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2013年2月27日 (水)

商業販売統計により消費の底堅さと景気局面の変化を確認する!

本日、経済産業省から1月の商業販売統計が発表されました。統計のヘッドラインとなる小売業販売額の前年同月比は▲1.1%減となりましたが、季節調整済みの指数は前月比+2.3%の増加を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月小売販売額、3カ月ぶりマイナス エコカー補助金の反動で
経済産業省が27日発表した1月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆2070億円で前年同月に比べ1.1%減少した。マイナスは3カ月ぶり。前年にエコカー補助金の効果で自動車販売が大きく伸びた反動が出たうえ、大雪などで商業施設への客足が鈍ったことが影響した。
自動車小売業は10.8%減で、5カ月連続の減少だった。機械器具小売業はテレビや録画再生機の販売不振や価格下落で、6.0%減と18カ月連続のマイナスだった。織物・衣服・身の回り品小売業は0.3%減。昨年末に気温が低く推移し、冬物衣料販売が前倒しになったことが響いた。
一方、燃料小売業はガソリンなど石油製品価格の上昇で4.7%増。医薬品・化粧品小売業は乾燥対策商品が伸び、1.9%増だった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は2.9%減の1兆6878億円、既存店ベースは3.5%減で、共に3カ月ぶりのマイナスだった。このうち百貨店は高級時計や宝飾品など高額商品の販売が寄与し既存店ベースで0.3%増だったが、スーパーは5.5%減だった。衣料品販売の不振に加え、天候不順や昨年に比べて日曜日が1日少なかったことも影響した。
コンビニエンスストアは4.2%増の7542億円。ファストフードの販売が伸びた。ただ、既存店ベースは来店客数の減少や、たばこ販売の不振で1.1%減と8カ月連続マイナスだった。

次に、いつもの商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の販売額の前年同月比、下は季節調整指数をそれぞれプロットしています。なお、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと仮置きして、影をつけた部分である景気後退期を示しています。

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従来からこのブログで主張している通り、消費は底堅いと私は評価していますが、供給サイドから消費を計測できる商業販売統計により、消費の底堅さが裏付けられたと受け止めています。上に引用した記事は、昨年のこの時期にエコカー補助金で自動車販売が伸びた反動により、季節調整していない原系列の小売販売額がマイナスをつけた、と強調していますが、景気の感覚からすれば季節調整済みの前月比で伸びた方が実感に近いと思います。さらに、もし昨年2012年に景気の山谷をつけるとすれば、同じ季節調整済みの指数を見る限り、景気の谷は2012年11-12月であったと消費動向は示していると考えられます。すなわち、今年2013年1月は景気後退から脱しているように見えます。もっとも、昨年2012年に景気の山谷をつけるかどうかは微妙なところだろうという気がします。期間ままずまずだとしても、深さが景気後退とするにはやや浅いと私は考えています。上の商業販売統計のグラフ、特に下のパネルの季節調整済みの指数を見ると、消費に関してはリーマン・ショック時の景気後退よりも昨年の方が落ち込みが激しいように見えますが、明日発表の鉱工業生産を見れば2012年の落ち込みは軽微に見えるだろうと想像じています。実感としてもリーマン・ショック時の景気後退が「100年に1度」とはいわないまでも、極めて大きな景気の落ち込みだったことは明らかだと思います。もっとも、お国の役所が認定することですから、政権交代の象徴という意味も含めて景気の山谷をつける可能性はあります。その考え方もアリだと私は考えます。

今週後半は、今日の商業販売統計に続いて、明日は鉱工業生産指数、明後日は失業率や有効求人倍率などの雇用統計と消費者物価と、いくつか重要な経済指標が明らかにされます。2012年が景気後退であったかどうかは別にしても、今年に入って景気が回復軌道に復したことが確認できるものと私は期待しています。

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