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2012年9月10日 (月)

下方修正された4-6月期GDP統計2次QEはこのまま景気後退に入るサインか?

本日、内閣府から4-6月期のGDP統計速報の改定値、すなわち、2次QEが発表されました。ヘッドラインとなる季節調整済みの前期比実質成長率は+0.2%、前期比年率で+0.7%と1次QEからやや下方修正されました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP0.7%増に下方修正 4-6月実質年率
内閣府が10日発表した4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.2%増、年率換算で0.7%増となった。8月に公表した速報値(0.3%、年率1.4%)を下方修正した。在庫投資の減少が主因だ。外需が伸び悩むなか、復興需要を追い風とした内需が景気をけん引する構図は変わっていない。
8月の速報値公表後に明らかになった法人企業統計などのデータを使って推計し直した。改定値は市場予測(年率1.0%)を下回った。下方修正の要因になったのは、主に原材料の在庫投資。「海外経済の減速懸念が強まり、企業が在庫の積み増しに慎重になった」(みずほ総合研究所の山本康雄シニアエコノミスト)との見方がある。
GDPは家庭の消費や企業の投資を積み上げて算出する。在庫の増加は企業の投資が活発だったとしてGDPを押し上げる要因になるが、今回の改定値は速報値で想定していたよりも在庫が増えなかったことを意味する。企業の設備投資は速報段階の1.5%増から1.4%増に下方修正された。公共投資は復興需要の盛り上がりを受けて1.7%増から1.8%増に上方修正された。
経済成長にどれだけ貢献したかを示す寄与度の内訳をみると、内需の合計は5四半期連続でプラスとなった一方、外需は2四半期ぶりにマイナスとなった。生活実感に近い名目の成長率はマイナス0.3%(年率はマイナス1.0%)。速報値のマイナス0.1%(年率マイナス0.6%)から下方修正された。
政府が8月に示した2012年度の実質成長率の予想は2.2%程度。これを実現するには、7-9月期以降の3四半期ごとに0.4%程度の成長を続ける必要があると内閣府は試算している。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2011/
4-6
2011/
7-9
2011/
10-12
2012/
1-3
2012/4-6
1次QE2次QE
国内総生産(GDP)▲0.3+1.7+0.1+1.3+0.3+0.2
民間消費+0.6+1.1+0.7+1.2+0.1+0.1
民間住宅▲3.0+4.8+0.1▲1.6+0.8+0.9
民間設備▲0.9+0.3+5.5▲1.6+1.5+1.4
民間在庫 *+0.0+0.2▲0.4+0.3▲0.0▲0.2
公的需要+1.9+0.0+0.1+1.5+0.6+0.5
内需寄与度 *+0.6+1.0+0.8+1.1+0.4+0.2
外需寄与度 *▲0.9+0.7▲0.7+0.1▲0.1▲0.1
輸出▲5.8+7.8▲3.6+3.4+1.2+1.2
輸入+0.0+3.4+1.0+2.2+1.6+1.6
国内総所得(GDI)▲0.7+1.5+0.0+1.1+0.3+0.2
名目GDP▲1.3+1.6▲0.3+1.3▲0.1▲0.3
雇用者報酬+0.1▲0.4+0.6▲0.3▲0.0+0.0
GDPデフレータ▲2.4▲2.1▲1.8▲1.3▲1.1▲0.9
内需デフレータ▲1.1▲0.7▲0.5▲0.4▲0.7▲0.6

さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4-6月期2次QEの最新データでは、前期比成長率が1-3月期から大きく縮小するとともに、灰色の在庫と黒の外需がマイナスの寄与を示しているのが見て取れます。

GDP需要項目別寄与度の推移

2次QEですから、1次QEと傾向はほぼ変わりありません。その意味で、1か月経過して「過去の数字」の程度が増し、むしろ、先行きが気にかかるところです。一般的なエコノミストの回答とすれば、先行きは上げ要因の復興需要と下げ要因の海外要因の綱引きになります。どうも、後者に分がありそうです。すなわち、7月18日付けのエントリー「最近読んだ新書版の経済書から」で取り上げた原田泰『震災復興欺瞞の構図』(新潮新書) で示されているように、震災復興予算はかなり大きな水増しがなされていて、予算消化も進んでおらず、実際の事業量は予定されている額を下回る可能性が強い一方で、欧州経済はこの先本格的な景気後退期に入る可能性が否定できません。さらに、米国経済も雇用統計を見る限りでは力強い回復とはいえそうにありません。為替レートも一向に円高是正が進みそうに見えません。米国で量的緩和第3弾 QE3 が始まったりしたら、さらに円高が進む可能性すらあり、加えて、政府と日銀は金融政策ではなく非常に原始的な為替介入で円高に対応しようとしていて、政策当局の政策割当てに不安を感じます。

財別消費の伸び率の推移

国内経済も復興需要はまだしも、消費の先行きには少し不安が残ります。上のグラフはGDPベースの財別実質消費の前期比伸び率をプロットしていますが、震災を経て、ここ4四半期は耐久財が消費を牽引していることが読み取れます。すなわち、家電エコポイントは早々に終わったにしても、エコカー補助金による自動車が一定の役割を果たし、その意味では政策効果があったといえますが、このエコカー補助金もこのところ完全に息切れし、今年度後半からは自動車にもテレビと似通った需要の先食いの反動が生じる可能性があります。テレビを主軸とする家電業界の状況は、シャープなどの報道で広く知られたところですが、これに自動車業界が同じような落ち込みを示すようになれば、企業部門から景気後退に陥りかねません。特定の財に補助金をつける政策の限界ですから、安定的な雇用を広く増やして消費を喚起する政策を模索すべきであることは言うまでもありません。
ただし、足元から目先の今年後半くらい、我が国経済はやや弱含みで推移するとしても、私を含めた多くのエコノミストは一時的な踊り場であって、可能性はゼロではないものの、我が国経済がそのまま景気後退に陥るとは考えていません。消費をはじめとして国内需要は底堅くてまだ高い水準にありますし、欧州はともかく米国や中国なども遅かれ早かれ回復に向かうと見られることから、やや他力本願ながら日本経済も輸出を起点に再び回復ピッチを速める可能性が十分あると受け止めています。繰返しになりますが、消費喚起のためにも安定した雇用の増加が必要です。

景気ウォッチャーと消費者態度指数の推移

2次QEを離れて、今日の午後には、同じく内閣府から8月の消費者態度指数景気ウォッチャーも公表されています。マインドを代表する指標ですが、需要サイドの消費者態度指数が前月比で改善したのに対して、供給サイドの景気ウォッチャーは悪化しました。ただし、どちらも雇用関連は改善しています。今後に期待しています。

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