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2013年4月17日 (水)

国際通貨基金 (IMF) 「世界経済見通し」 World Economic Outlook 見通し編を読む

春のIMF世銀総会に合わせて、国際通貨基金 (IMF) から「世界経済見通し」 World Economic Outlook: Hopes, Realities, and Risks の見通し編である第1章と第2章が、4月9日の分析編に続いて昨日4月16日に予定通り公表されています。もちろん、今どきのことですから pdf の全文リポートもアップロードされています。よく知られている通り、第2章は地域編ですので、今夜のエントリーでは第1章を中心に簡単に見ておきたいと思います。まず、IMF のサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。なお、下の画像をクリックすると別タブで詳細な見通し総括表、すなわち、リポート p.2 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを取り出した pdf ファイルが開きます。

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見れば明らかなんですが、上の表に取り上げられた主要国の中で、昨年10月時点での「IMF 世界経済見通し」から成長率見通しがもっとも大きく上方修正されているのは我が日本となっています。すなわち、今回2013年4月時点の見通しでは今年2013年は+1.6%、来年2014年は+1.4%成長が見込まれており、昨年10月時点の見通しから2013年+0.4%ポイント、2014年+0.7%ポイント、それぞれ上方修正されています。IMF のチーフエコノミストであるブランシャール教授による序文の総括部分の p.xiii から引用すると、"Japan is forging a path of its own. After many years of deflation, and little or no growth, the new government has announced a new policy, based on aggressive quantitative easing, a positive inflation target, fiscal stimulus, and structural reforms. This policy will boost growth in the short term" ということになります。ただし、最後のセンテンスに見られるように、あくまで「短期的に成長率を押し上げる」だけであって、続けて、中期的な財政再建計画 "medium-term fiscal consolidation plan" の必要性が強調されていることは忘れるべきではありません。

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続いて、上のグラフは、リポート p.8 Figure 1.8. GDP Growth を引用しています。成長率見通しを四半期別にグラフで示しています。我が国の成長率は左上のパネルの赤い折れ線で示されています。今年2013年中に瞬間風速で約+5%の高成長を記録した後、来年2014年4-6月期にはマイナス成長に落ち込むと予想されています。いわずと知れた消費税率の引上げの影響です。しかし、その後はすぐに+2%近い通常の潜在成長率近傍に復帰すると見込まれています。米国は今年末から来年年初にかけて+3%くらいの成長率を取り戻すと見通されています。ユーロ圏諸国は今年の年央くらいから+1%前後の成長率に落ち着くものの、低い成長率から脱することは難しいと予想されています。

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続いて、上のグラフは、リポート p.11 Figure 1.10. Global Inflation を引用しています。すでに、分析編第3章で現在の景気回復局面におけるインフレの落ち着きを取り上げていますが、予測期間内においてはかなり落ち着いたヘッドラインCPIの上昇を見込んでいます。真ん中の2つ目と3つ目のパネルで我が国のヘッドラインCPIやGDPデフレータが来年になって急上昇しているのは、これまた消費税率引上げの影響です。我が国の消費者物価上昇率は、今年2013年+0.1%、来年2014年+3.0%が見込まれています。2014年4月からの消費税率引き上げを考慮すると、来年はまだ物価上昇率目標である+2%には達しないと予想されているわけです。また、2つ目のパネルで我が国のインフレ期待は正ながら欧米と比較してかなり低いことも読み取れます。

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続いて、上のグラフは、リポート p.14 Figure 1.13. Recession and Deflation Risks を引用しています。まず、一番上のパネル、今年2013年中に景気後退に陥るリスクについて、昨年2012年10月時点では我が国の確率は欧米の中間の30%くらいだったんですが、現時点では欧米のいずれよりも低く、ほぼ5%くらいに低下しています。なお、アジア新興国は依然としてゼロだったりします。他方、真ん中のパネル、今年2013年10-12月期においてデフレに陥る確率を見ると、昨年10月時点からはかなり低下したものの、依然として日本は欧米よりかなり高く、ほぼ30%に達しています。デフレ脱却の政策努力は引き続き大いに必要といえます。
そして、先進国の政策対応として財政政策と金融政策について、リポートの pp.19-21 にかけて以下のような政策の必要性を強調しています。財政政策については中期的な財政再建を目指して引締め気味に、金融政策については伝統的な政策も非伝統的な政策もともに緩和基調を維持する、といった内容であることは明らかです。

  • Fiscal tightening must continue at a pace the recovery can bear
    • Strong medium-term plans
    • Entitlement reform
    • Calibrating short-term fiscal adjustment
  • Monetary policy needs to stay easy
    • Conventional easing
    • Better communications
    • Changes to monetary policy frameworks
    • Unconventional easing
    • Recalibrating supervisory policy stances
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そして、第1章の特集 Special Feature では商品市況をレビューしています。上のグラフは、エネルギー価格に焦点を当てたリポート p.26 Figure 1.SF.4. Energy Prices, Oil Price Prospects を引用しています。上のパネルを見れば、我が国が2011年の震災の頃から妙に割高なガスを買っていることが伺えます。下のパネルから、北海ブレントを指標として石油価格は2015年年央にかけてバレル当たり100ドルにゆっくりと低下して行くと見込まれているようです。また、グラフの引用はしませんが、p.30 Figure 1.SF.9. Food Prices and Inventories からは小麦などの食料価格は上昇すると見込まれ、また、p.31 Figure 1.SF.10. Metals: Prices, Demand, and Prospects からは銅価格がポンド当たり3.5ドル近辺でほぼ横ばいで推移すると見込まれているようです。

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ついでながら、我が国の国内指標に目を転じると、本日、内閣府から3月の消費者態度指数が発表されています。上のグラフの通り、消費者マインドは上昇を続けており、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「改善に向けた動きがみられる」と前月の「持ち直している」から上方修正しています。

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