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2013年2月 7日 (木)

機械受注と景気動向指数に見る景気の現状と先行きやいかに?

本日、内閣府から機械受注統計と景気動向指数が発表されました。いずれも12月の統計です。統計のヘッドラインについて見ると、機械受注は船舶と電力を除く民需の受注額は季節調整済みの系列で前月比+2.8%増の7529億円となり、3か月連続の前月比増加となる一方で、景気動向指数のCI一致指数も前月の90.2から92.7に上昇しました。昨年11月の解散以降、急速に景気が改善している雰囲気がよく感じられます。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

12月機械受注、3カ月連続増 内閣府、判断10カ月ぶり上方修正
内閣府が7日発表した2012年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比2.8%増の7529億円だった。プラスは3カ月連続。内閣府は機械受注の判断を前月までの「弱含み基調」から「緩やかな持ち直し」に変え、2012年2月以来10カ月ぶりに上方修正した。
QUICKが6日時点でまとめた民間予測の中央値(0.6%減)に反して増えた。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は3.0%増の2957億円と2カ月連続の増加。海外経済の減速などで不振が続いたが、「下げ止まりの兆しがみえている」(内閣府)という。業種別には造船業から船舶用のエンジンなどの内燃機関や、その他製造業からはボイラーなど火水力原動機の受注が押し上げた。
一方で、船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額は8.0%減の4376億円と5カ月ぶりの減少に転じた。金融・保険業で前月にパソコンなど電子計算機の受注が重なった反動で減少したほか、農林漁業からの農林用機械、運輸・郵便業から鉄道車両といった受注が減った。
毎月の変動が大きい船舶・電力や官公需を含む受注総額は1.6%減の1兆8530億円と2カ月ぶりのマイナスだった。100億円を超える大型案件が前月から少なくなった外需で12.6%減と受注総額を押し下げた。
景気一致指数、9カ月ぶり改善 12月
内閣府が7日発表した昨年12月の景気動向指数(2005年=100、速報値)によると、景気の現状を示す一致指数は92.7となり、前月から2.5ポイント上昇した。改善は9カ月ぶりで、上昇幅は統計を始めた1985年以降で3番目の大きさだった。海外経済の緩やかな持ち直しを背景に企業が増産に転じている。景気が底入れした可能性が濃厚になってきた。
内閣府は一致指数の基調判断を「悪化」のまま前月から据え置いたが、来月発表する1月の一致指数が前月比で上昇すれば「下げ止まり」に変更する見通しだ。専門家の間では昨年4月ごろから始まった景気後退期が昨年11月ごろに終わったとの見方が多い。
昨年12月の一致指数は、構成する10指標のうち8指標が改善した。特に大幅な上昇となったのが投資財の出荷指数で、7カ月ぶりに前月比でプラスとなった。半導体の製造装置など資本財や建設財の出荷が好調だったためだ。鉱工業生産や有効求人倍率も前月から改善しており、一致指数を押し上げた。
数カ月先を示す先行指数も1.4ポイント上昇して93.4となった。プラスは2カ月ぶりで、構成する9指標のうち8指標と幅広く改善した。株価の上昇に加えて、中小企業の売り上げ見通しにも明るさが出ている。新設住宅の着工床面積は2カ月連続でマイナスだった。

次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。次の景気動向指数のグラフに共通して、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。

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まず、コア機械受注について市場の事前コンセンサスは▲1%足らずのマイナスでしたから、これを大きく上回って+2.8%増と3か月連続の増加を記録したのはポジティブなサプライズでした。統計作成官庁である内閣府も基調判断を11月の「全体としては弱含み基調が続いている」から「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に上方改定しています。また、単月では振れの激しい統計ですので10-12月期の四半期統計を見ても、見通しの+5.0%増には及ばなかったものの、実績として+2.0%増と3四半期振りにプラスに転じました。今回公表された1-3月期の見通しでもコア機械受注は+0.8%増とわずかなプラス幅ながら、2期連続での増加を見込んでいます。業種別では、上のグラフの下のパネルを見ても分かるように、非製造業が5か月振りに減少に転じたものの、為替の円高修正が収益改善に寄与する製造業がけん引した形になっています。機械受注は1-2四半期先の設備投資に先行しますが、先行きについても、いっそうの金融緩和を期待して為替の方向感がいい上に、新政権が策定した経済対策でも設備投資支援策がいくつか盛り込まれていることから、設備投資は徐々に回復を示すと私は考えています。当然、その先行指標である機械受注も上向くものと予想しています。

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続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは上の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。CI一致指数が9か月振りにプラスに転じ、DI一致指数も10-11月の10.0から75.0に跳ね上がりました。CI一致際数に基づく景気の基調判断については、3か月後方移動平均の符号が変化するに至っていませんので、引き続き「悪化」で据え置かれています。しかし、CI一致指数が9か月ぶりに前月差でプラスに転じた旨がただし書きされています。すなわち、直近では2012年11月がCI一致指数の谷となっており、CI先行指数はその2月前の2012年9月が谷で、DI一致指数も2012年12月指数が50のラインを下から上に切っていますので、私のこのブログのローカル・ルールのように、2012年11月を景気の谷と仮置きするのも、それなりの根拠が後付けで備わりつつあると喜んでいます。なお、12月のCI一致指数のコンポーネントのうち現時点でプラス寄与が大きいのは、輸送機械を除く投資財出荷、鉱工業生産財出荷、製造業の中小企業出荷、耐久消費財出荷、などとなっています。

今夜のブログで展開し、私も同意しつつある「2012年11月景気の谷」説をもっとも早い時期から主張し始めたエコノミストの1人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中所長ではないかと思うんですが、2月5日付けのリポート「金融緩和批判の根拠を吟味する」がアベノミクスを理解する上でとても参考になります。ハイパーインフレやバブル再来などの根拠のない批判を切って捨て、『アメリカは日本経済の復活を知っている』の著者である浜田教授のいうところの「日銀流理論」のひとつである「日銀は主要国で一番マネーを出している」については、ていねいに統計を引きつつ、明確に、「残念ながら正しくない」と結論しています。最後の最後に、誠についでながら、同じくシンクタンクのリポートということで、ニッセイ基礎研から「日本の財政は持続可能か」と題するリポートが発表されています。毎年この時期になると内閣府から「経済財政の中長期試算」が公表されていたんですが、今年はまだです。だからというわけでもないんでしょうが、民間シンクタンクが財政の長期見通しを試算しており、妥当なシミュレーション結果だと私は受け止めています。シルバー民主主義に抗して社会保障費の伸びを抑えないことには、いくら消費税率を引き上げても財政はバランスしません。

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