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2012年11月29日 (木)

商業販売統計に見る政策効果に翻弄される消費

本日、経済産業省から10月の商業販売統計が発表されました。季節調整していない原系列の小売業販売額は前年同月比で▲1.2%減の10兆8710億円となり、季節調整済みの指数では前月比+0.7%増を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の小売業販売額、3カ月ぶり減少 エコカー補助金終了響く経済産業省が29日に発表した10月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は10兆8710億円で前年同月に比べ1.2%減った。マイナスは3カ月ぶり。エコカー補助金の終了で自動車販売が落ち込んだほか、テレビの販売不振が続いたことが大きな要因だった。
自動車小売業は3.5%減で2カ月連続の減少。テレビなどの機械器具小売業は5.8%減で、15カ月連続のマイナスだった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は2.4%減の1兆5676億円、既存店ベースは3.2%減で7カ月連続のマイナス。うち百貨店は2.2%減、スーパーは3.7%減だった。中旬まで気温が高めに推移したことで秋物衣料が振るわなかったほか、野菜の価格下落や昨年に比べて土日が2日少なかったことが影響した。
コンビニエンスストアは2.2%増の8057億円。ファストフードの販売が好調だった。一方、既存店ベースは来店客が伸び悩み2.0%減と5カ月連続のマイナスだった。

次に、いつものグラフは以下の通りです。いずれも卸売販売と小売販売の推移なんですが、上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比を、下は2005年=100となる季節調整指数を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。なお、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月であったと仮置きしています。

商業販売統計の推移

上のグラフで、季節調整していない原系列の前年同月比の上のパネルでも、季節調整済みの系列をプロットした下のパネルでも、かなり明瞭に今年3月をピークとする景気後退局面を示していると受け止めています。10月の統計を見ると、家電エコポイントと地デジ切換えを終えたテレビを含む機械器具小売業がマイナスとなっているほか、エコカー補助金が終了した自動車小売業もマイナスとなっています。ただし、自動車については、自販連の統計では10月は販売台数ベースで前年同月比2桁マイナスを記録した一方で、商業販売統計では▲3.5%減にとどまっており、ハイブリッド車などの単価の高い自動車が売れている可能性が示唆されています。いずれにせよ、消費を喚起するとの名目で、特定の業界に対する隠れた補助金の役割を果たしたものの、家電エコポイントやエコカー補助金が景気の振幅を大きくした可能性があると考えるべきです。従来からの私の主張ですが、期間を区切った特定の財への補助金ではなく、消費の喚起のためには雇用の改善がもっとも重視されるべきです。なお、先行きについて考えると、このブログでも11月14日付けのエントリーで取り上げた通り、年末ボーナスが減少する可能性が高いことから、今後の消費に明るい展望は描けません。

2012年ヒット商品番付

消費に大いに関係する点ですが、昨日、SMBCコンサルティングから2012年ヒット商品番付が発表されています。上の通りです。東京スカイツリーや東京駅などが上位に名を連ねており、何度かこのブログで主張しましたが、東京近辺の景況感を押し上げるようなヒット商品が目につきます。やや東京と地方の景況感に差を生じている可能性を危惧しています。

最後に、国立社会保障・人口問題研究所から平成22年度の「社会保障費用統計」が発表されています。社会保障費が100兆円を突破したとの報道を見受けました。明日は政府統計の集中発表日ですし、中身をよくチェックした上で、可能であれば、来週にでも日を改めて取り上げたいと思います。

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