基準改定された鉱工業生産指数で景気判断は変更されるのか?
本日、経済産業省から2010年基準に基準改定された鉱工業生産指数の4月確報が公表されました。しかし、データを格納したファイルに誤りがあったそうで、夜の10時時点でダウンロード出来ません。取りあえず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
鉱工業生産指数、前月比0.9%上昇 4月確報
経済産業省が18日発表した4月の鉱工業生産指数確報(2010年=100、季節調整値)は95.9と前月に比べて0.9%上昇した。輸出が回復してきた自動車を中心とした輸送機械工業や、電子部品・デバイス工業が増産となった。今回の確報値から基準年を従来の05年から10年に改定した。4月の上昇率は旧基準の速報と比べると0.8ポイント下がった。
新基準を採用した確報値では、生産指数は4月まで3カ月連続の上昇。出荷指数は旧基準の速報では4月に前月比1.1%の上昇だったが、確報では1.4%の低下と2カ月続けて下がった。
経産省は基準改定後の確報値について、「速報段階と比べて、生産の傾向に大きな変化は生じていない」としている。
ひとまず、新旧の基準年に応じた鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。これまで通り、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。なお、2010年基準指数はそのままですが、2005年基準指数は2010年=100となるように私の方で試算しています。もちろん、いずれも季節調整済みの系列です。詳細なデータ・ファイルをダウンロード出来ないので、取りあえず、1週間前の6月11日に事前公表されたデータに今日発表分をつなぎ合わせてグラフを作成しています。事前公表データも誤りがあった模様ですが、在庫のデータであろうと認識していますので、グラフの生産データは関係ないのではないかと考えています。

基準改定と季節調整替えによる注目点は、昨年のミニ・リセッションが鉱工業生産指数ではどのように改定されたかなんですが、私は微妙なところだと受け止めています。例えば、第一生命経済研究所のリポートのように、景気後退の判断は変わらないとする見方も可能ですが、上のグラフを見ても分かるように、2012年1-3月期の山はまあいいとして、10-12月期の谷が微妙です。2005年基準指数だとかなり明瞭なんですが、2010年基準指数だとダラダラと底ばいした後、回復が明瞭ではありません。私の直感として、2012年は踊り場ではなく景気後退だった可能性の方が依然として高いものの、それでも、2012年は踊り場だったと同定される可能性が以前に比べてやや高まった、と受け止めています。
もちろん、景気判断は鉱工業生産指数だけに基づいてなされるものではありません。全体として、基準改定された鉱工業生産指数に基づいて景気動向指数(CI)がどのようになるかを見極める必要があります。6月20日の景気動向指数の発表を待ちたいと思います。
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