景気動向指数とESPフォーキャストから何を読み取るか?
本日、内閣府から4月の景気動向指数が発表されました。CI一致指数は94.8、同じく先行指数は99.3とさらに上昇しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
4月の景気一致指数、3カ月連続プラス 自動車生産が増加
内閣府が7日発表した4月の景気動向指数(CI、2005年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が1.0ポイント上昇の94.8と、3カ月連続でプラスだった。国内外での堅調な需要を背景に自動車の生産が伸びたことなどが寄与した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を前月までの「下げ止まり」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.3ポイント上昇の99.3と5カ月連続のプラスだった。好調な販売を受けて自動車の在庫が減少したほか、日銀の大胆な金融緩和の発表を背景に東証株価指数(TOPIX)が上昇した。
一方、景気に数カ月遅れる遅行指数は1.0ポイント低下の86.8だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が90.0、先行指数が77.8だった。
相変わらず、とてもよくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。

ということで、5月下旬からの為替相場や株価の変調が織り込まれる前ですので、完全に「過去の数字」と私は受け止めています。4月末からゴールデンウィークくらいまでは景気はよかった、という統計であって、それ以上ではありません。少なくともCI一致指数はいわゆる過去の数字です。他方、先行指数はその名の通りまだ先行きが明るいことも確かです。ただし、上のグラフで見て、相変わらず、CI先行指数の傾きが一致指数よりも大きくて、先月も書きましたが、この先、水準はともかくCI一致指数が大きく伸びる形でCI先行指数との傾きの乖離が縮小すれば景気は期待先行から実体経済に波及したと見なすべきですが、現時点ではまだその段階には達していないと私は考えています。また、4月のCI一致指数に対する寄与度を見ると、耐久消費財がもっとも大きなプラスの寄与を示している一方で、輸送機械を除く資本財出荷がもっとも大きなマイナスの寄与度を記録しており、堅調な家計部門と慎重な企業部門の対比をなしていて興味深く受け止めています。

次に、昨日、日本経済研究センターから「ESPフォーキャスト調査」の結果も発表されています。上のグラフの通りですが、成長率と消費者物価上昇率のグラフを引用しています。今日発表されたのは6月調査結果であり、回答期間は5月23-30日です。すなわち、5月下旬からの為替相場や株価の変調が織り込まれています。その上で、株価波乱を経ても2013年度の円相場・株価予測は円安・株高方向での修正が進むとの見方がおおむね支持されています。また、消費者物価上昇率については、2015年度の消費者物価上昇率は1.0%に上昇したものの、特別調査として聞いた「2%・2年」という日銀の物価目標が達成できるかどうかという問には「できると思う人」はわずかに1名、「できないと思う人」が33名、「どちらとも言えない」が6名という結果でした。私にもしも質問されると仮定すると、最後の「どちらとも言えない」と回答するような気がします。
今日の夜に米国雇用統計が発表され市場関係者の注目を集めています。もっとも、来週月曜日発表の我が国の1-3月期GDP統計2次QEの注目度はかなり落ちるように感じています。
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