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2013年5月10日 (金)

景気ウォッチャーと経常収支から日本経済を考える

今日は、内閣府から4月の景気ウォッチャー調査結果と財務省から3月の経常収支が発表されました。景気ウォッチャーは現状判断DIが前月比▲0.8ポイント低下の56.5となり、6か月振りに低下しました。他方、先行き判断DIは前月比+0.3ポイント上昇の57.5となり、2か月振りに上昇しています。。経常収支は1兆2512億円の黒字です。まず、日経新聞のサイトから統計を報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月の街角景気、天候不順で改善一服 先行き指数は最高更新
内閣府が10日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比0.8ポイント低下の56.5だった。株高を背景に高額品の売れ行きは伸びたが、天候不順による春物衣料の不振が響き、過去最高に並んだ3月から一転、6カ月ぶりに悪化した。内閣府は基調判断について「持ち直している」を維持した。
4月は「家計」と「雇用」で低下した。株高が消費者の購買意欲を刺激し「宝飾品やブランド品といった高額品の売り上げが前年を大きく上回っている」(東北の百貨店)との指摘がある半面、「4月中旬は気温が低下して売り上げが大きく落ち込んだ」(四国の衣料品専門店)との声が目立った。雇用についても新年度向けの人材の需要増が一巡したとみられる。
一方、2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は0.3ポイント上昇の57.8と、2カ月ぶりに改善。製造業を中心に円安による収益改善を見込む声が根強く、調査を開始した2000年1月以降の最高を更新した。ただ「燃料費の高止まりによるコスト負担が運賃に転嫁できず、今後極端に良くなるとは思えない」(北陸の輸送業)といった円安デメリットを懸念する見方も広がっている。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は90.5%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は4月25日から月末まで。
12年度の経常黒字、現基準で過去最低 所得増も燃料輸入が響く
財務省が10日発表した2012年度の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は4兆2931億円の黒字だった。黒字額は11年度に比べ43.6%減り、現基準で比較可能な1985年度以降では最低となった。海外から受け取る利子や配当など所得収支は増えたものの、液化天然ガス(LNG)など高水準の燃料輸入による貿易収支の赤字拡大が響いた。
貿易収支は輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで6兆8947億円の赤字。2年連続の赤字で、赤字額は11年度からほぼ倍増し、過去最大だった。輸入額は燃料やスマートフォン(スマホ)など通信機輸入が増え、11年度比3.6%増の68兆4650億円と3年連続で増えた。輸出額は1.7%減の61兆5703億円で2年連続の減少。昨秋の中国との尖閣諸島を巡る問題や欧州の景気低迷が響いた。自動車などが伸びた米国や、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けの輸出は増えたが補いきれなかった。
一方、所得収支は14兆7245億円の黒字。11年度より5.1%増えた。増加は2年度連続。海外投資による配当金や海外拠点の収益などの受け取りが増えた。
旅行や輸送動向を示すサービス収支は2兆5812億円の赤字。海上貨物輸送で外国船利用が増えたことなどが響き、赤字額は11年度に比べ7545億円拡大した。
同時に発表した13年3月の経常収支は1兆2512億円の黒字。黒字は2カ月連続だが、前年同月より4.3%減った。貿易収支は2199億円の赤字で9カ月連続の赤字だった。輸入額は、LNGや原粗油などが伸び前年同月比3.9%増の6兆2870億円。輸出額は有機化合物などが増え0.3%増の6兆671億円と、2カ月ぶりに増えた。
所得収支は1兆7111億円の黒字。円安が進み企業が海外投資から受け取る利子や配当などが増え、黒字は前年同月より14.0%増えた。サービス収支は5億円の黒字だったが、99.4%減少と大幅に落ち込んだ。財務省は経常収支の先行きについて「内外の経済情勢や為替、LNG、原粗油価格や金利の動向等によるところが大きく、今後の動向を注視する必要がある」(国際局)と話している。

いつもながら、どちらの記事もとてもよくまとまっているという気がします。ただし、経常収支は年度計数に注目が集まって、月次統計を報じた部分はパラひとつ分しかありませんでした。続いて、景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIのグラフ及び現状判断DIと雇用関連DIは以下の通りです。影をつけた部分は景気後退期ですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールとして直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月と仮置きしています。

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やや低下した現状判断DIの3つのコンポーネントについて見ると、家計動向関連は高額品の販売が相変わらず好調だったものの、引用した記事にもある通り、天候不順により春物衣料などが伸び悩んだことから低下し、また、雇用関連も年度末・新年度向け求人が剥落したことから低下した一方で、企業動向関連は円安が進行する中で製造業を中心に売上や収益が増加したため上昇しています。他方、過去最高を更新した先行き判断DIについては、アベノミクスによる円高修正や株価上昇が続き、夏季ボーナス増加への期待が見られることから、企業動向部門と雇用部門で上昇しました。総じて見て、統計作成官庁の内閣府が基調判断を「持ち直し」で据え置いたのは妥当なところではないかと受け止めています。マインド指標が一本調子でこの先もずっと上昇を続けるハズもありません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示しており、積上げ棒グラフは経常収支を構成する貿易収支などのコンポーネントです。色分けは凡例の通りです。季節調整済みの系列をプロットしています。2011年3月の震災のあたりから傾向的に経常収支の黒字幅が縮小しており、その要因は貿易赤字の拡大であることが読み取れます。3月統計で経常黒字が拡大しましたが、ここ2年ほどの傾向から外れているわけではないと受け止めています。ただし、最近時点では円高修正が進んでいることから、Jカーブ効果により円建ての貿易赤字が拡大している可能性が高いと考えるべきであり、為替の水準次第ですが、今後、貿易赤字は縮小ないし黒字に転換する可能性も十分あり得ると期待しています。

そろそろ、為替と株だけでなく、この3-4月くらいの経済指標からアベノミクスの効果も一巡する部分が現れ始める可能性があると私は考えています。今週でゴールデンウィーク気分も完全に抜け、引き続き、経済指標をウォッチしたいと思います。

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