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2013年6月29日 (土)

今週読んだ経済書・学術書

週末らしく、今週読んだ学術書のたぐいのご紹介です。

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まず、ヨルゲン・ランダース『2052 今後40年のグローバル予測』(日経BP) です。著者のランダース教授はメドウズ教授らとともに、1972年にローマ・クラブの『成長の限界』を、1992年に『限界を超えて』を、そして、2005年に『成長の限界 人類の選択』を、それぞれ世に問うた人物であり、この本もいわゆるシステム・ダイナミクスによる将来予測を主たるコンテンツとしています。一応、私は以前のこのシリーズの3冊は読んだ記憶があります。いずれも、技術革新をほとんど考慮せず極めて静的に、将来を暗く予想しているんですが、さすがに、ハズレが大きいものでいくつか修正を加えています。例えば、第5章 p.140 から、エネルギー効率は上昇を続けて、エネルギーが制約になることはないと明言していたりします。ただし、オーバーシュート(需要超過)のため、エコロジカル・フットプリントが大きくなって、地球のキャパを1.4倍超えてしまうとか、基本は変更ないようです。私が2-3週間前にテレビを見ていると、この本の営業か何か知りませんが、著者が来日してテレビ出演しているのに遭遇しました。著者的なセンスでいえば、日本はオーバーシュートしないようにとてもうまく需要を管理しエコロジカル・フットプリントを抑制している、ということになるようです。その趣旨は本書 pp.135-37 にも見受けられます。ひょっとしたら、日銀はエコロジー的な観点から成長を阻害し続けてきたのかもしれないと考えてしまいました。なお、本書の最後のパートである p.431 からの「20の個人的アドバイス」は、この本を読むよりも、渡辺シスターの『置かれた場所で咲きなさい』を私は個人的にオススメします。まあ、読む前から内容は分かり切っていて、私には何の満足感も与えてくれない本だということは理解し尽くしているつもりなんですが、一応、読んでおかないと、それすら確かめられませんので読んだ、ということになろうかと思います。

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次に、ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ『ビッグデータの正体』(講談社) です。今まで何冊か話題のビッグデータに関する本を読んで、例えば、昨年2012年8月1日の記事で紹介した本などは、ほとんど、コンサルが「外国ではビッグデータをこのように活用していますが、御社もどうですか」と売り込みに来る際のケーススタディだと思っていたんですが、この本は前半でビッグデータの学術的な側面を明らかにしています。でも、後半は相変わらずセールスのためのケーススタディだったりします。本書ではビッグデータの本質に迫るポイントを3点ほど明らかにしており、第1に、すべてのデータを取り込み、「N=全部」ということです。今年の4月9日に取り上げた西内啓『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社) のランダム・サンプリングと違って、観察できるすべてのデータを考慮するということです。第2に、精度が重要でなくなることです。ですから、データベースもリレーショナルなSQLではなく、構造化は必須の条件とはなりません。分かる気がします。第3に、これが私にとっては決定的に重要に見えるんですが、因果関係ではなく相関関係を重視する見方をすべきだということです。経済学でも厳密な因果関係の測定が困難であるため、因果関係というよりも時間的な先行性を測定する「グレンジャー因果」をよく用います。時間的な先行性ですから、天気予報が原因で実際のお天気が結果、ということもあり得るんですが、一定の支持を得ています。また、喫煙と発ガンの関係はいかにも喫煙が原因で発ガンが結果のように見なされる場合が多いんですが、実は、因果関係ではなく相関関係です。喫煙と発ガンであれば、喫煙が原因と見なす向きが多そうですが、経済学では喫煙と低所得の間の相関には諸説あります。喫煙が原因で低所得にあえいでいるのか、それとも、低所得なので喫煙するのか、一義的な回答は得られません。それはともかく、私が何冊か読んだビッグデータの本の中ではもっとも得るものが多かったような気がします。オススメです。

一応、経済評論の日記に分類しておきます。明日は娯楽系の本について取り上げる予定です。読書感想文の日記に分類すると思います。

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