商業販売統計から消費と景気を占う!
本日、経済産業省から9月の商業販売統計が発表されました。純粋なサービスを別にして商品の消費に相当する小売販売について、季節調整していない原系列で見ると前年同月比で0.4%増の10兆6150億円でしたが、季節調整済みの指数では前月比▲3.6%減でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
9月の小売業販売、2カ月連続プラス 残暑で夏物好調続く
経済産業省が29日に発表した9月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は10兆6150億円と前年同月に比べて0.4%増えた。増加は2カ月連続。残暑が厳しかったため、飲食料品や日焼け止め、衣料品など夏物商材の販売が好調に推移し全体を下支えした。
ただ、エコカー補助金終了に伴い自動車小売業が1.6%減と12カ月ぶりにマイナスに転じた。機械器具小売業もテレビや録画再生機の販売不振が続き、1.5%減と14カ月連続マイナスだった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は0.1%減の1兆4707億円で、既存店ベースは1.0%減と6カ月連続のマイナス。うち百貨店はほぼ横ばい、スーパーは1.5%減だった。秋物衣料が不調だったほか、中旬の3連休や月末の土日に台風が直撃し客足が伸びなかったことが影響した。
経産省は日中関係悪化の影響について「百貨店の免税品販売が一部で減っており、10月はもう少し影響が出てくる」とみている。
コンビニエンスストアの販売額は2.7%増の7975億円。総菜類が好調だった。一方、既存店ベースはイベントチケット販売などサービス売上高が減少し、1.7%減と4カ月連続のマイナスだった。
次に、いつものグラフは以下の通りです。いずれも卸売販売と小売販売の推移なんですが、上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比を、下は2005年=100となる季節調整指数を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。
9月の小売販売は前年同月比ではかろうじてプラスでしたが、季節調整済みの指数では大きな前月比マイナスを記録しました。引用した記事にもある通り、猛暑・残暑による一時的な夏物の売上に伴う消費拡大があったと見られ、8月統計でも同じことを書きましたが、9月統計でも小売販売の増加はあくまで一時的な現象と評価するべきです。消費はまだまだ底堅いと私は考えていますが、エコカー補助金が終了した自動車販売は極めて正直に下降線をたどっていますし、季節調整済みの指数などはグラフに見られるように今年2月を直近のピークにして国内景気の停滞とともに小売売上も減少を続けています。ただし、繰返しになりますが、消費は先行きも底堅い推移を示し、大きく崩れることはないと私は見込んでいます。もっとも、日本版「財政の崖」が来ない、すなわち、赤字公債法案が適切な時期に成立するという前提は不可欠です。
本日の商業販売統計に続いて、明日は生産統計と雇用統計が、明後日は賃金が明らかになる毎月勤労統計が、それぞれ発表されます。ついでながら、明日は日銀から「展望リポート」も明らかにされます。エコノミストの間では景気後退期を過ぎたかどうかで説が分かれていますので、経済指標を見極めたいと思います。
| 固定リンク
コメント