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2013年6月30日 (日)

マエケンに打線が沈黙し完封負け!

  HE
広  島110000000 260
阪  神000000000 091

ジャパンのエース、マエケンに打線が沈黙して完封負けで4連勝はなりませんでした。秋山投手は5回2失点ですから、何とか先発投手として合格点といえ、リリーフ陣もゼロに抑えましたが、マエケンから点を取ることは出来ませんでした。最終回の粘りが次の巨人戦につながることを期待します。

巨人との首位攻防戦は、
がんばれタイガース!

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先週読んだ趣味や娯楽の本

昨日までに読んだ趣味系や娯楽系の本のご紹介です。日曜日ですし、軽く読み飛ばせる内容だったりします。

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まず、先週末にも書いた水泳に関する本で、リン・シェール『なぜ人間は泳ぐのか?』(太田出版) です。実は、2012年の The EconomistBook of the Year に本書の原書 Swim: Why We Love the Water が入っています。私が見た限りでも、朝日新聞読売新聞の書評で取り上げられており、内外で話題の書といえます。それにしても、ものすごい雑学の書です。私が考えるに、水泳の本質とは肺呼吸の人間が水中にあることで、すなわち、水中では溺れてしまうので、それを防止するために泳ぐ、ということなんだろうと考えています。ダン・ブラウンの『ロスト・シンボル』でラングドン教授が溺れない液体に浸けられるというのがありますが、地球上に広く分布している通常の水では人間は溺れます。ですから、溺れたくなければ水に近づかないか、泳ぐしかないわけです。後者の人たち、つまり、私のような水泳好きにはオススメです。自ら泳ぐ人か、子供をスイミング・スクールに通わせている人がママ友やパパ友に見せびらかせつつ読むのも一案かと思います。

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次に、宮田珠己『おかしなジパング図版帖』(パイインターナショナル) です。この本は「読んだ」というよりも「眺めた」と表現するほうが正しいような気がします。というのも、この本の主たるコンテンツは1669年にオランダ人モンタヌスが著した『日本誌』に収録されている挿絵だからです。ところが、このモンタヌスなる人物は実際に日本を訪れたことがありません。ですから、書物を見たり、実際に日本に行った人から話を聞いたりして絵を描いています。当然ながら、メチャクチャな日本像を提供しているわけです。例えば、朝日新聞の三浦しをんによる書評によれば、「爆笑の不可思議日本」ということになります。しかし、私が見た範囲で、モンタヌスの功績か、著者の工夫か、不思議と欧州から極東の日本に対して、見下したり、差別したりした絵であるという印象は持ちません。実は、我が家の子供達にも見せたんですが、単に笑えるだけで嫌な雰囲気を持った絵は、あったとしても少ないんではないか、というカンジでした。通してまじめに読む本というよりも、ヒマな時にパラパラとめくる本、という気がします。価格も税抜きで1900円ですから、図版ばかりにしては割安感を持つ人も少なくないように受け止めています。

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この先の2冊は小説で、まず、近藤史恵『キアズマ』(新潮社) です。自転車レースを題材にしたサクリファイスのシリーズの最新長編です。でも、今までの主人公である白石誓は出て来ません。誓が渡欧する前に国内で所属していたチーム・オッジのオールラウンダーだった赤城が、すでに引退したのか、p.230 あたりでオッジのマネージャーとしてチラリと登場します。ですから、時代が少し進んでいて、舞台はオッジでもなく、誓が移籍した先の欧州でもなく、東京にある大学の自転車部です。部員がとても少なくて、青春物語である点からも、駅伝を題材にした三浦しをん『風が強く吹いている』に近い印象です。私のように休日だけトロいマウンテンバイクに乗る週末サイクリストと違って、このシリーズはプロも含めた競技自転車の世界ですから、極端にいえば、死と隣合せのギリギリの部分があり、シリーズ第1作でも石尾が死んだりしていますし、この作品でもそれなりに重いテーマを扱っています。それにしても、三浦しをん『風が強く吹いている』にもいえることなんですが、ポッと出でいきなり大学競技の世界でトップに立ってしまうのは、私には少し違和感があります。それまで努力して来た多くの競技者を無視しているような気がしないでもありません。大きく脱線してしまいましたが、作品に戻って、本書の岸田や櫻井がこのシリーズのもともとの主人公である白石誓や伊庭、あるいは、欧州でニコラなんかといつか接点を持つように物語は進むんでしょうか。それとも、シリーズは第2章に入って違う物語が語られるんでしょうか。気にかかるところです。

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最後は、私の好きなジャンルのひとつである時代小説から、葉室麟『陽炎の門』(講談社) です。この作者は何といっても直木賞を受賞した『蜩ノ記』が有名なんですが、私はまだ読んでおらず、この作者の作品で読んだのは『面影橋』に続いて2冊目です。ややネタバレかもしれませんが、この作品では、時代小説の定番である「お家大事」や「主君一筋」を廃して、主君に楯突くストーリーです。そもそも時代小説とは、「忠臣蔵」などの限られた例外を別にすれば、天下泰平の江戸時代の武士階級を主人公に据え、ongoing で永遠に続いて行く主家や藩、あるいは、幕府そのものを前提に、家臣どもが思う存分にお家騒動や派閥抗争を繰り広げるところに眼目があリます。私が中学生か高校生のころに最初に読んだ時代小説は『樅ノ木は残った』だと思うんですが、自分の身を犠牲にしても主家や藩を守るというのがストーリーの中心でした。今読み継いでいる居眠り磐音の江戸双紙シリーズの主人公である坂崎磐音も藩を離れた身でありながら、旧主家の福坂家に対する全幅の忠誠心は揺らぎません。しかし、この作品では藩主である主君が悪事の中心人物であることが明らかになってしまい、主君を討ち果たすことに注力されます。そして、時代小説にありがちなんですが、宮部みゆき『孤宿の人』のように、考えられないくらいにすべてが上手く行きます。無理やりに現代に当てはめれば、ついこの間の川崎重工、あるいは、古くは三越などの社長を解任するクーデタもどきの取締役会がこれに当たるのかもしれません。

単なる偶然のめぐり合わせだと思いますが、先週あたりからアチコチの図書館に予約してあった本が一気にバタバタと提供され始めています。通常国会が閉幕して参議院選挙が近づいている一方で、予算の概算要求までは少し間があるという時期ですので、せっせと読書にいそしみたいと思います。

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2013年6月29日 (土)

同点スクイズ、サヨナラ安打と大和選手の活躍で広島に連勝!

  HE
広  島201000000 350
阪  神000120001x 4101

先制されて追いついてのシーソーゲームでしたが、大和選手のサヨナラ打で逆転勝ちでした。サヨナラ打はいうに及ばず、1点目の際の盗塁や同点スクイズも含めて、もちろん、大和選手は大ヒーローなんですが、万全のリリーフ陣も忘れるべきではありません。甲子園のホームゲームの後攻めで、終盤までそこそこの点差でゲームが進めば、昨日今日のゲームに現れているように、かなり勝率がいいような気がします。広島との差はリリーフ陣を中心とする終盤の守りの差ということも出来るのではないでしょうか。

明日の秋山とマエケンの対決も、
がんばれタイガース!

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今週読んだ経済書・学術書

週末らしく、今週読んだ学術書のたぐいのご紹介です。

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まず、ヨルゲン・ランダース『2052 今後40年のグローバル予測』(日経BP) です。著者のランダース教授はメドウズ教授らとともに、1972年にローマ・クラブの『成長の限界』を、1992年に『限界を超えて』を、そして、2005年に『成長の限界 人類の選択』を、それぞれ世に問うた人物であり、この本もいわゆるシステム・ダイナミクスによる将来予測を主たるコンテンツとしています。一応、私は以前のこのシリーズの3冊は読んだ記憶があります。いずれも、技術革新をほとんど考慮せず極めて静的に、将来を暗く予想しているんですが、さすがに、ハズレが大きいものでいくつか修正を加えています。例えば、第5章 p.140 から、エネルギー効率は上昇を続けて、エネルギーが制約になることはないと明言していたりします。ただし、オーバーシュート(需要超過)のため、エコロジカル・フットプリントが大きくなって、地球のキャパを1.4倍超えてしまうとか、基本は変更ないようです。私が2-3週間前にテレビを見ていると、この本の営業か何か知りませんが、著者が来日してテレビ出演しているのに遭遇しました。著者的なセンスでいえば、日本はオーバーシュートしないようにとてもうまく需要を管理しエコロジカル・フットプリントを抑制している、ということになるようです。その趣旨は本書 pp.135-37 にも見受けられます。ひょっとしたら、日銀はエコロジー的な観点から成長を阻害し続けてきたのかもしれないと考えてしまいました。なお、本書の最後のパートである p.431 からの「20の個人的アドバイス」は、この本を読むよりも、渡辺シスターの『置かれた場所で咲きなさい』を私は個人的にオススメします。まあ、読む前から内容は分かり切っていて、私には何の満足感も与えてくれない本だということは理解し尽くしているつもりなんですが、一応、読んでおかないと、それすら確かめられませんので読んだ、ということになろうかと思います。

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次に、ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ『ビッグデータの正体』(講談社) です。今まで何冊か話題のビッグデータに関する本を読んで、例えば、昨年2012年8月1日の記事で紹介した本などは、ほとんど、コンサルが「外国ではビッグデータをこのように活用していますが、御社もどうですか」と売り込みに来る際のケーススタディだと思っていたんですが、この本は前半でビッグデータの学術的な側面を明らかにしています。でも、後半は相変わらずセールスのためのケーススタディだったりします。本書ではビッグデータの本質に迫るポイントを3点ほど明らかにしており、第1に、すべてのデータを取り込み、「N=全部」ということです。今年の4月9日に取り上げた西内啓『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社) のランダム・サンプリングと違って、観察できるすべてのデータを考慮するということです。第2に、精度が重要でなくなることです。ですから、データベースもリレーショナルなSQLではなく、構造化は必須の条件とはなりません。分かる気がします。第3に、これが私にとっては決定的に重要に見えるんですが、因果関係ではなく相関関係を重視する見方をすべきだということです。経済学でも厳密な因果関係の測定が困難であるため、因果関係というよりも時間的な先行性を測定する「グレンジャー因果」をよく用います。時間的な先行性ですから、天気予報が原因で実際のお天気が結果、ということもあり得るんですが、一定の支持を得ています。また、喫煙と発ガンの関係はいかにも喫煙が原因で発ガンが結果のように見なされる場合が多いんですが、実は、因果関係ではなく相関関係です。喫煙と発ガンであれば、喫煙が原因と見なす向きが多そうですが、経済学では喫煙と低所得の間の相関には諸説あります。喫煙が原因で低所得にあえいでいるのか、それとも、低所得なので喫煙するのか、一義的な回答は得られません。それはともかく、私が何冊か読んだビッグデータの本の中ではもっとも得るものが多かったような気がします。オススメです。

一応、経済評論の日記に分類しておきます。明日は娯楽系の本について取り上げる予定です。読書感想文の日記に分類すると思います。

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2013年6月28日 (金)

久し振りに甲子園に戻り終盤怒涛の攻撃で広島に逆転勝ち!

  HE
広  島000201010 473
阪  神00000016x 750

6回までノーヒットに抑えられ、完全な広島ペースの試合の上に、8回表にダメ押し気味で加点された時は、今日は負けという雰囲気になりましたが、8回ウラの怒涛の攻撃で相手守備陣のミスも加わり、最後は4番マートン選手の逆転打、今成選手のダメ押し打で広島に逆転勝ちでした。加藤投手のプロ初セーブのオマケまでつきました。

明日も、
がんばれタイガース!

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月末閣議日に一気に発表された政府統計から何を読み取るか?

今日は、月末最後の閣議日で、政府の関係部局から主要な経済指標がいくつか発表されました。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数商業販売統計、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計、総務省統計局の消費者物価などです。まず、とても長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産指数、4カ月連続上昇 火力発電用部品伸びる
経済産業省が28日発表した5月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は97.8で、前月に比べ2.0%上昇した。プラスは4カ月連続。電力需要が増える夏場を前に、国内電力会社向けの火力発電用蒸気タービンなど設備改修用の部品の生産が増加した。QUICKが27日時点で集計した民間の予測中央値(0.2%上昇)を大幅に上回った。
業種別にみると15業種のうち12業種が上昇した。火力発電用部品を含む「はん用・生産用・業務用機械工業」は7.6%上昇だった。電気機械工業は6.1%上昇。国内向けの産業用・住宅用太陽電池モジュールに加え、夏場の販売増加を控え冷蔵庫の生産が伸びた。
ただ経産省は「原指数は前年同月に比べ10カ月連続で低下している」と説明し、生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
出荷指数はスマートフォン(スマホ)用CCD(電荷結合素子)やテレビ用大型液晶などが伸び、0.8%上昇の96.6だった。在庫指数は0.3%低下の107.1、在庫率指数は2.1%低下の104.9だった。
併せて発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは6月が2.4%低下する見込み。欧州・中国向けの乗用車の生産減少が響き、輸送機械工業が落ち込むもよう。6月の低下を踏まえても4-6月期の鉱工業生産指数は1-3月期に比べ1.8%上昇になる見通し。7月は火力発電用部品などが伸び、3.3%上昇を見込んでいる。
5月の小売販売額、5カ月ぶり増加 初夏物衣料が好調
経済産業省が28日発表した5月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆4790億円で、前年同月に比べ0.8%増えた。プラスは5カ月ぶり。中旬以降に気温が高めに推移し、初夏物の衣料品や清涼飲料水、アイスの販売が増加。大型連休や母の日などで総菜の消費も伸びた。
織物・衣服・身の回り品小売業は5.7%増、飲食料品小売業は1.4%増だった。燃料小売業はガソリン価格の上昇で3.0%増えた。一方、自動車小売業は6.1%減と2カ月ぶりにマイナスに転じた。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は0.9%増の1兆5889億円だったが、一部店舗の閉鎖が響き、既存店ベースは0.4%減だった。うち百貨店は時計や宝飾品など高額商品の販売が好調に推移し、2.8%増えた。スーパーは2.0%減だった。
コンビニエンスストアは4.2%増の8252億円。行楽需要でファストフードや総菜の販売が伸びたほか、コンサートなど高額チケットの販売が好調で3カ月連続のプラスだった。ただ、既存店ベースは来店客数の減少やたばこの販売の落ち込みが響き1.2%減だった。
5月の完全失業率、横ばいの4.1% 女性の改善に「足踏み」
総務省が28日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は4.1%で、前月と同じだった。雇用情勢は持ち直しの動きが続いているが、5月は就業者数の増加や完全失業者数の減少が小幅にとどまり、失業率の改善には至らなかった。総務省は「女性の就業の動きに足踏みがみられる」とみている。
季節調整した就業者数は6303万人と前月より2万人増加した。このうち、男性は11万人増、女性が8万人減だった。完全失業者数は270万人で1万人の減少。男性が3万人減、女性が2万人増だった。女性は非労働力人口が4万人増えるなど、一時的に職探しをあきらめる動きもみられた。
男女別の完全失業率は、男性が4.2%で0.1ポイントの改善。一方、女性は3.9%と0.1ポイントの悪化だった。
総務省は雇用情勢について「失業者数はなお高い水準にあるため、今後の動きを注視する必要がある」と指摘した。
5月有効求人倍率が上昇 4年11カ月ぶり0.90倍台
厚生労働省が28日朝発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の0.90倍と、3カ月連続で改善した。新規求人の増加を背景に2008年6月(0.92倍)以来、4年11カ月ぶりに0.90倍台を回復した。
雇用の先行指数となる新規求人数は2.1%増と3カ月ぶりにプラスへ転じた。新規求人倍率は0.02ポイント上昇の1.42倍だった。
前年同月と比べた新規求人数(原数値)は6.5%増。宿泊業・飲食サービス業(23.2%増)、人材派遣や警備などのサービス業(12.1%増)、建設業(10.1%増)などが増加した。一方、製造業は2.8%減と12カ月連続のマイナスだった。
都道府県別で有効求人倍率が最も高かったのは東京都と愛知県の1.30倍。最も低かったのは沖縄県の0.52倍だった。
5月の消費者物価、横ばい 7カ月ぶりマイナス脱却
総務省が28日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は値動きが激しい生鮮食品を除くベースで100.0となり、前年同月に比べて横ばいだった。前月と比べて0.4ポイント改善し、12年10月以来、7カ月ぶりに物価が下がらなかった。電気代の値上がりが大きいが、薄型テレビなどの値下がり幅が縮小し、物価下落の動きを弱めている。
指数を品目別に見ると、5月は電気代が前年同月に比べて8.8%上がり、指数全体を0.3ポイント押し上げる要因となった。総務省によると燃料費の上昇のほか、関西電力と九州電力による値上げを反映している。ガソリンは0.9%の値下がりだった。
エネルギー以外の主要品目を見ると、値下がりは続くものの、値下がり幅が小さくなるものが出始めた。テレビは前年同月比9.6%の低下だが、下落率は前月に比べて6.8ポイント縮小。テレビを含む「教養娯楽用耐久財」は値下がりが和らいだことで、CPIを前月に比べて0.08ポイント上げる要因となった。外国パック旅行は0.7%上昇した。
全国の動きに先行する東京都区部の6月中間速報値は、生鮮食品を除くベースで前年同月比0.2%の上昇。前月に比べ0.1ポイント上がり、2カ月続けて物価が上がった。電気代が指数を0.44ポイント押し上げている。5月に値上がりだったテレビは6月速報では9.0%の値下がりだった。総務省は物価の動きについて「一部に変化が出てきている」としている。
今後の消費者物価は全国でもプラスに転じる可能性が高い。電気代の上昇が続くほか、夏場にかけてガソリン代が前年の水準を上回る公算が大きい。円安による輸入品の値上がりも物価上昇につながる。
焦点は値上がりの動きが日用品や耐久消費財に広がるかどうか。大きな物価下落が続いたデジタル家電やパソコンは値下がり幅が縮小したり、一部で値上がりしたりしているが、需要が大きく回復しているわけではない。5月の全国CPIも食料(酒類を除く)とエネルギーを除くベースでは前年同月に比べて0.4%の下落で、物価にはまだ下落圧力が根強く残っている。
夏の賞与や残業代の増加など、所得が上向く兆しが出ている。賃金の上昇を伴う景気の改善が年内に強まるかどうかは、来年4月に予定する消費増税後の景気を大きく左右しそうだ。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。とても長いので記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、鉱工業のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。ただし、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。雇用統計のグラフでも同じです。

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鉱工業生産の増産幅について、市場の事前コンセンサスは+0.2%くらいとショボい予想だった一方で、実際には+2.0%の増産ですから、強い数字と見られがちですが、2010年=100の新基準ベースの製造工業生産予測指数の生産見込みは+2.2%増でしたから、市場予想を上回ったのは基準改定の要因と考えてもよさそうです。次の項目で見る商業販売で自動車販売が振るわなかった影響が生産にも現れていて、輸送機械がマイナスを記録した一方で、一般機械と電機が増産となっています。日本経済は自動車のモノカルチャーではないかと心配した時期もありましたが、そうでもないのかもしれません。先行きは引用した記事にもあるように、製造工業生産予測指数で見て、6月は▲2.4%の減産となった後、7月は+3.3%の増産ですから、基調判断の通り、緩やかな持直しの動きが続きそうです。グラフの下のパネルに見られるように、資本財出荷は一進一退を繰り返しているんですが、5月には増加を記録しています。

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生産でも触れましたが、商業販売統計では自動車販売が足を引っ張りました。4月の増加の反動と5月下旬の株価下落などの金融市場の混乱が原因と私は受け止めています。もっとも、5月から気温が上がって衣類の販売は好調ですし、清涼飲料水やアイスは早くも売行きを伸ばし始めています。上のグラフで見て、原系列の前年同月比でも季節調整した指数の前月比でも、5月はプラスを記録しています。アベノミクス効果は特に百貨店販売に出ており、高額商品の売行きが伸びているやに報じられています。先行きについては賃金動向が気にかかるところですが、4月16日付けのエントリーで取り上げたように、わずかとはいえ夏のボーナスが伸びるのとすれば、それなりの期待が持てると考えています。

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雇用統計に目を転じると、失業率、有効求人倍率、新規求人数のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列をプロットしています。失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と考えられています。景気回復初期の特徴で、職を求めて労働市場への参入が増加するため、失業率こそ下げ渋っていますが、有効求人倍率や新規求人数といった指標を見ると、雇用は着実に改善を示しています。なお、性別に見て女性よりも男性の改善が大きくなっていると報じられていますので、職の質として正規・非正規で見れば前者が増加している可能性が十分にあると期待しています。

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久し振りに、産業別の雇用者数の増加を前年同月からの差で見たグラフを書いてみました。上の通りです。緑色の医療・福祉は相変わらずコンスタントに多くの雇用を吸収していますが、最近では少し勢いが低下したようで、卸売・小売業や、特に5月の統計では金融・保険業や情報通信業なども雇用の増加に寄与しています。製造業がマイナスを続ける一方で、復興事業が一段落したとはとても思えないんですが、5月になって建設業が減少に転じています。なお、新規求人数では建設業は増加を示しています。

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最後に、消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。青い折れ線が生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率、これに対するエネルギー、食料、その他の寄与度が積み上げ棒グラフで示されています。赤い折れ線は食料とエネルギーを除くコアコアCPI、グレーは東京都区部のコアCPIのそれぞれ前年同月比上昇率です。5月のコアCPIの前年同月比はゼロに達しました。多くのエコノミストは6月はプラスだと見込んでいます。そんなにラグが短いハズはないんですが、中にはアベノミクスの成果であると勘違いする向きもあるかもしれません。先行きについても、電気・ガス料金の値上げと円高是正に伴って、年内はCPIがプラス圏内で推移すると私は考えています。ただし、米国の量的緩和政策の終了を見込んだ商品市況の低下は我が国物価を押し下げる可能性があります。商品市況がオーバーシュートしないことを願っています。

今日発表された政府統計は総じて日本経済が順調な回復軌道にあることを示していると私は受け止めています。私はもともと雇用を重視するエコノミストなんですが、今日発表された中では、もっとも気がかりなのは消費者物価であり、2年程度で日銀のターゲットである2%に達することを期待したいと思います。

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2013年6月27日 (木)

来週発表の日銀短観は業況感も設備投資計画も大幅に上昇か?

来週月曜日7月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は2013年度、すなわち、今年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。いつもの通り、先行きに関する見通しを可能な範囲で取りました。もともと先行き判断を含む調査ですから、何らかの先行きに関する言及があるリポートが多かったような気がします。ただし、長くなりそうな場合はこの統計のヘッドラインとなる大企業製造業だけにした場合もあります。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (先行き)▲1
+9
<▲2.0>
n.a.
日本総研0
+12
<+2.5>
先行き(2013年9月)は、大企業・製造業、大企業・非製造業で各々6月対比+5%ポイント、+4%ポイントの改善と予想。米国向け輸出が増加するほか、公共事業の増加、消費税率引き上げ前の駆け込み需要などがDI押し上げに寄与。
大和総研+4
+13
<+1.8>
先行きに関しても、2013年度は収益の改善が見込まれることから、幅広い業種で改善が続くとみている。5月後半以降為替はやや円高に振れており、株価も調整局面にあるが、企業の業況判断に大きな影響は与えないとみている。ただし、足下で中国をはじめとする新興国の景気減速懸念が高まっていることは、企業の収益見通しを押し下げる可能性があり、先行きの改善幅を小幅ながら縮小させる可能性がある。
みずほ総研+4
+8
<+3.7>
(大企業・製造業)先行き判断DIも、円安による輸出数両面への効果が本格化することなどから改善が続くだろう。(大企業・非製造業)先行き判断DIは、緊急経済対策による公共投資の押し上げ効果が続くことや個人消費の回復を背景に改善の見込みとなろう。
ニッセイ基礎研+4
+11
<+3.7>
先行きについても、米国を中心とする海外経済の回復やアベノミクスへの期待から、さらなる景況感改善を予想。通常、先行きに対して慎重になりがちな中小企業でも、今回は改善が示されると見る。
伊藤忠商事経済研+2
+8
<+2.5>
大企業製造業の現状判断DIは3月調査の▲8が6月調査で2へ改善、2011年9月調査以来のプラス圏へ浮上すると予想している。先行きは更に4へ改善するが、不安定な金融市場動向や海外経済に対する不透明感を受けて、改善ペースは鈍ると見込まれる。
第一生命経済研+1
+11
<+1.5>
製造業・非製造業ともに、2010年から最近までのDIは、▲10-10という狭いレンジで概ね推移してきた。だから、今後は、そのレンジを上抜けられるかどうかが注目される。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+8
+12
<+7.2>
円安や海外景気の副長を背景に輸出企業の収益が回復しており、建設・不動産などの内需型産業についても、緩和的な金融環境や公共投資の増額を反映して、業況が大幅に改善している模様だ。
三菱総研+5
+12
<n.a.>
先行きの業況判断DI(大企業)は、日本経済の回復期待などから、引き続き改善となろう。製造業が+5%ポイント、非製造業が+3%ポイントの改善を予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲4
+9
<+2.8>
輸出に持ち直しの動きがみられる中、生産は増加基調が続いている。先行きについても、景気の持ち直しが続く中、マインドの改善は続くだろう。

3月調査時点での先行き業況判断DIが、大企業製造業で▲1、大企業非製造業で+9だったんですから、私はこれを少し上回ると考えています。しかも、アベノミクスの一つの効果で円高修正が製造業により大きく恩恵を及ぼしますので、非製造業よりも製造業の改善幅の方が大きいと考えるべきです。すなわち、大企業製造業の業況判断DIが+3から+5くらい、大企業非製造業が+10を少し超えるくらい、というのがエコノミストの平均的な予想ではないかという気がします。さらに、先行きについては改善が続くもののテンポが鈍る可能性が高い、というのが、大雑把なコンセンサスではないかと受け止めています。ただし、日本総研のリポートにあるように、消費税率引上げ前の駆込み需要であれば、サステイナブルかどうかは疑問です。また、5月下旬からの金融市場の混乱、株価の下落や長期金利の上昇などは、大和総研のリポートが指摘するように、企業の業況判断に大きな影響は及ぼさないと考えるべきですが、特に長期金利の上昇が長期に渡るとすれば一定のネガティブな影響は否定できません。もちろん、中国をはじめとする新興国のスローダウンはそれ自体として、また、我が国経済への影響としても、いずれも不透明です。設備投資計画は大企業全産業で見て3月調査ではマイナスでしたが、6月調査ではプラスに転じると予想されています。上のテーブルに取り上げた指標とは別に、日銀のインフレ目標にも関連して価格に対する企業マインドに注目が集まっていますが、昨年末を底に上昇に転じている仕入及び販売の価格上昇機運がさらに強まる可能性がかなりあると考えられます。しかし、デフレ期の価格下落期待も根強く残り、20年も続いた強烈なデフレに対する現状維持的な期待の払拭がまだ完全には進んでいない可能性も十分残ります。

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最後に、上のグラフは業況判断DIの推移について、一例として、日本総研のリポートから引用しています。業況判断DIは6月の足元に続いて9月の先行きも改善を示す、との予想が示されています。

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2013年6月26日 (水)

定例株主総会の集中から資本主義と民主主義の親和性を考える!

6月の最終週に入って、3月期決算の株式会社の株主総会の季節を迎えました。メディアにおいても、例えば、朝日新聞のサイトでは、西武ホールディングス(HD)の株主総会が昨日の6月25日に開催され、筆頭株主のサーベラスの提案が否決された、などと報じたりしています。私は西武の株はまったく保有していませんが、日曜日の記事にも書いたように、通勤で西武線を利用していますので、中吊り広告にサーベラスのTOBに反対する主張を見たりして、上場もしていない会社の株主総会にもかかわらず、それなりに注目していたりしました。

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ということで、東証上場のうち3月決算の株式会社の株主総会の集中度をプロットしたのが上のグラフです。東証のサイトから引用しています。総会屋対策なんかもあって、かつては95パーセントを超えていた集中度も、最近数年では50パーセントを割り込んでいます。私のように株式保有のない人間には関係ありませんが、複数の公開会社の株式を保有している株主には、株主総会が重ならない方が出席しやすいのかもしれません。でも、同じように総会屋も出席しやすいというのが集中した理由だったような気もします。

株主総会の議決権の大きさは保有株式数に応じて決まり、選挙などにおける自然人の主権の行使とはまったく異なる原理に基づいていますが、実は、この株主総会方式は市場において購買力に従って消費や投資まどを行うのとまったく同じ原理だったりします。ですから、非常に親和性がいいように見えて、実は、資本主義と民主主義は決して経済と政治という意味でコインの両面というわけでもなさそうです。

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2013年6月25日 (火)

アクシデントで9回降板もエース能見投手のナイスピッチングで連敗脱出!

  HE
阪  神000000101 260
中  日000000010 180

8回ウラのツーアウトから同点にされた上、9回ウラに打球を受けたアクシデントで降板したものの、さすがのエースのピッチングで能見投手が連敗ストップです。同点に追いつかれた直後の新井良選手の最終回の勝ち越しホームランも価千金でした。最後の9回は能見投手のアクシデントを受けた福原投手もゲッツーで切って取り立派に役目を果たしました。拙攻の続くロースコアですし、もっと打って欲しい気もしますが、とりあえず立派な勝利でした。

明日も、
がんばれタイガース!

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企業向けサービス価格指数 (CSPI) はほぼ1年振りでプラスに転じる!

本日、日銀から5月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。円高修正の影響などから前年同月比で見て1年1か月振りにプラスに転じ、+0.3%を記録しました。まず、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

5月企業向けサービス価格、1年1カ月ぶり上昇 円安など受け
日銀が25日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.3と、前年同月比0.3%上昇した。プラスは昨年4月以来1年1カ月ぶり。前年に落ち込んだ反動など一時的な押し上げ要因が重なったほか、円安の影響で国際運輸関連の価格上昇が響いた。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。5月は前月比でも0.1%上昇と、2カ月ぶりにプラスとなった。
業種別でみると、広告が前年比1.1%下落と4月から下落率を4.2ポイント縮めた。自動車や通信業による新聞広告の出稿が持ち直したことに加え、新製品投入に絡む支出も増えた。
諸サービスは、土木建築関連で昨年に安い案件が多かった反動から、0.5%上昇とプラス幅を拡大。円安が進行したため、主に外貨建てで取引される運賃を円換算した価格がかさ上げされたこともあって、運輸は2.2%上昇した。
一方で、国際運輸を除いた企業向けサービス価格指数の総平均は0.2%下落と12カ月連続でマイナスとなった。日銀は「企業のサービス関連支出の趨勢は大きく変わらず、緩やかな下落傾向を脱したとは断言しにくい」と評価した。

いつもの通り、統計についとてもよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、グラフは以下の通りです。物価統計の伝統に従って、季節調整していない原系列の統計の前年同月比をプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。リーマン・ショックの前までは長期に渡る景気拡大と商品市況の高騰にも支えられて、前年同月比で見てプラス領域まで上昇率を高めましたが、その後、大きく落ち込み、最近時点までマイナスを続けて来ていたところ、5月には1年1か月振りにプラスに転じました。

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前年比プラスが1年1か月振りとはいえ、昨年5月や今年2月は前年比ゼロでしたし、最新月の5月もプラスながら+0.3%ですから、引用した記事にもある通り、「緩やかな下落傾向を脱したとは断言しにくい」というのはその通りかもしれません。5月の統計で前年同月比の寄与度差を見ると、広告と運輸がプラスとなっています。後者の運輸はアベノミクスによる円高修正に伴って円建て運賃がかさ上げされた効果が大きいと感じますが、前者の広告は消費をはじめとする国内需要の活性化を見込んだものとも考えられます。もちろん、企業向けサービス価格指数 (CSPI) は消費者物価ではなく、企業間の取引の価格ですから為替相場や国際商品市況などにもより敏感に反応しますが、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数からみた日本経済」などで、各種の物価の中でも CSPI は需給バランスにもっとも敏感な物価指数のひとつであるとの分析結果も明らかにされています。上のグラフからも、特に、昨年のミニ・リセッションのころに、その雰囲気は読み取れようかと思います。おそらく、私の直感ではこの5月の CSPI の前年同月比プラスはアベノミクスとは大きな相関はないように思いますが、デフレ脱却に向けて先行きは期待できそうな気がしないでもありません。

来週月曜日の7月1日には日銀短観が発表されます。今週中にシンクタンクなどの予想を取りまとめる予定でチラチラとリポートなどを集めていると、いつもの短観では業況判断と設備投資が注目されるんですが、今回の6月調査では仕入と販売の価格判断DIにも注意を払うべきとの見方が強まっています。確かに興味ある点かもしれません。

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2013年6月24日 (月)

帝国データバンクによる「アベノミクスに対する企業の意識調査」

そのうちに取り上げようと思いつつ忘れていたため、とても旧聞に属する話題になってしまいましたが、帝国データバンクから「アベノミクスに対する企業の意識調査」というオピニオン・ポールの結果が6月13日に公表されています。企業の42.3%がアベノミクスで国内景気を押し上げていると実感しているようです。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. アベノミクスにより国内景気が押し上げられていると「感じている」企業は42.3%。一方、「感じていない」企業は34.3%あり、規模の小さい企業ほど景気浮揚効果を感じていない。
  2. 現時点で、アベノミクスから自社業績に「プラスの影響」を受けている企業は21.3%あるが、「マイナスの影響」も14.2%ある。中小企業や生活必需品の売り上げ拡大には至っていない。
  3. 期待する政策、約5割の企業が「財政の健全化」を期待、中長期的な財政再建の工程を明示する必要がある。また、デフレ・円高対策、雇用、エネルギーなど幅広い政策課題が挙がった。
  4. 成長戦略では、半数以上の企業が「環境・エネルギー」分野に期待。「介護・医療・健康」「農林水産業」「雇用関連」分野も3割前後が注目している。
  5. 現在、消費増税前の駆け込み需要が生じているのは全体の4.1%で、「建設」「不動産」が中心。

ということで、ほぼ終わりなんですが、続いて、今夜のエントリーでは、「アベノミクスに対する企業の意識調査」のリポートからいくつかテーブルを引用して簡単に済ませたいと思います。帰宅が遅くなった日はこんなもんです。悪しからず。

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まず、国内景気はアベノミクスにより押し上げられていると感じるかどうかについて質問した結果のテーブルは上の通りです。大企業の方が景気押上げ効果をより大きく感じているのは、アベノミクスのひとつの結果である円高是正の効果があるんだろうと受け止めています。それにしても、大企業で半数近く、中小企業でも4割の企業がアベノミクスに効果ありと認めていることになります。この割合が低いのか、高いのか、議論があるかもしれません。

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他方、上のテーブルはアベノミクスによる自社業績への影響について質問した結果です。上のプラスの影響と答えた企業の割合は、その前の景気押上げから半分くらいにドンと減ってしまいます。これは、法人企業景気予測調査なんぞにも見られるところで、「隣の芝生は青い」症候群ともいえ、自社はそれほどよくないが、世間は景気がいい、と見えてしまうマインドなんだろうと受け止めています。

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最後に、アベノミクスとの関係は薄いんですが、来年4月からの消費税率引上げに伴う駆け込み需要の有無に対する回答が上の通りです。当然ながら、完成まで時間がかかって単価も大きい建設や不動産ですでに駆込みが見られるようです。今後は卸売や小売で駆込み需要が今後出てくると予想されているのも当然だろうと思います。サービス業で現在も今後も駆込み需要が発生しないとする割合が高いのも分かる気がします。

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2013年6月23日 (日)

藤浪投手が三浦投手に投げ負けてDeNAに2タテを食らい泥沼の5連敗!

  HE
阪  神002000020 490
D e N A20300001x 661

楽しみにしていた藤浪投手の先発試合いでしたが、最短の4回KOでした。でも、まだまだ先が長い投手ですから、次の日曜日のマエケンとの対決に備えて欲しい気がします。結局、DeNAに2タテを食らい、阪神は交流戦終盤から泥沼の5連敗です。打つ方も拙攻が続き、万全だったリリーフ陣も昨日今日と終盤にダメ押し点を奪われる試合が続きました。リリーフ陣の見どころは初登板のボイヤー投手だったんですが、やや小さくまとまっている印象があり、大崩れはしなさそうな一方でクローザーとして威圧感ある投球ではなかったように見受けました。でも、今後、どのような投球を見せるのか楽しみです。

次の中日との北陸シリーズは、
がんばれタイガース!

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公営室内プールに行って、いろいろ考える

私の週末のストレス解消のためのスポーツといえば、自転車に乗って図書館を回ることと室内プールで泳ぐことなんですが、特に、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んでからは、メインはプールであるような振りをすることもあります。梅雨の季節ですし、雨が降っては自転車に乗れませんが、室内プールは雨だとかえって空いていたりします。どこかの新聞の笑い話にインフルエンザが流行ると医者が空く、という決して事実とは思えないジョークをその昔に見かけた記憶がありますが、それとは違うような気もします。
週末土日のうちの少なくともいずれか1日、多くの場合は土日両方とも室内プールで泳いでいますので、それなりにスタッフとは顔見知りになったりするんですが、私の場合は居住している区ではなく、何となく意味もなくお隣の区のプールにも行ったりします。先日、そのお隣の区のプールに行った時の会話で知ったことです。私はプールのライフガードはどこかの大学の水泳部員あたりが一括でアルバイト採用かと思っていたんですが、そうでもなく、むしろ、もっと小さいころに通っていたスイミング・スクールの仲間だったりするらしいです。私と会話したのはイトマンSSの出身らしくて、実は、私は通勤に西武新宿線を使っていて朝の通勤時にイトマンSSの建物が見えたりするんですが、その人は東伏見のイトマンSSに通っていたといいます。ちょうど、東野圭吾『夢幻花』を読み終えたばかりくらいのタイミングだったものですから、主人公の1人がオリンピックを目指していたスイマーという設定でしたので、イトマンSSとはそういったイメージがあったんですが、意味もなく親しみを感じてしまいました。
それから、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』につくるの水泳時間と距離がありましたので、私も出来るだけ正確に計測してみました。我が家の近くのお隣の区の公営プールですと、55分泳いで5分休憩なんですが、私は55分で1970メートル泳いでいます。多崎つくるは30分あまりで1600メートルくらいではなかったかと記憶していますので、私の方がかなり遅いです。年齢的な理由を上げておきたいと思います。私のスピードは時速2キロを少し上回るくらいで、情けないことに歩くスピードの半分くらいという遅さです。もっとも、だいたい2時間くらい泳ぎますので短距離走よりも長距離走に近くて、その分、ゆっくりなんだろうと勝手に解釈しています。これくらいのスピードでしたら、イトマンSSなんかでは問題にもならないんだろうと想像していますが、たぶん、公営プールでは標準よりも少し遅いくらいで、抜かれることも少なくありませんが、抜くこともなくはないです。

10年以上も前に一家で暮らしていたジャカルタのアパートはプール付きで、赤道直下の熱帯であるジャカルタでは1年中泳げたんですが、逆に、夜中に酔っ払って騒いで事故がある可能性も否定できない一方で、公営の室内プールなんぞは事故が起こりようもないような気もします。でも、ライフガードがしっかりと見張ってくれています。

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2013年6月22日 (土)

交流戦を終えてレギューラー・シーズン最初のDeNA戦を競り負けて落とし阪神4連敗!

  HE
阪  神100020000 3100
D e N A20020001x 5110

今日はお天気もよかったんですが、なぜか出かける用件が重なって、デーゲームだと思っていたものですから、ナイターへの対応が遅れました。交流戦を終えてレギュラー・シーズンに戻っても、交流戦最終盤の悪い流れを引きずってDeNAに競り負けて4連敗となりました。先発投手の出来はそれほど大差なく、安打数も11安打と10安打ですからほぼ拮抗しています。初回の攻撃と中盤の守りで差がついて、盛上がりを欠いたゲームいでした。明日は藤浪投手の先発が楽しみです。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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佐伯泰英『徒然ノ冬』(双葉文庫) を読む

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佐伯泰英『徒然ノ冬』(双葉文庫) を読みました。居眠り磐音江戸双紙のシリーズ最新刊第43巻です。舞台は天明3年、すなわち、西暦では1783年であり、歴史的な事実として、翌天明4年には田沼意知が江戸城内で佐野政言に殺害され、さらに、天明6年には将軍徳川家治が死去し田沼意次が失脚します。ですから、この第43巻は、坂崎磐音が江戸に戻って、田沼父子の権勢に衰えが見え始めたころのストーリーです。このあたりまではのんびりしたペースですが、おそらく、次の第44巻か45巻あたりから物語がテンポアップしそうな気がします。ファンとしては楽しみです。でも、このシリーズの結末も見えて来そうな予感もあります。やや寂しいかもしれません。

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2013年6月21日 (金)

岩田規久男ほか編著『リフレが日本経済を復活させる』(中央経済) を読む

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岩田規久男ほか編著『リフレが日本経済を復活させる』(中央経済) を読みました。副題は「経済を動かす貨幣の力」となっており、編著者の岩田先生は現在は日銀の副総裁です。内閣府の研究官などをしていた故岡田靖氏を偲んで企画された旨があとがきで明らかにされています。
私は図書館で借りたのでいわゆる帯はありませんでしたが、ネットで見ると、編著者の3人の顔写真が出ていました。豪華な執筆陣です。現在のアベノミクスの中心をなす金融政策のリフレ政策について要点を的確に示すとともに、リフレ政策のトランスミッションを明らかにして実体経済への影響を論じ、マクロ経済におけるマネーの重要性を改めて認識できます。特に、第4章のファイナンシャル・アクセラレータに関する解説はとてもコンパクトで分かりやすくオススメです。リフレ政策についてはいろいろと本が出ている中で、私はズボラしてほとんど買わずに図書館の予約待ちになっている本が多かったりするんですが、この本は執筆陣が豪華だという点も考慮してオススメの1冊だと思います。

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誠についでながら、馬奈木俊介『環境と効率の経済分析』(日本経済新聞出版) も読みました。環境経済学の実践版ということで、方法としてはDEA分析とか地域別のマクロ・パネルを用いたDMM推計とかで、特に目新しいものではありませんが、通常ではお目にかかれないデータを用いて定量分析しています。惜しむらくは、部数が出ないと出版社が判断して定価が高いことですが、私はこの本も図書館から借りて読みました。

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2013年6月20日 (木)

鉱工業生産指数の改定に基づき再計算された景気動向指数により景気判断はどうなるか?

本日、内閣府から4月の景気動向指数の確報が発表されました。先々週の6月7日の4月速報の公表時に、「景気動向指数における鉱工業指数平成22年基準改定への対応及びCIの基準年変更について」と題するメモが公表されていて、今日発表の4月分確報から基準年を2010年に改定した鉱工業生産指数を用いるとともに、7月5日発表の5月速報から景気動向指数も基準年を2010年に変更する旨が明らかにされています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

景気一致指数、4月改定値0.7ポイント上昇
内閣府が20日発表した4月の景気動向指数(2005年=100)の改定値は、景気の現状を示す一致指数が95.3と前月比0.7ポイント上昇した。改善は5カ月連続。7日に発表した速報値は94.8だった。指数を構成する鉱工業生産指数の基準が変わったことを受け、過去にさかのぼって数値を見直した。基調判断は「下げ止まりを示している」のまま据え置いた。

相変わらず、とてもよくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。CI一致指数について、4月速報までの旧基準の鉱工業生産指数に基づく景気動向指数と、2010年新基準の鉱工業生産指数に変更した景気動向指数の両方をプロットしています。詳細は凡例の通りです。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。

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鉱工業生産指数の基準年改定の余波はどこにも現れていないように見受けられます。かなり機械的に弾き出される基調判断も変更ありません。次は景気動向指数そのものの基準改定なんですが、おそらく、あくまで「おそらく」なんですが、上のグラフで影をつけた山谷を含めて景気動向に関するエコノミストの感覚を大きく変更させるような内容ではないと予想しています。ひと安心です。

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2013年6月19日 (水)

赤字が続く貿易収支は円安定着で黒字に戻るか?

本日、財務省から5月の貿易統計が発表されました。季節調整していない原系列の統計で、輸出額は前年同月比10.1%増の5兆7676億円、輸入額は10.0%増の6兆7616億円、差引き貿易収支は9939億円の赤字でした。市場の事前コンセンサスは貿易赤字1.2兆円というものでしたから、これほど赤字は大きくありませんでした。やや長くなりますが、まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字9939億円、5月で最大 アジアからの輸入額過去最大
財務省が19日発表した5月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9939億円の赤字だった。赤字は11カ月連続で、5月としては前年(9079億円の赤字)を上回り比較できる1979年以降で最大。単月としても過去3番目の高水準だった。前年同月と比べ進んだ円安が、原粗油や液化天然ガス(LNG)など燃料やスマートフォン(スマホ)など通信機の輸入額を押し上げた。
輸入額は前年同月比10.0%増の5兆7616億円で、7カ月連続で増えた。アラブ首長国連邦(UAE)などからの原粗油や、中国からのスマホなど通信機や半導体等電子部品の輸入が増えた。中国からの輸入額は1兆4564億円と単月として過去最大となった。これに伴いアジアからの輸入額も2兆9812億円と過去最大だった。
輸出額は前年同月比10.1%増の5兆7676億円。輸出額の伸び率が輸入額の伸びを上回るのは12年5月以来1年ぶり。米国向けの自動車や灯油、中国向けではペットボトルの原料となる有機化合物などが伸びた。輸出額増は3カ月連続だが円安の影響が大きく、輸出数量は4.8%減と12カ月連続のマイナス。ただし、2月は15.8%減、3月は9.8%減、4月は5.3%減と落ち込み幅の縮小は続いている。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=99円27銭で、前年同月比23.4%の円安だった。
地域別に見ると、米国向け輸出は1兆413億円と前年同月比16.3%増。5カ月連続で増えた。対米国の貿易黒字も26.3%増の4271億円で5カ月連続で増加。一方、中国との貿易収支は、過去最大となった輸入額が響き、4100億円の赤字。15カ月連続の赤字だった。欧州景気低迷の影響で欧州連合(EU)向け輸出は4.9%減の5291億円で、20カ月連続で減少。これに伴い対EUの貿易収支は887億円の赤字だった。
財務省は貿易収支の今後の見通しについて「輸出数量の対前年同月のマイナスは減ってきてはいる」と指摘。ただし「円安の傾向はみられるが、依然として海外景気の下振れにも留意する必要や燃料価格の動向もあり、確たることを言うのは難しい」(関税局)としている。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。最後の「確たることを言うのは難しい」などはまさにその通りという気がします。もっとも、先月も同じ趣旨のコメントだったと記憶しています。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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輸出入についてはほぼ同じようなテンポで増加しています。下の季節調整済みの系列を見れば同じような傾きで増加しているのが明らかだと思います。また、直感的には分かりにくいんですが、5月の統計については上のグラフの季節調整していない原系列の前年同月比で見ても、輸出も輸入も貿易収支も大雑把に+10%増となっています。貿易収支については、昨年11-12月以来の円高修正の輸出数量押上げ効果が2-3四半期遅れで現れることから、今年年央以降は貿易赤字幅の縮小が本格化するものと私は見込んでいます。しかし、貿易収支が黒字に戻るかどうかは不透明です。円レートにもよりますが、1ドル100円を上回る円安水準であれば、貿易黒字に戻りそうな気がしますが、何ともいえません。

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目を輸出に転じると、上のグラフの通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同月比を価格と数量で寄与度分解しており、下のパネルは輸出数量指数とOECD先行指標の前年同月比を重ねてプロットしています。ただし、OECD先行指標には1か月だけリードを取っています。現時点では、輸出数量のマイナス幅が縮小している段階ですが、Jカーブ効果の時期を過ぎれば、為替の円高是正と海外経済の拡大に伴って、今後は輸出の着実な増加が期待できると私は受け止めています。円高修正の輸出への効果は、まず、価格に現れています。数量の減少幅がかなり縮小した一方で、価格は上昇し、かけあわせた輸出金額は前年同月比で見てプラスに転じています。OECD先行指数はすでに前年同月比でプラスに転じており、世界的に見て中国は別にしても日本製品への需要は高まっている可能性が高いと受け止めています。

輸出が持ち直すとなれば、貿易収支の観点からは輸入の増加がどこまで続くのかということになります。エネルギーの国際商品市況もほぼ落ち着きを取り戻し、原発の規制基準が決まって7月8日から施行され、原子力規制委員会が原発再開をどのように判断するかにもよります。原発再開に関する技術的な事項について、誠に残念ながら、専門外の私にはよく分かりません。

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2013年6月18日 (火)

基準改定された鉱工業生産指数で景気判断は変更されるのか?

本日、経済産業省から2010年基準に基準改定された鉱工業生産指数の4月確報が公表されました。しかし、データを格納したファイルに誤りがあったそうで、夜の10時時点でダウンロード出来ません。取りあえず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産指数、前月比0.9%上昇 4月確報
経済産業省が18日発表した4月の鉱工業生産指数確報(2010年=100、季節調整値)は95.9と前月に比べて0.9%上昇した。輸出が回復してきた自動車を中心とした輸送機械工業や、電子部品・デバイス工業が増産となった。今回の確報値から基準年を従来の05年から10年に改定した。4月の上昇率は旧基準の速報と比べると0.8ポイント下がった。
新基準を採用した確報値では、生産指数は4月まで3カ月連続の上昇。出荷指数は旧基準の速報では4月に前月比1.1%の上昇だったが、確報では1.4%の低下と2カ月続けて下がった。
経産省は基準改定後の確報値について、「速報段階と比べて、生産の傾向に大きな変化は生じていない」としている。

ひとまず、新旧の基準年に応じた鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。これまで通り、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。なお、2010年基準指数はそのままですが、2005年基準指数は2010年=100となるように私の方で試算しています。もちろん、いずれも季節調整済みの系列です。詳細なデータ・ファイルをダウンロード出来ないので、取りあえず、1週間前の6月11日に事前公表されたデータ今日発表分をつなぎ合わせてグラフを作成しています。事前公表データも誤りがあった模様ですが、在庫のデータであろうと認識していますので、グラフの生産データは関係ないのではないかと考えています。

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基準改定と季節調整替えによる注目点は、昨年のミニ・リセッションが鉱工業生産指数ではどのように改定されたかなんですが、私は微妙なところだと受け止めています。例えば、第一生命経済研究所のリポートのように、景気後退の判断は変わらないとする見方も可能ですが、上のグラフを見ても分かるように、2012年1-3月期の山はまあいいとして、10-12月期の谷が微妙です。2005年基準指数だとかなり明瞭なんですが、2010年基準指数だとダラダラと底ばいした後、回復が明瞭ではありません。私の直感として、2012年は踊り場ではなく景気後退だった可能性の方が依然として高いものの、それでも、2012年は踊り場だったと同定される可能性が以前に比べてやや高まった、と受け止めています。

もちろん、景気判断は鉱工業生産指数だけに基づいてなされるものではありません。全体として、基準改定された鉱工業生産指数に基づいて景気動向指数(CI)がどのようになるかを見極める必要があります。6月20日の景気動向指数の発表を待ちたいと思います。

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2013年6月17日 (月)

県民経済計算に見る所得格差やいかに?

とっても古い情報を今ごろなんですが、3週間ほど前の5月29日に内閣府から2010年度の県民経済計算の結果が発表されています。平均的な1人当たり県民所得で見て、2010年度はやや格差が縮小したようです。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10年度の県民所得1.3%増 内閣府、格差は縮小
内閣府が29日発表した2010年度の県民経済計算によると、各都道府県の1人あたり県民所得は平均287万7千円と前年度に比べて1.3%増えた。08年のリーマン・ショックによる景気の落ち込みが持ち直し、製造業などの回復が所得を押し上げた。
1人あたりの県民所得が最も多い東京都は430万6000円で、前年度比で2.0%減った。東京に多い金融や保険業の回復が遅れたため。最下位は沖縄県の202万5000円。
都道府県ごとの県民所得にどれだけの差があるかを示す「変動係数」は13.5%と5年連続で下がった。東京の所得が下がる一方、39県は前年より所得が増え、格差は縮まった。
都道府県別の名目県内総生産を米ドルに換算すると、最多の東京都は1兆635億ドルと、韓国(1兆145億ドル)を上回る規模を保った。

まず、47都道府県とその平均の1人当たり県民所得を大きな順から descending に並べたグラフは以下の通りです。中位ということであれば石川県が全国23番目なんですが、東京都の大きな数字に引っ張られて、平均より多いのはわずかに8県となっています。直感的には、東京を除く平均は京都と千葉あたりではないかと感じています。もっとも、キチンと計算したわけではありません。

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昨年発表された2009年度の1人当たり県民所得の47県目は高知県となって、沖縄県が久し振りに46県目に順位を上げたんですが、2010年度は再び順位が再逆転しました。なお、改定された2009年度の計数を見ると、やっぱり、沖縄県が47番目となっていたりします。下位には沖縄県をはじめ、北海道・東北や九州、山陰、高知県などが並んでいます。また、上位を見ると、愛知県や神奈川県を抜いて、滋賀県や静岡県が上がったということは、引用した記事にもある通り、製造業の回復が所得を押し上げたと理解すべきなんだろうと受け止めています。なお、上のグラフの格差はあくまで県内の平均的な1人当たり県民所得で各県を比べた結果であり、県内における格差はこの統計からは分かりません。下のグラフも同じです。

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引用した記事にも取り上げられている格差を表わす変動係数のグラフは上の通りです。変動係数は標準偏差を平均で除した無名数のパーセント表示なんですが、上のグラフのために計算した際には、1人当たり県民所得を人口に応じた加重平均ではなく、ウェイトを考慮しない単純平均で求めています。これを見ると、記事にもある通り、2005年度まで拡大した格差はこの2005年度をピークに5年連続で格差が縮小しているように見えます。実は、リーマン・ショック前までの第14循環の景気拡大期では、相対的貧困率で計測して、景気回復・拡大の初期に格差が縮小して、その後、格差は拡大したんですが、1人当たり県民所得では、逆に、第14循環の景気回復・拡大の初期に格差が拡大して、その後、格差が縮小したことが観察されます。相対的貧困率と1人当たり県民所得では真逆の結果となっているわけです。これについて、私の過去の研究成果が解明を試みています。すなわち、第14循環においては、景気回復の当初は非正規労働者の雇用が拡大し始め、相対的貧困率で見た格差が縮小することにつながった一方で、景気回復・拡大の後期には正規職員の雇用拡大が生じて、元に戻る形で格差が拡大した可能性を示唆しています。景気局面によって正規雇用と非正規雇用の拡大テンポが異なることに格差の縮小と拡大の原因がある可能性を示唆しているわけです。これを地域間の格差に当てはめて見ると、景気回復・拡大の初期に非正規比率の高い都市部で所得が増加して格差が拡大し、景気拡大が地方にも波及するにつれて正規職員の比率の高い地方部で所得が増加して格差が縮小する、という結果となり、相対的貧困率と1人当たり県民所得で景気局面によって格差が逆の動きをすることも、正規・非正規の雇用を考慮すれば整合的に理解できます。我が研究成果ながら、いろんな方面に活用できると、今さらながら評価を勝手に引上げています。

地方大学の教員から東京に戻ってサラリーマンに復帰した今となっては統計的な裏付けは出来ませんが、格差を議論する上で雇用の正規・非正規について十分に考慮する必用があることは、当然ながら、指摘しておきたいと思います。

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2013年6月16日 (日)

女房と霊園の見学に出かける

今日は久し振りに女房と夫婦2人でお出かけです。実は、霊園を見学に行きました。私の父親が亡くなったのがちょうど10年前で、もう私も東京に落ち着いてしまって京都に帰ることはないような気がして来て、父親の墓をこちらの方にと思わないでもないですし、しかも、来年4月からは消費税率が8%に引き上げられるのが確実な情勢ですから、ある程度大きなお買い物は早めにとも思って、色んな意味から見学してみました。当然ながらかなり遠いんですが、年に何回も行く所ではないので、片道2-3時間は何でもないような気もします。宗教的には、先祖伝来の浄土真宗本願寺派というのはこだわりがありますが、それ以外の霊園の管理主体などは柔軟対応です。
いろいろと考えて、買うか買わないかも含めて今年中に決断したいと思います。

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2013年6月15日 (土)

好投の能見投手に援護なく楽天に競り負ける!

  HE
阪  神001000000 150
楽  天01100000x 231

夕方4時半過ぎに帰宅すると、早くも8回ウラの攻撃が終わるところで、9回表に得点のチャンスはあったものの、アッという間に試合終了でした。よく分からないながら、3安打2失点の能見投手に援護なく楽天に競り負けました。今日の試合はほとんど見ていなかったので、明日は藤浪投手と田中投手の投合いが楽しみです。

明日の交流戦最後戦こそ、
がんばれタイガース!

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『夢幻花』(PHP) は東野圭吾の最高傑作か?

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昨日に続いて読書感想文のブログなんですが、悪い表現かもしれませんが、「ひと山いくら」の文庫本と違って、今日は我が国を代表する売れっ子作家のひとりである東野圭吾『夢幻花』(PHP) です。人気作家の最新ミステリです。まず、出版社の特設サイトから作品紹介を引用すると以下の通りです。

「黄色いアサガオだけは追いかけるな」
—謎のメッセージが意味するものとは。

独り暮らしをしていた老人・秋山周治が何者かに殺された。遺体の第一発見者は孫娘の梨乃。梨乃は祖父の死後、庭から消えた黄色い花のことが気にかかり、ブログにアップする。ブログを見て近づいてきたのが、警察庁に勤務する蒲生要介。その弟・蒼太と知り合った梨乃は、蒼太とともに、事件の真相と黄色い花の謎解明に向けて動き出す。西荻窪署の刑事・早瀬らも、事件の謎を追うが、そこには別の思いもあった。
「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と著者自らが語る長編ミステリ。

ということで、続いて、同じく出版社の特設サイトから小説における人物相関図を引用すると以下の通りです。

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我が家では、中間試験を終えたおにいちゃんが読み始めて、次に私に回って来ました。ミステリですから一言だけ短く、犯人は意外かどうかを問うたところ、「そうでもない」との回答でした。安心できる回答と受け止めました。どうでもいいことながら、親バカの私の勝手な見方ですが、小説、特にミステリでは私は上の子の評価に一定の信頼を置いており、食べ物については下の子の評価に絶大なる信頼を寄せています。そして、私の評価は、ほぼこの作者の最高傑作に近い、というものです。「ほぼ」がつくのは、第1に、この作者の作品として、私にとっては『白夜行』が捨てがたいからです。読者によって評価は異なる可能性はありますが、堀北真希主演で映画化されてしまっては、私の中では小説と映画のセットで最強の地位を築きつつあります。でも、この作者の出世作である『秘密』はもとより、ガリレオや加賀恭一郎などのシリーズからはこの小説のレベルに匹敵する作品はまだ出ていないと私は認識しています。第2に、人物相関図の右下に小さく出ている早瀬刑事のご家族がエピローグで取り上げられていないからです。文庫本に収録する際に書き加えられることはないと思いますが、画竜点睛を欠く印象は残ります。もっとも、この些細な点を除けば、断片的なエピソードが最終章に向かって極めて有機的につながりあるものと解き明かされ、しかも、社会派的な趣きも大いに含んでおり、切れ味するどい謎解きとともに圧巻のエピローグを迎えます。このあたりの盛上りは圧倒的であり、一気読みした読者も少なくないと想像しています。ミステリとしての殺人事件の謎解きよりも、この黄色いアサガオをめぐる謎や人物相関の方に共感を寄せる読者も多いと思います。
ネタバレにはしたくないんですが、ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』からこの方、秘密裏に一家で持ち続ける伝統、というか、この作品の最終章では「負の遺産」と表現されていますが、そういった秘められた伝統を遂行する小説というのに私は注目しています。万城目学『プリンセス・トヨトミ』なんかもその流れで私は理解していますが、それほど長期に渡り、また、極めて希少な伝統の順守ではなくても、この『夢幻花』のような例も興味深いところです。現実離れしていると考えがちですが、小説なんてそんなもんです。「負の遺産」なのかもしれませんが、それに納得して小学生や中学生のころから一家の秘められたる目的に邁進する特定の人々が、ホントにいるかもしれないと思いつつ、我が家はそんな「負の遺産」であろうと、「正の遺産」であろうと、何もない家庭に生まれ育った有り難さも味わえます。

この作者の作品らしく、反社会的な集団や犯罪者グループのような存在は出て来ませんし、高い遵法精神に基づく適切な倫理観に支えられた作品です。ミステリとしての謎解きも万全で、原子力に対する主人公の考えにもある意味で共感できます。我が家のように、中学生や高校生にも安心して勧められます。繰返しになりますが、この作者の最高傑作と見なして差し支えありません。文句なくオススメの5ツ星です。

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2013年6月14日 (金)

最近読んだ文庫本からスティーヴン・キングの作品と『完全なる首長竜の日』

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最近、何冊か文庫本を読みました。今夜取り上げるのはその中から、まず、上のスティーヴン・キング『1922』『ビッグ・ドライバー』(講談社文庫) です。この2冊とも2話の中編くらいの長さのキング作品を収録しています。『1922』は今年1月刊行で「1922」と「公正な取引」を収めており、『ビッグ・ドライバー』は今年4月の刊行で「ビッグ・ドライバー」と「素晴らしき結婚生活」を収録しています。この4話は原書では Full Dark, No Stars という1冊の本として出版されているところ、日本では2話ずつに分割して刊行されています。「1922」は父子で共謀して妻を殺害した後のどす黒い物語で、特に息子の方が破滅に向かいます。「公正な取引」はやや「猿の手」にも似たストーリーで、悪魔と取引して幸運を引き寄せる一方でライバルがどん底に沈んで行きます。「ビッグ・ドライバー」ではレイプされた女性が復讐を果たすんですが、間違って犯人の兄弟を殺したんではないかと追い詰められて行きます。「素晴らしき結婚生活」では、そうと知らずに連続殺人犯と長らく結婚生活を送って来た妻が、事実を知ってしまった恐怖を描き出しています。実は、2冊とも中間試験を終えた下の子向けに買い求めたんですが、なにぶん、キングのホラー小説ですから私が先に読んでチェックしました。キングの作品らしい読後感の悪さは残りますが、一応、キングの最新作を読んだという充実感も得られると判断しました。ただし、私個人の感想ですが、キングの作品とは、くどいくらいに周辺事情をコト細かに描写した上で、さらにウネウネとアチコチに曲がりくねったストーリー展開であり、決して一直線に事態が進むわけではない、というのがひとつの大きな特徴です。従って、どうしてもページ数の多い超長編になってしまう、と理解しています。そういう意味では、やっぱり、このくらいの長さのキング作品は長編を読み切れない中学生や高校生くらいにはいいけれど、私を含めて本格的なキング作品を求める読者には物足りない可能性がある、といえそうな気がします。

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次に、乾緑郎『完全なる首長竜の日』(宝島文庫) です。2010年第9回の「このミス」大賞受賞作品が昨年文庫本になりました。最近、綾瀬はるか主演で映画化されて封切られ、私の読書意欲を大いにかき立てて図書館で借りました。主人公の和淳美は少女漫画家であり、植物状態の人間と対話できる「SCインターフェース」を通じて、飛降り自殺未遂により意識不明になった弟と対話を続けています。しかし、半分くらい読んだところで、私にはいかにもデニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』のパターンだとネタバレしてしまいました。道尾秀介の『シャドウ』のパターンと受け取る読者もいるかもしれません。なお、表紙に見える通り、あえて記された英語のタイトルは A Perfect Day for Presiosaur なんですが、サリンジャーの "A Perfect Day for Bananafish" に由来することが作品中でも明らかにされています。いずれも自殺にまつわるお話といえます。「このミス」大賞の選考会におけるウワサ話として、最近ではこの『完全なる首長竜の日』と海堂尊『チーム・バチスタの栄光』が満場一致と聞き及びますが、後者が満場一致かつ即決なのは私にも理解出来ますが、この作品は少し疑問が残ります。なお、最新の2012年第11回「このミス」大賞受賞作品である『生存者ゼロ』は今年2013年2月10日のエントリーで取り上げています。『シャッター・アイランド』や『シャドウ』のパターンと分かってしまえば少し評価が落ちますが、むしろ分かっていない方がこの『完全なる首長竜の日』の評価が高そうな気がしないでもありません。

文庫本は単行本よりも遅れて発売され、私なんぞはさらに遅れて図書館で借りて読んでいますが、コンパクトで持運びに便利ですから、ついつい借り過ぎてしまいます。でも、通勤電車の中もさることながら、トレーニングルームでエアロバイクを漕いで汗をダラダラ流しながら読むにはピッタリです。

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2013年6月13日 (木)

木佐貫にゼロに抑えられ、4番中田の2発でメッセンジャー沈む!

  HE
阪  神000000000 020
日本ハム01000011x 381

昨夜と逆のパターンで、日本ハムに完敗です。先発のメッセンジャー投手はよく投げたんですが、日本ハムの若き4番打者中田外野手の2発で沈みました。打っても、木佐貫投手に2安打と抑え込まれて完封負けでした。巨人がオリックスに勝ってセリーグの首位交代です。

交流戦最後の楽天戦は、
がんばれタイガース!

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今年の花粉症の特徴やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、先週6月3日にネットリサート大手のマクロミルから「2013年の花粉症に関する実態調査」の結果が発表されています。一部に信じがたい結果も含まれているんですが、私も軽症ながら毎年のように花粉症に悩まされているものですから、調査結果は興味があります。まず、マクロミルのサイトから調査結果のトピックスを5点引用すると以下の通りです。

トピックス
  • 今年、花粉症を発症したのは45%。昨シーズンの41%から増加
  • 花粉症の主な症状は「鼻水」「くしゃみ」「目のかゆみ」が8割以上、最もつらい症状は「鼻づまり」
  • 発症者の半数が市販薬を利用。病院を利用した人は3割、両方利用した人は16%
  • 花粉症対策商品トップは「マスク」「目薬」「鼻炎薬」「点鼻薬」
  • 花粉症で通院した診療科は「耳鼻科」50%、「内科」40%、「眼科」14%

ということで、今夜のエントリーでは pdf の全文リポートからいくつかグラフを引用してごく簡単に調査結果を紹介したいと思います。

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まず、上の円グラフはリポートから【図1】花粉症発症状況を引用しています。このグラフがにわかには信じがたいんですが、40パーセントを超える日本人が花粉症を発症しているんでしょうか。もちろん、我が家のように4人家族で3人が花粉症持ちであるといった例もありますが、日本人の半数近くが花粉症を発症するのはやや多過ぎる気がしないでもありません。もっとも、去年から今年にかけて、数ポイント発症の割合が高まっていますから、何年か続けてこうなっていると国民の半数近い花粉症持ちがいる、ということになるのかもしれません。もしも、国民の半数近いということであれば、いわゆる「死に至る病」ではないのかもしれませんが、メタボなんかよりももっと力を入れて対策を講じる必要がありそうな気もします。

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続いて、上のグラフはリポートから【図3】花粉症の重篤度を引用しています。私の場合、目のかゆみと鼻づまりはほとんどなく、鼻水とくしゃみ、それに、目のゴロゴロ感ですが、確かに、鼻づまりは鼻水よりも重篤感が強そうな気がします。

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次に、上のグラフはリポートから【図4】市販薬と病院の利用状況を引用しています。私は目薬なんかでごく普通の市販薬を買わないでもありませんが、花粉症の季節はほぼすべて病院の処方薬に頼ります。というのも、私はもともと市販薬ではなく病院に行く方だからです。30年近く前に国家公務員になって京都から東京に出て来て、最初のころの上司が虎の門病院への依存が極めて強い課長で、ちょっとした病気になれば、例えば風邪でもすぐに国家公務員共済の虎の門病院に行くことを推奨していました。当時は医薬分業でもなく、しかも、国家公務員本人であれば虎の門病院では負担なしの時代でした。混んでいるのはどうしようもなかったものの、役所のオフィスからは徒歩圏内ですし、健康保険証代わりの共済組合員証と診察券をもって虎の門病院に行けば、最新鋭の設備で診てもらった上に、薬までちょうだいして、まったく負担なし、という今からは考えられないような時代でしたので、私は市販薬ではなく医者に行って処方薬をもらう、という行動パターンが身についてしまいました。花粉症でも耳鼻科や眼科やアレルギー科などにかかっています。

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最後に、上のグラフはリポートから【図5】花粉症対策購入商品を引用しています。マスクや目薬が多くなっていて、特徴的なのは今年のほうが対策商品を買っている人が少ないことです。今年のシーズンは昨年ほど花粉が飛散しなかったことを象徴しているような気がします。なお、私もマスクは愛用していますが、この6月からは花粉ではなくイネのアレルギーの季節が始まってしまい、人生で初めて点鼻薬を処方してもらいました。毎日1回シュッシュとやっています。

最初にも書きましたが、にわかには信じられないものの、このアンケートの結果に従えば、国民の半数近くが花粉症を発症しています。ここまで立派な「国民病」になったんですから、然るべきお役所でも対策を講じていただきたいものだと思います。

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2013年6月12日 (水)

完璧な試合運びで日本ハムにワンサイドゲームの勝利!

  HE
阪  神103010001 680
日本ハム000010000 170

札幌ドームで日本ハム相手に完勝です。先発のスタンリッジ投手が7回を1失点に抑えて、8-9回は万全のリリーフ陣を繰り出す一方で、打つ方も3番鳥谷遊撃手が先制点、4番マートン選手のスリーランと5番新井選手も長打で中押し、最後は高山選手のホームランでダメ押しと、クリンナップを中心にほぼ完璧な得点で日本ハムを退けました。ほとんど監督の采配なしのワンサイドゲームの勝利で首位をガッチリとキープしました。

明日も、
がんばれタイガース!

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大きく減少した機械受注と上昇を示す企業物価から先行きを考える

本日、内閣府から4月の機械受注統計と日銀から5月の企業物価 (CGPI) がそれぞれ発表されました。電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注は大幅増だった先月の反動で7233億円と3か月振りの前月比減少で▲8.8%減となりましたが、先月発表の4月統計から前年同月比上昇率がプラスに転じている企業物価は5月は+0.6%となりました。まず、いつもの日経新聞のサイトからそれぞれの統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

4月機械受注、前月比8.8%減 石油石炭関連の受注一服
内閣府が12日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比8.8%減の7233億円だった。マイナスは3カ月ぶり。石油や石炭関連の受注が大きな伸びに寄与した3月の反動で、4月は大幅な減少率になった。
減少率は比較可能な2005年4月以降で09年1月(11.9%減)、06年1月(9.1%減)に次いで3番目の大きさだった。QUICKが11日時点でまとめた民間予測の中央値(8.4%減)も下回ったが、基調判断は3月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。内閣府は「7000億円台は維持しており水準としては低くない」とみている。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は7.3%減の2862億円と3カ月ぶりに減少した。3月は石油製品・石炭製品業界からの船舶、自動車業界からのコンピューターといった分野で受注が伸びたが、4月に入って一服した。一方、電気機械業界からの半導体製造装置の受注は伸びた。
船舶・電力を除いた非製造業からの受注額は6.0%減の4472億円と3カ月ぶりのマイナス。運輸・郵便業界からの鉄道車両や、金融・保険業界からのコンピューターの受注減が響いた。
5月に発表した船舶・電力除く民需の4-6月期の受注額見通しは1.5%減。3カ月ぶりにマイナスに転じた4月の結果を踏まえても5月と6月がそれぞれ前月比で2.3%減にとどまれば見通しは達成できる。内閣府は「設備投資のマインドは好転している」とみている。
企業物価上昇率、1年5カ月ぶりの伸び 5月前年比0.6%上昇
日銀が12日発表した5月の国内企業物価指数(2010年=100、速報値)は101.6と、前年同月比0.6%上昇した。上昇率は前月から0.5ポイント拡大し、2011年12月以来1年5カ月ぶりの高い伸びとなった。円安進行で円に換算した価格が上昇しているほか、電力料金の値上げなどが響いた。
企業物価指数は出荷や卸売り段階で企業間が取引する製品の価格水準を示す。前月比でも0.1%上昇し、6カ月連続のプラスとなった。原油や液化天然ガス(LNG)価格の高止まりをきっかけにした企業向けの電力料金の値上げが押し上げた。また円安が企業物価全般を押し上げているほか、海外の需要増を受けて銅地金など非鉄金属も上昇した。
円ベースでの輸出物価は前年比13.5%上昇、輸入物価も14.2%上昇した。前年比で上昇した品目は311、下落した品目は401だった。
一方で、契約通貨ベースでは輸出入ともに下落している。輸出物価は2.3%下がり、輸入物価は4.5%下落した。国際商品市場での原油安などを反映して石油・石炭価格が下がっているほか、中国の景気先行き懸念を背景に化学製品の需要が悪化したほか、金属価格の下落が影響した。

いつもながら、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。

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季節調整済みの前月比では市場の事前コンセンサスも下回って大幅な減少を示したコア機械受注ですが、水準として7000億円レベルをキープしていることなどから、基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」で据え置かれました。先行きまで含めて考えれば、私も決して悲観的に見る数字ではないと受け止めています。昨日発表された法人企業景気予測調査でも設備投資に対するマインドはかなり改善を示しており、日銀短観も待ちたいところだというのは分かる気がします。もともとが単月での振れの激しい統計ですから、引用した記事にもあるように、「過去3番目の減少率」も大きなサプライズではなかったかもしれません。

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次に、企業物価上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内と輸出入、サービスの物価上昇率です、サービスだけ2005年基準であるほかは、2010年基準です。下のパネルは需要段階別の素原材料、中間財、最終財の上昇率です。いずれも前年同月比の上昇率であり、折れ線グラフの色分けは凡例にある通りです。前月からの上昇の寄与が大きい品目は、電力、化学品、非鉄金属、鉄鋼などですが、逆に、石油・石炭製品は下がっています。また、下のパネルに見る通り、素原材料や中間財が前年同月比で上昇に転じている一方で、国内品の最終財はまだ水面下でマイナスを続けています。輸出入の貿易財の価格については、引用した記事にもある通り、契約通貨建てでは引き続き下落しているものの、円高修正に伴って、円建て価格では大きな上昇を示しています。その昔の卸売物価から消費者物価への波及ほど単純ではなくなりましたが、一定のラグを伴って、ある程度はこの企業物価の上昇が消費者物価にも波及するものと考えられます。物価上昇を目指した現政権に国民の支持があるわけですから、デフレ脱却に向けたひとつの価格の動きであると理解するべきです。

昨日までの日銀金融政策決定会合では特段の追加緩和策は見られませんでしたが、引き続き金利が低位で安定を続けると仮定すれば、企業マインドが改善を示し物価が先行き上昇するのは設備投資には追い風です。私は政府の成長戦略には懐疑的で、民間企業のイノベーションを重視する見方をしていますが、いずれにせよ、イノベーションを体化するのは設備投資です。先行きに注目したいと思います。

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2013年6月11日 (火)

法人企業景気予測調査に見る企業マインドは大きく改善を示す

本日、財務省から法人企業景気予測調査の4-6月期 BSI が発表されました。ヘッドラインとなる大企業景況判断 BSI は1-3月期の+1.0の後、4-6月期+5.9となり、先行き見通しは翌7-9月期の+14.0まで上昇した後、翌々10-12月期には+11.5とやや下降すると見込まれています。まず、とても長くなりますが、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4-6月期大企業景況感、7四半期ぶり高水準 製造業で大幅改善
内閣府と財務省が11日発表した4-6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を表す全産業の景況判断指数はプラス5.9となり、1-3月期のプラス1.0から大きく改善した。プラスは2期連続で、東日本大震災の反動で大きく伸びた2011年7-9月期のプラス6.6以来、7四半期ぶりの高い水準となった。円安が進んだことや国内需要の持ち直しを受け、大企業の景況感は製造業、非製造業ともに改善した。
調査基準日は5月15日で、日経平均株価が1100円を超えて下落した5月23日より前となる。指数は自社の景況が前の期と比べて「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を差し引いて算出するが、株価の調整局面を受けた回答は含んでいない。
大企業製造業の4-6月期の景況感はプラス5.0と、1-3月期のマイナス4.6から一転し3期ぶりのプラスだった。後発医薬品をはじめとする化学工業や、スマートフォンなど情報通信機械器具などで景況感が上向いた。プラスだった自動車はマイナスに転じ、景況感改善は一服した。
非製造業も景況感はプラス6.4で、1-3月期のプラス4.0を上回った。プラスは2期連続。調査時点までの株価上昇期待などを背景に国内消費が持ち直し、サービス業が上向いたほか、株式取引の活況で証券会社など金融・保険業で改善した。
1-3月期以降さらに進んだ円安は評価されている。製造業で円安進行を景況判断の改善要因ととらえる企業数は、原材料上昇などのマイナス要因と考える企業数を上回った。
先行きも一段の改善を見込んでいる。大企業全産業の7-9月期見通しはプラス14.0。前回3月発表時点に見込んでいたプラス9.0を上回った。今回初めて公表する10-12月期はプラス11.5を見込む。
2013年度の設備投資計画(ソフトウエア含む)は、全産業で前年度比7.2%増を見込む。上期は17.5%増だが、下期は1.0%減で、年度後半の新規投資には慎重な姿もうかがえるが、3月発表時点の見通しと比べ、上期、下期ともに改善した。製造業の設備投資は5.8%増。3月発表時点では減少と見込んでいた下期の設備投資が今回プラスに転じた。
調査は資本金1000万円以上の約1万6千社を対象に実施し、回答率は79.3%だった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。下のグラフは法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の BSI、すなわち、「貴社の景況」と「国内の景況」をプロットしています。やや色を薄くしてあるのは先行き見通しです。影をつけた景気後退期の景気日付については月次データと同じで、昨年1-3月期が景気の山、10-12月期が谷だったと仮置きしています。なお、来週6月18日に鉱工業生産指数の基準改定の結果が明らかにされ、同時に季節調整の改定がなされて、結果的に景気後退ではなく踊り場と判断を変更する可能性があり得るとウワサされています。ついでながら、ご参考まで。

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必ずしも上のグラフに盛り込み切れなかった情報も含めて、今回の統計の特徴としては以下の3点を上げることが出来ると私は考えています。第1に、当然ながら、企業マインドが改善を示していることです。年央に頭打ちとなる可能性は残されているものの、業況感は高い水準で推移しそうです。加えて、雇用の不足感が特に非製造業で広がりつつあります。設備の過剰感はまだ払拭されるに至っていませんが、引用した記事にもある通り、全産業の設備投資見通しは前年度比で見て、前回調査の▲6.5%減から+7.2%増に大きく上方改定されています。もちろん、売上も利益も増加すると見込む企業の比率が高まっています。第2に、業況判断 BSI を企業規模別に詳しく見ると、大企業では年央をピークに年末にかけて少し低下する可能性が示唆されている一方で、中堅企業・中小企業では大企業に少し遅れる形で年末まで上昇を続けると見込まれていることです。もちろん、その後は大企業と同じように年明け以降は景況感が低下する可能性は十分に残されているものの、大企業で高まった企業マインドが中堅企業や中小企業に波及しつつあることが確認できます。第3に、それまでほぼ一貫してマイナスを続けていた販売価格判断 BSI が上昇超過に転じたことです。期待インフレ率のデータとしては精度に欠けることはなはだしいと思いますが、企業活動から得られるマインドとして販売価格を上げやすくなっている可能性が指摘できます。デフレ脱却に向けた望ましい兆候といえます。もちろん、大きな留保条件がつくのは、引用した記事にもある通り、調査基準日が株価の大きな下落のあった5月23日よりほぼ1週間前の5月15日だったことであり、株価などのマーケットの影響は何ともいえませんが、6月調査の日銀短観で明らかになる部分も少なくないと受け止めています。

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誠についでながら、企業景気予測調査を離れると、昨日、経済協力開発機構 (OECD) から先行指数 OECD/CLI が発表されています。上の画像はその総括表ですが、今週末からのG8サミット参加国のうち、"growth firming" と判定されているのは日米両国だけだったりします。ただし、日本の景気の谷はまだ付けられていません。

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2013年6月10日 (月)

1-3月期GDP速報2次QEはわずかに上方改定され、景気ウォッチャーは低下したものの高水準で消費者態度指数は上昇

本日、内閣府から1-3月期GDP速報の2次QEが発表されました。季節調整済みの前期比成長率は+1.0%となり、1次QEの+0.9%からわずかに上方改定されています。また、マインド指標の景気ウォッチャー消費者態度指数も内閣府から公表されています。どちらも5月の統計です。まず、GDPの2次QEについて統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1-3月期実質GDP改定値、年率4.1%増に上方修正
内閣府が10日発表した1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増だった。5月16日発表の速報値(0.9%増)から上方修正され、2四半期連続のプラス成長。年率換算では4.1%増(速報値は3.5%増)だった。速報値の発表後に明らかになった法人企業統計などを反映した。公共投資が下振れた一方で設備投資が改善した。
1-3月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資は0.3%減(速報値は0.7%減)に上方修正された。自動車などの仕掛かり品在庫の増加を加味した結果、民間の在庫寄与度はマイナス0.0ポイント(速報値はマイナス0.2ポイント)にマイナス幅が縮小した。
3月分の実績を加味した公共投資は0.4%増(同0.8%増)に下方修正。補正予算の成立が遅れた影響で3月に端境期が生じた。
個人消費は0.9%増、住宅投資は1.9%増で速報値と同じだった。
生活実感に近い名目GDPは0.6%増(速報値は0.4%増)、年率で2.2%増(同1.5%増)と増加率が拡大した。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期比マイナス1.1%(同マイナス1.2%)だった。
併せて発表した2012年度の実質GDPは11年度比1.2%増、名目GDPは0.3%増と速報値から変わらなかった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。今回から、アベノミクスの政策論議で注目されている国民総所得 (GNI) をテーブルに入れました。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2012/
1-3
2012/
4-6
2012/
7-9
2012/
10-12
2013/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+1.2▲0.2▲0.9▲0.3+0.9+1.0
民間消費+0.8+0.2▲0.4+0.4+0.9+0.9
民間住宅▲1.5+2.3+1.5+3.5+1.9+1.9
民間設備▲2.5▲0.2▲3.3▲1.5▲0.7▲0.3
民間在庫 *+0.4▲0.3+0.1▲0.1▲0.0▲0.0
公的需要+2.5+1.3+0.9+1.0+0.6+0.4
内需寄与度 *+1.1+0.1▲0.3+0.4+0.5+0.6
外需寄与度 *+0.1▲0.3▲0.6▲0.1+0.4+0.4
輸出+2.7▲0.0▲4.4▲2.9+3.8+3.8
輸入+2.0+1.8▲0.3▲2.2+1.0+1.0
国内総所得 (GDI)+0.9▲0.0▲0.7+0.4+0.4+0.6
国民総所得 (GNI)+0.9+0.2▲0.7+0.4+0.4+0.6
名目GDP+1.1▲0.5▲1.1+0.2+0.4+0.6
雇用者報酬▲0.1▲0.2+0.6▲0.4+0.5+0.6
GDPデフレータ▲1.0▲1.0▲0.8▲0.7▲1.2▲1.1
内需デフレータ▲0.2▲0.7▲1.0▲0.8▲0.9▲0.8

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1-3月期2次QEの最新データでは、前期比成長率がプラスであり、赤い棒グラフの消費と黒の外需などが成長を押し上げているのが見て取れます。マイナスの寄与は民間設備投資や在庫がそうなんですが、ほぼゼロですのでこのグラフでは読み取れません。

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ほぼ予想通り、1次QEからの小幅修正で、特段、コメントする内容もないんですが、政策対応として2点だけ短く指摘しておきたいと思います。まず、第1に今日から始まった日銀金融政策決定会合ですが、5月下旬からのマーケットの乱高下がかなり落ち着いたこともあり、加えて、この2次QEを見る限り、少なくとも追加的な金融緩和はなさそうだと受け止めています。マーケットの動揺を抑えるスムージング効果ある何らかの政策対応は否定しませんが、景気浮揚のための追加金融緩和はないと考えるべきです。第2に消費税率引上げは予定通り実施される可能性が高まったと考えられます。先行きを考えても、4-6月期はやや成長率が低下する可能性は残りますが、潜在成長率を超えるという意味での高めの成長が続き、さらに、来年2014年1-3月期までこういった比較的高い成長率が継続すると見込まれますので、今秋の消費税率引上げに関する議論は問題なくパスだと思います。

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景気ウォッチャーと消費者態度指数のグラフは上の通りです。景気ウォッチャーは少し低下したものの高い水準を保っており、消費者態度指数は上昇しています。また、経常収支を含む4月の国際収支も財務省から発表されているんですが、今夜は遅くなりましたので割愛します。

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2013年6月 9日 (日)

劇的なマートンの逆転サヨナラ弾で再びセリーグ首位!

  HE
ロ ッ テ001002000 3152
阪  神100001002x 4111

阪神とロッテの甲子園対決第2戦は交流戦終盤の日程に余裕がある中で、野手も投手も惜しげなくつぎ込む総力戦になりましたが、最後はまたもやマートン選手の逆転サヨナラ弾でロッテには負けなしの阪神勝利です。先発藤浪投手は6回途中まで12安打3失点と出来はよくなかったんですが、開幕直後のヤクルト戦で負けてから不思議と敗戦がつきません。何か持っているんでしょう。なお、巨人が楽天に負けていますので、再び阪神がセリーグ首位に立ちました。

次の札幌ドームの日本ハム戦も、
がんばれタイガース!

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高齢化社会における体力つくりと健康

どうでもいい私事ながら、先日、25年近く前、私がまだ係長だったころに局長としてお仕えした役所のOBの方にお会いする機会がありました。その後、次官級の審議官をされた後に退官して、今は完全な名誉職なんですが、私が所属する学会のうちのひとつの副会長をされており、その学会の研究会でお会いしました。
私がお仕えした時の何かの折りに、昭和9年の1934年生まれだと聞いたことがありますから、その後、生年が変わるわけもないので、もうすぐ80歳だと思います。局長のころから皇居1周のジョギングを週に2-3回はこなしておられたと記憶しており、それなりに体力つくりには余念ない方でしたが、今でも矍鑠として80歳に近いとはとても見えませんでした。昔からの下町のべらんめえ口調で歯切れよくしゃべり、さすがに頭髪は真っ白でしたが、目も口も足も60代と変わりないようにお見受けしました。
私は役所のジョギング・クラブの幽霊会員だったことがあり、Tシャツなんぞも買ったりしたんですが、30年近く国家公務員をしていて霞ヶ関にも長らく勤務しながら、実は、皇居1周ジョギングは1度もしたことがありません。最近は、もっぱら自転車とプールなんですが、改めて、実例に接して高齢化社会における体力つくりの重要性を認識させられた気がします。私も可能な範囲でがんばりたいと思います。

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2013年6月 8日 (土)

左腕のエース対決は新井兄のツーランを守って能見投手が完投勝ち!

  HE
ロ ッ テ001000000 131
阪  神00020100x 360

阪神とロッテの甲子園対決第1戦はサウスポーのエース対決でした。譲らない投手戦でしたが、ともに喫した1本のホームランがソロとツーランの違いで能見投手に軍配が上がりました。能見投手は先週の完封に続いて、今日の試合も3安打1失点の完投勝ち、素晴らしいピッチングでした。打つ方はさすがに成瀬投手から大量点は奪えませんでしたが、1000打点を記録する弾丸ライナーの新井選手のツーランとゲッツー崩れの計3点で能見投手には十分でした。

明日のロッテ戦も、
がんばれタイガース!

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雇用者+175千人増、失業率0.1ポイント悪化の米国雇用統計をどう見るべきか?

日本時間の昨夜、米国の労働省から5月の米国雇用統計が発表されました。米国におけるマクロの景気動向を探る上で、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) も金融政策運営の観点から重視している経済指標です。統計のヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は季節調整済みの系列で前月から+175千人増加した一方で、失業率は労働市場への参入が増加して前月から0.1ポイント悪化して7.6パーセントとなりました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の2パラだけ引用すると以下の通りです。

Middling Jobs Gain Signals a Long Path to Healthy Payrolls
American employers added 175,000 jobs in May, almost exactly the average monthly job growth over the last year, the Labor Department reported Friday, while the unemployment rate ticked up to 7.6 percent from 7.5 percent in April.
Economists were relieved that the numbers weren't worse, given a string of other disappointing data in recent weeks, but noted that recent job trends are nowhere close to bringing the country back to full employment. At the current pace of job and population growth, it would take nearly five years to get the economy back to the low unemployment rate it enjoyed when the recession officially began in December 2007.

続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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+175千人増というのはかなり微妙な数字だという気がします。景気拡大の必要条件のひとつの目安とされる100千人増を十分に超えていますので、基本的には米国の雇用は堅調と考えてよさそうなんですが、失業率が着実に低下するのに必要といわれている+200千人増には達しません。市場の事前コンセンサスは100千人台半ばでしたので、これは少し超えました。他方で、雇用が堅調だと FED の金融緩和の出口が近づくのではないかとの観測が強まる可能性も否定出来ません。ただし、物価と雇用のデュアル・マンデートを有する FED が目安とする失業率にはまだ達していません。もちろん、5月の失業率上昇は景気回復下での労働市場への新規参入の増加に起因しているわけで、決して雇用の悪化と見なすべきではありませんが、それでも、失業率が低下するペースが鈍くて、FED の目標になかなか届きそうにないのも事実です。マーケットでは雇用は力強さに欠け FED の金融緩和の出口が遠のいた、と解釈されているようですが、かなり微妙なことも確かです。何かのきっかけで逆転する可能性を秘めているといえます。

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米国の雇用について手放しで堅調といい切れないもうひとつの要素は、雇用・人口比率がサッパリ上がらないことです。日本のように高齢化がとてつもないスピードで進行している国であれば、高齢化に伴って労働市場から退出する人が多いわけですから、雇用者の比率が停滞ないし減少する可能性も十分にありますが、移民人口が決して少なくなく、人口がそれなりに増加を続けている米国では、まだ高齢化がそれほどのスピードでは進んでいませんから、デモグラフィックな要因よりは景気要因なんだろうと私は考えています。

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最後に、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつける可能性は小さそうに見えます。

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2013年6月 7日 (金)

景気動向指数とESPフォーキャストから何を読み取るか?

本日、内閣府から4月の景気動向指数が発表されました。CI一致指数は94.8、同じく先行指数は99.3とさらに上昇しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月の景気一致指数、3カ月連続プラス 自動車生産が増加
内閣府が7日発表した4月の景気動向指数(CI、2005年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が1.0ポイント上昇の94.8と、3カ月連続でプラスだった。国内外での堅調な需要を背景に自動車の生産が伸びたことなどが寄与した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を前月までの「下げ止まり」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.3ポイント上昇の99.3と5カ月連続のプラスだった。好調な販売を受けて自動車の在庫が減少したほか、日銀の大胆な金融緩和の発表を背景に東証株価指数(TOPIX)が上昇した。
一方、景気に数カ月遅れる遅行指数は1.0ポイント低下の86.8だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が90.0、先行指数が77.8だった。

相変わらず、とてもよくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。

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ということで、5月下旬からの為替相場や株価の変調が織り込まれる前ですので、完全に「過去の数字」と私は受け止めています。4月末からゴールデンウィークくらいまでは景気はよかった、という統計であって、それ以上ではありません。少なくともCI一致指数はいわゆる過去の数字です。他方、先行指数はその名の通りまだ先行きが明るいことも確かです。ただし、上のグラフで見て、相変わらず、CI先行指数の傾きが一致指数よりも大きくて、先月も書きましたが、この先、水準はともかくCI一致指数が大きく伸びる形でCI先行指数との傾きの乖離が縮小すれば景気は期待先行から実体経済に波及したと見なすべきですが、現時点ではまだその段階には達していないと私は考えています。また、4月のCI一致指数に対する寄与度を見ると、耐久消費財がもっとも大きなプラスの寄与を示している一方で、輸送機械を除く資本財出荷がもっとも大きなマイナスの寄与度を記録しており、堅調な家計部門と慎重な企業部門の対比をなしていて興味深く受け止めています。

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次に、昨日、日本経済研究センターから「ESPフォーキャスト調査」の結果も発表されています。上のグラフの通りですが、成長率と消費者物価上昇率のグラフを引用しています。今日発表されたのは6月調査結果であり、回答期間は5月23-30日です。すなわち、5月下旬からの為替相場や株価の変調が織り込まれています。その上で、株価波乱を経ても2013年度の円相場・株価予測は円安・株高方向での修正が進むとの見方がおおむね支持されています。また、消費者物価上昇率については、2015年度の消費者物価上昇率は1.0%に上昇したものの、特別調査として聞いた「2%・2年」という日銀の物価目標が達成できるかどうかという問には「できると思う人」はわずかに1名、「できないと思う人」が33名、「どちらとも言えない」が6名という結果でした。私にもしも質問されると仮定すると、最後の「どちらとも言えない」と回答するような気がします。

今日の夜に米国雇用統計が発表され市場関係者の注目を集めています。もっとも、来週月曜日発表の我が国の1-3月期GDP統計2次QEの注目度はかなり落ちるように感じています。

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2013年6月 6日 (木)

侍ジャパンのクローザー牧田投手からマートン選手のホームランで連夜のサヨナラ勝ち!

  HE
西  武000100000 181
阪  神100000001x 270

WBC3連覇こそ逃したものの、侍ジャパンのクローザーを務めた西武の牧田投手から勝ち星です。マートン外野手のホームランで連夜のサヨナラ勝ちでした。先発のメッセンジャー投手も浅村選手の渋いホームランを別にすれば7回1失点とよく投げ、いつもの通り、リリーフ陣は万全です。3番鳥谷遊撃手が先制点を叩き出し、4番マートン外野手のサヨナラ・ホームランで締めてくれました。このままジャイアンツが負ければ再びセリーグの首位かもしれません。

次のロッテ戦も、
がんばれタイガース!

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来週月曜日に発表される1-3月期GDP速報2次QEは1次QEから小幅改定か?

来週月曜日の6月10日に今年2013年1-3月期GDP速報2次QEが内閣府より発表されます。6月3日発表の法人企業統計で必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ウェブ上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で4-6月期以降の景気の先行きに関する部分を中心に取っているつもりです。先行きに記述ない場合は、何分、2次QEですから1-2行でアッサリと済ませました。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.9%
(+3.5%)
n.a.
日本総研+0.9%
(+3.6%)
ほぼ変わらない見込み。
大和総研+0.9%
(+3.6%)
1次速報からわずかに上方修正される見通しである。
みずほ総研+0.9%
(+3.5%)
4-6月期は緊急経済対策で追加された公共事業の執行が本格化し、公共投資が増加に転じるとみられる。また、円安の数量面への効果が徐々に表れ、輸出は増加を維持する見通しである。消費者マインドの改善に後押しされ、個人消費も緩やかな拡大が続くと予想される。設備投資の回復はやや遅れるものの、公的需要の伸びが高まり輸出と個人消費が増加を維持することにより、4-6月期の実質GDPは年率+2∼+3%台の成長になると予測している。
ニッセイ基礎研+0.8%
(+3.3%)
1次速報の前期比0.9%(年率3.5%)から若干下方修正されると予想する。
第一生命経済研+0.9%
(+3.6%)
4-6月期の成長率も前期比年率+3%を上回ると予想している。個人消費は1-3月期の高い伸びから鈍化が予想される一方、1-3月期はぱっとしなかった設備投資が企業収益の増加や企業マインドの改善を受けて持ち直す見込みだ。公共投資も、補正予算効果から大幅に増加するだろう。円安効果による輸出の増加も期待されるところだ。1-3月期の高成長は株高を背景とした個人消費の高い伸びに支えられた面が大きかったが、4-6月期については、出遅れていた設備投資、公共投資が増加することで、バランスが取れた高成長になる可能性が高い。
伊藤忠経済研+0.8%
(+3.4%)
下方修正ではあるが、1-3月期が高成長を記録したことは揺るがず、日本経済が2012年末に下げ止まり、2013年1-3月期から持ち直しへ転じたとの景気認識にも変更はない。円安を受けた輸出回復と、2012年度補正予算の執行による公共投資増加、消費税率引き上げ前の駆け込み需要などを受けて、4-6月期も景気回復の動きが継続する見込みである。当社では、現時点で4-6月期を前期比0.7%、年率2.9%と予想している。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+0.9%
(+3.8%)
1次速報値に比べ小幅上方修正されると予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+1.0%
(+4.1%)
若干上方修正される見込みであるが、景気に対しての見方には変化が出ないであろう。
三菱総研+0.9%
(+3.5%)
1次速報値から変化なしと予測する。

ということで、大雑把なエコノミストのコンセンサスとして、1-3月期の2次QEは1次QEの前期比+0.9%、前期比年率+3.5%成長から大きな修正はなく、年率換算で+3%台半ばからひょっとしたら4%くらいの間であり、先行き4-6月期も年率で2-3%くらいの順調な成長が続き、しかも、1-3月期のようにアベノミクスへの期待で膨らんだ消費者マインドに起因する個人消費に偏った成長から、設備投資は少し遅れる可能性が残るものの、公共投資の増加などを含めて、よりバランスのとれた成長が実現される可能性が高い、というものだと受け止めています。私も含めて、多くのエコノミストの景気認識に変更をもたらすような内容ではないと考えられます。最後に、一例として、みずほ総研のリポートから需要項目別の2次QE予想のグラフを引用すると以下の通りです。

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2013年6月 5日 (水)

世界経済フォーラム東アジア会議がミャンマーで始まる

いわゆるダボス会議を主催する World Economic Forum がミャンマーで本日から World Economic Forum on East Asia 2013 という国際会議を開始しています。まったく手抜きの記事ですが、Pricewaterhouse Coopers によって準備された Knowledge Concierge のサイトから経済に関するイシューの画像を単純に引用して並べると以下の通りです。

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今日は帰りが遅くなりましたので、これでおしまいにします。

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2013年6月 4日 (火)

毎月勤労統計と法人企業統計から雇用と設備投資の先行きを考える

本日、厚生労働省から4月の毎月勤労統計調査の結果が発表されています。また、昨夜のエントリーの最後で軽く触れたように、昨日、財務省から1-3月期の法人企業統計が発表されています。まず、毎月勤労統計のヘッドラインについて日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の製造業残業時間、前月比2.7%増 自動車生産持ち直し反映
厚生労働省が4日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、足元の景気動向を示す製造業の残業時間などの所定外労働時間(季節調整値)は前月比2.7%増だった。プラスは5カ月連続。自動車などの生産の持ち直しを反映した。
前年同月と比べた製造業の残業時間は1.3%減の15.0時間で9カ月連続のマイナスだが、減少率は縮小傾向にある。なかでも自動車などの輸送用機械は4.1%増え、9カ月ぶりに前年を上回った。北米や国内向けの自動車の増産を受け、従業員の残業時間も伸びたとみられる。
全産業の従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比0.3%増の27万3427円で、3カ月ぶりにプラスへ転じた。基本給や家族手当などの所定内給与は前年と同水準だったが、残業代などの所定外給与やボーナスなど特別に支払われた給与が9.7%増となったことが寄与した。

というわけで、いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。まず、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、昨年2012年3月を直近の景気の山、2013年11月を谷と仮置きしています。

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5月下旬から、金融市場では株価が下落したり、長期金利が上昇したりと、いわゆるアベノミクスの「副作用」や「弊害」が報じられましたが、少なくとも4月統計までは毎月勤労統計にも示されている通り、順調な景気回復を示しています。上のパネルの通り、円高修正に伴って製造業の所定外労働時間は増加し、下のパネルに見るように、昨年2012年から低下傾向にあった賃金、特に所定内賃金も下げ止まリつつあるように見受けられます。しかし、次に見るように、設備投資などで企業は慎重姿勢を崩しておらず、先行きに過度な楽観論は禁物です。

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ということで、1日遅れですが、法人企業統計のうち季節調整済みの系列が発表されている売上と経常利益を上のパネルに、下は設備投資をプロットしています。単純に見ると、売上が伸び悩んでいる一方で、それでも利益が上がるような筋肉質の経営に成功しているものの、先行きにはまだまだ慎重で設備投資は減少を続けている、ということになります。雇用や賃金も要素需要という一括りにすれば、設備投資と同じ企業マインドで経営判断がなされている可能性が十分あります。3月調査の日経短観で今年度2013年度の設備投資計画が、わずかとはいえ予想に反してマイナスだったのにも整合的です。もっとも、日経新聞の記事を見ると、より時点を下った調査結果では、今年度の設備投資計画は1割増と出ています。このあたりは、何度か書きましたが、6月調査の日銀短観を見たいと私は考えています。

このブログでも何度か主張しましたが、昨年11月半ばからアベノミクスに基づく、もしくは、アベノミクスを期待した円高修正や株高などの動きが始まり、ほぼ半年を経て一本調子の動きではなくなるのも当然で、一部に調整局面入りする市場指標もあったりするのかもしれません。日銀短観などのマインド指標とともに、実体経済を反映するハードデータも注目度を高めそうです。

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2013年6月 3日 (月)

ソフトバンクにボロ負けして1日で首位陥落!

  HE
阪  神000000000 072
ソフトB00064200x 12130

気持ちいいくらいの一方的なボロ負けでした。何をやってもダメで、投手陣は出てくるたびに失点し、打撃陣はゼロに抑えられて完封リレーを許してしまいました。まあ、こういう試合は早く忘れて次に行きましょう。
ところで、本日発表されたオールスターのファン投票のセリーグ先発投手部門の中間発表で、ルーキーながら藤浪投手が首位に立ちました。多くの阪神ファンとともに私も大いに期待しています。

次の西武戦は猛獣対決、
がんばれタイガース!

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米国国家情報会議編『2030年 世界はこう変わる』(講談社) を読む

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米国国家情報会議編『2030年 世界はこう変わる』(講談社) を読みました。図書館に予約してあったのがようやく順番が回って来ました。本来は2012年12月に出版されたリポートですが、英語の原書、と言うか、もともとのリポートは、編者である米国国家情報会議のサイトから pdf ファイルを入手出来ます。20MB くらいあります。以下のリンクの通りです。

出版社のサイトにも解説がありますが、第1章でメガトレンド 「2030年の世界」を決める4つの構造変化を、第2章でゲーム・チェンジャー 世界の流れを変える6つの要素を、そして最後に、第3章でオルターナティブ・ワールド 「2030年」4つの異なる世界を提示しています。出版社のサイトから目次を引用すると以下の通りです。

  • 第1章 メガトレンド 「2030年の世界」を決める4つの構造変化
    • メガトレンド1 個人の力の拡大
    • メガトレンド2 権力の拡散
    • メガトレンド3 人口構成の変化
    • メガトレンド4 食料・水・エネルギー問題の連鎖
  • 第2章 ゲーム・チェンジャー 世界の流れを変える6つの要素
    • ゲーム・チェンジャー1 危機を頻発する世界経済
    • ゲーム・チェンジャー2 変化に乗り遅れる「国家の統治力」
    • ゲーム・チェンジャー3 高まる「大国」衝突の可能性
    • ゲーム・チェンジャー4 広がる地域紛争
    • ゲーム・チェンジャー5 最新技術の影響力
    • ゲーム・チェンジャー6 変わる米国の役割
  • 第3章 オルターナティブ・ワールド 「2030年」4つの異なる世界
    • 2030年のシナリオ1 「欧米没落」型
    • 2030年のシナリオ2 「米中協調」型
    • 2030年のシナリオ3 「格差支配」型
    • 2030年のシナリオ4 「非政府主導」型

税抜き1000円、200ページ足らずの本で、2-3時間もあれば読めますから、読むのが一番ですので詳しくは紹介しませんが、2点だけ強調しておきたいと思います。すなわち、第1に、昨年11月1日付けのエントリーでまとめて紹介したうちの1冊イアン・ブレマー『「Gゼロ」後の世界』のように、「Gゼロ」を想定しています。米中のG2ではありません。世界のスーパーパワーはいなくなってしまうようです。第2に、シェール系のエネルギーの実用化に伴い、米国の中東へのエネルギー依存が解消される可能性が高まっています。世界のエネルギー事情はシェール系のエネルギーの実用化で大きく変化しつつあります。
ということで、手抜きそのものなんですが、元リポートの National Intelligence Council Global Trends 2030: Alternative Worlds から、本書にも収録されているグラフをいくつか引用しておきます。もちろん、すべては私の趣味で選んでいます。本書本来の趣旨や論旨にピッタリと沿っているわけではありません。

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まず、リポート p.2 Years necessary for an invention to be used by 25 percent of the US population です。発明から米国民の25パーセントが使うようになるまでに要した年数です。最近になるほど、IT技術の普及が急速に進んだことが理解できます。

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次に、リポート p.9 Shares of global middle-class consumption, 2000-2050 です。GDPのシェアではありません。中間所得層の消費、逆から見れば購買力のシェアです。日本のビジネス界では富裕層ビジネスが注目されていますが、米国のインテリジェンスのコミュニティでは中間層を重視していることを理解すべきです。

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続いて、リポート p.17 Selected countries punching above their weight in 2010 です。縦軸に外交力、横軸の物質力を取り、赤いラインがその均衡点であり、赤いラインよりも左上にある国々は物質力に裏打ちされているよりも強力な外交力を持っています。右下はその逆です。日本は当然、物質力ほどの外交力は保持していません。

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続いて、リポート p.23 Four population age structures です。いわゆる人口ピラミッドです。日本です。一番上が1935年時点の若者社会、次が1970年の中間社会、さらに1990年の成熟社会、最後は2025年のポスト成熟社会です。

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続いて、リポート p.101 Elements of power of leading countries in 2030 です。2030年における世界主要国の国力の源泉を示しています。日本の場合、水色の核兵器がなく、緑色っぽい経済系の要素が国力の源泉の中心をなしていることが理解できます。

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最後に、リポート p.109 Comparison of global gdp composition in our 2030 scenarios です。データラベルの数字の単位はシェアのパーセントではなく、米ドルです。4つのシナリオは左から順に、最初に出版社のサイトから引用した目次の順番です。

2030年には、年齢から見て私はとっくに第1線を退いている可能性が高いんですが、それでも、とても興味深い本だと受け止めています。なお、本日、財務省から法人企業統計が発表されているんですが、日を改めて取り上げたいと思います。

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2013年6月 2日 (日)

終盤イッキの攻撃と細かい投手リレーでソフトバンクに逆転勝ち!

  HE
阪  神000000310 4100
ソフトB000011010 391

大リーグ108勝のパディーヤ投手を向こうに回して、残念ながら勝ち星こそつきませんでしたが、先発の藤浪投手は堂々と互角のピッチングでした。終盤のラッキーセブンから怒涛の攻撃で一気に逆転し、小刻みな投手リレーでソフトバンクの反撃を最少失点に抑え、競り勝って交流戦5割です。現時点の情報ではジャイアンツがライオンズにリードされていて、セリーグ首位になるかもしれません。なお、本日のクローザーは安藤投手、9回をピシャリと3人で抑えました。明日は誰でしょうか?

明日も、
がんばれタイガース!

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Coffee Break Jazz Ballad を聞く

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Coffee Break Jazz Ballad を聞きました。予約してあった順番が回って来たわけです。聞いてみて、このシリーズの中ではもっとも出来がいい、と言うか、私にあっている気がします。収録曲は以下の通りです。

  • Disc 1
    1. The Nearness of You/Norah Jones
    2. I'm Glad There Is You/Duke Pearson
    3. In a Sentimental Mood/Dianne Reeves
    4. Every Generation/Ronnie Laws
    5. Moon River/Cassandra Wilson
    6. You and I/Traincha
    7. My One and Only Love/Hank Jones
    8. I Can't Get Started/Cannonball Adderley
    9. Prelude to a Kiss/Horace Parlan
    10. My Foolish Heart/Holly Cole
  • Disc 2
    1. It Never Entered My Mind/Nancy Wilson
    2. All the Way/Lee Morgan
    3. I Fall in Love Too Easily/Chet Baker
    4. Gone with the Wind/George Shearing
    5. What a Difference a Day Makes/Julie London
    6. Body and Soul/Art Pepper
    7. That Old Feeling/Dinah Shore
    8. Everything Happen to Me/Donald Byrd
    9. 'Round Midnight/Sarah Vaughan
    10. Solitude/Duke Ellington

やっぱり、Mal Waldron の "Left Alone" は収録して欲しかった気がします。もちろん、アルトサックスは Phil Woods です。さらに、出来ることであれば、Coltrane のアルバム Ballads の中からも何か入っていればさらによかった気がします。もしも日本人ジャズメンからというのであれば、Re-Trick の新しいアルバム re: Re-Trick から青山佳代をフィーチャーした "Beautiful Black" なんかはいかがでしょうか。

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2013年6月 1日 (土)

アフリカ開発会議 TICAD V 2013 Yokohama が始まる

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今日から3日間の予定でアフリカ開発会議 TICAD V 2013 Yokohama が横浜で開催されます。
ラテンアメリカや東南アジアが成長を高める一方で、かつてはインドやバングラデシュなどの南アジアとアフリカが開発から取り残され、貧困からの脱却が困難な地域と考えられていた時期もありましたが、現在では、インドなどの南アジアはもちろん、アフリカでも経済開発がかなり進むようになっています。しかし、それでも世界の貧困層のかなりの部分がサブサハラ地域に残されているのも事実です。開発経済学にも大いに関心のあるエコノミストとして、会議の行方を注目しています。

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