにしても、コンビニは商店街の中の個人商店がフランチャイズに乗ることにより生じます。おそらく、経営能力の視点が欠けているんだろうと私は受け止めています。すなわち、商圏、商品、仕入先や販売先が大きく広がる中で、旧来の個人商店の経営資源では立ち行かなくなり、フランチャイズの本部に経営指導を仰ぐ形でコンビニが広がった事実を見落としています。ですから、結論や方策も誤っています。ついでながら、私は零細農家の衰退も同じく経営資源の不足が何らかの意味で関与していると考えています。要するに、個人商店と零細農業の衰退の根源的な理由は「経営能力」という点で一部に共通しています。
最後の『円のゆくえを問いなおす』は為替政策を国際金融論から説き起こし、日銀の誤った金融政策により円高が進んだ結果、日本経済に大きなダメージを与えたと論じています。私がこのブログで論じているような為替に対する政策割当てもまっとうですし、理論的・実証的にも妥当な論説だと理解しています。私はリフレ派に対する誤解のように、「すべては金融政策が決める」と考えているわけではありませんが、少なくとも、為替に割り当てられるべき政策は市場介入ではなく金融政策である、と理解していますし、「為替は金融政策によって決まる」と考えています。中央銀行からの通貨供給が過小であることが、国内にあってはデフレの、国際的には自国通貨高の根源的な原因です。我が国のデフレと円高はコインの表裏であり、その原因は日銀の通貨供給が少な過ぎることが原因です。要するに、財に対してと外貨に対して円が希少になってしまっているわけです。このことを正しく論じています。ついでながら、為替についての余談ですが、私は日本が「ものづくり」に比較優位を持っていたのは円安に支えられていた面があると考えています。

「経済評論の日記」と「読書感想文の日記」で分類に迷いましたが、一応、経済を論じていると判断しました。

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