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2013年2月 2日 (土)

米国雇用統計のグラフィックス

昨夜、米国労働省から米国雇用統計が発表されました。1月の統計です。すべて季節調整済の系列で見て、非農業部門雇用者数は前月から+157千人増加した一方で、失業率は0.1%ポイント上昇して7.9%となりました。一応、米国労働省では失業率については "essentially unchanged" と称しています。まず、New York Times のサイトから記事を引用すると最初の4パラは以下の通りです。

Job Growth Steady, but Unemployment Rises to 7.9%
Political gridlock over fiscal policy didn't push the economy off a cliff. But it certainly isn't helping anything, either.
Despite the chaos and uncertainty hovering over tax rates and government budget cuts at the turn of the year, job growth accelerated at the end of 2012 and was even faster than originally estimated, the Labor Department said on Friday. Job growth also continued at a steady if modest pace in January, with employers adding 157,000 payroll positions, though the unemployment rate ticked up to 7.9 percent.
Better readings on construction spending, manufacturing and consumer sentiment released on Friday also allayed fears that had arisen from a sour report on the nation's economic growth earlier in the week.
The upward revisions to job growth, in particular, encouraged traders on Wall Street, sending the Dow Jones industrial average over 14,000 for the first time since 2007.

次に、いつもの米国雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。リーマン・ショックの時の景気後退局面から回復した後、日本と違って米国経済に景気後退は観察されず回復が続いています。

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我が国の消費もかなり底堅いんですが、同様に、米国の雇用も底堅いと私は受け止めています。以前から指摘されている通り、米国の消費は他の先進国に比べて借金に支えられている部分の比率が高く、決してサステイナブルではないと考える向きもあったんですが、これだけ雇用が底堅いと消費もサステイナブルなのかもしれません。ただし、日本式の表現かもしれませんが、米国でも非正規雇用の方が伸びが高いと指摘されており、雇用の質に対する懸念は残ります。
1月29日のエントリーでクイギン教授の『ゾンビ経済学』を取り上げた際に書いた通り、日米の景気循環は拡張期も収縮期も経済主体間の波及の順が逆であり、日本は企業から家計へ景気が波及し、米国は家計から企業に波及します。ですから、日本は pro-business な政策で企業活動をサポートし、米国は減税などで家計を支援する、というのが定番の経済政策になります。いまだに、この景気の波及の順序を考慮する定番の経済政策が、『ゾンビ経済学』で否定されていた「トリクルダウン政策」だとカン違いしている人が経済政策の議論に参加してノイズを発生させているようですので、昨日今日と日米の雇用統計を紹介した機会に、もういちど指摘しておきたいと思います。所得階層間の高所得者から低所得者への「トリクルダウン」ではなく、経済主体間の経済活動や景気の波及 spillover を活用した経済政策は合理的であると考えるべきです。でなければ、pro-business な現在のアベノミクスも、子ども手当の支給などの家計への支援策を柱として家計から企業への波及を期待していた民主党政権のころの経済政策も、何でもかんでも「トリクルダウン」になってしまいます。

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昨夏の2012年7月から連続して非農業部門雇用者数が雇用改善のひとつの目安となる毎月+100千人を超えて増加しているんですが、それでも雇用の本格的な回復には至っていないと受け止められています。上のグラフはマンキュー教授やクルーグマン教授も着目している雇用・人口比率をかなり長期にプロットしていますが、現在の景気回復局面でほとんど上昇していないのが見て取れます。

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最後に、デフレとの関係で私が気にしている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつける可能性は小さそうです。

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