消費者物価は基調変わらずデフレが続く!
本日、総務省統計局から消費者物価指数が発表されました。9月の全国と10月の東京都区部です。生鮮食品を除く総合のコアCPIで見て、全国が▲0.1%、東京で▲0.4%のそれぞれ下落でした。デフレが続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
消費者物価、5カ月連続下落 9月は0.1%
デフレ基調変わらず
総務省が26日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで99.8となり、前年同月比で0.1%下落した。下落は5カ月連続。マイナス幅は前月より0.2ポイント縮まったものの、電気代の値上げやガソリン高が影響している。テレビなど耐久消費財は大幅な下落が続いており、デフレ基調は変わっていない。
日銀は30日に開く金融政策決定会合で14年度にもCPI上昇率が1%に届かないとの見通しを示すとともに、追加金融緩和に踏み切る見通し。9月のCPIは物価の上昇基調が見通しにくい現状を再確認した形で、デフレ脱却の道筋はなお不透明だ。
9月はテレビが4.7%、プリンターが46.1%それぞれ下落し、教養娯楽用の耐久財全体でみると9.9%のマイナスだった。耐久消費財のほか外国パック旅行が11.6%下落するなど、幅広い品目でマイナスが続いている。
電気代は東京電力の値上げを反映して7.3%上昇し、ガソリンも1.8%上昇と5カ月ぶりにプラスになった。物価動向の基調をみるために食料とエネルギーを除いたベースでみると、前年同月比0.6%の下落で、マイナス幅は前月から0.1ポイント拡大した。
このほか生鮮食品は前年同月比で6.0%下落した。マイナス幅は前月から2.0ポイント拡大した。レタスやキャベツ、キュウリが値下がりしている。生鮮食品も含めた総合でCPIをみると0.3%のマイナスで、前月から下落幅を0.1ポイント縮めた。
全国分の先行指標となる東京都区部の10月のCPI(中間速報値)は、生鮮食品を除く総合指数が99.3となり、前年同月に比べて0.4%下がった。マイナス幅は前月から横ばいで、物価の基調は10月も変わっていない。前月と比べるとガソリンの上昇幅が拡大した一方、電気代が値下がりした。
いつもの消費者物価上昇率の推移のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが全国のコアCPI上昇率を、赤が全国の食料とエネルギーを除くコアコアCPIを、グレーが東京都区部のコアCPIをそれぞれプロットしており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率の寄与度を示しています。色分けは凡例の通りです。
ここ数か月変わり映えなく、消費者物価(CPI)はデフレが相変わらず続いています。また、先月も書いた通り、エネルギー価格にけん引される物価変動であり、金融政策よりも商品市況の影響を強く受ける形になっています。逆にいえば、金融政策は何もしていないに等しい効果しか及ぼしていないとも考えられます。金融政策から物価へのトランスミッションのチャンネルが切れているのか、金融政策の変更幅が小さいのか、いずれかではなかろうかと考えるのが普通でしょう。
ですから、我が国の消費者物価の先行きは金融政策ではなく、商品市況を占うことになります。さらに、商品市況は原油価格をはじめとして、新興国、中でも中国の景気動向に大きく左右されます。資源多消費型の経済構造をしているからです。足元では、9月に上昇した原油価格も10月には再び下げており、なかなかに複雑なランダム・ウォークを示していますが、少なくとも、中国経済については政府の景気対策もあって今年の春先から年央にかけて底を打ったと、多くのエコノミストの間でコンセンサスがあります。繰返しになりますが、短期的には複雑なランダム・ウォークをたどりながら、原油価格などの商品市況は新興国経済の持直しとともに上昇する可能性が高いと考えるべきです。要するに、目先はデフレが続く可能性が高いものの、日本の消費者物価は新興国経済の回復とともにゆっくりと上昇ないしマイナス幅を縮小させる方向に動くと私は見込んでいます。同時に、新興国経済が回復すれば日本経済も輸出の拡大を通じて現在の停滞局面を脱する可能性が強く、かなり先のお話ながら消費者物価の上昇ないしマイナス幅縮小が新興国経済の復活を通じた商品市況に起因するものか、日本経済の回復に基づくデフレ・ギャップの縮小に起因するのか、しっかりとした分析が必要になると私は考えています。その際に、金融政策当局たる中央銀行が何らかのポジション・トークに基づく政策判断を下さないように注意すべきであるとも言えなくもありません。
来週に示される日銀の景気見通しは全般的に下方修正され、CPI上昇率が+1%に達するのは今年4月時点の見通しの2014年年央から1-1.5年後ズレし、2015年年央から年末くらいの大勢予想が示される可能性が高いと私は考えています。先月にも書きましたが、いずれはエネルギー価格にけん引された消費者物価の上昇が始まります。その際の政策対応に誤りなきを期すこともエコノミストの重要な役割のひとつと私は考えています。
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