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2012年8月 2日 (木)

5年振りの増加に転じた日本政策投資銀行調査による設備投資計画をどう見るか?

昨日は帰りが遅くなって、取り上げるのが今日になりましたが、日本政策投資銀行から「全国設備投資計画調査」の結果が発表されています。資本金10億円以上と定義される大企業の2012年度国内設備投資額は、製造業が+19.1%増、非製造業が+8.6%増と、とも増加し全産業で+12.2%増と5年振りの増加となっています。まず、日経新聞のサイトから調査結果のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

12年度の設備投資計画、12.2%増 海外は31.5%増、政投銀調べ
日本政策投資銀行が1日発表した設備投資計画調査によると、2012年度の大企業・全産業の設備投資額は前年度実績と比べて12.2%増の15兆9853億円となった。前年度まで投資を抑制した反動に加え、老朽化した設備の維持・補修などが増え、5年ぶりの増加を見込む。この時期としては3年連続の増加計画で、増加率は2006年度以来の高水準となった。
製造業は19.1%増加。投資動機に占める比率は「維持・補修」が24.9%と過去最高となり、「新製品・製品高度化」「合理化・省力化」も上昇した。一方、「能力増強」は25.1%と02年度以来の水準にとどまった。業種別では自動車、化学、建設機械が増加し、電気機械が減少した。非製造業は8.6%増で、卸売・小売り、運輸、電力の増加が目立った。
海外設備投資額は31.5%増だった。製造業では自動車がけん引役となり、関連する産業も増えた。非製造業は資源関連の投資が増加した。
調査は6月20日まで資本金が10億円以上の企業3277社を対象に実施。有効回答社数は2214社(67.6%)だった。

続いて、リポートの p.2 図表2 国内設備投資増減率推移を引用すると以下の通りです。赤い折れ線の大企業全産業の設備投資計画が前年度比プラスとなるのは2007年度以来5年振りとなっており、特に青い折れ線の製造業が高い伸びとなっていることが読み取れます。伸び率ではなく実額で見ると、2214社ベースで国内設備投資計画は15兆9853億円に上ります。

国内設備投資増減率推移

2012年度の設備投資の特徴として、リポート p.3 で3点ほど指摘していますが、特に注目すべき点は、国内設備投資は能力増強のウェイトが縮小する一方で、維持・補修のウェイトが上昇していることが上げられます。特に製造業ではその傾向が強くなり、2012年度の製造業における投資動機を見ると、能力増強と維持・補修がいずれも約25%で肩を並べています。業種別ではエコカー補助金に支えられた自動車に関係する産業が増加する一方で、サッパリ売れなくなったテレビや電機の関連産業が落ち込んでいます。当然です。

国内設備投資と海外設備投資の関係

上のグラフはリポート p.13 の図表12 国内設備投資と海外設備投資との関係及び図表13 海外/国内設備投資比率を引用しています。製造業全体では昨年度2011年度も今年度2012年度も国内よりも海外設備投資の方が伸び率が高くなっており、海外/国内設備投資比率を見ても、製造業全体で海外投資は国内の半分を超え、自動車などは国内投資と海外投資がほぼ拮抗する規模に増加していることが読み取れます。非製造業を含めた全産業ベースでも2012年度の計画では海外/国内設備投資比率は37.2%に達します。
伸び率だけを見ても実感がわかないかもしれませんので、伸び率と実額を合わせて把握すると、2012年度における国内設備投資の伸び率+12.2%増、15兆9853億円に対して、海外設備投資は+31.5%増、3兆8997億円に上ります。国内設備投資の調査対象が2214社に対して海外は1127社ですから、調査対象のベースが異なりますが、大雑把に国内16兆円、海外4兆円の投資規模ということになります。当然、海外設備投資の伸びの方が大きくなっており、リポートだけからでは判然としませんが、ひょっとしたら、業種によっては国内投資を超える海外投資を実行している業種もあるのかもしれません。基本的には、日本国内よりも新興国や途上国の方が相対的に資本が希少ですから資本のレンタル・プライスが高いことは明らかですが、我が国産業の生産性が低いことと換算率である為替レートの円高が進行していることの2つの要因により海外投資が進んでいると考えるべきです。

同じ生産要素でも、資本と労働では国境を越えたモビリティが格段に異なります。この差を埋めることが出来るのは自由貿易です。TPPもそのひとつかもしれません。しかし、自由貿易の下では、生産関数が同じという強烈な前提は必要ですが、ヘクシャー・オリーン定理により要素価格が均等化しますので、資本のレンタル・プライスが上昇して賃金が低下する方向に進む可能性があります。これは国内の不平等が拡大する可能性を示唆しています。

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