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2012年10月10日 (水)

昨日発表された経常収支と景気ウォッチャー

昨日、財務省から経常収支などの国際収支が、また、内閣府から景気ウォッチャー調査の結果が、それぞれ発表されています。国際収支は8月、景気ウォッチャーは9月の統計です。経常収支は1年半振りに黒字幅が拡大した一方で、景気ウォッチャーの現状判断DIは2か月連続で悪化し、基調判断が下方修正されています。IMF「世界経済見通し」のために遅れましたが、まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

経常収支、1年半ぶり黒字幅拡大 8月4547億円
財務省が9日発表した8月の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は4547億円の黒字となった。黒字額は前年同月比で4.2%増えた。黒字幅の拡大は1年半ぶりで、東日本大震災以降では初めて。
歴史的な円高を背景に輸出は依然低調だが、原油価格の下落に伴って輸入額が減少したことで、経常収支は改善した。
貿易収支は6445億円の赤字。赤字幅は前年同月に比べ縮小した。自動車や鉄鋼など欧州・中国向けの輸出が減り、全体の輸出額は5.3%減った。一方、輸入額も原油価格の下落を受けて5.4%減少した。輸入額の減少は2カ月ぶり。
旅行や輸送の動向を示すサービス収支は2225億円の赤字で、赤字幅が広がった。日本への外国人旅行者が回復基調にあることで旅行収支の赤字幅は縮小したが、外国の運送会社に支払う海上輸送運賃が増えた。収支全体を改善させる効果としては限定的だった。
一方、企業が海外投資から受け取る利子・配当などを示す所得収支は2.6%増え、1兆3890億円の黒字となった。
9月の街角景気、基調判断を下方修正 日中関係への懸念相次ぐ
内閣府が9日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は41.2と前月から2.4ポイント低下した。悪化は2カ月連続。厳しい残暑で秋物商戦が不振だったほか、沖縄県・尖閣諸島の国有化を巡る日中関係の悪化を受け、景気への悪影響を懸念する声が目立った。
先行き判断指数は0.1ポイント低下の43.5と5カ月連続で悪化。現状・先行きとも好不況の分かれ目となる50を5カ月連続で下回った。内閣府は基調判断を「このところ弱まっている」へ下方修正した。判断を引き下げるのは3カ月ぶり。前月までの判断は「これまで緩やかに持ち直してきたが、弱い動きがみられる」だった。
現状の指数を構成する家計、企業、雇用の全ての部門で悪化した。家計動向に関しては「天候が不順で、特に残暑が厳しいため秋物の動きが悪く、売り上げがなかなか確保できない」(北陸の衣料品専門店)などの声が多かった。
日中・日韓関係を巡っては「(中国人)観光客が尖閣問題の影響で急に冷え込んでいる」(北海道の商店街)との指摘があった。「韓国への旅行は前年比で半減、中国行きは団体を中心にほぼ中止や延期となっている」(九州の旅行会社)といい、日本人の海外旅行にも変化が出ている。
企業動向でも「中国との物流が悪化している」(東海の輸送業)、雇用の先行きについても「中国へ進出している企業等への影響が出る」(九州の職業安定所)など、影響が広範囲に出ていることがうかがえた。
半面、9月下旬に終了したエコカー補助金については「懸念されたよりは影響は小さいようだ」(内閣府)という。「売れ筋の軽とミニバンがやや好調なことから、下げ幅はいまだ少ない」(東北の乗用車販売店)との指摘があった。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は9月25日から月末まで。

続いて、下のグラフは経常収支の推移です。青い折れ線グラフで経常収支をプロットしてあり、その内訳が棒グラフで示されています。色分けは凡例の通りです。なお、上に引用した記事は季節調整していない原系列の統計について記述している一方で、下のグラフは季節調整済みの系列をプロットしていますので、少し印象が異なるかもしれません。

経常収支の推移

季節調整済みの統計で見た経常収支の動きは、ここ数か月と大きな違いはなく、報道にあるような季節調整していない原系列の動きと印象が異なります。ほぼ一貫して貿易収支は赤字が続いています。逆に、投資収益収支は大きな黒字を記録し続けていますが、全部ではないとしても一部に空洞化の結果ともいえますので、どこまで評価すべきかは疑問が残ります。

景気ウォッチャーの推移

景気ウォッチャーの現状判断DIは家計動向、企業動向、雇用の3つの項目から構成されていますが、いずれも悪化しました。特に、企業の悪化が大きくなっており、尖閣諸島や竹島などの領土問題の悪影響が出た形になっています。この結果、統計作成官庁の内閣府は先月の基調判断「景気は、これまで緩やかに持ち直してきたが、弱い動きがみられる」から今月は「景気は、このところ弱まっている」と下方修正しました。取りあえず、景気ウォッチャーに現れているのは旅行や観光の動向なんですが、製造業にも波及する可能性はかなり大きく、欧州のソブリン危機や米国の財政の崖とともに、先行きの懸念材料がまたひとつ増えたと受け止めています。

昨日発表された経済指標に関するエントリーで、しかも、長々とメディアの報道を引用して、気の抜けた記事になってしまいました。

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