消費者態度指数に見る消費者マインドの急上昇はいかに生じたか?
本日、内閣府から1月の消費者態度指数が発表されました。先日2月8日に発表された景気ウォッチャーが供給サイドのマインド指標であるのに対して、この消費者態度指数は典型的な需要サイドのマインド指標です。1月統計では季節調整済みの系列で前月比+4.1ポイント上昇して43.3となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1月の消費者心理、5カ月ぶり改善 内閣府「持ち直している」
内閣府が12日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は43.3と前月から4.1ポイント上昇した。改善は5カ月ぶり。上昇幅は月次調査を開始した2004年4月以降で最大だった。新政権発足後の円安・株高や緊急経済対策などを受け、雇用環境を中心に消費者の先行きへの期待感が高まった。
内閣府は消費者心理の判断を前月までの「弱い動きがみられる」から「持ち直している」へ上方修正した。判断を引き上げるのは12年1月以来、1年ぶり。内閣府は「今後、先行きに対する期待感が雇用や所得、消費の拡大につながっていくかどうか、みていく必要がある」と指摘した。
1月は指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」のすべてで改善した。円安・株高を背景に企業業績の改善期待が広がった。特に雇用環境は7.6ポイント上昇の44.9と、現行統計で最大の上げ幅だった。政府が1月11日に打ち出した60万人の雇用創出効果を見込む緊急経済対策が影響した。
1年後の物価見通しを巡っては、厳冬による生鮮食料品の価格上昇やガソリン価格の高騰を受け、「上昇する」と答えた割合が3カ月ぶりに増加した。半面、「低下する」の割合は5カ月ぶりに減少し、5.5%と08年10月(4.2%)以来、4年3カ月ぶりの低水準だった。
調査は全国6720世帯が対象。調査基準日は1月15日で、有効回答数は5033世帯(回答率74.9%)だった。
次に、いつもの消費者態度指数のグラフは以下の通りです。毎度のお断りながら、影をつけた部分は景気後退期ですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気の山が2012年3月、谷が2012年11月であったと仮置きしています。
これだけ指数が大きくジャンプしたんですから、統計作成官庁による基調判断が上方修正されたのは当然と受け止めています。上のグラフでもジャンプの大きさが見て取れます。引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」のすべてが改善を示した中で、特に大きな改善は雇用でした。円高修正や株高が企業業績を改善させ、雇用の質と量がポジティブな影響を受け、さらに消費を通じて企業の売り上げ増につながるという波及が期待されています。現政権はかなり強気で、自信があるというのか、雇用の質、すなわち、賃金引上げにまで言及しているようです。経営サイドからは「賞与に反映」とのご回答だったと報じられています。また、2%のインフレ目標とどこまで関係があるのかないのか私には分かりませんが、オピニオン・ポールの結果としては物価期待も上昇しているようです。1年後の物価見通しのうち「上昇する」との回答比率は12月の59.6%から1月には65.3%に跳ね上がりました。この先の消費の動向はいつもの通り所得とマインドに影響を受けると私は考えていますが、アベノミクスの効果もあってマインドはかなり改善しました。所得が賃金上昇という形でさらに上がれば、昨年中も割合と底堅かった消費がさらに順調に回復する可能性が高まると期待しています。
最後に、今日、日本経済研究センターから発表された「ESPフォーキャスト」の結果によれば、昨年2012年3月が景気の山で、12月が谷とするエコノミストが、景気の山を過ぎたと考える36人のうち、いずれもちょうど30人になりました。後は、内閣府の景気動向指数研究会が1年足らずの期間をもって景気後退と考えるか、景気の踊り場と見なすか、興味深いところです。私は踊り場でいいと考えていますが、政権交代を機に景気の山谷をつけるという考え方もあり得ます。微妙なところかもしれません。
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