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2012年11月12日 (月)

7-9月期GDP速報1次QEに見るマイナス成長はいつまで続くか?

本日、内閣府から7-9月期のGDP統計1次QEが発表されました。季節調整済みの系列で前期比成長率が▲0.9%、前期比年率で▲3.5%のマイナス成長を記録しました。ほぼ市場の事前コンセンサスにミートしました。復興需要に支えられた公共投資は増加したものの、消費、設備投資、外需などが軒並み減少しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

7-9月実質GDP、実質3.5%減 内外需ともマイナス
内閣府が12日発表した2012年7-9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%減、年率換算で3.5%減となった。マイナス成長は3四半期ぶり。海外経済の減速で輸出が細り、エコカー補助金の終了で内需も弱まった。景気がすでに後退局面に入ったとの見方を一段と強める結果となった。
マイナス成長の主因となったのは外需の落ち込みで、成長率を0.7ポイント押し下げた。これまで景気を支えてきた内需も0.2ポイントの低下要因となり、東日本大震災が起きた11年1-3月期以来で初めて内外需ともにマイナスとなった。
全体の成長率は市場予想(年率マイナス3.6%)とほぼ同じで、マイナス幅は11年1-3月期(年率マイナス8.0%)以来の大きさ。より生活実感に近い名目成長率はマイナス0.9%(年率3.6%減)だった。GDPは季節要因を除いた数値を過去にさかのぼって算出するため、昨年10-12月期が今回の改定でマイナス成長に転じた。
実質成長率の主要項目をみると、個人消費は0.5%減と2四半期連続のマイナスで、11年1-3月期以来の大きなマイナス幅となった。自動車販売を支えてきたエコカー補助金が9月21日に終了し、耐久財を中心に冷え込んだ。電気・ガスなどの光熱費を含む非耐久財も節電などの影響で2四半期連続で減った。
景気の先行き不透明感が強まり、企業の設備投資は3.2%減と2四半期ぶりのマイナス。マイナス幅は08年のリーマン・ショックの影響がまだ残っていた09年4-6月期以来の大きさとなった。
輸出は5.0%減と3四半期ぶりのマイナス。米国や欧州、アジアと主要地域向けがすべて減少した。輸入も0.3%減と5四半期ぶりに減少した。原油や天然ガスが減り、内閣府は「国内生産が弱含みで推移して燃料輸入が減った」と分析している。
堅調さを保っているのは復興需要だ。公共投資は東北を中心に4.0%増と3四半期連続でプラスだった。政府支出も少子高齢化に伴う医療費や介護費などの拡大で0.3%増と10四半期連続で増加。これらの公的需要は成長率を0.3ポイント押し上げた。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比0.7%のマイナス。季節調整値の前期比はマイナス0.02%。マイナス幅は4-6月期から縮小した。ただこれはGDPから除外される輸入品で特に原油価格の下落が顕著だったためで、緩やかなデフレ基調は変わっていない。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2011
7-9
2011
10-12
2012
1-3
2012
4-6
2012
7-9
国内総生産GDP+2.3▲0.3+1.3+0.1▲0.9
民間消費+1.6+0.5+1.2▲0.1▲0.5
民間住宅+4.2▲0.1▲1.1+1.5+0.9
民間設備+1.3+5.0▲1.9+0.9▲3.2
民間在庫 *+0.3▲0.4+0.3▲0.2+0.2
公的需要▲0.1+0.1+1.6+0.9+1.1
内需寄与度 *+1.5+0.5+1.1+0.2▲0.2
外需寄与度 *+0.8▲0.8+0.1▲0.1▲0.7
輸出+8.8▲4.3+3.3+1.3▲5.0
輸入+3.6+0.9+2.2+1.8▲0.3
国内総所得GDI+2.1▲0.3+1.0+0.1▲0.5
国民総所得GNI+1.9▲0.3+0.9+0.3▲0.5
名目GDP+2.1▲0.6+1.4▲0.3▲0.9
雇用者報酬▲0.4+0.7▲0.3+0.1+0.4
GDPデフレータ▲2.1▲1.8▲1.3▲0.9▲0.7
内需デフレータ▲0.7▲0.5▲0.4▲0.6▲0.8

さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7-9月期の最新データでは、前期比成長率がマイナスであるとともに、それに寄与しているのが黒の外需と赤の消費と水色の設備投資であり、逆にプラスで経済を下支えしているのが黄色の公的需要であるのが見て取れます。

GDP前期比成長率と需要項目別寄与度の推移

先週11月7日の1次QE予想のエントリーで考えた通り、ほぼ私の予想と同じ前期比年率▲3%台半ばのマイナス成長となりました。季節調整済みの前期比成長率▲0.9%のうち、内需寄与度が▲0.2%、外需が▲0.7%ですが、内需には後ろ向きの在庫積上りが+0.2%含まれます。それでも、外需が主として成長の足を引っ張った形であることは変わりありません。もっとも、内需の中心である消費と設備投資はマイナスで、内需の中でも復興需要の公的需要が下支えしている姿となっています。要するに、景気後退局面にあることが確認された内容と受け止めています。
現在進行中の10-12月期については、世界経済が緩やかに持ち直しつつある中で我が国の輸出の増加が望める一方、消費や設備投資の復調はにわかには実現せず、前期比年率で▲1%くらいのマイナス成長が続くと私は想定しています。さらに、米国が財政の崖を回避し、中国が国境問題を先鋭化させないという大甘な前提が満たされるとすれば、来年1-3月期にはプラス成長に転じて、現下の景気後退局面からの脱却が展望できると私は考えています。
政策対応として、現在の景気後退局面やこの7-9月期のマイナス成長を見て、2014年度からの消費税率引上げを危ぶむ見方が一部のエコノミストやメディアなどから表明されています。私の見方からすれば、消費税率の引上げ見送りはまったく非現実的であり、3党合意の下でこの問題だけは大連立を組んだ形になっているわけですから、この程度の成長率の低下では消費税率引上げは何の問題もなく実行されると予想しています。

最後に、今回の景気後退局面入りは私にはかなり認定が難しかったです。単にエコノミストとしての力量が落ちている可能性が高いんですが、東京スカイツリーや渋谷ヒカリエや新宿ビックロなどの開業、10月のIMF・世銀総会の開催、果てはジャイアンツの優勝に至るまで、東京の景況感が全国平均に比べて特異に高くなっている可能性があります。地方の景況感はどうなんでしょうか。

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