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2013年2月 1日 (金)

雇用統計から見た日本経済の現状やいかに?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人場k率など、12月の雇用統計が発表されました。このブログでいつも取り上げている範囲で、先行指標の新規求人数と一致指標の有効求人倍率が改善した一方で、遅行指標の失業率は悪化しました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

完全失業率12月4.2%、8カ月ぶり悪化 リストラ響く
有効求人倍率は0.02ポイント上昇の0.82倍

総務省が1日発表した2012年12月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の4.2%で、8カ月ぶりに悪化した。建設業や製造業を中心に就業者数の落ち込みが激しかった。年末にかけて電機メーカーなどでリストラが増えた影響とみられる。総務省は「依然、雇用情勢には厳しさが見られる」と分析している。
12月の就業者数は季節調整値で前月と比べると35万人減で、2カ月連続の減少。建設業や製造業のほか、農業や運輸、小売りなど幅広い分野で減った。医療・福祉は2カ月ぶりに増加に転じ、雇用を下支えした。
完全失業者は7万人増え、278万人となった。非自発的な理由で離職した人は111万人で、前月から15万人増えた。増加幅はリーマン・ショック後の09年6月以来の水準。このうち7割程度がリストラなど勤め先の都合による離職だった。
厚生労働省が同日発表した12月の有効求人倍率(季節調整値)は0.82倍で前月比0.02ポイント上昇した。ただ製造業の新規求人は11.7%減っており、引き続き厳しい状況が続いている。
同時に発表した12年平均の完全失業率は前年比0.3ポイント低下の4.3%で、2年連続で改善した。復興需要で建設業やサービス業で就業者が増えた。有効求人倍率は0.80倍で前年を0.15ポイント上回り、3年連続で改善した。

続いて、失業率、有効求人倍率、新規求人数のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。何度か繰り返していますが、直近の景気の山は2012年3月、谷は2012年11月と仮置きしています。

photo

雇用統計の3指標をざっとながめて、基本的には失業率上昇の原因となっている非自発的離職、すなわち、リストラによる失業者増がもっとも重要な流れだと私は考えていますが、有効求人倍率や新規求人数が改善しているのは、全般的なマクロ景気が上向きであり、景気拡大が始まっているひとつの証拠でもあります。ただし、昨日発表の毎月勤労統計と合わせて見て、単価である賃金が下落している中で量的な雇用が改善しても、質と量をかけ合わせた雇用者所得に対する寄与は小さく、消費に対する効果が限定的と考えるべきです。すなわち、極めて大雑把に考えれば、量的な雇用が拡大すれば雇用の安定からマインドが向上する一方で、賃金が下落すれば所得が減少するため、消費への影響としては一様ではありません。
先進国経済ではペティ・クラークの法則として、第2次産業から第3次産業に付加価値や雇用がシフトすることが広く知られていますが、当然ながら我が国でも同じ傾向が見られ、製造業から小売サービスや医療福祉サービスに雇用がシフトしています。さらに、我が国の場合、近隣のアジア諸国に低所得国が多く、国際競争のために賃金が上昇しにくい傾向もあります。さらに、米国などと違って、正規雇用と非正規雇用の間で賃金などの待遇の差が極めて大きいのも特徴のひとつです。これらの特徴の中で、我が国の労働市場もそろそろ底入れに向かい、量的には今年年央までには拡大を始めると私は見込んでいますが、問題は量的な雇用拡大に賃金の上昇や正規雇用の比率の増加などの質的な改善が伴うかどうかです。アベノミクスによりデフレからの脱却が図られると仮定すれば、デフレ脱却の結果として賃金上昇が実現される可能性は十分あると私は考えていますが、正規雇用と非正規雇用のいずれが増加するかはデフレ脱却との関係は先験的に明らかではありません。何らかの質的な労働市場の政策的な誘導、あるいは、それをを構造改革と呼んでもいいかもしれませんが、そういったミクロ的な政策措置が必要となるのかもしれません。

何度か、このブログでも主張しましたが、私はリベラルなエコノミストであると自任しており、生産要素、特に労働力の遊休は大きなムダだと考えています。その意味で、雇用は決定的に重要です。ILO などが称するところの "decent work" がさらに拡大することを強く願っています。

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