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2013年2月10日 (日)

「このミス」大賞受賞の安生正『生存者ゼロ』(宝島社) を読む

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安生正『生存者ゼロ』(宝島社) を読みました。宝島社の主催する第11回『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作品です。まず、出版社のサイトから紹介文を引用すると以下の通りです。

北海道沖に浮かぶ石油掘削基地を襲ったのは、
テロ攻撃か、謎の病原菌か、それとも……。
未知の恐怖が日本に襲いかかる!

第11回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作は、壮大なスケールで「未知の恐怖」との闘いを描くパニック・スリラーです。北海道根室半島沖に浮かぶ石油掘削基地で、職員全員が無残な死体となって発見された。陸上自衛官三等陸佐と感染症学者は、政府から被害拡大を阻止するよう命じられるが……。

改めて、「このミス」大賞受賞作の一覧を拝見すると、誠に残念ながら、私が読んだことがあるのは中山七里『さよならドビュッシー』だけだったりします。それはさておき、この『生存者ゼロ』は先に引用した出版社による内容紹介で、「テロか、病原菌か」と振られていますので、テロでも病原菌でもないという結論が丸見えです。テロは早々に却下され、パンデミックもののストーリーに入り、一応、病原菌は大いに関係するんですが、最後に驚愕の真実が明らかにされます。ミステリですから、ネタバレは控えますが、ヒントとして、下の紹介動画の「美しい女性」とは昆虫学者だったりします。
もちろん、この作者のほぼ処女作なわけですから、構成や文章表現もプロットも明かに粗削りで、悪くいえば穴だらけです。特に、感染症学者として登場する冨樫のキャラや役割が飛躍している、というかメチャクチャな気がします。首相をはじめとする政府首脳もステレオ・タイプに描かれており、1人くらいは話の分かる政府関係者がいてもよさそうに思わなでもありません。でも、何よりも、スケールの大きな奇抜さで見るべき点があります。奇抜さがスケール大きいわけです。着眼点が常人とは異なるような気がします。この先が楽しみな作者です。

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