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2013年6月30日 (日)

先週読んだ趣味や娯楽の本

昨日までに読んだ趣味系や娯楽系の本のご紹介です。日曜日ですし、軽く読み飛ばせる内容だったりします。

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まず、先週末にも書いた水泳に関する本で、リン・シェール『なぜ人間は泳ぐのか?』(太田出版) です。実は、2012年の The EconomistBook of the Year に本書の原書 Swim: Why We Love the Water が入っています。私が見た限りでも、朝日新聞読売新聞の書評で取り上げられており、内外で話題の書といえます。それにしても、ものすごい雑学の書です。私が考えるに、水泳の本質とは肺呼吸の人間が水中にあることで、すなわち、水中では溺れてしまうので、それを防止するために泳ぐ、ということなんだろうと考えています。ダン・ブラウンの『ロスト・シンボル』でラングドン教授が溺れない液体に浸けられるというのがありますが、地球上に広く分布している通常の水では人間は溺れます。ですから、溺れたくなければ水に近づかないか、泳ぐしかないわけです。後者の人たち、つまり、私のような水泳好きにはオススメです。自ら泳ぐ人か、子供をスイミング・スクールに通わせている人がママ友やパパ友に見せびらかせつつ読むのも一案かと思います。

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次に、宮田珠己『おかしなジパング図版帖』(パイインターナショナル) です。この本は「読んだ」というよりも「眺めた」と表現するほうが正しいような気がします。というのも、この本の主たるコンテンツは1669年にオランダ人モンタヌスが著した『日本誌』に収録されている挿絵だからです。ところが、このモンタヌスなる人物は実際に日本を訪れたことがありません。ですから、書物を見たり、実際に日本に行った人から話を聞いたりして絵を描いています。当然ながら、メチャクチャな日本像を提供しているわけです。例えば、朝日新聞の三浦しをんによる書評によれば、「爆笑の不可思議日本」ということになります。しかし、私が見た範囲で、モンタヌスの功績か、著者の工夫か、不思議と欧州から極東の日本に対して、見下したり、差別したりした絵であるという印象は持ちません。実は、我が家の子供達にも見せたんですが、単に笑えるだけで嫌な雰囲気を持った絵は、あったとしても少ないんではないか、というカンジでした。通してまじめに読む本というよりも、ヒマな時にパラパラとめくる本、という気がします。価格も税抜きで1900円ですから、図版ばかりにしては割安感を持つ人も少なくないように受け止めています。

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この先の2冊は小説で、まず、近藤史恵『キアズマ』(新潮社) です。自転車レースを題材にしたサクリファイスのシリーズの最新長編です。でも、今までの主人公である白石誓は出て来ません。誓が渡欧する前に国内で所属していたチーム・オッジのオールラウンダーだった赤城が、すでに引退したのか、p.230 あたりでオッジのマネージャーとしてチラリと登場します。ですから、時代が少し進んでいて、舞台はオッジでもなく、誓が移籍した先の欧州でもなく、東京にある大学の自転車部です。部員がとても少なくて、青春物語である点からも、駅伝を題材にした三浦しをん『風が強く吹いている』に近い印象です。私のように休日だけトロいマウンテンバイクに乗る週末サイクリストと違って、このシリーズはプロも含めた競技自転車の世界ですから、極端にいえば、死と隣合せのギリギリの部分があり、シリーズ第1作でも石尾が死んだりしていますし、この作品でもそれなりに重いテーマを扱っています。それにしても、三浦しをん『風が強く吹いている』にもいえることなんですが、ポッと出でいきなり大学競技の世界でトップに立ってしまうのは、私には少し違和感があります。それまで努力して来た多くの競技者を無視しているような気がしないでもありません。大きく脱線してしまいましたが、作品に戻って、本書の岸田や櫻井がこのシリーズのもともとの主人公である白石誓や伊庭、あるいは、欧州でニコラなんかといつか接点を持つように物語は進むんでしょうか。それとも、シリーズは第2章に入って違う物語が語られるんでしょうか。気にかかるところです。

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最後は、私の好きなジャンルのひとつである時代小説から、葉室麟『陽炎の門』(講談社) です。この作者は何といっても直木賞を受賞した『蜩ノ記』が有名なんですが、私はまだ読んでおらず、この作者の作品で読んだのは『面影橋』に続いて2冊目です。ややネタバレかもしれませんが、この作品では、時代小説の定番である「お家大事」や「主君一筋」を廃して、主君に楯突くストーリーです。そもそも時代小説とは、「忠臣蔵」などの限られた例外を別にすれば、天下泰平の江戸時代の武士階級を主人公に据え、ongoing で永遠に続いて行く主家や藩、あるいは、幕府そのものを前提に、家臣どもが思う存分にお家騒動や派閥抗争を繰り広げるところに眼目があリます。私が中学生か高校生のころに最初に読んだ時代小説は『樅ノ木は残った』だと思うんですが、自分の身を犠牲にしても主家や藩を守るというのがストーリーの中心でした。今読み継いでいる居眠り磐音の江戸双紙シリーズの主人公である坂崎磐音も藩を離れた身でありながら、旧主家の福坂家に対する全幅の忠誠心は揺らぎません。しかし、この作品では藩主である主君が悪事の中心人物であることが明らかになってしまい、主君を討ち果たすことに注力されます。そして、時代小説にありがちなんですが、宮部みゆき『孤宿の人』のように、考えられないくらいにすべてが上手く行きます。無理やりに現代に当てはめれば、ついこの間の川崎重工、あるいは、古くは三越などの社長を解任するクーデタもどきの取締役会がこれに当たるのかもしれません。

単なる偶然のめぐり合わせだと思いますが、先週あたりからアチコチの図書館に予約してあった本が一気にバタバタと提供され始めています。通常国会が閉幕して参議院選挙が近づいている一方で、予算の概算要求までは少し間があるという時期ですので、せっせと読書にいそしみたいと思います。

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