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2013年7月31日 (水)

中日の3投手に3安打完封リレーされ好投の岩田投手を見殺し!

  HE
中  日000010000 120
阪  神000000000 030

両チーム合わせてわずか5安打の投手戦を制したのは中日でした。阪神は久々に先発した岩田投手が8回2安打1失点に抑えながら、攻撃陣の援護なく、クラーク選手の一発に沈みました。阪神の得点機は7回と9回でしたが、中軸の新井選手とマートン選手がともにが内野ゴロに倒れました。それにしても、3安打ではどうにもなりません。作戦の立てようもなかった気がします。7回と9回の攻撃以外、見どころは9回にリリーフした松田投手の3者三振くらいでした。こういった僅差の試合をモノに出来なければ優勝は難しいかもしれません。

明日は岩本投手をしっかり援護して、
がんばれタイガース!

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毎月勤労統計に見る賃金は未だ上昇せず!

本日、厚生労働省から6月の毎月勤労統計調査の結果が発表されています。この統計のヘッドラインとなる現金給与指数は季節調整していない原系列の給与総額の前年同月比で5か月振りのプラスの+0.1%増、また、景気に敏感な所定外労働時間は製造業の季節調整済みの系列で前月比▲0.7%減となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

現金給与総額、5カ月ぶりプラス
6月0.1%増 ボーナスが底上げ、所定内給与は減少続く

厚生労働省が31日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報)によると、基本給やボーナスなど給料の合計を示す現金給与総額は前年同月比0.1%増の43万3568円で、5カ月ぶりに増えた。ボーナスなど一時金の増加が主因。現金給与総額は4月は横ばい、5月は0.1%減だった。景気回復の焦点である賃金動向は一進一退の状況だ。
調査は従業員5人以上の事業所が対象。基本給に相当する「所定内給与」は0.2%減の24万3262円。13カ月連続で減った。残業代を示す「所定外給与」は横ばいの1万8514円。
一方、ボーナスなど「特別に支払われた給与」は0.4%増の17万1792円だった。景気回復の好影響が大きいとされる不動産・物品賃貸業(16.6%増)、金融・保険業(3.1%増)で伸びた。
就業形態別にみると、一般労働者の現金給与総額は0.5%増、パートタイムで働く労働者は0.2%減だった。
生産の増減を反映し、足元の景気動向を示すとされる製造業の残業時間(季節調整済)は、前月比0.7%減った。減少は2カ月連続。経済産業省が発表した6月の鉱工業生産指数も前月比3.3%減っているが、7月以降は回復するとの見方が有力だ。

というわけで、いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。まず、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、昨年2012年3月を直近の景気の山、2012年11月を谷と仮置きしています。

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下のパネルの所定外労働時間が前月比で減少したのは、昨日発表の鉱工業生産指数の減産と整合的だと考えるべきであり、7月はリバウンドする可能性が高いと私は受け止めています。「まさか」とは思いますが、雇用統計は順調に改善しているものの、残業するのではなく雇用者の増加で対応しているとはとても思えません。他方、昨夜のブログで主張した通り、賃金はまだ上昇する局面には達していないと考えられます。6月の夏季ボーナスの増加ないし前倒し支給比率の上昇により、現金給与指数は前年比でプラスを記録しましたが、所定内給与はまだマイナス幅を縮小している段階であり、プラスに転ずるにはもう少し時間がかかる可能性が高いと考えるべきです。しかし、企業業績見合いでボーナスが増加しているのは、消費に一定のサポートとなると期待されます。今後、本格的に企業活動が活発化すれば、所定内給与も上昇すると期待できます。正規雇用と非正規雇用を通じた全般的な給与の増加が生じるか、給与水準は余り変化せずに非正規雇用から正規雇用へのシフトが生ずるか、ほかの多くのエコノミストと違って、私はかなり注目しているんですが、たぶん、前者なんだろうという気はします。

政府統計だけでなく、民間調査のリクルートジョブズ「アルバイト・パート全国エリア別募集時平均時給調査」なども賃金動向を把握する上で私は参考にしているんですが、こちらもまだ5-6月調査ではマイナスを続けています。

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2013年7月30日 (火)

メッセンジャー投手が好投し中日にボロ勝ち!

  HE
中  日000000001 1100
阪  神10000340x 8120

先発のメッセンジャー投手が好投して9回途中まで1点に抑え、打つ方も初回の先制の後しばらく音なしだったんですが、6-7回に効果的に加点し、中日にボロ勝ちでした。連敗中、課題となっていた打撃陣の決定力不足は今夜の試合では見受けられなかったんですが、とうとう西岡内野手まで登録を抹消され、大リーグから補強した2人が早々に姿を消してしまいました。戦力ダウンは否めない一方で、逆にいえば、若手選手にはチャンスかもしれません。奮起を望みます。

明日も、
がんばれタイガース!

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鉱工業生産は低下したものの、失業率低下など雇用統計は堅調!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ発表されています。いずれも6月の統計です。生産は6月にやや低下したものの7月のリバウンドを見込み、ならしてみれば堅調ですし、雇用統計は予想以上に順調な改善が見られました。まず、かなり長くなるものの、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月鉱工業生産、3.3%減少 7月は急回復見込む
経済産業省が30日発表した5月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整値)は前月と比べ3.3%減少と5カ月ぶりに低下した。輸出数量の伸び悩みが響いた。4-5月期の生産指数(速報値)は96.0と前期と比べて1.4%増えた。2四半期連続で改善するのは、11年7-8月期から12年1-3月期の3四半期連続以来となる。
5月の生産指数が低下したのは、国内の新車販売の落ち込みや欧州連合(EU)向け輸出の減少で輸送機械が落ち込んだためだ。ただ先行きを聞く生産予測調査は、7月が6.5%増と急回復を見込む。8月に0.9%減る見込みだが、8月は横ばいと仮定すると7-8月期は4%程度の増加となる見込み。経産省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」に据え置いた。
4-5月期の生産指数は15業種のうち13業種で前期を上回り、生産の持ち直しが鮮明になった。中国でつくるスマートフォン向けの部品を中心とする電子部品・デバイスが5.4%伸びたほか、自動車など輸送機械がけん引して1.0%増えた。タービン部品など業務用機械も2.9%伸びた。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は先行きについて「生産の上昇傾向はしばらく続く。米国経済の回復で輸出の持ち直しが進むほか、国内で消費増税前のかけ込み需要も期待できる」と話している。
失業率5月3.9%に改善 4年8カ月ぶり3%台
景気の持ち直しが雇用に波及してきた。総務省が30日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の3.9%と4年8カ月ぶりの低い水準に改善した。これまで慎重だった製造業でも求人が回復し、雇用環境が明るくなっている。
失業率の改善は3カ月ぶり。3%台に下がるのは、リーマン・ショック当時の08年10月以来となる。厚生労働省が同日発表した5月の有効求人倍率(同)は前月より0.02ポイント上昇して0.92倍となり、08年5月以来、5年ぶりの高水準となった。製造業の新規求人数は前年同月比0.8%増となり、13カ月ぶりに前年同月を上回った。
厚労省は雇用情勢の判断を「緩やかに持ち直している」から「改善している」へと、2カ月ぶりに上方修正した。
5月の雇用者数は5555万人で、前月比で7万人増えた。安倍政権発足後の日銀の大規模な金融緩和策に伴う景気好転で「企業の採用意欲が増している」(総務省)。15-64歳の就業率も71.9%と0.1ポイント上昇し、過去最高を更新した。
5月は幅広い業種で新規求人数が改善した。製造業のなかでは電機や自動車産業で求人が大幅に増えている。外国人観光客の増加で、宿泊・飲食サービス業も前年同月比13.5%の大幅増になった。
5月の失業率の改善は、女性を中心に仕事を探していない「非労働力人口」が前月から16万人増えたことも影響した。夫の雇用環境が良くなってきたことで、求職活動を止める主婦が増えた可能性がある。
今後の焦点は求人の改善が賃金上昇に波及するかどうか。5月時点の一般労働者の所定内給与は前月比0.1%増とほぼ横ばいだった。パート労働者は0.3%増と増加率が一般労働者より高く、今のところ企業は人手不足をパート労働者で補おうとする傾向が強い。ただ、5月の家計調査を見ると、勤労者世帯は「臨時収入・賞与」が前年同月に比べて実質で6.3%増えた。景気の持ち直しは賞与や残業代の形で働く人にも恩恵が及びつつある。
今後の失業率について総務省は「新しい職を求めて自発的な離職が増えれば、失業率は足踏みするかもしれないが、悪い動きではない」と予想している。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、鉱工業のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。ただし、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。これについては雇用統計のグラフでも同じです。

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6月の生産は一服して前月比▲3.3%の減産となりました。もともと、日経 QUICK による市場の事前コンセンサスは▲1.7%減とマイナスを予想していたんですが、それにしても予想以上の低下幅でした。最大の要因は輸出が伸び悩んでいるためであると私は認識しています。ですから、輸送機械、電子部品・デバイス、はん用・生産用・業務用機械、電気機械などの輸出向けの比重が大きいセクターが軒並み減産しています。欧州とともに新興国の経済も停滞気味ですので、鉄鋼などの素材産業もマイナスとなっています。しかし、同時に公表された製造工業生産予測調査に従えば、7月は前月比+6.5%増と大幅にリバウンドすると見込まれています。先月統計の発表の段階でも7月は+3.3%増だったんですが、6月のマイナスを上乗せする形で7月にリバウンドするようで、ならして見れば生産は堅調と受け止めています。

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6月までの四半期のデータがそろいましたので、在庫循環図を書いてみました。上の通りです。リーマン・ショック直前の2008年1-3月期が緑色の矢印で示されており、第1象限の45度線の上から始まって、グルグルと時計回りして、2013年4-6月期は黄色の矢印で示している通り、第3象限の45度線の下に至っています。直感的には、もうすぐ、赤い破線で示した45度線を下から上に抜けそうです。景気局面としては、すでに昨年末くらいから回復ないし拡大局面に入っていると多くのエコノミストは考えているんですが、この在庫循環図では今年の年央くらいに景気転換点を迎える、という形が示されています。

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生産がまずまず堅調ですから、雇用は少なくとも量的には順調に拡大しています。上のグラフの通りです。一番上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面に対して、失業率は遅行系列、有効求人倍率は一致系列、新規求人数は先行系列とされています。いずれの指標も順調な雇用の改善を示しています。すなわち、日経 QUICK による市場の事前コンセンサスは、失業率 4.1%有効求人倍率 0.91 倍でしたから、これを上回る改善といえます。ただし、総務省統計局から発表されている非正規比率はやや上昇していますし、明日発表される毎月勤労統計から賃金がどのくらい上昇しているか、あるいは、上昇していないのか、をさらに確認したいと思います。直感的には、あくまで私の直感なんですが、アベノミクスの経済効果の現段階は生産の拡大から雇用の量的な改善につながったところであり、賃金はもう少し時間がかかる、という気がしないでもありません。しつこいようですが、あくまで私の直感です。

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最後のグラフは、非農業部門の産業別雇用者の増減です。青い折れ線グラフが非農業部門雇用者の前年同月比増減を示していて、積上げ棒グラフはその内訳です。色分けは凡例の通りとなっています。季節調整済みの系列が発表されていないので、季節調整していない原系列の統計の前年同月差をプロットしています。2008年以降はほぼ一貫してマイナスを記録していた水色の製造業が、今年2013年3月以来のプラスに転じています。緑色の医療・福祉は相変わらず順調に雇用者を伸ばしており、また、昨夜のブログにも書きましたが、今回の景気局面のひとつの特徴として、企業部門よりも家計部門が先行しているわけですが、好調な消費を反映して黄色の卸売・小売業がこの春あたりから雇用者数を増加させています。他方、まだまだ震災復興は続いているんですが、青の建設業は減少に転じました。

繰返しになりますが、あくまで私の直感ながら、アベノミクスの経済効果の現段階は生産の拡大から雇用の量的な改善につながったところであり、賃金はもう少し時間がかかる可能性があります。明日の毎月勤労統計で確認したいと思います。また、別の話なんですが、昨日、Yahoo! JAPAN ビッグデータから「ビッグデータ参院選議席予測を振り返る」と題するリポートが公表されています。私はとても気になっていますので、明日は毎月勤労統計としても、そのうちに日を改めて取り上げたいと思います。

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2013年7月29日 (月)

商業販売統計に見る消費は堅調に推移

本日、経済産業省から6月の商業販売統計が発表されました。個人消費を代理する供給側の重要な統計であると私は見なしています。ヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.6%増の11兆4210億円と増加したものの、季節調整済みの前月比は▲0.2%の減少となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の小売販売額、2カ月連続増加 百貨店が好調
経済産業省が29日発表した6月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆4210億円で、前年同月に比べ1.6%増えた。プラスは2カ月連続で、伸び率は2012年5月(3.0%)以来の大きさだった。高額品の販売が好調だった百貨店が既存店ベースで7.5%増となり全体を押し上げた。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は4.5%増の1兆6385億円で、2カ月連続のプラス。既存店ベースも3.5%増と、3カ月ぶりにプラスに転じた。百貨店の既存店ベースの伸び率は東日本大震災で落ち込んだ反動のあった12年3月(14.2%増)以来の大きさ。スーパーも1.5%増だった。全国的に気温が高めに推移し夏物衣料の販売が伸びたほか、前年に比べて日曜日が1日多かったことも来店客数の増加につながった。
織物・衣服・身の回り品小売業は9.9%増。機械器具小売業は猛暑によるエアコンや冷蔵庫など白物家電の販売増加がAV(音響・映像)機器の低迷を補い、2.6%増と23カ月ぶりにプラスに転じた。
一方、自動車小売業は前年のエコカー補助金制度で低燃費車を中心に需要が伸びた反動で、6.3%減と2カ月連続のマイナスだった。
コンビニエンスストアは5.8%増の8272億円。店舗内で抽出するコーヒーなどを中心に、ファストフードや総菜の販売が伸びた。既存店ベースも0.1%増と、13カ月ぶりにプラスに転じた。

いつもの通り、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売業販売額の前年同月比増減率を、下は2010年=100となる季節調整済みの指数を、それぞれプロットしています・

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基本的に、消費は堅調だと私は受け止めています。ミニ・リセッション後に、季節調整していない原系列の小売業販売額は前年同月比で着実に伸びていますし、季節調整指数も前月比でマイナスとはいえ高い水準にあります。引用した記事にもある通り、30日しかない小の月である6月にしては5日と日曜日が多かったのも売上げが好調だった理由ではあるんでしょうが、私は消費は所得とマインドで決まると考えています。すなわち、現時点でアベノミクスの効果は所得への波及は限定的ながら、マインドの改善には大いに貢献していることは確実です。また、梅雨明け直後の猛暑も自動車のエコカー補助金の反動を補いました。企業活動よりも家計の消費が先行するのは米国経済では通常のパターンですが、我が国では少しめずらしいかもしれません。今後、設備投資や輸出が本格的に伸びる局面になれば、我が国の景気もさらに全員参加型の様相を強めるものと期待しています。

取りあえず、アベノミクスは置いとくとして、夏季ボーナスは決して悪くないと私は予想しています。その意味で目先の所得の下支えはあります。しかし、本格的な賃金上昇、すなわち、所定内給与の増加はもう少し先になるかもしれません。

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2013年7月28日 (日)

あえなくDeNAに甲子園で3タテを食らって泥沼の4連敗!

  HE
D e N A012120220 10130
阪  神000000000 051

何と、甲子園でDeNAに3タテを食らって泥沼の4連敗となりました。要するに点が取れません。打撃陣の決定力不足は目を覆いたくなるばかりです。そのため、投手陣にもしわ寄せが来ています。選手ににも、ベンチにも、何とか打開しようという意図は何ら見られず、私はNHK大河ドラマ「八重の桜」に逃避してしまいました。アホらし。

長期ロード前の中日戦は、
がんばれタイガース!

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2013年7月27日 (土)

いいところなくDeNAに連敗し首位ジャイアンツの背中がどんどん遠くなる!

  HE
D e N A000003001 480
阪  神000100000 190

野手陣が全く得点力なく、DeNAにも連敗してしまいました。先発の能見投手は自らの先制タイムリーの後も、不気味なピッチングで走者を許さず、完全試合の可能性すら感じさせましたが、6回に突如として崩れ逆転されてしまいます。こうなると、もう攻撃陣は打てないし、リリーフ投手もダメ押し点を取られるという最悪のパターンに陥ります。ジャイアンツは着々と勝ち星を積み重ね、どんどん背中が遠くなってしまいそうです。アホらし。

明日は何としても、
がんばれタイガース!

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今週読んだ新刊書から

今週読んだ新刊書から、経済書や教養書とともにフィクションの小説まで、3冊を取り上げます。

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まず、イツァーク・ギルボア『合理的選択』(みすず書房) です。この本は、そのままミクロ経済学のテキストとしても使えそうなレベルです。Chapter 1 は「できることと望ましこと」という事実と規範から入り、最適化などのミクロ経済学、ゲーム理論、意思決定論などのエッセンスをかなり的確に取りまとめています。しかし、他方で、顕示選好理論を基礎に置いているため、行動経済学的な「非合理性」を理論に取り込むには至っていません。この点をどう考えるかですが、私は共用部から学部初歩くらいのレベルではこれで十分だと思います。逆に、このあたりを入門として理解せずに、いきなり行動経済学的な「非合理性」を理解するのはムチャだと私は考えています。その意味でも有益なテキストだと思います。オススメです。

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次に、ダニエル・コーエン『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』(作品社) です。こちらはフランス的なマルクス主義経済学の流れも汲む著者の教養書というべきカテゴリーに置かれる本だと受け止めています。フレンチ・マルキストですから、必ず「フォーディズム」という言葉が出て来ます。要点はマルサス的な悲観論とローマ・クラブ的な悲観論を同じ土俵で捉えて、米国的なセンスの経済成長を欧州的なセンスで否定的に論じる、という、かなり定型化されたフレンチ・マルキストの著書に仕上がっています。その意味で、標準的といえます。特に、オススメはしません。

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最後に、薬丸岳『友罪』(集英社) です。事件の内容は微妙にズラしてあるものの、明らかに、「酒鬼薔薇聖斗」を名乗った神戸の連続児童殺傷事件を下敷きに、その犯人が塀の外の社会生活を送るとすれば周囲の人達がどのように反応するか、また、ジャーナリズムはいかに報じるべきか、をテーマにしています。それに、友人をイジメ自殺から救うことの出来なかった男性、AV女優をしていた過去を持つ女性など、連続自動殺人ほどではないものの、何らかの暗い過去を持つ20代の若者を主人公に物語は進みます。チラリと市橋達也の逃亡譚らしきウワサ話なども語られます。ストーリーの展開がとてもスピーディーで、ぐいぐいと物語に引き込まれます。人によっては、「自分ならどうするだろう」と思い悩む場面も数多いのかもしれませんが、私の場合は実感が湧かないものですからともかく読み進みました。特にオススメはしませんが、大雑把な内容を理解した上で、自分で読むかどうかを判断すべき本です。

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2013年7月26日 (金)

甲子園に戻ってDeNA戦でも連夜のボロ負け!

  HE
D e N A100001030 5131
阪  神000000100 170

またしても、DeNAの藤井投手に軽くひねられて、鳥谷遊撃手のソロ1本に抑えられ、大差でボロ負けでした。投手陣は先発スタンリッジ投手は6回2失点で何とか抑え、2番手でつないだ松田投手まではよかったんですが、7回に加藤投手と西村投手が打ち込まれて突き放されてしまいました。ほとんど、何もなすすべなく試合を終えました。投手陣も打撃陣も見るべきものはありませんでした。アホらし。

明日は、
がんばれタイガース!

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エネルギー価格の上昇により消費者物価上昇率はプラスに転ずる!

本日、総務省統計局から6月の消費者物価指数 (CPI) が公表されました。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は+0.4%、食料とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPIは▲0.2%をそれぞれ記録しました。コアCPI上昇率がプラスを記録したのは2012年4月以来の1年2か月振りだそうです。まず、日経新聞のサイトから統計について報じた記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価14カ月ぶりプラス 6月0.4%上昇
電気代やガソリン代上がる

総務省が26日朝発表した6月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比0.4%上昇の100.0だった。プラスに転じたのは原油高などで伸びた12年4月以来、1年2カ月ぶり。ガソリン価格や電気代の上昇が寄与した。
0.4%の上昇率は原油価格や穀物価格の高騰が影響し、1.0%上昇を記録した08年11月以来、4年7カ月ぶりの水準。電力会社による値上げで電気代は9.8%上がった。ガソリン価格は原油高や円安で仕入れ価格が高くなり、6.4%上昇した。
価格変動の大きい生鮮食品を含む総合は0.2%上昇の99.8。12年5月以来、1年1カ月ぶりにプラスになった。食品やエネルギーを除いた総合は0.2%下落の98.3だったが、下落幅は3月以降、4カ月連続で縮小している。
総務省は全国のCPIがプラス転換した点を「エネルギー価格上昇の影響によるところが大きい」と説明した。足元でもガソリン価格は上昇傾向にあり、今後のCPIを押し上げる公算が大きい。「テレビやルームエアコンなど一部耐久消費財に価格の下落幅縮小の動きもみられる」とも指摘した。
同時に発表した7月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が0.3%上昇の99.2だった。全国と同様に電気代とガソリン価格が押し上げた。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事でした。続いて、消費者物価上昇率のグラフは下の通りです。青い折れ線が生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率、これに対するエネルギー、食料、その他の寄与度が積み上げ棒グラフで示されています。赤い折れ線は食料とエネルギーを除くコアコアCPI、グレーは東京都区部のコアCPIのそれぞれ前年同月比上昇率です。

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多くのエコノミストの予想通りに6月のコアCPI上昇率はプラスでした。市場の事前コンセンサスである+0.3%よりもわずかに高く、+0.4%となりました。しかし、コアコアCPIは依然としてマイナスを続けています。昨年の総選挙の前の衆議院解散から実質的に開始されたアベノミクスの成果かというと、かなり疑問は残りますが、メディアやマーケットの関係者にとって、このコアCPI上昇率のプラスが象徴的な意味を持つ可能性は否定しません。少なくとも、アベノミクスに伴う円高是正が物価上昇に効果があったのは事実だろうと受け止めています。先行きについては、この先1年くらいかけて、すなわち、消費税率の引上げ前後にコアCPI上昇率で+1.0%くらいまでプラス幅を拡大する可能性が十分にあると私は考えています。為替でさらに円安が進むなど、場合によっては、+1.5%くらいに達する可能性もあると考えるべきです。ただし、その先、2年で+2.0%に達するかどうかは何とも分かりません。消費税率の引上げの影響が現時点では見極められないからです。おそらく、来年2014年4月の消費税率引上げがなければ、現在の金融政策を継続する限り、私は2年で+2%というのは十分に達成可能なターゲットだったろうと考えていますが、消費税率引上げの影響で需要が押し下げられる効果がこの目標達成にどのくらいネガティブな影響を及ぼすかが、現時点では見通せません。もっとも、昨夜のブログにも書きましたが、来年4月に消費税率引上げを実施しないとすれば、逆に、我が国の財政のサステイナビリティや日本国債が市場から信認を失いかねません。今となっては、消費税率を引き上げない方が経済に悪影響を及ぼす可能性が高いと私は受け止めています。

日銀に異次元緩和により物価が上昇する兆しがハッキリと見え始めています。次の段階は物価からラグを伴って、賃金が上がるかどうかが焦点です。現時点での消費ブームはマインドの改善に支えられている面が大きく、これから所得のサポートがどのくらいあるかが消費のサステイナビリティにつながります。

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2013年7月25日 (木)

ボロ勝ちの翌日はボロ負け!

  HE
阪  神100000000 191
ヤクルト10020413x 11130

昨夜はボロ勝ちでしたが、今夜は先発藤浪投手が早々に失点して降板した後、リリーフ陣もこっぴどく打ち込まれて、大差でヤクルトにボロ負けでした。ほとんど、何もなすすべなくスミ1で試合を終えました。投手陣も打撃陣も見るべきものはありませんでした。アホらし。

明日からの甲子園でのDeNA戦は、
がんばれタイガース!

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企業向けサービス価格指数はさらに上昇幅を拡大

本日、日銀から6月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。先月5月統計からプラスに転じた前年同月比上昇率はさらに上昇幅を拡大して+0.4%と4年9か月振りの高い伸びになりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の企業向けサービス価格、4年9カ月ぶりの上昇幅
日銀が25日発表した6月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.3と、前年同月比0.4%上昇した。プラスは2カ月連続で、上昇率は08年9月以来4年9カ月ぶりの高い伸びとなった。建築や宿泊関連のサービス価格がけん引した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。6月は前月と比べて横ばいだった。
業種別にみると、土木建築サービスが前年と比べて3.7%上昇。首都圏での再開発が相次ぎ、建築設計に関わる価格が上がった。東京を中心に観光事業が好調なことを受けて、宿泊料が上がり、宿泊サービスも前月から上げ幅を広げた。
広告もスポーツイベントに絡むテレビCMへの支出があったほか、金融・保険業などからの出稿が増加。食品加工機械などを中心にリースも前年比でプラスに転じた。日銀は「企業のサービス関連支出に明るさが出始めた」と評価した。
一方、6月は外国為替市場で円相場が一時1ドル=93円台に上昇するなど円高・ドル安が進んだため、主に外貨建てで取引される運賃を円換算した価格が下落し、外航貨物輸送など運輸は押し下げ要因となった。

いつもの通り、統計についとてもよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、グラフは以下の通りです。物価統計の伝統に従って、企業物価 (CGPI) と企業向けサービス価格 (CSPI) のそれぞれの季節調整していない原系列の統計の前年同月比をプロットしています。CGPI は左軸、CSPI は右軸です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。赤い折れ線の企業向けサービス価格の上昇率は、先月5月には1年1か月振りにプラスに転じ、6月もプラス幅を拡大しています。アベノミクが本格的に始まった今年に入ってから、CGPI と CSPI がほぼ軌を一にして上昇率を高めているのが見て取れます。

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前月からの上昇率の差が+0.1%ポイントあり、このうち寄与度差で大きな項目を上げると、諸サービスのうち土木建築サービスと宿泊サービスが前年同月比のプラス幅を拡大し、また、リースも5月のマイナスから6月にはプラスに寄与する一方で、引用した記事にもある通り、5月下旬からの金融市場の混乱に起因して6月は円高が進んだため、外航貨物輸送などの運輸がプラス幅を縮小してマイナス方向に寄与しています。また、全体として経済活動が活発になった影響から、広告もマイナス幅を縮小しています。
毎月同じことを書いているような気がしますが、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数からみた日本経済」などでも、各種の物価の中でも CSPI は需給バランスにもっとも敏感な物価指数のひとつであるとの分析結果も明らかにされており、先行き、さらに需給ギャップが改善し物価が上昇する方向にあることは明らかです。消費者物価 (CPI) ほどではないものの、ラグは決して無視すべきではありませんが、そろそろ半年が経過し、アベノミクスによる政策効果もいくぶんかは現れ始めていると受け止めています。もちろん、先行きはさらに期待できます。

明日は総務省統計局から消費者物価 (CPI) が発表されます。生鮮食品を除く総合で定義されるコア CPI の前年同月比上昇率は5月統計では横ばいのゼロでした。6月統計ではプラスに転ずる可能性も十分あると多くのエコノミストは見込んでいます。

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2013年7月24日 (水)

オールスター明け初戦は新井良太選手の2ホーマーなどでヤクルトを粉砕!

  HE
阪  神500000610 1291
ヤクルト000000000 030

オールスター明け後半戦の初戦は初回ツーアウトから5点を先制し、その後も着実に加点して、大差でヤクルトを粉砕しました。メッセンジャー投手は7回を3安打無失点でお役御免になり、ボイヤー投手、松田投手とつなぎましたが、私は7回の新井良太選手のグランドスラムを見てお風呂に入ってしまい、松田投手を見逃しました。誠に残念。打つ方は新井良太選手が2ホーマー6打点の大活躍でした。まあ、初回の5点から始まって12点取ったんですから打撃陣は文句ありません。

明日もルーキー藤浪投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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円高是正の効果で輸出額が増加し貿易赤字は大きく縮小

本日、財務省から6月の貿易統計が発表されています。ヘッドラインとなる輸出は6兆614億円、輸入が6兆2422億円、差引き貿易赤字が▲1808億円となりました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-6月の貿易赤字4兆8438億円、半期で過去最大
6月は1808億円に急減

財務省が24日発表した1-6月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4兆8438億円の赤字となった。前年同期比66.1%増え、半期としては過去最大。原発の稼働停止と円安の進行で液化天然ガス(LNG)など燃料の輸入が膨らんだ。一方、6月単月の赤字額は1807億円と5月の9963億円から縮小した。
1-6月の輸入額は前年同期比9.2%増の38兆8012億円。オーストラリアや中東のLNGや中東の原粗油といった燃料の輸入が増えた。数量指数で見ると2.2%減った。輸出額は前年同期比4.2%増の33兆9573億円だった。中国向けのペットボトル原料やオーストラリア向け鉱物性燃料、米国向け自動車が伸びた。数量ベースでは8.3%減った。
地域別でみると、中国向けの赤字額は2兆2727億円と61.2%増えて過去最大だった。スマートフォン(スマホ)の輸入が急増した一方で、反日感情の影響で自動車の輸出が落ち込んだ。中東向けの赤字は6兆4375億円と半期としては過去3番目の大きさ。欧州連合(EU)向けの赤字は3335億円で過去最大だった。
1-6月の円ドル相場は平均1ドル=94.62円と前年同期比18.9%の円安・ドル高となった。外貨建て取引の比率は輸入が8割と輸出の6割を上回る。為替が円安に振れると輸入額の膨らみの方が大きくなり、短期的には貿易収支も悪化しやすい。いずれ円安効果が輸出増につながるとの期待がある。
実際、足元では改善の兆しも出てきた。6月単月の貿易赤字額は季節調整値でみると5月に比べて23%減った。円安に加えて米国の消費の持ち直しで米国向けの自動車の輸出が増えた。
ただ、6月の赤字額は6月としては過去2番目の大きさ。赤字は12カ月連続で、第2次オイルショックで原油価格が上がった1979年7月-80年8月以来の長さだ。

私のように単月の景気動向に注目して貿易統計をウォッチしているエコノミストには、やや1-6月半期の統計に比重を置き過ぎている気がしないでもないんですが、いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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注目は、貿易収支赤字の縮小です。引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の統計では5月の▲9963億円から6月は▲1808億円に大きく縮小した一方で、季節調整済の系列では5月の▲7779億円から6月は▲5987億円とやや縮小を示しています。まだ当面は、いわゆるJカーブ効果は消えないと私は見込んでいますが、同時に発表された今年上半期の「貿易取引通貨別比率」に従えば、円建て比率は輸出で35.6%、輸入で20.6%にとどまっていますので、アベノミクスに伴う円高是正が輸出金額を押し上げ、輸入金額を抑制し、貿易赤字を縮小ないし貿易収支を黒字化させる方向で作用するまでもうすぐと考えるべきです。

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ただし、円高是正の効果があるにもかかわらず、輸出金額の前年同月比は市場の事前コンセンサスの約+10%増にとどかず、+7.4%増にとどまりました。逆から見れば、輸出数量の増勢が物足りないわけで、中国経済の減速と欧州経済の停滞が需要の数量面から効いています。ただし、欧州への輸出については下止まりを示しており、為替の価格効果がさらに進んで輸出数量もこれから増勢が本格化するものと私は期待しています。

金融政策の長いラグを埋める形で展開されている財政政策による景気の下支えも、円高修正に伴って輸出が増勢を強めれば不要になり、来年4月からの消費税率引上げによる需要押下げ効果は輸出によりカバーされる部分がいくぶんなりとも拡大される可能性があると受け止めています。その意味で、欧州経済や中国経済に負う部分も少なくないながら、輸出が順調に増加すれば、消費税率引上げが予定通りに実施される可能性が高まると考えるべきです。

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2013年7月23日 (火)

「経済財政白書」が閣議に提出される

本日、内閣府から今年の「年次経済財政報告 (経済財政白書)」が閣議に提出されました。副題は「経済の好循環の確立に向けて」とされています。日銀による金融緩和によりデフレに変化の兆しが見え始めたと指摘しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

経済財政白書、デフレに「変化」と指摘 消費増税の必要性訴え
甘利明経済財政・再生相は23日の閣議に2013年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。日本経済について「緩やかなデフレ状況が継続しているものの、13年3月以降、変化がみられる」と指摘した。日銀による物価安定目標の設定や量的・質的金融緩和の導入などの経済政策を「レジーム転換」と評価した。
白書の副題は「経済の好循環の確立に向けて」。デフレに関しては、名目金利から物価上昇率を差し引いた実質金利が09年から11年まで高止まりしたことが実質国内総生産(GDP)を累積で約8.5兆円押し下げたと試算した。リーマン・ショック後に一方的に進んだ円高が、デフレを「相互作用的」に深刻化させたと分析した。
最近の日本経済については、金融緩和や緊急経済対策への期待で家計の低価格志向が弱まっていると指摘。輸入物価や企業物価を通じたデフレ圧力が円安で解消しつつあることにも触れ「デフレ状況に変化が見られ、産業空洞化の懸念が後退する動きも見られる」とした。足元では予想物価上昇率が高まるに伴って実質金利が低下。設備投資をはじめとした実体経済の改善にプラスに働く可能性があると指摘した。そのうえで「景気回復と企業収益の改善に伴って賃金が上昇するような環境を整備する必要がある」と訴えた。
12年秋からの円高是正に関しては「1円の円安で企業収益は年ベースで1.0%増加する」と試算。業種によって影響は異なると断ったうえで、外貨建ての資産や所得の為替評価差益の増加、輸出採算の好転を通じて企業の収益改善につながるとの見方を示した。輸出回復は設備投資の持ち直しに寄与するとした。
消費増税が経済成長の足かせになるとの懸念には、08年のリーマン・ショック後に付加価値税(日本の消費税に相当)増税が相次いだ欧州連合(EU)の例を挙げ「(増税で)必ずしもマイナス成長に陥るわけではなく、経済全体を低迷させるものとはならなかった例も多い」と説明。消費増税をしても国内景気の失速は避けられるとの見方を示唆した。
長期金利は今のところ国際比較では低位で安定しているとし「財政の持続可能性に対する市場からの信認は維持されている」と指摘した。一方で今後も信認を維持するためには、経済財政運営の基本指針である「骨太の方針」に沿って「中長期的に持続可能な財政構造を目指すことが必要」と強調。欧州債務危機に触れつつ「財政健全化は喫緊の課題」と理解を求めた。

ということで、いつもの通り、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。白書としてのボリューム的にも、すべてをブログで取り上げることはとても出来ませんので、私が重要と考える金融緩和とデフレ脱却にポイントを絞って、第1章第2節を中心に簡単に図表を引用して紹介しておきたいと思います。

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上の画像は、白書の p. 61 第1-2-1図 大胆な金融緩和と主な波及経路 を引用しています。日銀のいわゆる異次元緩和が実質金利の低下と為替の原価を通じて実体経済を改善し、デフレ脱却につながるルートが示されています。

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続いて、上の画像は、白書の p. 82 第1-2-13図 デフレの経済的コストの推計 を引用しています。家計も企業も、大きな経済的ロスをこうむり、2009-11年の累積でGDPは8兆円余り押し下げられたと試算しています。

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続いて、上の画像は、白書の p. 89 第1-2-18図 パート労働者比率と給与及び雇用調整速度の関係 を引用しています。デフレとデフレに起因する円高により景気が低迷して企業業績が悪化したため、労働コスト圧縮を目的として、特に非製造業でパート労働者の比率が高まっています。上のグラフに見る通り、非製造業における所定内賃金の低下に対してパート労働者比率の上昇が大きく寄与しています。

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最後に、第1章の第3節に入って、上の画像は、白書の p. 147 第1-3-22図 公的社会支出と社会保障負担の国際比較 を引用しています。上の2つのグラフでは我が国だけが5年単位でプロットされています。高齢化の進展や社会保障支出のボリュームに比較して、国際的に見て、余りにも負担が小さいのが見て取れます。金融市場における信任の維持とともに、高齢者の逃切りを許さないためにも、早期に負担を引き上げる必要があります。

付図・付表まで含めると500ページを超えるリポートを発表の当日にブログで紹介しようというんですからムリがあります。全部ちゃんと読んでいるハズもありません。取りあえず、とても大雑把に見た限りですので、引用に間違いがあるかもしれませんし、私が見逃しているポイントもたくさんありそうな気もしないでもありません。でも、閣議に提出された当日に取り上げておくのもそれなりに重要だと思います。

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2013年7月22日 (月)

ホラーに関する調査結果

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七夕の7月7日の読書感想文のエントリーで何冊か角川ホラー文庫を取り上げましたが、夏場はホラー、というか、伝統的な呼び方に従えば、怪談が季節の風物詩と言えます。また、朝日新聞の記事などで見かけたんですが、鈴木光司『エッジ』がシャーリイ・ジャクスン賞を受賞しています。誠におめでとうございます。私は角川ホラー文庫で読んでいます。1990年代から瀬名秀明『パラサイト・イヴ』などの生物学ホラーはいくつかありましたが、『エッジ』は物理学ホラーです。突如として、人間が消失します。ご参考まで。

ということで、前置きが長くなりましたが、ネットリサートチ大手のネオマーケティングから先週7月18日に「ホラーに関する調査」結果が発表されています。まず、リポートから調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

【調査概要】
【1】「幽霊の存在を信じる」 57.4%
【2】最も怖いホラー映画、22.6%が「リング」シーズと回答
【3】恐妻家だと思う有名人、第1位は「野々村真」36.2%

3番目の点は、私は全く興味がありませんし、ホラーとは関係が薄いと考えていますので、最初の2点についてグラフを引用して紹介したいと思います。まず、男女別で見た「あなたは幽霊の存在を信じますか」という問いに対する回答割合は以下の通りです。

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幽霊の存在について、私自身は、もちろん、「いいえ」で幽霊なんぞは信じないんですが、女性ではほぼ3人に2人が幽霊を信じていて、男性も信じると信じないはほぼ半々です。ですから、男女平均すれば半数を超える日本人が幽霊の存在を信じていることになります。特に、ホラーの伝統的な表現である「怪談」は幽霊の存在を引合いに出す場合が多いかもしれません。「四谷怪談」や「番町皿屋敷」などが典型的と言えましょう。他方、私なんかがよく読むモダン・ホラー、例えば、鈴木光司、スティーヴン・キング、ディーン・クーンツなどは、幽霊をはじめとする「あの世の存在」は出て来ないストーリーが多いような気がします。何か得体の知れない怖い存在は登場しますが、幽霊などのあの世の霊的なモノではないような気がします。

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最も怖いと思うホラー映画に関する問いに対する回答は上の通りです。私はホラー小説が中心で、映画やビデオといった映像は余り見ないのでよく分かりませんが、いくつかスプラッター映画が入っているような気がします。「リング」のシリーズ、すなわち、「リング」と「らせん」と「ループ」の3部作は読みましたが、映像では見ていません。同様に、「怨呪」のシリーズと「クロユリ団地」も角川ホラー文庫のノベライズされた小説は読みましたが、誠に残念ながら映画は見ていません。昨年、下の子と見に行った「バイオ・ハザード」のシリーズがおそらく私の最新ホラー映画鑑賞ではないかと思います。「バイオ・ハザード」以外でも海外映画が印象に残っており、スティーヴン・キング原作の「ミザリー」とか、古典的名作であるヒッチコックの「鳥」などを見た記憶が鮮明です。基本的に、私も下の子もスプラッター映画には興味ありません。

私は基本的にホラー小説や映画は決して嫌いではないものの、決して好きでもありません。なぜか、中学生の下の子がホラーのファンですので、一応、親としての責任を果たすべくチェックのために読んだり見たりしているのが多いような気もします。その意味で、こういった調査結果はとても参考になります。

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2013年7月21日 (日)

Communiqué, Meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors, Moscow, 19-20 July 2013

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Communiqué
Meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors
Moscow, 19-20 July 2013

1. We, the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, met to review the current global economic conjuncture and discuss the required policies in preparation for our Leaders' Summit in September.

Global Economy and G20 Framework for Strong, Sustainable and Balanced Growth

2. Strengthening growth and creating jobs remain our priority and we are fully committed to taking decisive actions to return to a robust, job rich growth path.

3. The global economy remains too weak and its recovery is still fragile and uneven. Unemployment remains excessively high in many countries. There are signs of strengthening activity in the U.S. and Japan, the recession in the euro area continues even though there are signs of stabilization and growth in many emerging market economies continuing but at a slower pace. While our policy actions have contributed to contain downside risks, those still remain elevated with rising disparity in regional growth prospects. There has been an increase in financial market volatility and tightening of financial conditions.

4. To place the global economy on a stronger, more sustainable and more balanced growth path, we will intensify our policy actions and develop a comprehensive St Petersburg Action Plan. We agreed that our near term priority is to boost jobs and growth. We are committed to further reducing financial market fragmentation, moving ahead decisively with reforms towards a banking union in Europe, continuing monetary support where needed, calibrating the pace and composition of fiscal consolidation plans to economic conditions and fiscal space, continuing to implement or putting in place credible medium term fiscal strategies in advanced economies, rebalancing global demand, and taking measures to support growth, stability and resilience in emerging market economies. Equally important, we agreed that to strengthen our medium term growth potential, the St Petersburg Action Plan must include a comprehensive series of structural reforms that will increase productivity, labor force participation and employment. To this end, we have reviewed our structural reform agenda and agreed to address the gaps in our policy commitments with actions that clearly contribute to our collective objective of achieving strong, sustainable and balanced growth.

5. Achieving a stronger and sustainable recovery while ensuring fiscal sustainability in advanced economies remains critical. As agreed, progress is being made in developing credible, ambitious and country-specific medium term fiscal strategies for the St Petersburg Summit. These strategies will be sufficiently flexible to take into account near term economic conditions, so as to support economic growth and job creation while putting debt as a share of GDP on a sustainable path.

6. We are determined to accelerate progress toward rebalancing global demand, including internal rebalancing through structural reforms. This requires surplus economies to boost domestic sources of growth and deficit economies to increase national savings and enhance competitiveness. We reiterate our commitments to move more rapidly toward more market-determined exchange rate systems and exchange rate flexibility to reflect underlying fundamentals, and avoid persistent exchange rate misalignments. We will refrain from competitive devaluation and will not target our exchange rates for competitive purposes. We will resist all forms of protectionism and keep our markets open.

7. Monetary policy should be directed toward domestic price stability and continue to support economic recovery according to the respective mandates of central banks. We recognize the support that has been provided to the global economy in recent years from accommodative monetary policies, including unconventional monetary policies. We remain mindful of the risks and unintended negative side effects of extended periods of monetary easing. Future changes to monetary policy settings will continue to be carefully calibrated and clearly communicated. We reiterate that excess volatility of financial flows and disorderly movements in exchange rates have adverse implications for economic and financial stability. Sound macroeconomic policies and strong prudential frameworks will help address potential volatility. We will continue to monitor financial market conditions carefully.

International Financial Architecture

8. Completing the ongoing reforms of IMF governance is indispensable for enhancing its credibility, legitimacy and effectiveness. For this reason, the ratification of the 2010 IMF Quota and Governance Reform is urgently needed. We continue to support the IMF Executive Board's decision to integrate the process of reaching a final agreement on a new quota formula with the 15th General Review of Quotas. We remain committed, together with the whole IMF membership, to agree on the quota formula and complete the 15th General Quota Review by January 2014 as agreed at the Seoul Summit and reiterated in Cannes and Los Cabos. We attach high importance to securing continued progress in meeting this objective, including on key elements by the October 2013 G20 Ministerial and IMFC meetings. We reaffirm our previous commitment that the distribution of quotas based on the formula should better reflect the relative weights of IMF members in the world economy, which have changed substantially in view of strong GDP growth in dynamic emerging market and developing countries. We reaffirm the need to protect the voice and representation of the IMF poorest members as part of this General Review of Quotas.

9. Strengthening the existing practices of public debt management is an important means of achieving more resilient public finances. We welcome the intention of the IMF and the World Bank to review and update the "Guidelines for Public Debt Management" in light of the experience to date. We look forward to a progress report to the Leaders' Summit in September and initial suggestions for updating the Guidelines by our October meeting. We also call on the OECD for an interim report on its update of OECD leading practices for raising, managing, and retiring public debt, including on state guarantees, by our next meeting.

10. Events in the past years have shown the importance of debt sustainability for all countries. We, therefore, endorse continued attention to this issue in the activities of the IMF and the World Bank and confirm our support for the implementation of the IMF – World Bank Debt Sustainability Framework for low-income countries in order to promote sustainable financing and sustainable growth. Successful implementation of the HIPC Initiative and MDRI, stronger policies, and improved economic prospects have helped expand and diversify external financing opportunities for low-income countries, which they can usefully employ to increase their growth potential. However, unless new financing and borrowing are undertaken prudently, new risks may emerge. We, therefore, ask the IMF and the World Bank to continue assisting low-income countries at their request in developing prudent medium-term debt management strategies and enhancing their debt management capacity. To better inform our practices, we will also take into consideration the IMF-World Bank Debt Sustainability Framework for low-income countries. We agree that further inclusive discussions with low-income countries are needed on these issues.

11. Regional Financing Arrangements (RFAs) can play an important role in the existing global financial safety net. In Cannes our Leaders adopted common principles for cooperation between the IMF and RFAs. We reaffirm these principles, as well as the importance of safeguarding the mandate and independence of the respective institutions. Recognizing recent work undertaken in this area by both the IMF and G20, we look forward to a flexible and voluntary dialogue between the IMF and RFAs on an ongoing basis through well-established communication channels. We also take note of the importance of a dialogue among RFAs to foster an informal exchange of views and experiences in a flexible and voluntary way.

12. We note the work undertaken by the IMF and BIS in developing indicators that reflect global liquidity conditions, looking both at price and quantity-based measures. We call on the Fund to carry out further research with a view to develop proposals on how to incorporate global liquidity indicators more broadly into the Fund's surveillance work.

13. We reiterate that effective local currency bond markets (LCBMs) play an important role in improving the resilience of the domestic economy and financial systems. We welcome the preparation by international organizations (IOs) of the LCBM Action Plan Implementation Report, which describes the efforts taken to improve the coordination of technical and advisory assistance for LCBM development. We welcome the Diagnostic Framework on LCBM prepared by the IMF, the World Bank Group, the EBRD and the OECD, as part of the Action plan. We look forward to annual review by IOs of developments in LCBMs in light of their contribution to financial stability and better capital flow management. We encourage IOs, other technical assistance providers, and country authorities to consider the use of the Diagnostic Framework in identifying and setting reform priorities in support of LCBM development.
14. We reiterate our commitment to contribute to a successful International Development Association (IDA) 17 replenishment, as well as African Development Fund (AfDF) 13 replenishment.

Financing for Investment

15. We reiterate the importance of long-term financing for investment, including in infrastructure and SMEs, for sustainable growth and job creation. We endorse the work plan, prepared by the Study Group, and welcome the contributions of the international organizations that helped us to assess factors affecting the availability and accessibility of long-term financing for investment, including in infrastructure and for SMEs. In this regard, we welcome the "High-Level Principles of Long-Term Investment Financing by Institutional Investors" elaborated by the OECD in consultation with the G20 members and call on the OECD to identify approaches to their implementation in consultation with participants. We look forward to future contributions by IOs which aim to assist countries in facilitating and promoting long-term investment. We look forward to the FSB's ongoing monitoring of the impact of financial regulatory reforms on the supply of long-term investment financing.

16. We will undertake further work on measures to facilitate greater intermediation of global savings to generate long-term financing for productive investments, including in infrastructure. We will explore how private sources of financing and capital markets can be better mobilized. We also look forward to building on the ongoing work of the MDBs to develop new approaches in order to optimize the use of their existing resources, including through leveraging private capital, and to strengthen their lending capacity. We take note of the work underway respectively at the World Bank Group and at the regional banks to mobilize and catalyze financing for infrastructure investment, particularly in emerging markets and developing countries. Our efforts to address global infrastructure gaps will focus on the areas with considerable needs, including the power and energy sector in Sub-Saharan Africa.

17. We recognize the paramount importance of the investment climate in attracting long-term financing. Accordingly, in identifying impediments to the mobilization of private capital, we will take a comprehensive approach, which includes financing for infrastructure and SMEs. In this regard, we are committed to taking further actions to improve investment conditions. Furthermore, improving processes and transparency in relation to the planning, prioritization and funding of investment projects, especially in infrastructure, remains essential. Particular attention will also be given to approaches to improve the design of public- private partnership (PPP) arrangements.

Addressing Base Erosion and Profit Shifting (BEPS), Tackling Tax Avoidance, Promoting Automatic Exchange of Information, and Fighting Non-cooperative Jurisdictions

18. Ensuring that all taxpayers pay their fair share of taxes is a high priority in the context of fiscal sustainability, promoting growth, and the needs of developing countries to build capacity for financing development. Tax avoidance, harmful practices and aggressive tax planning have to be tackled. The spread of the digital economy also poses challenges for international taxation. We fully endorse the ambitious and comprehensive Action Plan submitted at the request of the G-20 by the OECD aimed at addressing base erosion and profit shifting (BEPS) with a mechanism to enrich the Plan as appropriate . We welcome the establishment of the OECD/G20 BEPS project and encourage all interested countries to participate. We look forward to regular reporting on the development of proposals and recommendations to tackle the 15 issues identified in the Action Plan and commit to take the necessary individual and collective action with the paradigm of sovereignty taken into consideration. We acknowledge that effective taxation of mobile income is one of the key challenges. Profits should be taxed where functions driving the profits are performed and where value is created. In order to minimize BEPS, we call on member countries to examine how our own domestic laws contribute to BEPS and to ensure that international and our own tax rules do not allow or encourage multinational enterprises to reduce overall taxes paid by artificially shifting profits to low-tax jurisdictions.

19. We commend the progress recently achieved in the area of tax transparency and we fully endorse the OECD proposal for a truly global model for multilateral and bilateral automatic exchange of information. We are committed to automatic exchange of information as the new, global standard and we fully support the OECD work with G20 countries aimed at setting such a new single global standard for automatic exchange of information. We ask the OECD to prepare a progress report by our next meeting, including a timeline for completing this work in 2014. We call on all jurisdictions to commit to implement this standard. We are committed to making automatic exchange of information attainable by all countries, including low-income countries, and will seek to provide capacity building support for them. We call on all countries to join the Multilateral Convention on Mutual Administrative Assistance in Tax Matters without further delay. We look forward to the practical and full implementation of the new standard on a global scale. All countries must benefit from the new transparent environment and we call on the Global Forum on Exchange of Information for Tax Purposes to work with the OECD task force on tax and development, the World Bank Group and others to help developing countries identify their need for technical assistance and capacity building. We are looking forward to the Global Forum establishing a mechanism to monitor and review the implementation of the global standard on automatic exchange of information. We urge all jurisdictions to address the Global Forum's recommendations and especially the fourteen where the legal framework fails to comply with the standard without further delay. We ask the Global Forum to draw on the work of the FATF in connection with beneficial ownership, and also ask the Global Forum to achieve the allocation of overall ratings regarding the effective implementation of information exchange upon request at its November meeting and report to us at our first meeting in 2014.

20. We reiterate our commitment to FATF's work in fighting money laundering and terrorism financing and its key contribution into tackling other crimes such as tax crimes, corruption, terrorism, and drug trafficking. In particular, we support the identification and monitoring of high risk jurisdictions with strategic anti-money laundering (AML)/countering the financing of terrorism (CFT) deficiencies while recognizing the countries' positive progress in fulfilling the FATF's standards. We encourage all countries to tackle the risks raised by opacity of legal persons and legal arrangements, and we commit to take measures to ensure that we meet the FATF standards regarding the identification of the beneficial owners of companies and other legal arrangements such as trusts that are also relevant for tax purposes. In the prudential area we call for further progress and encourage adherence to cooperation and information exchange standards.

Financial Regulation

21. Since our April meeting, further progress has been made in promoting financial system stability with additional jurisdictions adopting final rules to implement Basel III. Those who have not yet adopted final rules have committed to do so as soon as possible in 2013. We welcome the work of the Basel Committee on Banking Supervision (BCBS) to assess the consistency of jurisdictions' rules with Basel III and look forward to the updated progress report on Basel III implementation ahead of the Summit. We welcome the recent BCBS report on the regulatory consistency of risk-weighted assets and look forward to their further work to improve comparability of regulatory capital ratios. We expect the BCBS to finalize its work on the remaining components of the Basel III framework - the leverage ratio by early 2014 and on net stable funding ratio by end 2014.

22. The FSB will report to the St Petersburg Summit on the progress made and next steps towards addressing the "too big to fail" issue. We strongly support the work to establish robust resolution regimes and resolution plans consistent with the scope and substance of the FSB's Key Attributes of Effective Resolution for any financial institution that could be systemically important beyond the banking sector, and look forward to pilot assessments by the FSB, IMF and World Bank using the Key Attributes' assessment methodology. We will undertake any legislative and other steps needed to enable authorities to resolve financial institutions in an effective manner, including in a cross-border context. We further encourage the FSB and IMF to continue work to address cross-border resolution issues. We recognize that structural banking reforms can facilitate resolvability and call on the FSB, in collaboration with the IMF and the OECD, to assess cross-border consistencies and global financial stability implications taking into account country-specific circumstances.

23. We support the work done by the International Association of Insurance Supervisors (IAIS) and the FSB to finalize the Global Systemically Important Insurers (G-SII) package. We welcome the publication of the initial list of G-SIIs to which resolution planning and group-wide supervision will initially apply. We welcome the IAIS plans to develop a simple, group-wide capital requirement to be finalized by the time of the G20 Summit in 2014 and that will serve as a foundation for higher loss absorbency requirements for G-SIIs.

24. We note the continued progress in implementing OTC derivatives reforms, and that further work remains to ensure greater consistency in regulatory standards. We are committed to rapidly complete the remaining legislative frameworks and regulations for these reforms. In particular, the recent EU-U.S. announcement on cross-border issues related to OTC derivatives reforms is a major constructive step forward, which paves the way for resolving remaining conflicts, inconsistencies, gaps and duplicative requirements globally. Further steps remain needed, and we have asked key regulators to report by the September Summit on how they have resolved these cross-border issues. In this context, we agree that jurisdictions and regulators should be able to defer to each other when it is justified by the quality of their respective regulations and enforcement regimes, based on essentially identically outcomes, in a non-discriminatory way, paying due respect to home country regulation regimes.

25. We support the Regulatory Oversight Committee (ROC) of the Legal Entity Identifier (LEI) in its efforts to launch the global LEI Foundation as soon as possible.

26. We look forward to further FSB policy recommendations for the oversight and regulation of the shadow banking system by the Leaders' Summit and will work towards their timely implementation.

27. The above are important steps taken by the international community in rebuilding confidence in the long-term robustness of the global financial system. We will continue to monitor and assess their impact on the financial system and on economic growth.

28. We reiterate our call on the IASB and FASB to finalize by the end of 2013 their work on key outstanding projects for achieving convergence on a single set of high-quality accounting standards. We recall the crucial importance of making swift progress on this issue in order to enhance resilience of financial markets.

29. We note the outcomes of the G20 high-level seminar on benchmarks and credit rating agencies (CRAs). We look forward to the FSB progress report on both national authorities' and standard setting bodies' steps to reduce reliance on CRA ratings for the St Petersburg Summit. We welcome the completion of IOSCO's Principles for Financial Benchmarks and the establishment of the FSB's Official Sector Steering Group to coordinate work on the necessary reforms of interest rate benchmarks and guide the work of a Market Participants Group.

30. As a pre-requisite for enhanced policy analysis, we welcome the continued progress made by G-20 economies on closing information gaps under the FSB and IMF G-20 Data Gaps Initiative. We strongly encourage the implementation of the recommendations in this initiative and look forward to the progress report for our meeting in October 2013.

31. We welcome the FSB's intention to review the structure of its representation which is envisaged to be completed by the end of 2014.

Financial Inclusion, Financial Education, Consumer Protection

32. We welcome the progress made by the Global Partnership for Financial Inclusion (GPFI), including creation of the fourth GPFI subgroup, focused on Financial Consumer Protection and Financial Literacy, and work on the expansion of the G20 Basic Set of financial inclusion indicators to cover these issues, as well as the quality of financial service provision and the use of innovative delivery channels. We acknowledge the support from the implementing partners, i.e. the Alliance for Financial Inclusion (AFI), Consultative Group to Assist the Poor (CGAP), IFC, OECD and the World Bank in this regard and expect this work to be completed by the St Petersburg Summit.

33. We commend the forty emerging market and developing countries, which have made financial inclusion commitments, and ask the GPFI to continue support of the global platforms such as AFI's Maya Declaration, G20 Peer Learning Programme and the World Bank Group's Financial Inclusion Support Framework to assist countries in meeting their commitments. We welcome the progress made by Standard Setting Bodies (SSBs) to integrate financial inclusion in their work, consistent with their mandates, including FATF's endorsement of financial inclusion as part of its long-term work; we recognize the role of GPFI in catalyzing this process and ask to continue this work.

34. We welcome the progress made by countries to address the specific challenges in access to finance faced by SMEs through the implementation of the SME Finance Challenge, and support the peer learning through the SME Finance Compact and the launch of the AFI Working Group on SME Finance. As the SME finance gap remains large worldwide, we call for further efforts, particularly in improving credit information, movable collateral and secured transactions systems, and electronic payments, and promoting innovations in SME financial services as laid out in the GPFI report.

35. We welcome practical tools to measure financial literacy and evaluate financial education programs, as well as progress reports on barriers for women and youth in financial inclusion and education, developed by the OECD/International Network for Financial Education (INFE) and the World Bank. We support the OECD/INFE policy guidance on addressing women and girls' needs for financial education and look forward to the G20 Russia's Presidency and the OECD publication on national strategies for financial education by the Leaders' Summit. We also support the work done by the G20/OECD Task Force on Financial Consumer Protection on the first set of effective approaches to support the implementation of the G20 High-Level Principles on Financial Consumer Protection and look forward to their report on other principles in 2014.

Energy and Commodity Markets, Climate Finance

36. We reaffirm our determination to improve transparency and functioning of commodity markets in order to prevent excessive price volatility and which can foster investment in energy infrastructures. We will present to our Leaders a report on the G20 contribution to the transparency of commodity markets at the St Petersburg Summit. We will continue working to improve the timeliness, completeness and reliability of the JODI-Oil and look forward to the IEF report for our October meeting, including on ways to make JODI data available more quickly to a wider selection of users. We welcome progress on the JODI-Gas database and look forward to its full launch by the earliest possible date. We support the IEA, IEF and OPEC practical recommendations to increase transparency in international gas and coal markets. We intend to continue following up very closely the proper implementation of the IOSCO principles for the regulation and supervision of commodity derivatives markets. We look forward to the IOSCO report on the implementation of its principles on Price Reporting Agencies to be presented at our next meeting. Taking into account PRAs' major role in the price discovery process, we welcome IOSCO's plan to consider, in the context of its collaboration with the IEA, IEF and OPEC, the need for any modification of the PRA Principles to align them more closely with the international standards on governance and transparency of benchmarks as adopted by IOSCO and will consider options including their supervision. We welcome the launch of the voluntary peer review process for inefficient fossil fuel subsidies that encourage wasteful consumption, and we encourage broad participation.

37. We recognize the important role that regulation among other policy levers can play in promoting investment and take note that regulation should be a country-led process. We take note of the energy regulators' Statement on sound regulation and promoting investments in energy infrastructure, agreed by the participants in the G20 Outreach Energy Regulators Round Table this June in Kazan.

38. We recognize the importance of our continued discussions on climate finance and on ways to effectively mobilize resources, taking into account the objectives, principles and provisions of UNFCCC. We take note of the experiences shared between members last June in Paris. We will report to the Leaders in St Petersburg on the main messages coming out of these discussions and propose a way forward for the next year.

Source: G20 web site

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2013年7月20日 (土)

若年世代は1%の投票棄権でおよそ13万5千円の損!

明日の日曜日は参議院選挙の投票日です。やや旧聞に属する話題ですが、先週金曜日の7月12日に東北大学の吉田浩教授らの研究成果「若年世代は1%の投票棄権でおよそ13万5千円の損!?」が公表されています。結論として、選挙を棄権してこのまま若年世代の投票率が下がり続けると、20-49歳の投票率1%の低下につき将来負担となる国債が約7万5,300円増加し、社会保障給付でも高齢世代に比べて約5万9,800円格差が拡大することから、合計で年間13万5千円あまり経済的なポジションが不利になる、との試算となっています。まず、公表資料から箇条書きのポイント3点を引用すると以下の通りです。

「若年世代は1%の投票棄権でおよそ13万5千円の損!?」
  1. 若年世代の投票率の低下とともに将来の負担の国債発行額は増えてきました
  2. 若年世代の投票率低下で社会保障給付の世代間格差も拡がってきました
  3. 投票棄権で若年世代の投票率が1%下がると、およそ13万5千円の損と試算できます

私は従来から社会保障は市場ではなく選挙によって決まり、圧倒的なシルバー・デモクラシーの下で世代間不公平が拡大していると警鐘を鳴らし続けて来ましたが、定量的な検証を行ったのがこの結果と受け止めています。公表資料にも明記されていますが、20-49歳で定義される若年世代の投票率の低さ、と言うか、棄権率の高さは、「政治に参加しなかったことによるペナルティー」であり、「政治不参加税」を支払わされているのと同じであり、その額を13万5千円と試算しています。

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上の画像は公表資料の p.6 から 図5 若年世代は1%の投票棄権でおよそ13万5千円の損 を引用しています。すなわち、繰返しになりますが、投票率が1%下がると将来負担となる国債が約7万5,300円増加し、社会保障給付でも高齢世代に比べて約5万9,800円格差が拡大にすることから、合計で年間13万5千円もの不利益を生み出しています。また、公表資料の p.8 では、私も何度か引用したことのある国立社会保障・人口問題研究所の「社会保障給付費」から、我が国における高齢区分に手厚く家族区分にはなはだ薄い社会保障の現状を明らかにする図表が見られます。最後に、試算の前提となるモデルを数学的に表現した「年代別投票率の相違と世代間格差に関する考察」へのリンクは以下の通りです。

明日は予定が入っているので、実は、私はすでに期日前投票を済ませているんですが、世代間格差の是正のためにも、多くの若年・勤労世代の有権者が投票することを切実に願っています。一応、「経済評論の日記」に分類しておきます。

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2013年7月19日 (金)

今週読んだ経済書、専門書、教養書など

先週末の3連休くらいから今週にかけて読んだ経済書、専門書、教養書などのノンフィクションの本です。フィクションの小説は、芥川賞や直木賞が決まりましたが、また別途、日を改て取り上げたいと思います。一応、経済書が中心ですので、「経済評論の日記」に分類しておきます。

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まず、小野亮・安井明彦『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』(東洋経済新報) です。著者はおふたりともシンクタンク勤務のエコノミストで、当然ながら、米国経済を専門にしています。その昔に「米国がくしゃみをすると、日本が風邪をひく」といわれた時代がありました。現在はそれほどでもありませんが、私が計量モデルで分析・研究していたころも、米国の政策変更は日本経済にかなりの影響を与える反面、日本の政策変更は米国にはほとんど何も影響を及ぼさないとの結果を得たこともあります。特に、この先、シェール・ガスやオイルの生産増加で米国がエネルギーを自給どころか、我が国などへ輸出できるようになれば、世界経済や国際金融にかなりのインパクトを及ぼすことも確かです。基軸通貨国であり、軍事的にも世界の安全保障に大きなプレゼンスを示し、何といっても経済大国である米国をよりよく理解するためのとても優れた入門書だと思います。米国と何のビジネス関係も持たない人にも何らかの意味で一助となると思います。ついつい勢いと距離的な近さで中国経済に目が行きがちですが、米国経済を理解する重要性を改めて認識させられました。

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次に、天達泰章『日本財政が破綻するとき』(日本経済新聞出版) です。著者は日銀から内閣府の経済分析部局に出向しているエコノミストです。いくつか、時系列分析の手法を用いた財政の持続可能性に関する検定を実施しながら、結論として、我が国の国際は外国人保有の割合が小さいので、国債のボラティリティ伝播は生じておらず、短期では国債は安全資産と見なされていて財政破綻の可能性は低いが、長期では危険資産とも考えられ、特に、外国人が売買の中心になっているソブリンCDSでは財政リスクが意識され始めている、との極めて常識的なスタンスを示しています。では、この本のタイトルはやや過剰反応かというと、私はたしかに過剰反応でアイキャッチャーの役目を果たしているんだと思うんですが、一応、終章のタイトルが「外国投資家に財政赤字の穴埋めを頼るとき、財政破綻が訪れる」となっていて、つじつまは合っています。いずれにせよ、キワモノではなく常識的な結論に落ち着く経済書です。その意味で面白みに欠けるかもしれませんが、キワモノ経済書にはないフォーマルな分析も多く収録されています。

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続いて、野村総合研究所『2020年の産業』(東洋経済新報) です。私は昔からエコノミストであって、コンサルタントではないので、経済や経営についてそれなりの分析は出来ても、少なくとも経営についての処方箋を書くことは出来ないと諦観していましたが、さすがに、野村総研のコンサルタント集団にかかれば、中期的な先行きの産業がここまでクリアに提示されるのかと感激しました。本書では、自動車、電機、エネルギー、ICT、運輸、金融、ヘルスケアの7つの産業にフォーカスし、どうしてこの7分野かというと、今後も大きな変化が予想され、まだまだ拡大が期待できるからです。特に、私は常々危惧している「日本経済は自動車のモノカルチャー」の観点からも、自動車業界を最初に取り上げて、自動車が電気化していくに連れて垂直分業から水平分業に移行する、なんて、まったく及びもつかない発想でした。やや業界ごとに難しい話が出て来て、当該業界のビジネスマンなんかが部分部分で読む本であって、通読する本ではないのかもしれませんが、日本経済を概観する上でも何らかの役に立ちそうな気もします。

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続いて、板谷敏彦『金融の世界史』(新潮選書) です。ハンムラビ法典やアリストテレスの昔にさかのぼり、ナポレオンやニュートンも登場する金融の歴史を取りまとめた教養書です。一例として、その昔の大きな経営体がなく、大口の金融ビジネスといえば王室への資金調達であり、戦争によって王室が財政破綻するまで続く、といった分かり易い内容です。実は中世以前のこのような金融の役割は、現在の日本では地方にも見られないこともないと私は受け止めています。すなわち、私が地方勤務していた長崎などでは、金融上の大きな資金調達を必要とするビジネスはかなりの程度に県庁に限られます。しかし、中世の王室との大きな違いは県庁は戦争をしないことです。また、戦争の後の賠償に関する考え方も、第1次大戦後のベルサイユ条約まで、戦費を敗戦側に負担させるという中世的な考え方が支配していたことが伺えます。その意味でも、ケインズは偉大だったと考えるべきです。もちろん、中世の金融史も面白いんですが、本書でも、第1次大戦後の賠償問題から第2大戦後のブレトン・ウッズ体制の成立と崩壊のあたりが読ませどころだと思います。

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さらに、田中秀臣『日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉』(主婦の友) です。本書の著者はいわゆるリフレ派のエコノミストであり、AKB48を取り上げたのは本書が初めてではなく、『AKB48の経済学』(朝日新聞出版) も2010年に出版しています。私も読みました。本書もそうなんですが、前作の『AKB48の経済学』も含めて、京都大学のころに学んだマルクス主義経済学の「下部構造が上部構造を規定する」という命題を思い出します。すなわち、本書では、低価格路線で売り出しているAKB48はデフレ時代のアイドル・グループであって、アベノミクスの成功による脱デフレとともに崩壊・解散する可能性を論じています。どこまで真面目に論ずるかは迷うところですが、私はAKB48がアイドルとして成功したのは高齢化社会の中で低年齢アイドルの希少性が増したからではないかと考えていますので、念のため。例えば、テレビのドラマのために道尾秀介が2010年に書き下ろした『月の恋人』という小説がありますが、小説では20代半ばのヒロインを設定しているにもかかわらず、ドラマでは30代半ばの女優さんが主演していました。芸能界にも高齢化の波は例外なく押し寄せ、低年齢アイドルは希少性が増しているんだと認識しています。

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経済から少し離れて、アレックス(サンディ)・ペントランド『正直シグナル』(みすず書房) です。著者はマサチューセッツ工科大学に勤務し、計算社会科学という新分野の第一人者だそうです。ソシオメーターを装着して、人々の会話を含めて、無意識の行動に現れる表現を解き明かしています。正直シグナルには、影響力、ミミクリ、活動レベル、一貫性の4つがあるとして、この4つに宿る正直シグナルをその水準とともに明らかにしています。現時点ではソシオメーターを用いた実証研究にとどまっているんですが、非言語表現ではないものの、ネット上のビッグ・データにそのうちにかなりの部分が代替されるんではないかという気もします。しかし、どれほどネットが発達して、ネット上のやり取りでコミュニケーションを済ませる時代が来ようと、恋愛をはじめとして、直接会って何らかのコミュニケーションを交わす重要性が消失することはあり得ません。その意味で、貴重な観察結果をや分析結果を提出してくれる本だと思います。

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さらに、白井聡『永続敗戦論』(太田出版) です。本書のタイトルにしている「永続敗戦論」とは p.47-48 で定義されていますし、三島由紀夫との関係で p.170 にも同旨の記述があります。要するに、対米従属のことであると私は理解しています。孫崎享『戦後史の正体』(創元社) と基本的なラインは同じですが、この著者の立ち位置はマルクス主義、というか、左翼なんではないかと私は受け止めています。すなわち、私が京都大学の学生をしていたころ、社会党は一段階革命論に立っていた一方で、共産党は対米従属を打破した後に共産主義革命が来るという二段階革命論を堅持していました。今でもそうかもしれません。これは戦前の講座派と労農派の議論に源流があって、戦前の講座派マルクス主義は半封建的な地主制を打破する民主主義革命が共産主義革命に転化するという二段階革命論を唱えていました。その意味で、とても歴史の重みを受け継いだ本であるともいえます。決して万人に勧められる本ではありませんが、逆に、関心ある向きは読みごたえある本かもしれません。

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最後に、オマケで堀越二郎『零戦』(角川文庫) です。明らかに小説ではありませんので、一応、ノンフィクションとして分類していいんだろうと思います。零戦を開発した技術者、設計エンジニアの開発記録です。1970年に出版されています。上の画像に見られる通り、明日から封切られる今夏のジブリ映画のひとつである「風立ちぬ」の原作のような扱いになっています。前半は確かに零戦の開発記録なんですが、後半は戦争記のようになってしまうのは致し方ないのかもしれません。でも、『空飛ぶ広報室』の女性記者のように、戦闘機は「人殺しのための機械」とまでは私は思いませんが、もしも、それに近い印象を持っている場合、場合によって、好き嫌いが出るかもしれません。

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2013年7月18日 (木)

主要銀行貸出動向アンケート調査で企業向け資金需要が伸びないのはなぜなのか?

本日、日銀から7月調査の主要銀行貸出動向アンケート調査の結果が発表されています。いつもはそれほど注目していない指標なんですが、アベノミクスの経済政策効果との関係で取り上げたいと思います。アンケート調査結果は、個人向けの資金需要判断DIが堅調な一方で、企業向け資金需要判断DIはマイナスに悪化しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月資金需要、企業は1年ぶりマイナス 設備投資減も一因に
日銀が18日発表した主要銀行貸出動向アンケート調査によると、4-6月期の企業向けの資金需要判断DIはマイナス2と前回調査から7ポイント悪化し、12年4-6月期以来1年ぶりのマイナスに落ち込んだ。規模別では大企業向けの需要判断がプラス1で前回から3ポイント低下したほか、中小企業向けは前回のプラス3がマイナス1に悪化した。
資金需要は横ばい、と答えた金融機関が大半だったが、一部では設備投資の減退が一因となって減少したようだ。製造業の大企業向けはプラス2で、前回から3ポイント低下した。
非製造業では大企業向けがプラス3で、前回のマイナス1から好転した。金融や保険での資金需要が伸びたとみられる。中小企業向けはマイナス3で、前回から6ポイント悪化した。
個人向けDIはプラス15だった。前回調査から1ポイント改善し、2006年1-3月期以来7年3カ月ぶりの高水準。根強い住宅への投資意欲や貸出金利の低下が高い水準での需要を維持させている。
資金需要判断DIは、需要が増えたと答えた金融機関の割合から減ったとの回答を差し引いた値。個人向けのうち住宅ローンの需要はプラス14と前回から2ポイント低下したほか、消費者ローンも伸びを縮めた。ただ金融機関の回答は特に住宅ローンで「やや増加」が目立っている。
地方公共団体向けはプラス2と前回から4ポイント悪化した。
今後3カ月の資金需要見通しは個人向けがプラス18と伸び幅を広げるもよう。4-6月期にマイナスへと転じた企業向けもプラス3に浮上すると見込んでいる。
アンケートは日銀と取引のある国内銀行・信用金庫のうち、貸出残高でゆうちょ銀行を除く上位50機関を対象に過去3カ月間の資金需要を中心に質問した。対象金融機関の貸出残高は国内金融機関全体の75%を占める。今回の回答期間は6月11日-7月8日だった。

次に、資金需要判断DIの推移のグラフは下の通りです。上のパネルは企業向けと個人向け、下は個人向けのうち住宅ローンと消費者ローンです。なお、調査の項目には企業と個人のほかに地公体等向けもあるんですが、割愛しました。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気日付は、昨年2012年1-3月期を山、10-12月期を谷と仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、個人向けの資金需要が旺盛な一方で、企業向けは落ち込みを示していたりします。日銀の異次元緩和によって流動性が供給され、期待インフレが高まれば実質金利が低下して、設備投資の資金需要が増加する、というのがアベノミクスのシナリオだったんですが、今のところ、資金需要に関する主要銀行の判断DIに従えば、一向にそのような動きは見られないというべきです。日銀が笛吹けども企業は踊らず、引用した記事にもある通り、設備投資は盛上りに欠けるんでしょうか?

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確かに、期待インフレ率が思ったほど上昇していないという面はあります。例えば、日経センターのESPフォーキャストでは、消費者物価が2年で2%という日銀の目標は依然として実現困難との判断が多数を占めています。このため、いまだに設備投資需要が盛り上がらないというのも一面の真実であろうと受け止めています。ただし、それだけでなく、もうひとつの要因として、企業が極めて資金リッチになっていて、借入れに頼らなくてもキャッシュフローが設備投資の水準に比較して潤沢であるという事情も忘れるべきではありません。上のグラフは財務省の法人企業統計から、法人税率と配当性向を合わせてほぼ50パーセントと仮置きして、経常利益の半分に減価償却費を加えたキャッシュフローを試算して、設備投資といっしょにプロットしています。季節調整していない統計を使っているためにジグザグしており、とても大雑把な計算なんですが、一応の傾向は把握できると思います。すなわち、昨年末から今年年初にかけて、擬似的に試算したキャッシュフローは設備投資額を約5兆円も上回っていて、設備投資額が約10兆円程度ですから、かなり大きく設備投資が増加しない限り、キャッシュフローでまかなえる計算です。逆から見れば、資金需要が増加しなくても設備投資が拡大する余地は小さくない、と理解すべきです。

最後に、個人向けの資金需要が旺盛との結果についても、必ずしも、アベノミクスの政策効果かどうかは疑問が残ると私は受け止めています。すなわち、金利の先高感から住宅ローン需要が伸びているのは政策効果と考えるべきですが、消費税率引上げに伴う駆込み需要の面も否定できません。後者であるならば、それなりの反動減は覚悟すべきであろうと思います。

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2013年7月17日 (水)

小刻みな得点で何とかジャイアンツに1勝!

  HE
読  売000001500 6121
阪  神13101111x 9160

尺取虫のような小刻みな得点で、何とかジャイアンツのラッキーセブンの攻撃をしのいで、3連戦最後の試合に愁眉を開きました。昨日の試合で負傷した大和外野手に代わって2番センターで出場の俊介選手が大活躍で、つられて鳥谷遊撃手も打ち出しました。どうも、最近は大和-鳥谷が枕を並べて討ち死にという悪い連鎖が気にかかっていたところでした。昨夜の反省に立った7回の継投は決して悪くない発想だったんですが、メッセンジャー投手が打ち込まれて昨夜の再現になりそうで怖かったです。選手のみなさんは、しばらくゆっくりと休んで下さい。

オールスター明けも、
がんばれタイガース!

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アジア開発銀行の「アジア開発経済見通し改訂」Asian Development Outlook 2013 Supplement

昨日、アジア開発銀行 (ADB) から「アジア開発経済見通し改訂」 Asian Development Outlook 2013 Supplement が公表されています。副題は Softening Growth Prospects for Developing Asia となっています。かなり直接的な表現と受け止めています。5ページほどの分量ですが、pdf の全文リポートもアップされています。日米欧の先進国における成長率見通しがやや情報修正される一方で、アジア新興国・途上国の成長見通しは今年来年といくぶん下方修正されています。まず、アジア開発銀行のサイトから Key messages を4点引用すると以下の通りです。

Key messages
  • In the People's Republic of China, a weaker-than-expected first half of the year and tighter credit have dampened growth expectations, such that the economy is now forecast to expand by 7.7% in 2013 and 7.5% in 2014.
  • In India, slowing fixed capital formation, weak industrial activity, and plodding progress on reform are weighing on the economy, now forecast to expand by 5.8% in 2013. South Asia is paced to grow by 5.6% in 2013 and 6.2% in 2014.
  • Southeast Asia's strong start to the year is being tempered by slower growth in the People's Republic of China and continued weak demand from advanced economies for its exports. The five largest economies in the Association of Southeast Asian Nations are poised to grow by 5.2% in 2013 and 5.6% in 2014.
  • With softer oil prices and relatively stable food prices, inflation in developing Asia is now forecast to dip to 3.5% in 2013.

続いて、成長率見通しについて、リポート p.3 Table 2 GDP growth, developing Asia の表を引用すると以下の通りです。単位はもちろんパーセントです。

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成長率見通しを取りまとめた上の表から、アジア新興国・途上国の成長の鈍化は中国に起因していることが読み取れます。アジア新興国・途上国全体で2013-14年ともに春の見通しからの成長率の下方改訂幅は▲0.3パーセント・ポイントなんですが、中国だけはいずれも▲0.5パーセント・ポイントとなっており、インドや他のアジア新興国・途上国はせいぜい▲0.1-0.2パーセント・ポイントの下方改訂にとどまっています。しかしながら、鈍化するとはいえ中国の成長率はまだまだ高く、アジア新興国・途上国の経済をけん引していることに変わりありません。ただし、中国の投資に関するリスクについては、"Turbulence in the domestic interbank market in late June elevated funding costs (particularly for nonbank finance) and made financial institutions more averse to risk." と、いわゆる「影の銀行 (シャドーバンキング)」などの金融セクターに起因するリスクも指摘しています。

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次に、物価上昇見通しについて、リポート p.5 Table 3 Inflation, developing Asia を引用すると上の通りです。ここでも、中国が2013-14年と▲0.5パーセント・ポイントを超える下方修正となっている一方で、アジア新興国・途上国平均で今年来年とも▲0.5パーセント・ポイントの下方修正にとどまっています。リポートでは、アジア新興国・途上国の成長の減速と農作物の豊作がエネルギーや食料などの商品価格を抑制していると分析しています。すなわち、"The growth slowdown in developing Asia and other emerging markets, along with continued softness in the major industrial economies, is suppressing demand for energy, while strong harvests are keeping food prices in check." ということのようです。

なお、見通しというよりも作業前提なのかもしれませんが、先進国経済については日本の2013年成長見通しをかなり上方修正しています。理由は、"In Japan, the package of monetary and fiscal reforms dubbed Abenomics seems to be bearing fruit." ということのようです。

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2013年7月16日 (火)

継投が後手に回りベンチワークの差で勝てた試合を落として首位攻防戦に連敗!

  HE
読  売000000800 8110
阪  神300000000 3101

勝てた試合だった気がします。先発のスタンリッジ投手は明らかに6回の坂本選手の打席から変調を来たし、ホームラン狙いの阿部捕手は何とか抑えたものの、7回には炎上してしまいました。まったく継投を予定していなかったのか、出てくる投手が軒並み失点し大差がついてしまいました。打つ方も無策の極みで、チャンスを作っても漫然と凡打を繰り返すだけで、バントも、ヒットエンドランも、盗塁も、何の作戦も見られませんでした。首位攻防戦にヤル気があるんでしょうか。見ていてよかったのは松田投手のピッチングだけでした。

3タテは回避すべく、
がんばれタイガース!

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2012年就業構造基本調査に見る正規雇用と非正規雇用

先週金曜日7月12日に総務省統計局から2012年の就業構造基本調査が発表されています。人口が減少する段階に入った日本経済の雇用面の特徴をよく表していると私は考えています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

非正規、初の2000万人突破 就業構造調査
男女とも比率最大 ニートは2.3%に上昇

パートやアルバイトなど非正規社員として働く人が増えている。総務省が12日発表した就業構造基本調査では、役員を除く雇用者のうち非正規社員は全体で約2043万人となり、初めて2000万人を突破した。比率も38.2%と過去最大を更新した。産業構造がパート比率の高いサービス業に転換していることなどが背景にある。
20年前の調査と比べると、非正規の比率は16.5ポイント上昇した。男性・女性ともに過去最大の比率となった。正社員の比率が大きい製造業は生産拠点の海外移転などで雇用が減り、パートの多い小売やサービス業で働く人の割合が高まったことが背景だ。なかでもパートやアルバイトとして働く人が多い女性は非正規の比率が57.5%と、半数を大きく上回る。
正社員だった人が転職の時に非正規になる流れも強まっている。調査で過去5年の間に転職した人を見ると、転職前に正社員だった人のうち40.3%が非正規になった。2007年の前回調査と比べると3.7ポイント上がっている。逆に非正規社員が転職するケースでは、正社員になったのは4人に1人にあたる24.2%にとどまる。この比率も5年前より2.3ポイント下がった。仕事を変える時に、正社員を選ぶのは5年前よりも難しくなったといえる。
50代-60代の有業率は5年前と比べ男性では下がる一方、女性は上昇した。家計を補おうとパートで働く女性が増えた可能性がある。一方で非正規で働く人の割合が高い若年層は男女とも雇用が不安定なことが結婚・出産をためらう一因との指摘が多い。
仕事探しをあきらめた若者にあたる「ニート」も解消していない。15-34歳に占めるニートは5年前に比べて約1万5千人減ったものの、比率は2.3%と0.2ポイント上がった。働く意欲を失った若者が増えれば、経済の活力がそがれる。将来、低年金や生活保護の受給者になる可能性もある。
産業別に見ると、「卸売業・小売業」では約282万人、「医療・福祉」では約176万人の女性がパートやアルバイトとして働いている。高齢化に伴い伸びる福祉分野やサービス産業ほど女性が働く機会が多く、非正規の比率拡大にもつながる形だ。
過去5年間に介護や看護のために職を離れた人は約48万7千人。このうち女性は38万9千人で、8割に達する。高齢化に伴う介護や家事の負担が女性にしわ寄せされやすい状況も、女性が安定して質の高い働き方をするための壁になっている。
調査では、介護をしている全国の557万人のうち、60歳以上が約5割を占めることも分かった。「老老介護」の問題が深刻になっている現状も浮き彫りになった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事で、これ以上に付け加えるべき点はないような気もするんですが、一応、私の興味の範囲で、賃金以外の雇用の質、すなわち、正規非正規雇用の観点を中心に、いくつか図表を取り上げたいと思います。

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まず、1982年以来の5年ごとの雇用者の正規・非正規比率は上のグラフの通りです。ほぼ5年おきに2-3パーセント・ポイントの割合で非正規雇用比率が上昇していますが、特に、1997-2002年の5年間で大きくジャンプしているのが見て取れます。非正規雇用の拡大は小泉政権下の新自由主義経済路線と関連づけて解釈されることが多く、私はそれはそれで決して間違いではないと受け止めていますが、少なくともその象徴のひとつである2004年における製造業への派遣解禁が非正規雇用の比率拡大に大きな役割を果たしたかどうかは、この統計からは不明です。また、非正規比率の上昇や人口減少などは決して果てしなく進むわけではなく、どこかで均衡状態に達すると私は考えているんですが、まだ当面は非正規比率の上昇などが進む可能性が高いと認識すべきです。

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ということで、上のグラフは2012年の時点での産業別の正規・非正規比率です。すべての産業をカバーしています。平均的には極めて大雑把ながら正規比率が60パーセントですから、卸売業・小売業や宿泊業・飲食サービス業などはこれよりかなり正規比率が低いというか、非正規比率が高くなっています。次のグラフに見る通り、医療・福祉は雇用増の稼ぎ頭なんですが、現時点における正規・非正規比率から見て、特に非正規比率が高いというわけではありません。

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上のグラフは、過去5年間における主要な産業別の転職就業者をプロットしています。全部の産業を網羅しているわけではありません。あくまで主要産業だけです。昨年、製造業雇用者数が1000万人を下回ったことが話題になりましたが、産業間で正規比率の高い産業から非正規比率の高い産業へ転職が生じると非正規比率は高まります。当然です。その意味では正規比率の高い製造業の雇用者が減少しているのは我が国全体の非正規比率の上昇のひとつの要因になっている可能性があります。
ただし、産業間の雇用者の移動でよく見かける誤解について、簡単に取り上げておきたいと思います。それは、雇用者が減少しているのは衰退産業であり、逆に、雇用者が増加しているのは成長産業である、という誤解です。もちろん、こういった面もあって、100パーセント完全に誤解だと言い切るつもりもないんですが、逆から見て、雇用者が減少している産業は生産性が向上している、という見方も出来ることは忘れるべきではありません。江戸時代に農業人口の比率が高かったのは農業の生産性がそれだけ低くて、例えば、1人で2-3人分の食料しか生産できなかったからであり、農業が生産性を向上させた結果、それほど食料生産に人手を要しなくなった、という見方が十分に成り立つことは認識しておきべきです。ですから、製造業についても生産性を向上させた結果、雇用者を従来ほどは必要としなくなった、という面があります。

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最後に、過去5年間の転職と正規・非正規の関係統計局のリポートの p.7 から引用しています。いかにもマルコフ・プロセス的な枝分かれ図で、私の趣味にも合致しています。見れば明らかですが、過去5年間で1000万人余りが転職を経験しており、特に、矢印がクロスしている部分を注目すると、非正規から正規に転職した割合が24.2パーセントにとどまる一方で、正規から非正規に転職した比率は40パーセントを超えます。この5年間に団塊の世代で定年退職に達した人も少なくないことから、正規雇用を定年退職して非正規雇用に移行したケースも多いとは思いますが、統計的に見て、非正規雇用から正規に転職するのはそれほど容易ではないと考えるべきです。

なお、アジア開発銀行 (ADB) から「アジア開発経済見通し改訂」 Asian Development Outlook 2013 Supplement が公表され、アジア新興国・途上国の経済成長率見通しは今年2013年は+6.6%から+6.3%に、来年2014年は+6.7%から+6.4%に、それぞれ春の見通しから下方修正されています。このブログも3連休で遅れ気味になっていますので、日を改めて取り上げたいと思います。

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2013年7月15日 (月)

ジャイアンツとの首位攻防1回戦はいいところなく完敗!

  HE
読  売300011010 680
阪  神020001000 391

先発の能見投手が初回3失点で試合の大勢は決まりました。フォアボール3つに長打で3失点とはどうしようもありません。新井選手のホームランもあだ花としかいいようがありません。チャンスに後1本が出ず、エラーで失点する悪いパターンだった気がします。誠に残念。私にとって今日の試合での見どころは一昨日と同じで将来のクローザーを期待される松田投手のピッチングだけでした。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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2013年7月14日 (日)

6回ウラ一気の攻撃で逆転し藤浪投手が6回1失点で6勝目!

  HE
D e N A010000030 4120
阪  神00000701x 8100

先発の藤浪投手が6回1失点に抑えた一方で、6回は今成選手の逆転タイムリー、藤井捕手のタイムリーによる追加点、さらに、新井良選手の満塁ホームランで勝負が決まりました。藤浪投手の2回はブランコ選手にソロホームランを打たれた後、ツーベース2本でピンチを招きましたが、まずい走塁にも助けられホームランの1点に抑えました。このあたりが昨夜の秋山投手との差かもしれません。新井良選手の満塁ホームランは景気づけにはよかったかもしれませんが、出会い頭のまぐれ当たりのような気もします。8回の打席ではボールを振っての三振でした。そう急に調子が上がったとも思えません。リリーフ陣が打たれて3点を取られた8回のウラの攻撃では一軍に上がったばかりの森田選手の長打でダメを押しました。万全のリリーフ陣にも少し疲れが出てきたようです。7回の加藤投手は満塁のピンチを招き、8回のボイヤー投手がツーランを浴びた後、スクランブル登板の安藤投手も失点し、最後の福原投手だけがノーヒットでピシャリと抑えました。でも、ボイヤー投手がブランコ選手の打球に飛びついたガッツあふれるプレーは評価すべきと思います。
デーゲームでジャイアンツが負けて1.5ゲーム差に詰め寄り、明日からはオールスター前で最後の首位攻防戦です。明日の予告先発の杉内投手に対して、坂選手も今成選手も当たっています。新井良選手も満塁ホームランを打ちました。ついでながら、森田選手もタイムリー二塁打でした。サウスポーには右打者を並べる和田采配はどうなるんでしょうか?

明日からのジャイアンツとの首位攻防戦は、
がんばれタイガース!

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先週読んだ話題の新刊書

先週読んだ話題の新刊書を2冊だけ取り上げます。「話題」でもなければ、「新刊書」でもない本も何冊か読んだんですが、一応、パスします。ただし、最後に1冊だけ外数で軽く書名だけ上げます。

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まず、青山七恵『快楽』(講談社) です。ヴェニスを舞台に2組の夫婦の倒錯した世界を描いています。清純派だった青山七恵の新境地かもしれません。こういった小説はついつい日本ではなく、何かエキゾチックな雰囲気のある場所を求めるものですが、ラテンの地を選んだセンスはさすがだと思います。でも、青山七恵のよさみたいなものが出ていないというか、まだこういった官能的な要素を含む小説に慣れていないというか、何かぎこちなさのようなものを感じたのは私だけではないと思います。どの登場人物にも共感できず、感情移入もできませんでした。すでにいくつかの連載は続いていることと思いますが、次の単行本は清純派路線に戻るのか、この官能小説路線をもう少し試すのか、私は前者であって欲しいと願っています。

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次に、フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』(東京創元社) です。私はこの作者の短篇集である『犯罪』と『罪悪』はいずれも読みましたが、この本は長編ミステリです。若手の駆出し弁護士を主人公に、被害者と加害者の驚くべき接点を見出すとともに、ドイツ刑法の欠陥を暴き出しています。ドイツ刑法の欠陥については、本書の p.192 や読売新聞の書評で見たんですが、ドイツの法務大臣はこの法にまつわる問題を検討する委員会を設けたそうです。

最後に、先週の読書感想文の日記に書いた吉村達也の「新・魔界百物語」のその2の『京都魔王殿の謎』(角川ホラー文庫) も読んだんですが、それほど「話題の書」ではないような気がして割愛します。

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2013年7月13日 (土)

サウスポーに右打者を並べる和田采配が大きくコケて連勝止まる!

  HE
D e N A000500001 670
阪  神000000000 050

先発の秋山投手が4回に大きく崩れて5失点で勝負が決まりました。特に、フォアボールを出した後のスリーランは打った打者の方がうまいといえばそれまでですが、戦意を喪失するには十分なマグニチュードでした。打線も、サウスポーには右打者を並べる和田采配が不発に終わりました。高山選手も新井弟選手も、まったくいいところありませんでした。今成選手と坂選手はどんな気持ちでベンチから見ていたんでしょうか。ただし収穫もありました。将来のクローザーを期待される松田遼馬投手がデビューしました。高卒2年目、私は大いに期待しています。
試合の大勢が決したので長風呂してしまいました。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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ピュー・リサーチ・センターのグローバル調査結果 Japanese Public's Mood Rebounding, Abe Highly Popular から

やや旧聞に属する話題ながら、一昨日、7月11日に、ピュー・リサーチ・センターのグローバル調査結果 Japanese Public's Mood Rebounding, Abe Highly Popular が明らかにされています。経済政策のアベノミクスを離れて、また、国内世論はメディアの世論調査が頻繁に明らかにされていますので、近隣諸国から現在の安倍内閣がどのように見られているか、まあ3連休の初日の土曜日でもありますし、リポートからいくつか図表を引用して、簡単に取り上げておきたいと思います。

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近隣諸国からの見方、といいつつ、実は最初は国内の意見だったりします。上のグラフを見て分かる通り、経済の改善や国の向かう方向など、ここ数年停滞していたセンチメントが着実に改善しているのが見て取れます。ただし、favorable な回答はまだ水準が低くて50パーセントに達していません。

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次に、諸外国の日本に対する見方 perception を問うた質問に対する回答が上のグラフの通りです。これは安倍政権ではなく、日本という国の perception を聞いています。結果は東アジアの中でも、中韓と東南アジア諸国・豪州で明確に意見が分かれました。東南アジア諸国がおおむね「好ましい」 favorable が多数なのに対して中韓は「好ましくない」 unfavorable が圧倒的です。

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続いて、1930-40年代の我が国の軍事行動に対する謝罪について、十分かどうかを諸外国に問うた質問に対する回答が上の表の通りです。いずれも、不十分とする意見の割合が十分よりも高いのは共通しているんですが、ここでも中韓の不十分とする比率が他の東南アジア諸国・豪州に比較して突出しています。

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最後は、安倍総理に対する諸外国のオピニオン・ポールの結果が上の表の通りです。ここでも、おおむね東南アジア諸国・豪州は安倍総理に対して好意的であるのに対して、中韓は「好ましくない」 unfavorable が圧倒的です。どうでもいいことですが、パキスタンは DK=Don't Know が80パーセントを超えて圧倒的ですから、ここに取り上げる必要もないと思うんですが、DK が圧倒的であるという事実も重要なのかもしれません。

私は専門外なので何とも評価できないんですが、安倍総理の政治姿勢がやや保守色が強いために、中韓での評価が東南アジア諸国や豪州と異なって厳しくなっているのかもしれません。欧米諸国でも同様の安倍内閣に対するオピニオン・ポールを見てみたい気がします。

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2013年7月12日 (金)

競った試合をメッセンジャー投手を中心に守り勝って阪神6連勝!

  HE
D e N A200000000 260
阪  神30000000x 390

先発のメッセンジャー投手が初回に2失点しましたが、DeNAの先発コーコラン投手を攻めて初回にすぐに逆転してそのまま守り切った試合でした。センター・ゴロの珍プレーも見られました。タイガース6連勝です。コーコラン投手からはいくらでも点が取れそうな気がしたんですが、結局、初回の3点止まりだったのは、攻撃陣に不満が残るんではないでしょうか。投手陣は先発メッセンジャー投手が8回2失点は先発として十分な結果を残しましたし、相変わらずリリーフ陣は盤石の体制ですので、打線がもう少し点を取れれば沖縄のような試合運びが出来そうです。もっとも、ワイルドピッチでホームをついた俊介選手のホームインはセーフで、私は誤審だと思っています。

巨人戦の前のお駄賃でDeNA相手に、
がんばれタイガース!

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今週、今日までに読んだ経済書から

今週になって今日まで、各地の図書館から借りて読んだ経済書のご紹介です。3連休の読書案内には遅過ぎますが、何ら、ご参考まで。

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まず、安倍総理の経済ブレーンの1人の著書で、本田悦朗『アベノミクスの真実』(幻冬舎)です。中身はタイトルの通りにアベノミクスを極めて平易に解説しています。安倍内閣の経済政策の3本の矢のうち、明確に第1の矢である金融政策がアベノミクスの本質である点を主張しており、世間一般の理解と異なって、また、安倍総理もそのように発言している、第3の矢の成長戦略を重視する立場を一蹴しています。これは重要なポイントだと私は受け止めています。特に、第2章の Q&A を私は興味深く読みました。バブルについては、これまた明確に、p.124 からヨーロピアンな BIS ビューを否定して、アメリカンな FED ビューを支持しています。リフレ派のエコノミストである私にもほとんどに同意できる内容です。特に、p.134 にあるように、リスクのない政策はないわけで、何もせずにデフレのまま沈没するよりはリフレ政策で日本経済の再生を図る方が明らかにリスクは小さいと私も考えています。ただ、ほぼ完全に同意できる内容であるという前提で1点だけ疑問に感じるのは、p.86 で展開されている日銀法の改正です。私もホンワカとそう思わないでもないんですが、まだ確信する段階には達していません。それから、上の画像にも見える通り、表紙にデカデカと「安倍総理公認」の文字が踊っていますが、「はじめに」の p.10 でも、「あとがき」の p.217 でも、この「安倍総理公認」は否定していて、あくまで著者の個人的な見解と断っています。私のように「当然そうだろう」と受け止める向きにはいいんですが、こういった宣伝ベースの売上げ極大化を図らんとするがごとき表現に戸惑う読者もいるかもしれません。なお、この本と同様に、安倍総理の経済ブレーンの1人といわれる著者の作になる高橋洋一『アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる』(講談社) も話題なんですが、図書館の予約待ちの順番がまだ回って来ていません。

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次に、著者が日銀副総裁に就任する直前に出版された岩田規久男『リフレは正しい』(PHP) です。黒田総裁と岩田副総裁らが発令されたのが、白川総裁の辞職した3月19日の翌日の3月20日だったんですが、この本のいわゆる奥付けを見ると第1版第1刷は3月18日となっています。この本もアベノミクスのうちの第1の矢である金融政策を論じたものですが、返す刀で財政政策についても第3章において消費税率引上げに対する懐疑論を展開しています。財政についてはドーマー条件などを論じて、税率の引上げにより税収増を図るよりも、名目GDPの増加から自然増収も含めて税収の増加が実現されると主張しています。確かに、来年4月の消費税率引上げを待たずに、2012年度の税収が1.3兆円上振れしたと、例えば、日経新聞の記事「アベノミクス影響じわり 昨年度税収1.3兆円上振れ」産経新聞の記事「12年度の税収1.3兆円上ぶれ アベノミクスで法人税収増」などで報じられているところです。一定の説得力を持つ議論ですが、現時点ではまだ実証的な研究成果が出ていませんので、どこまでの消費税率の引上げが必要かは議論の分かれるところかもしれません。
それから、この『リフレは正しい』でも、先の『アベノミクスの真実』でも、「先進国の中でデフレに陥ったのは唯一日本だけ」という観点から日銀批判を展開していますが、実は、スイスが消費者物価上昇率のベースで一昨年10月からマイナスを続けており、もうすぐ2年に達します。最近、同業者エコノミストとの意見交換で知ったばかりで、私も何ら詳しい情報があるわけではありませんが、今後の研究が待たれるところです。以下はスイス国立銀行 Swiss National Bank の Monthly Statistical Bulletin からの引用です。ご参考まで。

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さらに、メディアなどで人気のエコノミスト著書である井上哲也『異次元緩和』(日本経済新聞出版) です。著者は日銀OBであり、野村総研において「金融市場パネル」を運営しています。ノッケの第1章のタイトルが「日銀は負けたのか」でしたので、いかにも日銀OBらしい発想のタイトルだと感心してしまいました。黒田総裁と岩田副総裁が乗り込んだ日銀の反応は、旧来の翁理論に心服して面従腹背で臨む、あるいは、完全に総裁や副総裁ら執行部の主導する政策委員会の意向に従って淡々とテクノクラートに徹する、のどちらかではないかと私は想像していたんですが、どちらでもなく冷静に対応する著者のような日銀マン的な心情も興味深く受け止めました。疑問に感じたのは、アベノミクスのうちの第1の矢の金融政策と第2の矢の財政政策は「時間を買う政策」であって、第3の矢の成長戦略だけを重視する、いわば、メディアも含めて多くの誤解と同じ見方をしていて、アベノミクスの本質が第1の矢の金融政策にあることを見落としている点です。昨夜のエントリーでも書いたように、第2の矢の財政政策はこの本のお説の通り長いラグを有する第1の矢の金融政策の効果が出るまでの「時間を買う政策」なんですが、第1の矢と第2の矢をいっしょにして第3の矢までの「時間を買う政策」と見るのは正しくありません。
逆に、今までの議論で見かけたことがなく、「金融市場パネル」の運営者の立場からのポジション・トークであることが明らかなんですが、第5章で展開されている独立性と国民の視点に関する議論はとても興味深かったです。すなわち、金融政策の独立性を重視するか、金融政策にもっと国民の意見を反映させるスキームに転換するか、の議論です。私自身はかねてより国民主権の下で金融政策やその実施主体である中央銀行も主権者たる国民のチェックからは逃げられないし、国民生活に直結する物価を政策目標にしている限り、専門家にすべてを任せるのではなく、国民の意見が適正に反映される金融政策決定システムが必要、と考えています。ただし、この視点を突き詰めると日銀法改正に帰着します。おそらく、私のゲスの勘ぐりで、著者は日銀法改正なんて視野になく、ご自身の運営する「金融市場パネル」の意見が日銀の金融政策決定に何らかの影響を及ぼすようにしたい、という程度の認識だろうと勝手に推測しているんですが、繰返しになるものの、日銀法改正までは私はまだ確信できません。

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最後に、経済書というよりも伝記のたぐいかもしれませんが、シルヴィア・ナサー『大いなる探求』(新潮社) です。著者はドイツ生まれでニューヨーク・タイムズの経済記者として活躍したジャーナリストなんですが、世界や日本で有名になったのは『ビューティフル・マインド』の作者としてではないでしょうか。映画化されてアカデミー賞を授賞されました。ゲーム理論を創始した数学者・経済学者のジョン・ナッシュを主人公に、重い統合失調症になって酷い幻覚や幻聴に悩まされながらノーベル賞を受賞するまでを描いた伝記です。映画が封切られた2001年、我が家はジャカルタに住んでいて、私はビデオを借りて見た記憶があります。クラブの部屋でみんながペンを置く場面が印象的でした。この本も何人かの経済学者の伝記の形を取って、経済学史をひも解いています。でも、視点が経済学にあるのではなく、『ビューティフル・マインド』と同じで経済学者、というかその周囲の人も含めた人物にスポットが当てられています。
この本は3部18章から成り立っていますが、第2部から第3部の冒頭、すなわち、第1次世界大戦後の対独講和交渉から第2次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制の成立まで、ほとんどケインズが主役です。その当時のことで、シュンペーターやハイエクなどは完全に脇役です。せいぜい、米国のアーヴィング・フィッシャーが1929年に始まる大恐慌との関係でそれなりに大きく取り上げられているくらいです。今年2月15日のエントリーで取り上げたニコラス・ワプショット『ケインズか ハイエクか』(新潮社) も同じ趣旨でケインズとハイエクに注目して経済政策論争を取り上げていました。もっとも、始まりはアダム・スミスではなく、マルクスとエンゲルスであり、やや奇妙な気もします。最終章を飾るエコノミストはやや強引にアマルティア・センです。強引なんですが、私は納得です。ほぼ経済学の本流を取り上げており、最近のノーベル経済学賞で注目されているゲーム理論や実験経済学やメカニズム・デザインなどは『ビューティフル・マインド』で十分だったのかどうか、あまり見かけません。

世の中の本屋さんにはアベノミクス本とアンチ・アベノミクス本がいっぱい並んでいます。何度か同じ趣旨を書きましたが、アベノミクスについては経済の現実でもうすぐ評価が決まると私は考えています。特に、アンチ・アベノミクス本については、このブログの2月26日付けのエントリーでも紹介した吉川教授の『デフレーション』から賃金をターゲットにした論調がメディアでも、出版界でも増えた気がします。もちろん、吉川説の前から賃金を重視していたエコノミストも少なくありません。日本総研の山田久さんなんかがそうです。でも、吉川教授の『デフレーション』の後から尻馬に乗ったように賃金説を唱え出したエコノミストについては、眉に唾をつけてチェックする方がいいかもしれません。いずれにせよ、事実によってアベノミクスの評価が出るまで2-3年でしょうから、それほど時間はかかりません。アンチ・アベノミクスのエコノミストがどのような言い訳をするのか、趣味が悪いながら私は今からとっても楽しみです。

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2013年7月11日 (木)

大きく増加した機械受注と展望リポートの見通し

本日、内閣府から5月の機械受注が発表されています。ヘッドラインとなる季節調整済みの船舶・電力を除く民需の受注額は前月比+10.5%増の7992億円となりました。まず、日経新聞の記事を引用すると以下の通りです。


内閣府が11日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比10.5%増の7992億円だった。プラスは2カ月ぶり。統計が遡れる2005年4月以降、過去3番目の高い伸び率で、QUICKが10日時点でまとめた民間予測の中央値(1.3%増)を大きく上回った。
けん引したのは金融機関や運輸・郵便業界といった非製造業からの受注。主な機械メーカー280社が非製造業から受注した金額は25.4%増の5607億円と2カ月ぶりに増加し、伸び率はリーマン・ショック前の08年1月に記録した24.3%増を上回り過去最高。受注額も08年1月の5704億円に次いで過去2番目の大きさだった。
金融機関がシステム改修を進め、コンピューターの受注が伸びた。運輸・郵便業界では鉄道車両の受注が目立った。
製造業からの受注金額は化学工業や一般機械からの受注増が寄与し、3.8%増の2971億円と2カ月ぶりに増加した。ただ内閣府は受注金額の水準が高いわけではない、とみており、機械受注の判断は前月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」のまま据え置いた。
5月に発表した船舶・電力除く民需の4-6月期の受注額見通しは1.5%減。6月が25.1%減までにとどまれば達成でき、21.0%減なら横ばいになるが、内閣府は「高いハードルではない」とみており、見通しの達成は可能との判断を示した。

いつもながら、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。

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繰返しになりますが、民間設備投資の先行指標である船舶・電力を除く民需の季節調整済みの受注額は4月の前月比▲8.8%減の後、5月は+10.5%増の7,992億円と4月からの反動増もあって大幅に増加しました。市場の事前コンセンサスは+1%増を少し上回るくらいの横ばいないし小幅増でしたから、ややサプライズかもしれません。特に、引用した記事にもある通り、需要別で見て非製造業の増加が大きくなっており、製造業が+3.8%増の2,971億円だったところ、船舶・電力を除く非製造業は+25.4%増の5,607億円を記録しています。製造業の中では、少し前まで堅調に推移していた電気機械が5月は▲34.6%減と大きく減少しているのが少し懸念されます。なお、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」に据え置いています。引用した記事にもある通り、先月に統計が発表された時点で4-6月期は▲1.5%減の見通しだったんですが、プラスに転じる可能性もあると私は受け止めています。総じて機械受注は堅調な動きと考えるべきです。先行きの設備投資も期待が持てます。

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機械受注の中の官公需を取り出したのが上のグラフです。船舶・電力を除く民需で定義されるコア機械受注の外数なんですが、上のグラフに見られる通り、最近時点で大きく跳ね上がっています。実は、5月単月では3598.6億円と左軸のスケールを振り切っていたりします。明らかに復興需要をはじめとするアベノミクス第2の矢の財政政策の効果が出ています。第1の矢の金融政策のラグが長いことから、その政策効果が本格的に現れるまで、第2の矢である財政政策が短期的に景気をサポートする役目を負っていて、それが機械受注の統計に現れていると理解すべきです。

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最後に、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合が終了し、「当面の金融政策運営について」が発表されています。景気の基調判断に「回復」の文言が復活し、経済見通しは上の表の通りと発表されています。4月の時点から特に大きな変更はないように見受けられます。

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2013年7月10日 (水)

理想的な試合展開で中日に付け入るスキを与えず阪神5連勝!

  HE
中  日000000100 150
阪  神00011301x 6122

今夜の先発スタンリッジ投手はマウンドを気にしながら、決して調子がいいように見えませんでしたが、能見投手とともに防御率ツートップにふさわしいピッチングで5勝目を上げました。リリーフ陣は昨夜登板した安藤投手とボイヤー投手を休ませ、今夜の8回は筒井投手が、9回は渡辺投手がそれぞれピシャリと抑えました。打つ方も4回に坂内野手、5回にマートン外野手のタイムリーで尺取虫のように1点ずつ取った後、西岡選手のスリーランと8回のダメ押しタイムリーで効率よく加点し、阪神の理想的な試合運びでまったく中日に付け入るスキを与えず完勝でした。阪神5連勝です。

甲子園に戻ってDeNAと巨人との6連戦も、
がんばれタイガース!

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国際通貨基金 (IMF) の「世界経済見通し改訂」World Economic Outlook Update はアベノミクスをどう見ているか?

昨日、国際通貨基金 (IMF) から「世界経済見通し改訂」 World Economic Outlook Update が公表されています。ヘッドラインとなる成長率見通しは、2013-14年ともやや下方修正されましたが、世界経済は2013年3.1%、2014年+3.75%と順調な成長軌道にあると見込まれています。副題は Growing Pains となっています。まず、やや長くなりますが、リポートから冒頭のサマリーを引用すると以下の通りです。

Growing Pains
Global growth is projected to remain subdued at slightly above 3 percent in 2013, the same as in 2012. This is less than forecast in the April 2013 World Economic Outlook (WEO), driven to a large extent by appreciably weaker domestic demand and slower growth in several key emerging market economies, as well as by a more protracted recession in the euro area. Downside risks to global growth prospects still dominate: while old risks remain, new risks have emerged, including the possibility of a longer growth slowdown in emerging market economies, especially given risks of lower potential growth, slowing credit, and possibly tighter financial conditions if the anticipated unwinding of monetary policy stimulus in the United States leads to sustained capital flow reversals. Stronger global growth will require additional policy action. Specifically, major advanced economies should maintain a supportive macroeconomic policy mix, combined with credible plans for reaching medium-term debt sustainability and reforms to restore balance sheets and credit channels. Many emerging market and developing economies face a trade-off between macroeconomic policies to support weak activity and those to contain capital outflows. Macroprudential and structural reforms can help make this trade-off less stark.

続いて、IMF のサイトから総括的な成長率見通しのグラフを引用すると以下の通りです。なお、これだけではやや情報量が不足だと思いますので、下の画像をクリックすると別タブでリポート p2. Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを取り出した pdf ファイルが開くように設定されています。

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世界経済の成長率見通しが下方修正された要因は3点上げられており、第1に、中国をはじめとする新興国経済の伸び悩み、第2に、ユーロ圏諸国の景気後退の深刻化、第3に、米国の財政引締めによる下押し圧力、となっています。逆に、日本の消費と純輸出にけん引された力強い成長は押上げ要因とされています。そして、世界経済の見通しにおいては、依然として、新旧の下振れリスクが支配的 "Downside risks, old and new, still dominate the outlook" と警戒感を示しています。
日本に焦点を絞ると、2013年の日本の成長率見込みが上方改訂された要因は、最近のマインドと民需に対する緩和政策 "recent accommodative policies on confidence and private demand" が上げられています。要するにアベノミクスの効果なんだろうと受け止めています。また、2014年の成長率見通しを引き下げた点については、世界環境の悪化 "weaker global environment" を反映したものであるとしています。明示されていませんが、2014年4月からの消費税率の引上げも考慮されているんではないかと、私は勝手に想像しています。なお、いくつかの報道の中で、ちょっとびっくりしたんですが、「『アベノミクスが新たなリスク』 IMFが初めて指摘」との朝日新聞の記事を見かけました。記事によれば、ブランシャール調査局長が会見で発言したとありますが、少なくとも、リポートには、こういった分析もしくは表現は見かけませんでした。

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国内経済指標に目を転じると、本日、内閣府から6月の消費者態度指数が公表されています。上のグラフの通りです。季節調整済みの系列で見て、前月差▲1.4ポイント低下し44.3となりました。4つのコンポーネント、すなわち、雇用環境・耐久消費財の買い時判断・暮らし向き・収入の増え方のすべてが低下し、特に、雇用環境の低下幅が大きくなっています。ただし、統計作成官庁の内閣府では、「悪化が小幅で、指数は依然高水準にある」ことなどから、基調判断を「消費者マインドは、改善している」で据え置いています。景気ウォッチャーを取り上げた月曜日のエントリーでも書きましたが、5月下旬からの金融市場の混乱や長期金利の上昇がマインドに何らかの影響を及ぼしていることは確かなんだろうと受け止めています。

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最後に、日銀から6月の企業物価指数 (CGPI) が発表されています。上のグラフの通りです。前年同月比上昇率で見て、国内物価も4月以降3か月連続でプラスにを記録し、6月からは最終財もプラスに転じています。値上がりが大きいのは「電力・都市ガス・水道」で+9.4%上昇しており、円高修正に伴う燃料など輸入価格の上昇も相まって、物価がプラスとなっているんであって、必ずしもアベノミクスの第1の矢の金融政策によるものとは限りませんが、世間一般ではそう見えるかもしれません。

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2013年7月 9日 (火)

新井選手の4打点の援護を受け能見投手が7回2失点に抑え阪神4連勝!

  HE
中  日000100100 291
阪  神30000201x 6121

先発の能見投手は決して調子がいいように見えませんでしたが、悪いなりにエースのピッチングで8勝目を上げました。打つ方はマートン外野手の先制打の後、新井兄がツーベースで初回に3点を先制し、6回にも沖縄の夜空に新井選手がツーランを打ち上げて効率よく加点し、8回には西岡選手のタイムリーでダメを押しました。能見投手の後は8回の安藤投手、最終回のボイヤー投手ともに、大和外野手の守備でピンチを招きましたが、何とかゼロに抑えました。ボイヤー投手は僅差の最終回を任せることが出来るんでしょうか。初回の3点が効いて、終始阪神ペースの試合運びの完勝でした。阪神4連勝です。

明日も5連勝目指して、
がんばれタイガース!

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最近の子供達は将来何になりたいのか?

やや旧聞に属するトピックなんですが、先週、7月5日に第一生命から「大人になったらなりたいもの」と題するアンケート調査結果が発表されています。夏休みこどもミニ作文コンクールに併せて実施したアンケートのようです。全国1100人の保育園児・幼稚園児と小学校の1-6年生の児童を対象に「ぼくのゆめ、わたしのゆめ。」と「きずな」をテーマに実施した夏休みこどもミニ作文コンクールの応募用紙に「大人になったらなりたいもの」も併せて問うた結果です。男子は3年連続で「サッカー選手」がトップ、女子は何と16年連続で「食べ物屋さん」がトップなんですが、支持率はややダウンしたようです。

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やっぱり、サッカー選手は男の子の夢の職業なんでしょうね。分かる気がします。警察官・刑事も2位にランクされており、震災の経験から、人を守る・助けるという職業が子どもたちの心に響いた可能性があるとリポートでは分析しています。小さいお子さんですから、消防士なんかもこのカテゴリーに入り込んでいるのかもしれません。なお、少し分かりにくいのが4位の「テレビ・アニメ系キャラクター」なんですが、例えば、ウルトラマンとか仮面ライダー、といったものを想像すれば男の子の場合はいいんではないでしょうか。女の子の場合はランクインしていません。実は、我が家の上のおにいちゃんが卒園した幼稚園は、ジャカルタ日本人学校の幼稚部だったりするんですが、卒園式で各園児が将来なりたいものを発表する習わしになっていて、ウルトラマン・コスモスを上げたお友達がいました。我が家のおにいちゃんはとても常識的ですから、ここにもランクインしている乗り物系の職業を答えていたと記憶しています。

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独走状態の食べ物屋さんというのは、定食屋とかそば屋とかではなく、ケーキ屋さんとかパン屋さん、といったイメージなんでしょうか。我が家は男の子の子育てしかしたことがないので、私にはよく分からないんですが、ある意味で、男女の違いがよく現れているような気がします。決して、職業上の性差別を助長するつもりはないんですが、看護師さんや保育園・幼稚園の先生などは女性の比率が高い職業ですし、子供達に接する機会も多くて、あこがれの対象になりやすい気はします。なお、男子と同じで警察官・刑事がトップテンにランクインしていますが、リポートによれば、1989年の調査開始以来初めてだそうです。やはり、看護師さんやお医者さんとともに、震災などから人の命や生活を守る職業へのあこがれが強まっているのでしょうか。

再び、男の子に戻りますが、私なんぞの小さいころは、サッカー選手はほとんど考えもしませんでした。メキシコ・オリンピックで京都出身の早大生だった釜本選手が大活躍したのは記憶に残っていますが、その程度で、プロスポーツといえば圧倒的に野球の時代でした。選択肢が広がるというのは決して悪いことではありません。

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2013年7月 8日 (月)

景気ウォッチャーは3か月連続で悪化し、経常収支は4か月連続で黒字を記録

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャー調査の結果が、また、財務省から5月の経常収支などの国際収支が、それぞれ発表されています。景気ウォッチャーのヘッドラインとなる現状判断DIは前月から▲2.7ポイント低下して53.0に、また、先行き判断DIも同様に▲2.6ポイント低下して53.6にそれぞれ悪化しています。経常収支に目を転じると、いずれも季節調整していない原系列の統計で、経常収支は黒字幅が縮小して5407億円の黒字となり、そのうち貿易収支の赤字は▲9067億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

6月街角景気、現状・先行きとも悪化 基調判断下げ
内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比2.7ポイント低下の53.0で3カ月連続の悪化だった。2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数も2.6ポイント低下の53.6と2カ月連続で前月を下回った。原材料価格などの上昇によるコスト増への懸念が高まったほか、株式相場の乱高下を受けて景気の不透明感が広がった。
もっとも、判断指数はいずれも好不況の目安となる50を維持した。内閣府は街角景気の基調判断を前月までの「持ち直している」から「このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」へ下方修正した。判断を引き下げるのは野田佳彦前首相が衆院解散を表明する前にあたる2012年10月以来、8カ月ぶり。
現状、先行きとも「家計」「企業」「雇用」の全分野で悪化した。金融市場の乱調を巡っては「株価や為替の乱高下が景気回復への期待感に水をさした格好になった」(四国の商店街)、「株価の乱高下など、先行きが不安定ななかで、地方の景気回復はまだ不透明である」(北関東の求人情報誌製作会社)などのコメントが並んだ。
さらに「受注量が減少するなか、原料価格や電気料金の高騰などで採算が悪くなっている」(近畿の繊維工業)とコスト増を懸念する声も多い。6月は飲食店などのサービス業にとっては梅雨による客足の減少も重荷になった。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は91.1%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
5月の経常黒字5407億円所得黒字拡大、貿易赤字補う
財務省が8日発表した5月の国際収支(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は5407億円の黒字だった。黒字は4カ月連続で、黒字額は前年同月と比べ58.1%増えた。原粗油や液化天然ガス(LNG)など高水準の燃料輸入が影響し、貿易収支の赤字額は5月としては現在の基準で比較可能な1985年以降で最大となったが、所得収支の黒字で補った。
貿易・サービス収支は8626億円の赤字。赤字は14カ月連続。うち貿易収支は、輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで9067億円の赤字だった。赤字幅は9カ月連続で拡大した。輸出は前年同月比9.1%増と3カ月連続で増加。灯油・軽油や、ペットボトルなどの原料として使われるパラキシレンなど有機化合物が伸びた。輸入額は9.6%増。原粗油など燃料に加えスマートフォンなど通信機の輸入が増えた。旅行や輸送動向を示すサービス収支は441億円の黒字に転換した。海外から受け取る特許使用料が増えたうえ、海上輸送などの輸送収支や旅行収支の赤字幅が縮小した。
所得収支の黒字は前年同月比8.6%増の1兆5228億円。黒字幅は前年同月比では6カ月連続で拡大した。円安もあって証券投資収益が増えたうえ、海外事業での投資先から受け取る配当金収入や配分済み支店収益などを示す直接投資収益も増えた。

いつもながら、どちらの記事もとてもよくまとまっているという気がします。続いて、景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIのグラフは以下の通りです。影をつけた部分は景気後退期ですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールとして直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月と仮置きしています。

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景気ウォッチャーは現状判断DIも先行き判断DIも、ともに高水準ながら、現状判断DIは3月をピークに、先行き判断DIは4月をピークに、それぞれ低下を続けています。ですから、引用した記事にもある通り、基調判断は「持ち直している」から「このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正されています。現状判断DIは家計、企業、雇用の3つのコンポーネントから成っているんですが、すべてが悪化を示し、家計動向関連DIは、高額品販売が引き続き好調であったものの、梅雨入りに伴い飲食やサービス関連等で客足の鈍化が見られ、また、企業動向関連DIは、円高是正により仕入価格上昇等によるコスト増や、株価や為替の変動により取引先に慎重な様子が見られ、さらに、雇用関連DIは、株価や為替の変動により求人に慎重であったこと、などから、それぞれ低下しています。もともと、一本調子で上昇したり低下したりする指標ではなく、細かな変動を繰り返す統計ですが、現状判断DIが3月をピークに4月から低下を始めていることに現れているように、5月下旬からの金融市場の混乱や長期金利の上昇が何らかの影響を及ぼしていることは確かながら、現状では何ともいえないと私は受け止めています。そもそも、為替や株価や長期金利が今後どの方向に動くかが分かりませんし、それらの金融市場の動向がマインドに及ぼす影響の方向は分からないでもないものの、影響の大きさとなれば未知の領域なんではないでしょうか。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示しており、積上げ棒グラフは経常収支を構成する貿易収支などのコンポーネントです。色分けは凡例の通りです。季節調整済みの系列をプロットしていますので、季節調整していない原系列の統計を基にした引用記事とは少し印象が異なるかもしれません。2011年3月の震災のあたりから傾向的に経常収支の黒字幅が縮小しており、その要因は貿易赤字の拡大であることが読み取れます。ただし、この4-5月の統計ではやや経常収支の黒字幅が拡大しているように見えます。4月については赤い投資収益収支が大きな黒字を出し、5月については黒い貿易収支のマイナス幅が縮小しているようです。いずれもアベノミクスに伴う円高修正の結果である可能性が高いと私は考えています。

景気ウォッチャーに示された供給サイドのマインドは、一時のヒートアップから徐々に沈静化して来ているのかもしれません。でも、50を超えるレベルで推移しているのはかなり高い水準といえます。需要サイドのマインドである消費者態度指数が明後日に発表されますのでコチラも注目したいと思います。

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2013年7月 7日 (日)

あっぱれルーキー藤浪晋太郎、マエケンに投げ勝って広島を3タテ!

  HE
阪  神000001003 4100
広  島000000000 041

先発の藤浪晋太郎投手に対するは侍ジャパンのエース前田投手。6回まで見事な投手戦でした。両投手とも雨で中断した後に交代して6回までながら、ルーキー藤浪がマエケンに投げ勝って5勝目を上げました。打つ方は連続試合出場歴代3位になった鳥谷選手のソロホームランで先制した後、最終回には昨日と同じ今成選手と坂選手のコンビに加え、西岡選手のタイムリーでダメを押し、終盤の3回は阪神ご自慢のリリーフ陣がピシャリとゼロに抑えました。4-0の快勝で広島を3タテです。

中日との沖縄シリーズも、
がんばれタイガース!

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先週読んだ本から

先週の昨日までに読んだ本の読書感想文です。あまり意識していないんですが、先週は学術書や専門書なしでエンタメ系のフィクションばかり読んだようです。

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まず、真山仁『黙示』(新潮社) です。かの有名なレイチェル・カーソン『沈黙の春』でその危険性が指摘された農薬から始まって、後半では遺伝子組換え(GMO)作物まで、食料や生態系のリスクを主題としています。ただし、農薬とGMOがほぼ同じ比重で取り上げられている上に、主人公の農薬研究者や戦場カメラマンから転じた養蜂家らの発言が極めて中庸というか、私のような専門外の人間にも理解できそうな常識的な内容ですので、農水省の女性キャリア官僚などとともに、ほとんどキャラらしいキャラが立っていないような気がしなくもありません。キャラが明らかなのは高ビーな女性代議士だけだったりします。ストーリーも農薬散布のラジコンヘリの事故から始まるものの、主人公の農薬研究者が会社の都合でCSR推進室長に抜擢された後は、特に盛り上がりもありません。仕方ないので、作者は主人公の不倫シーンをまったく必要性なく入れ込んだりしています。私はこの作者の作品は初めて読んだんですが、テーマが発散しているような気がしないでもありません。それとも、『ハゲタカ』からすべて、とはいわないまでも、ある程度は作者の作品をさかのぼって読んでおかないと面白くないんでしょうか。もしそうだとすれば、作品としては少し問題があるのかもしれません。しかし、これだけの売れっ子作家の最新刊ですから、私が読みこなせなかった可能性が高く、いずれ、この作家の作品には再挑戦したいと思っています。ついでながら、週刊朝日に連載されていた篠田節子『ブラックボックス』(朝日新聞出版) も農薬をテーマにしていて、なかなか世間の評判がいいので、図書館にて予約待ちしているんですが、併せて読むべき本かもしれません。

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次に、リチャード・プライス『黄金の街』(講談社文庫) 上下です。オバマ米国大統領が休暇の際の読書としてピックアップした1冊として有名です。デビューから40年ほどで10作足らずという寡作な著者なんですが、誠に恥ずかしながら、私はこの作者の作品は初めて読みました。そのせいでもないんでしょうが、会話のテンポに少しついていけないところが私にはありました。読みこなしがやや不十分な私には、最後の青山南の解説が極めて適切でした。すなわち、主役はレストランのマネージャーをしているエリックでも、アイルランド人の男性刑事マッティとヒスパニックの女性刑事ヨロンダでも、プエルトリカンのトリスタンでも、殺害された被害者の父親のビリー・マーカスでも、もちろん、警察幹部のバーコウィッツ警視などでもなく、場所が、すなわち、移民がまず上陸するポイントであるニューヨークのロウアー・イースト・サイドが主役なんだという主張には耳を傾けるべきものがあります。ネイティブ・アメリカンこそ登場しませんが、ヒスパニックを含めてさまざまな種類の白人、アフリカ系の米国人、アジア系の米国人、などなど、人種の坩堝のような米国人をよく書き分けています。表紙に見える通り、原題はジャズの名曲から取った Lush Life ですが、邦訳のタイトルもイディッシュ語の GOLDENEH MEDINA として上巻 p.322 に現れています。

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続いて、角川ホラー文庫の新刊を3冊ほど読みました。『クロユリ団地』と昨年5月に亡くなった吉村達也による『妖精鬼殺人事件』『13の幻視鏡』です。まず、『クロユリ団地』は前田敦子と成宮寛貴の主演になる映画「クロユリ団地」の堀江純子によるノベライズです。なお、監督は中田秀夫であり、鈴木光司の原作による映画「リング」の監督としても有名です。さらに、4月からTBS系列でドラマも放送されています。ストーリーとしては、いわゆるモダン・ホラーではなく、古くからの幽霊や妖怪といったあの世の存在がこの世で怪奇現象を引き起こすというもので、小説を読むよりは映画やドラマといった画像や動画でビジュアルに恐怖を感じさせる作品ではなかろうかと受け止めています。それから、吉村達也の作品2冊ですが、よく知られた通り、吉村達也は極めて多作であり、ホラー小説やミステリを中心に作品も多岐に渡っています。私も『初恋』、『文通』、『先生』、『ふたご』といった初期のホラー小説くらいしか読んでおらず、『妖精鬼殺人事件』は氷室想介シリーズの1冊と位置づけられるんですが、私はこのシリーズは読んだことがありません。また、この作品は「新・魔界百物語」のその1であり、その2の『京都魔王殿の謎』も角川ホラー文庫版で図書館から借りているんですが未読です。その3の『幻影城の奇術師』まですでに出版されていますが、作者が亡くなって絶筆となったので、ここまでということになるんではないかと想像しています。QAZの正体は5冊目に明らかになるとの触込みで、訃報のサイトにも「QAZの正体、魔界百物語の真相、私の葬儀の段取りなど、詳細については後日お知らせ申し上げます。」とありますが、結局どうなったのかは寡聞にして知りません。最後に、『13の幻視鏡』はこれまで書籍化されていなかった吉村達也の短編12作を1冊に収録したものです。この作者独特の恐怖、というか、奇妙な世界に迷い込んでしまった人々を描く短編集です。

角川ホラー文庫は、我が家の下の中学生がホラー小説のファンですから、親としてチェックの意味も含めて読んでいます。キングやクーンツのような米国のモダン・ホラーとは少し系統の違う我が国独特のホラー小説はそれなりに評価されるべきと考えています。暑くなったこれからはホラーの季節かもしれません。

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2013年7月 6日 (土)

榎田投手が復活の6回2安打無失点ピッチングで広島に連勝!

  HE
阪  神000000300 390
広  島000000200 250

今日は午後から少し人と会う予定があって女房と夫婦で外出していたんですが、4時前には帰宅して、先制の押出しフォアボールは見逃したものの、坂選手の2点タイムリーはしっかり見ました。従って、榎田投手の投球はまったく見られなかったんですが、6回を2安打無失点で3勝目をマークし広島に連勝です。打つ方は7回に榎田投手に送った代打西岡選手が先制の押出しフォアボールと代打策が大当たりし、逆に、そのまま送った1番坂内野手が2点タイムリーと、和田監督の作戦が見事にハマッたといえます。明日はマエケンと藤浪投手の投合いが楽しみです。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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米国雇用統計は日本経済にどのような影響を及ぼすか?

日本時間の昨夜、米国の労働省から6月の米国雇用統計が発表されました。米国におけるマクロの景気動向を探る上で、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) も金融政策運営の観点からもっとも重視している経済指標のひとつです。統計のヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は季節調整済みの系列で前月から+195千人増加した一方で、失業率は前月から変わらずの7.6パーセントを記録しました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の10パラ引用すると以下の通りです。

U.S. Adds 195,000 Jobs; Unemployment Remains 7.6%
The economy added 195,000 jobs in June, the Labor Department reported Friday morning, slightly more than analysts had been expecting and suggesting steady growth.
Wall Street has been feverishly awaiting the June employment report. Not only does it provide another indicator of overall economic strength, it also affects the timing of the Federal Reserve's decision to start tapering a major part of its stimulus efforts.
A strong report increases the likelihood the central bank will start pulling back on its bond purchases as early as September, a prospect that has made some investors more cautious in recent weeks. On the other hand, signs of weakness in the labor market would likely prolong the Fed's program of purchasing $85 billion in bonds per month.
Along with job creation, the Fed is closely watching unemployment levels. The unemployment rate, which is based on a separate survey from the one that tracks jobs, remained at 7.6 percent, unchanged from May.
The chairman of the Federal Reserve, Ben S. Bernanke, said two weeks ago he anticipated the bond-buying program would wrap up when the unemployment rate sinks to 7 percent. The Fed estimates that could happen by the middle of next year.
Despite signals from the Fed that the labor market is strong enough to handle a reduction in the stimulus, the pace of job creation has slowed in recent months.
Over the course of March, April and May, the economy added jobs at an average rate of 155,000 a month, down from the 233,000-a-month pace that prevailed in December, January and February.
While the economy has held up better than some analysts had expected in the face of tax increases and automatic cuts in federal spending this year, overall growth has been tepid. The economy grew at an annual rate of 1.8 percent in the first quarter, short of what's needed to quickly lower the unemployment rate or reduce the ranks of the jobless.
Another factor holding back strong job growth has been a steady drop in public employment. In June, private employers added 202,000 positions, while state, local and federal governments shed 7,000 workers.
The manufacturing sector, often viewed as a barometer for the broader economy, lost 6,000 positions in June. Employment in the construction sector, which has been volatile, rose by 13,000.

引用した記事は昨夜の時点での第1報のバージョンですから、現時点では差し替えられている可能性があります。悪しからず。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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+175千人増というのはかなり微妙な数字だという気がします。景気拡大の必要条件のひとつの目安とされる100千人増を十分に超えていますので、基本的には米国の雇用は堅調と考えてよさそうです。また、失業率が着実に低下するのに必要といわれているのは+200千人増なんですが、4月+199千人増、5月と6月はともに+195千人増と、ほぼこの水準をクリアしているように見えます。特に、市場の事前コンセンサスは+165千人増でしたから、これは軽く上回りました。他方で、雇用が堅調だと FED の金融緩和 QE3 の出口が近づくのではないかとの観測が強まる可能性も否定出来ません。ただし、物価と雇用のデュアル・マンデートを有する FED が目安とする失業率にはまだ達していません。もちろん、QE3 の出口はすぐというわけではなく、年末から来年にかけてゆっくりと進むんでしょうから、その動きはサポートできる統計だと受け止めています。

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米国の雇用について手放しで堅調といい切れないもうひとつの要素は、雇用・人口比率がサッパリ上がらないことです。日本のように高齢化がとてつもないスピードで進行している国であれば、高齢化に伴って労働市場から退出する人が多いわけですから、雇用者の比率が停滞ないし減少する可能性も十分にありますが、移民人口が決して少なくなく、人口がそれなりに増加を続けている米国では、まだ高齢化がそれほどのスピードでは進んでいませんから、デモグラフィックな要因よりは景気要因でこの雇用・人口比率が上がらないんだろうと私は考えています。

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最後に、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

昨夜のブログの最後にも書きましたが、米国の雇用が堅調で FED が QE3 の出口に向かうとすれば米ドルが円をはじめとする他の通貨に対して希少性を増して、例えば、日本円に対しては円安の方向に動くことが簡単に予想されます。そして、実際にマーケットではそのように動いていると私は認識しています。

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2013年7月 5日 (金)

メッセンジャー投手のスミ1完投で連敗脱出!

  HE
阪  神021000000 360
広  島100000000 151

今夜も7時過ぎに帰宅して序盤から熱心にテレビの前でタイガースを応援します。そのかいあってか、メッセンジャー投手の完投で広島に先勝です。得点はソロだけの2ホーマーと満塁併殺の計3点で、やや打線は物足りないといえます。明日の榎田投手は久々の登板で大いに期待します。というか、日曜日はまたマエケンでしょうから、明日の試合を勝っておかないと苦しい展開になりかねません。

明日の広島戦も連勝目指して、
がんばれタイガース!

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基調判断が上方修正された景気動向指数は先行きの順調な景気を示しているか?

本日、内閣府から5月の景気動向指数が発表されました。ヘッドラインとなるCI一致指数は4月の105.1から105.9へ上昇し、順調な景気の回復・拡大を示しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の景気一致指数、0.8ポイント上昇 基調判断を上方修正
内閣府が5日発表した5月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が0.8ポイント上昇の105.9と6カ月連続で上昇した。蒸気タービン部品やボイラー部品といった機械の生産が伸びたことに加え、電子部品の出荷も好調だった。初夏向け衣料や時計など高額商品の販売増も押し上げた。今回の速報値からCIの基準年を従来の05年から10年に変更した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を前月までの「下げ止まり」から「上方への局面変化」へ3カ月ぶりに上方修正した。6月も一致指数がプラスを維持すれば「改善」へと判断を引き上げる。
数カ月後の先行きを示す先行指数は2.8ポイント上昇の110.5と6カ月連続で上昇。伸び幅は統計がさかのぼれる1985年CI月以降で4番目の大きさ。分譲住宅の着工床面積が消費増税前の駆け込み需要もあって大幅に伸びたほか、東証株価指数や消費者マインドなど、速報値で採用する9指標が全てプラスに寄与した。全ての寄与度がプラスになるのは2010年3月以来、3年2カ月ぶり。内閣府は「先行指数は07年6月に記録した110.7以来の水準で、非常に明るい材料」とみている。
景気に数カ月遅れる遅行指数は0.3ポイント低下の108.9と2カ月連続のマイナスだった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が90.0、先行指数が88.9だった。

相変わらず、とてもよくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府では基調判断を4月の「下げ止まり」から「上方への局面変化」へ上方修正しました。この基調判断はある意味で機械的に下されており、内閣府が明らかにしている「CIの『基調判断』について」に従えば、局面変化とは「事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す」と定義され、「7ヶ月後方移動平均の符号が変化し、1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合」を基準としています。ですから、上のグラフで暫定的に仮置きしているように、半年ほど前の2013年11月に景気の谷があった可能性が示唆されていると考えるべきです。ただし、期間が半年余りとやや短い気がしますので、上のグラフに示した2013年のミニ・リセッションは景気後退とは同定されない可能性もあります。もちろん、前政権の期間に生じたことですので、無理やりにでも、前政権が景気後退を引き起こした、と結論することもあり得ます。そのあたりの行政的あるいは政治的な判断は私には分かりかねます。
5月のCI一致指数への寄与を詳しく見ると、耐久消費財出荷指数がマイナスの寄与を示した一方で、鉱工業生産指数、鉱工業生産財出荷指数、輸送機械を除く投資財出荷指数などがプラスの寄与となっています。なお、6月28日付けのエントリーでも取り上げた鉱工業生産指数のうちの製造工業生産予測指数で見て、6月は▲2.4%の減産となった後、7月は+3.3%の増産ですから、景気動向指数も6月に少し一服した後、7月統計では再び上昇に転じる、といった細かな点では少し複雑な動きを示す可能性があり、引用した記事のように、6月もCI一致指数が上昇すれば基調判断は「改善」に引き上げる、といった単純なものではないと思いますが、基本的には、順調な景気回復・拡大の経路に乗っていることを期待してよさそうです。

先行きの我が国の景気動向に対して、多くのエコノミストは中国経済などを上げますが、私はここ数年一貫して為替に注目しています。その意味で、QE3の縮小は米ドルが希少性を高める方向にありますから歓迎すべきなんですが、いずれにせよ、あと2時間ほどで発表される米国雇用統計の動向が気にかかります。

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2013年7月 4日 (木)

終盤のチャンスにも打線に決定力なく甲子園でジャイアンツに連敗!

  HE
読  売000001000 170
阪  神000000000 080

今夜は早々に帰宅して序盤から熱心にテレビ観戦しますが、打線に決定力なくジャイアンツに連敗してしまいました。先発スタンリッジ投手の出来はまずまずでしたが、序盤に慎重な投球で球数を投げ過ぎて6回に失点します。この1点を打線が追いつけません。甲子園の首位攻防戦で連敗とは打線はかなり重症です。生きのいい選手を2軍から引き上げたりしないんでしょうか?

明日からの広島戦は、
がんばれタイガース!

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今年の夏季ボーナスは増えたのか減ったのか?

昨夜の記事も民間調査機関である帝国データバンクの景気動向調査を政府の景気統計と比較しましたが、今夜も民間企業である日本生命の契約者を対象とするネット調査結果から、「『夏のボーナス』に関するアンケート調査結果」を取り上げたいと思います。設問はシンプルに、ボーナスについて、今夏のボーナスが増えたか減ったか、次の年末ボーナスがどうなるか、とともに、夏休みについての大きく分けて2問です。

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ということで、まず、上の図表はボーナス支給額の質問に対する回答を取りまとめてあります。今夏のボーナス平均支給額は55.9万円、前年と比べて6.4万円増となっています。大雑把に20万円ごとの支給額の階級では40-60万円が全体の24%余りを占めます。また、年代別に前年からの増加額を見ても各年代とも5-7万円の増加となっています。アベノミクスなどの政府や日銀の政策がどこまで貢献しているかは定かではありませんが、企業業績の改善が部分的なりとも雇用者のボーナスに反映された結果なのであろうと受け止めています。

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次に、上の図表は今年の夏休みにおける遊興費に関する質問に対する回答を取りまとめてあります。夏休みの平均遊興費は10.0万円、前年に比べて2.6万円の増加となっています。当然ながら、昨年よりもふところが豊かですから、増やす予定との回答が減らすを上回っています。年代別の遊興費を見ると、子育て世代の40代が最も多く、前年比でももっとも増額が大きくなっています。もちろん、背景にはボーナスの増加がもっとも大きかったというのも考えられんですが、現在の経済政策は圧倒的なシルバー・デモクラシーの下で、引退した高齢世代に有利な所得分配政策に陥っている部分があると私は考えており、やはり、この現役世代の所得をサポートする政策の必要性がそれなりに現れているんではないかと、やや強引に結論したいと思います。

特定の生命保険の加入者という偏ったサンプルを対象とした調査ながら、何となく現在の景気実感にも合致しており、とても興味深い結果だと受け止めています。なお、図表は引用しませんでしたが、夏休みの予定で全年代を通じてもっとも多かったのが30.5%の「自宅でゆっくり」でした。我が家もそうなりそうな気がします。

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2013年7月 3日 (水)

TDB景気動向調査から政府統計に見る景気動向をチェックする!

本日、民間調査機関の帝国データバンクからTDB景気動向調査の結果が発表されました。6月の調査結果です。先月に鉱工業生産指数の基準改定があり、また、その改訂に沿った景気動向指数の再計算もありましたので、一応、別の指標からもセカンド・オピニオン的に景気の現状を確認しておきたいと考えています。まず、リポートから調査結果のポイントを2点だけピックアップして引用すると以下の通りです。

調査結果のポイント
  1. 『製造』は、7カ月ぶりに悪化した。輸入価格の上昇でコスト上昇に直面する企業が多く、「パルプ・紙・紙加工品製造」など全12業種中7業種が悪化した。在庫の取り崩しが徐々に進む一方で、内需向けを中心に設備投資意欲DIは2カ月連続で減少している。
  2. 『不動産』は、建築費や輸入材価格の高騰が続いていることなどを要因として7カ月ぶりに悪化した。規模別では、「大企業」より「中小企業」の悪化が目立ち、企業規模間で景況感の開きが大きい。

ということで、リポートでは下線を付した部分があるんですが、このブログでは無視しました。また、3番目のポイントとして地域別の景気動向が上げられているんですが、これも割愛しました。つぎに、全国の景気DIの推移を同じくリポートから引用すると以下の通りです。

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上のグラフから明らかなんですが、内閣府の景気動向指数研究会の有識者が景気後退と同定するかどうかは別の話ながら、やはり、昨年2012年1-3月期を山とし、10-12月期を谷とするミニ・リセッションはそれなりに観察されます。そして、その後、衆議院解散のあった11月ころを谷としてアベノミクスの政策効果も含めて、現時点まで景気は回復・拡大しているように見えます。6月が前月比でマイナスに転じたのも、鉱工業生産指数のうちの製造工業生産予測指数と整合的です。このTDB景気動向調査の結果も政府統計による景気動向とほとんど完全に一致しており、控えめに見てもかなり整合的であるといえます。もしも、製造工業生産予測指数がこの通りに実現されるのであれば、7月は再び景気が上向く可能性が示唆されていると考えるべきです。

このTDB景気動向調査は1か月後や3ヶ月後の景気予測DIが同時に公表されており、緩やかながら着実に上昇することが見込まれています。我が国の景気は決して盤石ではないものの、緩やかな回復・拡大のパスに乗っているものと考えてよさそうです。その意味で、政府統計と民間調査機関のそれぞれから得られる景気動向は整合的です。

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2013年7月 2日 (火)

延長11回に渡辺投手が痛恨の押出しで首位攻防の初戦を落とす!

 十一 HE
読  売00001010001 3141
阪  神01100000000 281

帰宅が遅くなり9時過ぎにTVをつけると、まだ9回の攻防をやっていましたが、延長戦に突入し、私はお風呂に入ります。お風呂から上がっても延長戦が続いており、結局、渡辺投手が痛恨の押出しフォアボールでジャイアンツに負けてしまいました。エースの能見投手を押し立てながら、4時間半に及ぶ首位攻防戦の初戦を惜しくも落としてしまいました。最後は渡辺投手が失点したんですが、この展開であれば投手は信頼の高い順で使うのは当然です。打撃陣に決定力が不足していた気がします。

明日は藤浪投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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毎月勤労統計調査から何を読み取るか?

本日、厚生労働省から5月の毎月勤労統計調査結果が発表されました。ヘッドラインとなる賃金は季節調整していない前年同月比で、また、景気に敏感な所定外労働時間は製造業では季節調整済みの系列で前月比と順調な景気拡大を示しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の所定内給与0.2%減 パート労働者の割合増加
厚生労働省が2日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報)によると、毎月決まって支給する所定内給与の総額は前年同月比0.2%減の24万1691円で、12カ月連続で減少した。フルタイムで働く一般労働者とパート労働者の給与はどちらも増えたが、給与水準の低いパート労働者の割合が増えたため、全体の給与水準を押し下げた。
調査は従業員5人以上の事業所が対象。一般労働者の所定内給与は30万2444円で0.1%増、パート労働者は9万1286円で0.3%増だった。パート労働者の所定内給与が前年同月を上回るのは5カ月ぶり。厚労省は「求人倍率が改善して、人手不足感が出てきたことで、パート労働者の賃金も伸びてきた」とみている。
就業形態別の雇用をみると、一般労働者は前年と同水準なのに対し、パート労働者は2.2%増えた。
生産の増減を反映し、足元の景気動向を示すとされる製造業の残業時間(季節調整済)は、前月比1.9%減った。6カ月ぶりに減少に転じたが、経済産業省が発表した5月の鉱工業生産指数は2.0%上昇で、堅調に推移している。

というわけで、いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。まず、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、昨年2012年3月を直近の景気の山、2013年11月を谷と仮置きしています。

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まず、上のパネルの所定外労働時間ですが、季節調整済み指数の前月比で見て5月は▲1.9%減となりました。引用した記事からも理由が判然としない不安が読み取れますが、生産は増加しているわけですし、私はまったく理解できません。鉱工業生産指数か毎月勤労統計か、いずれかの確報で修正されるのか、あるいは、いずれかの統計が実態を正確に反映していないのか、いずれかではなかろうかという気がします。異なる役所が作成している別の統計であるとしても、ランダム・サンプリングで正しく統計が作成されていると仮定すれば、このような整合的でない結果が出ることは政府統計として好ましくないと受け止めています。
賃金については引用した記事の通りの解釈しか出来ません。すなわち、正規雇用者も非正規雇用者も賃金単価が上昇している一方で、正規雇用が伸びずに非正規雇用だけが伸びた結果、加重平均としての賃金単価が減少を記録した、すなわち、シンプソン・パラドックスが生じた、という以上の情報は現時点ではありません。アベノミクスによる景気拡大効果はまず非正規雇用の増加に現れ、一定のラグを伴って正規雇用の増加につながる、という可能性が示唆されています。量的な雇用拡大において非正規雇用が先行し、同様に、賃金の引上げも非正規雇用が正規雇用に先行する、というのは極めて蓋然性が高いと受け止めています。

鉱工業生産の増産と所定外労働時間の減少の間に横たわる不整合について、あえて強弁すれば、景気拡大が残業で追いつくくらいの増産の段階を超えて、非正規雇用を増加させて所定外労働時間の減少につながった可能性は否定できません。否定できないんですが、そんな可能性はかなり低いと私は考えています。

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2013年7月 1日 (月)

日銀短観は総じて改善を示し家計とともに企業も景気を牽引する全員参加型へ!

本日、6月調査の日銀短観が発表されました。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査の▲8から大きくジャンプして+4と跳ね上がり、大企業の今年度2013年度の設備投資計画も3月時点の▲2.0%から+5.5%に大きく上方修正されました。まず、少し長くなりますが、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。なお、この日経新聞のサイトでは何らかの登録を要求されるかもしれません。悪しからず。

景況改善、中小にも拡大 雇用・賃金への波及焦点
日銀短観6月調査、景況感が改善

日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は大企業に加え中小企業でも景況感が改善し、2013年度の設備投資計画も市場予想を上回る上方修正となった。円安・株高が一服し、市場がやや不安定になるなかでも、企業行動が前向きになっていることが確認できた。今後は雇用や賃金に波及し、景気の自律的な回復につなげられるかが課題となる。
大企業の13年度の設備投資計画は全産業で前年度比5.5%増となった。前回の3月調査の2.0%減からプラスに転換した。
老朽化した設備の更新需要が蓄積していることが上方修正につながったもようだ。非製造業では「堅調な内需に加え、消費増税を控えた駆け込みの投資が計画されている」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)との指摘もある。
調査を実施した5月下旬から6月下旬にかけては度々株価が急落し、円相場が反発するなど市場が大きく変動した。通常は株安・円高の局面では企業心理が悪化しやすいが、今回は企業の収益の見通しが着実に改善していることが下支え役となった。長い目でみた円安傾向が製造業を起点に企業の見方を強気にしている。
13年度の大企業の収益計画をみると、経常利益は製造業で前年度比14.6%増となり、前回調査の10.9%増から上向いた。非製造業も3.7%増と前回の3.3%増から小幅ながら上方修正となった。昨秋以降の大幅な円安に伴う収益改善効果が企業心理の改善を支え、設備投資にもプラスに働いた格好だ。
今回調査で浮き彫りになったのが、景況感改善の中小企業への裾野の広がりだ。とくに中小非製造業の業況判断指数(DI)はマイナス4となり、1992年5月調査以来、約21年ぶりの高水準となった。
一方、14年度の新卒採用計画は大企業が1.7%減と3年ぶりのマイナス計画となった。景気の回復傾向を持続的なものにするのは、企業の景況感の改善が設備投資だけでなく雇用や賃金などにも波及することが欠かせない。個人消費などの内需拡大を通じ、企業収益をさらに改善させる「好循環」につなげられるかが課題となる。

ということで、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、産業別・規模別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。このブログのローカル・ルールで、昨年1-3月期を景気の山、昨年10-12月期を谷と仮置きしており、ほかのグラフについても以下同文です。

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企業マインドの改善はほぼ市場の事前コンセンサスにミートし、大きなサプライズはなかったものの、かなり市場予想の上限に近いと受け止めています。大企業や中小企業といった規模、あるいは、製造業と非製造業の産業別など、いくつかのセグメントを見てもほぼすべての規模や業種で景況感が改善しています。引用した記事にもある通り、大企業だけでなく中堅から中小企業にも業況感改善の裾野が広がっている点は忘れるべきではありません。もちろん、アベノミクスによる円高修正や株高と公共事業の拡大といった政策効果とともに、米国と中国をはじめとする世界経済の回復など、さまざまな要素が組み合わさって出た結果であるといえます。夏季ボーナスも含めて、将来に向けた賃金上昇が現実化すればさらに景況感は改善すると考えられます。また、この短観を見る限り、5月下旬からの金融市場の混乱、すなわち、株価の下落、円高修正の一巡、長期金利の上昇などは、メディアは騒がせたものの、企業の景況感に大きな影響を及ぼさなかった可能性があります。なお、大企業製造業の事業計画の前提となっている為替の想定は、3月調査の1ドル85.22円から6月調査では91.20円に大きく円安に振れました。

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上のグラフは企業規模別に設備と雇用のそれぞれの判断DIをプロットしています。設備と雇用はいずれも要素需要であり、景気にいくぶん遅行すると考えるべきですが、この6月調査の日銀短観では、まず、完全に払拭されたわけではないものの、設備に対する過剰感がかなり和らいでいます。さらに、雇用についてはすべての規模の企業で人員の過剰感が払拭されて不足感に転じたとの結果が示されています。しかも、規模の小さい企業ほど人員不足感が広がっています。上のグラフの下のパネルの通りです。もっとも、後で取り上げるように、来年度の新卒採用は減少するとの結果になっています。少し不思議な気がします。

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統計としての短観のひとつのクセ、というか、我が国企業の投資計画そのものがそうなっているという気もしますが、設備投資計画の3月調査はマイナスでスタートする、という経験則があります。もちろん、よほどの景況感の盛り上がりがあれば別なんでしょうが、最近では2007年度が3月調査でプラスのスタートとなっています。最近の設備投資計画は上のグラフの通りで、2013年度の大企業の設備投資計画は3月調査の時点では前年度比▲2.0%でしたが、今回の6月調査では+5.5%にジャンプしました。市場の事前コンセンサスは+3%台の増加でしたので、直感的に少し大きいと感じていますが、この先9月調査あたりでは下方修正される可能性が残りますし、また、2012年度計画の実績が3月調査時点の実績見込よりもかなり下方修正されましたので、前年度からの繰越し部分が多少はあるのかもしれません。最終の仕上がりを見込むと計画段階の+5.5%増はやや大きいと感じるエコノミストも少なくないような気がしています。

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日銀による2%のインフレ目標の設定との関係で注目された価格判断DI、すなわち、大企業製造業の仕入れと販売の価格判断DIは上のグラフの通りです。仕入れと販売のいずれも昨年10-12月期を直近のボトムとして価格判断DIは上向きに転じています。景況感と同じで、「ヨソは楽だが、我が社は厳しい」という隣の芝生は青くて自虐的なバイアスがつきまとい、仕入れ価格が上昇すると予想する一方で、販売価格は上げられないと、デフレ期待が半分くらいしかまだ払拭されていないんですが、それでも、販売価格DIもほぼゼロの▲1までこぎつけました。今後、インフレと賃金の関係も忘れるべきではありませんが、実際に価格が引き上げられるようになると、この販売価格マインドは一気に改善される可能性があると期待しています。

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最後に、先ほどの雇用判断DIが大企業から中堅・中小企業まで軒並み人手不足感が出始めた一方で、来年度2014年度は新卒採用を手控える企業が増加しています。今年春の新卒採用が増加していますので、その反動の側面もあるんでしょうが、私には少し疑問が残ります。政府の成長戦略で要素需要のうちの投資ばかりが促進され、雇用が置き去りにされることがないように期待しています。

最近時点まで、消費に現れた強気な家計部門と投資に現れた弱気な企業部門という単純な対比で見ていたんですが、6月調査の日銀短観の結果を見ると、総じて企業マインドの改善が示され、5月下旬からの株価下落などの金融市場の混乱にもそれほど影響されず、先行きに明るい展望を持って企業活動が行われているとの印象を持ちました。家計と政府だけでなく、企業や海外部門も景気を牽引する全員参加型の景気回復・拡大という望ましい姿になりつつあることを確認できた短観でした。

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