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2013年2月14日 (木)

10-12月期1次QEから見た我が国景気の底やいかに?

本日、内閣府から昨年2012年10-12月期のGDP速報、エコノミストの業界でいうところの1次QEが発表されました。わずかながらプラス成長との大方の予想を裏切って、3四半期連続のマイナス成長を記録し、季節調整済みの系列で▲0.1%減、前期比年率では▲0.4%減となりました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を、いつもの日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

10-12月の実質GDP、3期連続マイナス 年率0.4%減
内閣府が14日発表した2012年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%減、年率換算では0.4%減だった。マイナスは3四半期連続。海外景気の低迷で輸出が落ち込み、設備投資が低迷するなど企業活動の停滞が響いた。個人消費や住宅投資、公共投資は好調だったが補えなかった。
QUICKが13日時点で集計した民間予測の中央値は前期比0.1%増、年率0.5%増だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.4%減、年率では1.8%減だった。名目でも3四半期連続のマイナスだった。
実質GDPの内訳は内需が0.1%分押し上げたものの、外需は0.2%分のマイナスだった。欧州の景気低迷や尖閣諸島を巡る日中対立の影響があったとみられ、輸出は3.7%減。輸入は2.3%減だった。
項目別を見ると、設備投資が2.6%減と落ち込んだ。7-9月期から落ち込み幅は縮小したが、4四半期連続のマイナスだった。中国向けの輸出が落ち込み、製造業の設備投資に響いたとみられる。海外の景気回復に時間がかかっていることも企業の慎重姿勢につながったようだ。
半面、個人消費が伸び0.4%増と2四半期ぶりにプラスに転じた。エコカー補助金の終了に伴う自動車需要の落ち込みが響いたが、気温低下で冬物衣料のような季節性の高い商品の販売が伸びた。住宅投資は3.5%増。住宅を新築・改修すると商品などと交換できる住宅エコポイントが10月着工分まで対象だったことが押し上げ、7-9月期からプラス幅を拡大した。
公共投資は1.5%増。民間在庫の寄与度は0.2%のマイナスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.6%。13四半期連続で前年を下回った。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.7%下落だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2011
10-12
2012
1-3
2012
4-6
2012
7-9
2012
10-12
国内総生産GDP+0.2+1.5▲0.2▲1.0▲0.1
民間消費+0.5+1.2+0.01▲0.5+0.4
民間住宅▲0.9▲1.7+2.2+1.6+3.5
民間設備+8.6▲2.6▲0.2▲3.6▲2.6
民間在庫 *▲0.4+0.4▲0.4+0.3▲0.2
公的需要▲0.3+2.6+1.5+0.8+0.7
内需寄与度 *+0.9+1.3+0.0▲0.3+0.1
外需寄与度 *+0.8▲0.8+0.1▲0.1▲0.7
輸出▲3.1+3.4+0.0▲5.1▲3.7
輸入+1.7+2.1+1.7▲0.5▲2.3
国内総所得GDI+0.1+1.3▲0.1▲0.7▲0.3
国民総所得GNI+1.9▲0.3+0.9+0.3▲0.5
名目GDP+0.1+1.1+0.1▲0.8▲0.2
雇用者報酬+0.5+0.1▲0.2+0.6▲0.5
GDPデフレータ▲1.5▲1.0▲0.9▲0.8▲0.6
内需デフレータ▲0.3▲0.2▲0.7▲0.9▲0.7

さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された10-12月期の最新データでは、前期比成長率がわずかなマイナスであるとともに、マイナスに寄与しているのが黒の外需と水色の設備投資であり、逆にプラスで経済を下支えしているのが赤の消費と黄色の公的需要であるのが見て取れます。

photo

大方のエコノミストの予想に反してマイナス成長を記録した最大の要因は民間在庫です。上の表に見るように、GDP前期比成長率への寄与度で▲0.2%を示しました。恨みごとをいうなら、これがゼロならプラス成長だったわけです。もちろん、在庫調整が進んだことを示しており、今年1-3月期以降の健全な成長、在庫を積み増す方向への変化のための下準備であったと考えるべきであり、マイナス成長だからといって悲観する必要はまったくありません。
もっとも、何の心配もなく2013年明け後はプラス成長に戻るとしても、注意すべきポイントは3点あると私は考えています。第1に家計部門です。上の表にもある通り、雇用者所得がマイナスにもかかわらず消費が増加しており、平均消費性向が上がる形で消費は拡大を続けています。サステイナブルな消費増ではありません。所得のサポートなしに消費の増加が続くハズはありません。第2に企業部門です。10-12月期の段階では設備投資がまだマイナスとなっており、足元で円高修正に伴う製造業の業績改善が非製造業や、さらに家計に及ぶまで、どのくらいのスピードでどこまで波及するか、今後注目される点です。第3に海外部門です。市場関係者の中には今年ではないかもしれないものの、ギリシア政府は遠からず破綻すると見なしているエコノミストも少なくありません。そうなると何が起こるのかは私ごときでは想像もつきません。ギリシアを持ち出すのは少し反則気味かもしれませんが、円高修正に関して政府高官から「高所恐怖症」的な発言が出る可能性もあり、内需に比べても外需は不透明と私は考えています。だたし、ここで取り上げなかった政府部門については、特に足元で懸念はないと私は見込んでいます。

今日は都合で帰宅が遅くなりましたので、大物の経済指標ではありますが、簡単に済ませておきます。今夜の記事のタイトルに対する回答は「10-12月期が景気の底である可能性が高い」ということなんだろうと思います。

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