岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿』(宝島文庫) を読む
岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿』(宝島文庫) を読みました。上の画像に見る通り、『ビブリア古書堂の事件手帖』の2番煎じというか、2匹目のドジョウを狙った本であることは明らかです。もっとも、出版社は異なっています。まず、その出版社のサイトから本書の紹介文を引用すると以下の通りです。
珈琲店タレーランの事件簿
女性バリスタの趣味は――謎解き!理想の珈琲を追い求める青年が、京都の一角にある珈琲店「タレーラン」で、のっぴきならない状況に巻き込まれて……。魅惑的な女性バリスタが解き明かす日常の謎の数々。第10回『このミステリーがすごい!』大賞最終候補作に、全面的に手を入れて生まれ変わった、編集部推薦の「隠し玉」。
ハッキリいって、読み始めた当初、まったく面白くも何ともありませんでした。後の方は少しマシになった程度で、基本的に製本して売り出す内容ではなく、最初は同人誌のレベルと考えて読み始めたほうがいいです。でも、段々と面白くなることは確かで、すべてがすべて「同人誌」とはいいません。ただし、最後の終わり方は評価が分かれそうです。ついでながら、我が家ではおにいちゃんが私より先に読み終えたんですが、渡した時に栞を挟んでおいたにもかかわらず、栞は使わなかったというので理由を尋ねると「一気読みした」と答えたので、重ねて、そんなに面白かったのかと尋ねると、否定的な回答が返って来ました。分かる気がします。私は『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズは3作目まで読みましたが、少なくともミステリとしては格段に落ちます。珈琲店の女性バリスタがミルでコーヒー豆を挽きながら謎解きをするんですが、あとがきにもある通り、ミステリとしては詰めが甘い気がします。
作者は我が母校の京都大学の後輩ということで、私がよく読むところでは、貴志祐介、綾辻行人、法月綸太郎、平野啓一郎、万城目学、といったラインかもしれません。珈琲店タレーランは京都にあるということで、コーヒーと京都に関する蘊蓄が傾けられています。しかし、私はコーヒーの本場の南米やインドネシアにそれぞれ3年も駐在しながらコーヒーはまったく飲まなかったくらいですから、特にコーヒーには興味なく、大学を卒業するまで京都に暮らしていましたので、あるいは、ひょっとしたら、作者よりも詳しく知っている京都がありそうな気もしますので、いずれの蘊蓄話にも関心はしませんでした。ただし、私の場合は特殊な例外ですので、それなりにコーヒーが好きで、京都へは旅行だけという大多数の日本人には受けそうな蘊蓄話があるような気がします。ただし、登場人物の命名はセンス悪いと多くに日本人が感じるのではないかと受け止めています。
文庫本で安価だったとはいえ、買ったのはやや失敗だったかもしれないと反省しています。私独自の分類では買う本ではなく、明らかに借りる本です。
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