今冬の年末ボーナスやいかに?
先週半ばに最後のみずほ総研がリポートを出して、シンクタンクから冬季ボーナス予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングについては国家公務員を取っています。
機関名 | 民間企業 (伸び率) | 公務員 (伸び率) | ヘッドライン |
日本総研 | 37.0万円 (▲0.7%) | 56.3万円 (▲8.7%) | 背景には、2012年度上期の企業収益の低迷。エコカー補助金効果や復興需要が下支えとなったものの、円高の長期化や海外景気の減速を背景として輸出が弱含み、製造業を中心に収益が悪化。また賞与額のベースとなる所定内給与も減少傾向が続いており、一人当たり賞与額の下押し要因となる見込み。 |
みずほ総研 | 36.6万円 (▲1.7%) | 70.3万円 (▲0.9%) | ボーナス査定の基礎となる所定内給与も前年割れが予想される。足元の所定内給与は建設業や個人消費関連の業種を中心に非製造業が底堅い動きとなっているものの、輸出の低迷などを受けて製造業が弱含んでいる。また、雇用構成の変化(相対的に賃金が低い飲食・宿泊業や医療・福祉のパート労働者の増加)も、引き続きマクロベースの賃金押し下げ要因となっている。 |
第一生命経済研 | 36.7万円 (▲1.5%) | n.a. (▲8.4%) | 2012年冬のボーナスも減少が予想される。ボーナスの交渉は、春闘時にその年の年間賞与を決定する夏冬型、秋にその年の冬と翌年の夏の賞与を決定する冬夏型、賞与の度に交渉を行う毎期型などがあるが、大企業では夏冬型が最も多い。既に12年の春闘において、自動車など主要企業のボーナスは、悪化した11年度の業績を反映する形で軒並み前年水準を下回る形で妥結されているため、大企業では冬のボーナスも削減されるだろう。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 36.7万円 (▲1.6%) | 56.3万円 (▲8.8%) | 2012年冬のボーナスは4年連続で減少し、過去最低水準をさらに更新すると見込まれる。ボーナス算定のベースとなる所定内給与の低迷が続いている上、ボーナスに反映されるであろう2012年度上期の経常利益は製造業を中心に伸び悩んだ可能性が高い。 |
あくまで一例ですが、上の4機関の冬季ボーナス予想のうち、最後の三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートから冬季ボーナスの推移をプロットしたグラフを引用すると以下の通りです。リポートの p.6/8 図表5. 冬のボーナス予測: 平均支給額(前年比)と支給月数を引用しています。もちろん、グラフ右端の「予測」は三菱UFJリサーチ&コンサルティングによるものです。

ということで、民間企業ボーナスの1人当たりの支給額については、企業収益の状況から昨年よりも減少するのはほぼコンセンサスのようです。賞与の統計については、1990年というバブル経済の最末期から統計が始まっており、統計が比較可能な範囲で最低の年末ボーナスとなるのかもしれません。公務員ボーナスについては、震災復興費用捻出のための「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」に基づく9.77%の減額措置により、大幅に前年から減少するものの、引き続き、民間企業と比べて高い水準にあります。なお、いつものお断りですが、みずほ総研の公務員ボーナスだけはなぜか全職員ベースなのに対して、ほかは組合員ベースの予想ですので、数字が大きく違っています。注意が必要です。
支給総額については、1人当たり支給額に支給対象人数を乗じて算出されるわけですが、上に取り上げたシンクタンクにより意見が分かれました。雇用者数の増加に伴う支給対象者が増加するのは各シンクタンクとも共通なんですが、支給者増が1人当たり支給額の減少を上回るかどうかで、日本総研は支給者増の効果が大きく支給総額は前年より増えると予想したのに対して、他のシンクタンクは1人当たり支給額の減少率が支給者の増加率を上回り、支給額は減少すると見込みました。従って、後者の支給総額減の方が多数派なんですが、そうだとすれば消費にマイナスの影響を及ぼしかねないのは明らかです。
私のような国家公務員は、そもそも赤字国債法案が成立しないと年末ボーナスが支払われないリスクもありました。額は大きく減るものの、何とかボーナスが出ることになって安心しております。
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