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2013年2月18日 (月)

インドネシアの投資環境に関するみずほ総研のリポートを読みジャカルタ生活を思い出す

先週の2月14日にみずほ総研から「ユドヨノ政権下でインドネシアの投資環境は改善したのか」と題するリポートが発表されています。我が家は一家4人そろってジャカルタに3年間暮らしましたので、平均的な日本人よりもインドネシアは興味ある国ではないかと思っています。まず、リポートからサマリーを引用すると以下の通りです。

ユドヨノ政権下でインドネシアの投資環境は改善したのか
・2014年に任期を終えるユドヨノ大統領は、2004年の就任以来、直接投資に対する大きな障害となっていた法制度やインフラの問題の解消に向けて様々な分野での取り組みを進めてきた
・この取り組みの結果、いくつか課題は残るものの、インドネシアの投資環境に対する日系企業の評価は概ね改善している
・ただし、ユドヨノ大統領の求心力が低下する中、国内産業の保護を目的とした規制強化の動きも目立っている。こうした内向きの政策運営が政権交代後も続くのか注視する必要があろう

ということで、大雑把にインドネシアの投資環境改善に対して好意的なリポートなんですが、まず、リポートの最初のページから対内直接投資の推移に関するグラフを引用すると以下の通りです。

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インドネシアへの直接投資は、ユドヨノ大統領就任の2004年ころから急速に増加を示し、再選された2009年以降にさらに大きく増加しています。アジアでもかつての日韓の経済開発パターンは、外資を排除しつつ国内資本を中心に会社を立ち上げて、技術だけライセンスの形で国内に導入するというモデルでしたが、1990年代以降の中国やASEAN諸国の開発モデルでは、積極的な外資導入がひとつの特徴となっています。資本として外資を導入し、工学的な技術だけでなく経営的な技術、と言うか、一般にはマネジメントやノウハウと呼ばれているものも同時に取り入れるモデルです。そのためには、直接投資が大きな役割を果すことはいうまでもありません。ですから、直接投資を呼び込んで経済開発のひとつの大きな原動力とするために投資環境の整備が求められているわけです。UNCTADの統計で見る限り、ユドヨノ大統領就任後のインドネシアはそれに成功しつつあるように見えます。

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次に、リポートの p.4 から引用した投資環境上の問題点のグラフは上の通りです。JETROが日系企業に対して2004年と2011年に実施したアンケート調査結果です。インフラ整備以外は2004年のユドヨノ大統領就任後に改善しているのが見て取れます。インフラについても、経済活動との見合いでの整備状況ですから、それなりにインフラ整備が進んでいる一方で、経済活動に追いついていないというのが実態ではないかと受け止めています。ただ、インドネシアはアジアの国らしく伝統的に汚職が蔓延しているんですが、政策運営や行政手続きがずいぶんと問題視されなくなったのはご同慶の至りかもしれません。もっとも、物理的なインフラだけでなく、労働法制を含む法制度などのソフトなインフラの整備は今後の課題かもしれません。

我が家がジャカルタから帰国して10年がたち、インドネシアも大きく発展を遂げていることと思います。我が家が暮らしていたジャカルタは電力供給に不安があって停電が多かったり、地下鉄やモノレールなどの鉄道網の整備がほとんどなされていなかったりと、企業活動だけでなく現地生活の面でも不便が多かった記憶があります。でも、抜群の親日国でもあり、私も今後の発展に期待を寄せています。

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