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2013年4月30日 (火)

一気に発表された政府統計から景気の現状を考える!

本日、4月最終日の閣議日で政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数商業販売統計が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ発表されています。いずれも3月の統計です。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

3月の鉱工業生産指数、0.2%上昇 スマホ向け部品など増産
経済産業省が30日発表した3月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整済み)速報値は89.8だった。前月比で0.2%上昇した。プラスは4カ月連続。合成ゴムやスマートフォン(スマホ)関連の部品が伸びた。QUICKが26日時点で集計した民間の予測中央値は0.4%上昇だった。
経産省は生産の基調判断を「下げ止まり、一部に持ち直しの動きがみられる」から「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に引き上げた。基調判断を上方修正するのは13年1月以来2カ月ぶり。経産省は背景について「円高是正で輸出が持ち直している」と指摘した。
業種別でみると、16業種のうち8業種が上昇。中でも化学工業(医薬品を除く)は自動車タイヤなどに使う合成ゴム、電子部品・デバイス工業はスマホ向けの半導体などの生産が伸びた。
出荷指数は0.3%上昇の91.6。在庫指数は0.2%低下の102.4と11年12月(101.5)以来1年3カ月ぶりの低水準だった。在庫率指数は1.2%低下の119.7だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは4月が0.8%上昇する見込み。一方、5月は4月に輸送機械工業が伸びる反動で0.3%低下を見込む。
1-3月期の四半期ベースは前期比1.9%上昇の89.5だった。四半期ベースのプラスは4期ぶり。国内に加えて北米やアジアの需要が持ち直したことが寄与した。
12年度の鉱工業生産指数は90.0で、前年度比で3.4%低下した。欧州の債務問題に伴う需要減が影響した。
3月小売販売額、3カ月連続減少 エコカー補助金の反動大きく
経済産業省が30日発表した3月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は12兆3710億円で、前年同月に比べ0.3%減った。マイナスは3カ月連続。前年にエコカー補助金の効果で自動車販売が大きく増えた反動が出ており、衣料品販売などの伸びで補いきれなかった。
自動車小売業は14.5%減で、7カ月連続のマイナス。機械器具小売業はテレビやレコーダーの価格下落や販売不振が続き、2.1%減と20カ月連続で減少した。
一方、織物・衣服・身の回り品小売業は気温が高めに推移し春物衣料が伸び、5.8%増えた。医薬品・化粧品小売業は花粉症対策商品の売れ行きが好調で5.0%増だった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は3.5%増の1兆6592億円。既存店ベースの販売額は2.4%増で、共に3カ月ぶりにプラスに転じた。うち百貨店は主力の衣料品に加え、時計や宝飾品など高額商品の販売に勢いがあり4.0%増。スーパーは日曜日が前年より1日多かったことが寄与し、1.5%増だった。
コンビニエンスストアは5.1%増の8108億円。行楽用の弁当やイベントチケットの販売が伸びた。ただ、既存店ベースではタバコ購入者の減少が響き、0.4%減だった。
併せて発表した2012年度の小売業販売額は137兆1870億円で、前年度に比べ0.3%増えた。プラスは3年連続。
失業率4.1%に改善、4年4カ月ぶり低水準
雇用も改善している。総務省が30日発表した3月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0.2ポイント低い4.1%で、2カ月ぶりに低下した。2008年11月以来、4年4カ月ぶりの低水準。厚生労働省が発表した3月の有効求人倍率(同)も0.01ポイント上昇の0.86倍となり、リーマン・ショック直前の08年8月(0.86倍)以来の高水準となった。
3月の男女別の失業率は、男性が0.1ポイント改善の4.5%、女性が0.4ポイント改善の3.5%。就業者数(季節調整値)は前月比1万人減の6297万人、完全失業者数(同)は17万人減の267万人だった。
宿泊・飲食サービス業や卸小売業、建設業など幅広い業種で求人の増加が続き、失業率も改善した。ただ総務省は「女性を中心に職探しを諦めて、労働市場から退出した人が増えた」と指摘。職探しをやめると完全失業者には該当しないため、これが失業率の低下につながったと分析している。
12年度平均の完全失業率は前年度比0.2ポイント低下の4.3%となった。12年度平均の有効求人倍率は0.14ポイント上昇の0.82倍。景気の緩やかな持ち直しを受け、いずれも3年連続で改善した。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、鉱工業のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは2005年=100となる鉱工業生産指数そのもの、真ん中は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷、一番下は製造工業全体と電子部品・デバイス工業の在庫率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。ただし、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を上方修正しています。一番上のパネルにある通り、生産は着実に増産基調を取り戻していますから、それはそれでいいと思うんですが、景気回復期にしては最近数か月のグラフの傾きが以前に比べて明らかに緩やかだということが読み取れると思います。3月統計では市場の事前コンセンサスも下回ったようですし、「持ち直し」は「持ち直し」でいいんですが、その前に「緩やかな」がつくことを忘れるべきではありません。そして、真ん中のパネルのグラフから、その「緩やかな」原因は家計部門ではなく、主として企業部門にあることが読み取るべきです。輸送機械を除く資本財と耐久消費財の出荷をプロットしていますが、足元の3月は別にして、それまでの上昇の勢いは明らかに耐久消費財の方が大きかったと考えられます。

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続いて、四半期ごとに書いている在庫循環図のグラフは上の通りです。緑色の矢印の2005年1-3月期から始まって、オレンジ色の矢印の今年2013年1-3月期まで進みました。教科書的には、在庫調整局面を終えようとしているように見えます。先ほどの3枚連結グラフの最後のパネルを見ても、典型的な在庫循環を見せる電子部品・デバイス工業など、在庫調整は着実に進展しているように見受けられます。

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次に、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整指数、下は季節調整していない原系列の小売販売額の前年同月比をそれぞれプロットしています。2月統計までは順調に増加していたんですが、3月になって少し停滞を示しています。引用した記事にもある通り、テレビなどの電機製品の減少は耐久消費財出荷と足並みをそろえているように見えます。なお、新聞記事やグラフは示しませんでしたが、総務省統計局から発表された3月の家計調査結果は、前年同月比でも前月比でもかなり大きな伸びを示しました。引用した記事にもある通り、商業販売統計でも百貨店の高額商品の売行きの増加が見て取れますが、家計調査ではこういった高額商品や家屋の工事などの大きな額の支出が占める比率が高い、といった統計のクセがあるのだろうと私は想像しています。そして、この支出額の大きな買い物や工事が日常的な消費よりもアベノミクスからより大きな刺激を受けている面は否定できないと考えています。いずれにせよ、消費はまずまず底堅いと見てよさそうです。

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上のグラフは上から失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。失業率は0.2ポイントとやや大きな低下を示しましたが、どこまで信用できるか少し疑問が残らないでもありません。もしも、労働市場からの退出により非労働人口が増加しているのであれば、ひとつは65歳に達した団塊の世代の本格的なリタイア、もうひとつは男性世帯主のお給料アップの期待に基づく女性配偶者の専業主婦化が考えられないでもありません。でも、後者は極めて怪しいと思います。失業率を含む雇用情勢について、総務省統計局では「足踏み」と指摘したと別の日経新聞のサイトで報じられていますが、私はそこまで悪く見る必要はない気もします。というのは、失業者数が直近のピークだった2009年7月の364万人から2013年3月の267万人まで約100万人近く減少しているのは素直に評価すべきです。振れの大きい新規求人数が減少したものの、雇用統計は引き続き量的には順調に拡大していると考えるべきです。

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足元で非労働力人口の増加よりも憂慮されるのは、雇用が量的に拡大している一方で、質的に decent work が供給されているかどうかです。上のグラフは総務省統計局が今年1月から月次統計として発表し始めた正規・非正規雇用者の比率を、昨年までの四半期統計とつなげてプロットしています。今年1月に64.7%だった正規雇用比率は、2月と3月にはともに63.3%に低下しました。現時点ではサンプル数不足のために季節調整できないんだろうと思いますので、年度末の季節的な動きなのかどうか判断できませんが、アベノミクスで新しく創出される雇用は非正規ばかり、なんてことのないよう願っています。

最初の鉱工業生産に戻って、製造工業生産予測は4月が前月比+0.8%の増産の後、5月が▲0.3%の減産となっています。景気回復のペースがかなり緩やかであり、加えて、当然ながら、決して一様でもありません。グラフにすればギクシャクした動きになる可能性があります。本格的にアベノミクスの政策効果が現れるまであと少し、といいたいところなんですが、実は、かなり長いタイムラグを覚悟する必要がありそうです。

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