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2013年8月31日 (土)

藤浪投手が粘り強いピッチングで10勝目を上げ連敗ストップ!

  HE
広  島010000000 170
阪  神101000000 271

引き続き、打線に決定力なく、4番鳥谷選手も先制点を上げたものの、必ずしも適任とも思えないながら、粘り強い藤浪投手のピッチングで連敗ストップです。藤浪投手は2ケタ勝利を上げました。松田投手もいいリリーフを見せ、相変わらず投手陣は信頼できます。クライマックス・シリーズに向けて打線の決定力を向上させるのがカギになりそうです。

打線の奮起を期待して、
がんばれタイガース!

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先週末から今週にかけて読んだ新刊書から

先週末から今週にかけて読んだ新刊書です。経済書が1冊と小説が4冊です。わずかに5冊ですから、新刊書を読むペースは落ちているような気がしますが、実は、新刊書でも何でもない10年くらい前の文庫本を読んでいたりします。

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まずは経済書からで、池尾和人『連続講義・デフレと経済政策』(日経BP社) です。リフレ政策を批判していて、そのバックグラウンドにあるモデルが極めてクリアに第1講で提示されています。非常にわかりやすいリフレ派批判なんですが、極めて不自然に自然失業率が4%であると前提しています。昨日発表の統計では失業率は4%を下回りましたから、日銀は景気加熱を防止すべく引締め策を取らねばならないんでしょうか。といった極めて恣意的な前提をモデルに取り込んだ議論となっています。また、ゼロ金利制約下ではモデルの特異な動きを許容し、ご自分の都合のいい議論に導いているのもどうかという気がします。さらに、私が注目したのは為替に関する議論であり、日米のマネーストック比率に対応した為替の動きを示すソロス・チャートは、やっぱり、ゼロ金利制約下では成立しないという議論が展開されています。本書では、グラフを見るという初歩的なレベルの議論で片付けられているんですが、最近、日銀が発表したワーキングペーパー「リーマン・ショック直後の円高の定量的解釈」では、Bacchetta and van Wincoop のスケープゴート・モデルを援用して、リーマン・ショック後の円高は投資家が消費者物価に対する主観的なウエイトを引き下げ、マネーストックに対する主観的なウエイトを引き上げたことによってもたらされたことを定量的に明らかにしています。日銀の研究により為替に対するマネーストックの影響力が確認されているわけです。本書のリフレ派批判はやや的外れと私は受け止めています。ただし、第5講の成長戦略に関しては私も同意する点が多くあり、単なるターゲティング・ポリシーは成長戦略ではないという指摘は大いに賛成です。

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次に小説で、伊坂幸太郎『死神の浮力』(文藝春秋社) です。我が家では私だけでなく子供達も東野圭吾作品や伊坂幸太郎作品を読みますので、今日のエントリーで紹介する本の中で、本書だけは購入しました。逆から見て、他の4冊は図書館で借りています。ということで、伊坂作品の死神シリーズはもう1冊短篇集の『死神の精度』があるんですが、この『死神の浮力』は長編となっています。死神はやっぱり千葉です。音楽が大好きです。この死神の千葉が、我が子を殺された作家の両親とともに行動します。千葉が評価する対象者はこの父親の方です。そして、この作家の子供を殺したのは、25人に1人いるといわれる良心を持たない人間です。私はよくわからないんですが、貴志祐介『悪の教典』の主人公の蓮見みたいなもんでしょうか。それはともかく、さすがに伊坂作品ですのでテンポよく話が進み、とても面白く読めました。長編ですからスピーディーな展開は犠牲になっているのかと思ったら、そうでもなくて、終盤の展開はある程度は予想通りというものの、伊坂作品のいいところを味わうことが出来ます。それにしても、死神がいる間はずっと雨降りというのは小説のプロットを考える上で何らかの制約条件にならないものなんでしょうか。少し気になります。

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次も小説で、篠田節子『ブラックボックス』(朝日新聞出版) です。7月7日のエントリーで真山仁『黙示』を取り上げましたが、同じようなラインに乗っている作品です。ただし、『ブラックボックス』では主人公や主人公側の人々が一貫して被害者としてストーリーが進んでおり、『黙示』と大きく異なる点です。物語としてはありきたりな内容で、大きな風呂敷を広げて収束するのに手間取り、極めて中途半端な終わり方をしています。単に食品の安全性に疑問を投げかけるだけで終わった作品であり、小説としてはこれでいいのかもしれませんが、将来に向けた何らかの明るい、もしくは、真っ黒の展望を示すことには失敗していると私は受け止めています。やや設定が極端に走っているきらいもあります。ハッキリ言って、生活実感のない小説でした。作品の登場人物に感情移入することがとても難しいと感じました。

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次はミステリで、森博嗣『神様が殺してくれる』(幻冬舎) です。欧州を舞台にした殺人事件をテーマにしています。私はこの著者の作品は、いわゆるS&MシリーズとVシリーズはほぼ読みましたが、ギリシア文字の入るGシリーズはほとんど読んでいません。ひょっとしたら、デビュー作の『すべてがFになる』がもっとも好きかもしれません。理系ミステリ作家らしくというか、何というか、人間臭い殺人事件の動機や人間関係、恋愛などの感情の機微をまったく無視して、可能性のない人物を消去法で消していくタイプの謎解きをする作品が多く、その謎解きにもムラがあって、すぐに犯人が分かる場合と極めて無理のある謎解きと、いろいろです。でも、人気ミステリ作家ですから、話題の新刊ということで読んでおいて損はないと思います。リオン・シャレットはVシリーズの小鳥遊練無のイメージだったりするんでしょうか。

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最後もミステリで、真梨幸子『鸚鵡楼の惨劇』(小学館) です。私はこの著者は割と好きで、メフィスト賞を受賞したデビュー作の『孤虫症』から始まって、『深く深く、砂に埋めて』や『殺人鬼フジコの衝動』なども読んでいます。非常にタイムスパンの長い作品が特徴で、この『鸚鵡楼の惨劇』もゆうに50年を超える物語です。ここまで長くはありませんが、直木賞を受賞した『カディスの赤い星』を思い出してしまいました。もっとも、この『鸚鵡楼の惨劇』は西新宿の狭い狭い地理的な範囲で生じた事件を取り上げており、日本とスペインを国際的に行き来する『カディスの赤い星』とはかなり趣きが異なります。かなり話はそれますが、『神様が殺してくれる』のリオンはどこか『深く深く、砂に埋めて』のゆりこに通じるものを感じました。終盤はとても意外性があってスピーディーな展開です。

今回読んだ中で、世間の評価が高い割に失望させられたのは『ブラックボックス』です。対立軸を明らかに出来ず、あいまいなままでストーリーを進め、何やらよくわからない結論に達しています。エンディングを考えずに書き始めてしまったのが手に取るように理解できます。

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2013年8月30日 (金)

甲子園に戻って打線を組み替えても決定力不足は変わらず!

  HE
広  島030000000 380
阪  神000000000 041

甲子園に戻って広島と対戦しても完封負けでした。打線をかなり大きく組み替えましたが、何の効果もありませんでした。チャンスに1本出ない決定力不足はいかんともしがたく、4連敗を喫してしまいました。ペナントレースに妙な未練を残さずに、ポストシーズンに向けての準備が進むかもしれません。

クライマックスシリーズは、
がんばれタイガース!

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政府統計がいっせいに発表され順調な景気回復・拡大を確認する!

本日は月末最後の閣議日で、政府統計がいっせいに発表されました。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局からの失業率や厚生労働省からの有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価などが、それぞれ発表されています。いずれも7月の統計です。まず、とても長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の鉱工業生産3.2%上昇 上昇幅2年1カ月ぶりの大きさ
経済産業省が30日発表した7月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は97.7で、前月に比べ3.2%上昇した。プラスは2カ月ぶりで、上昇幅は東日本大震災後に生産活動が持ち直した2011年6月(4.2%)以来の大きさだった。火力発電向け蒸気タービンに加え、化学プラント用タンクや通信向けデジタル伝送装置など設備投資が対象の生産が増加したことが寄与した。
QUICKが29日時点で集計した民間の予測中央値(3.7%上昇)は下回ったが、経産省は「設備投資に使われる資本財が伸びてきている」と指摘。生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
業種別にみると、15業種のうち12業種が上昇した。火力発電用部品を含む「はん用・生産用・業務用機械工業」は5.5%上昇。化学プラント用タンク、ショベル系掘削機械も伸びた。電子部品・デバイス工業はタブレット(多機能携帯端末)向け液晶が好調で7.8%上昇。輸送機械工業は軽乗用車の国内販売や普通乗用車の輸出が増え、1.9%上昇した。
出荷指数は1.3%上昇の94.9。生産と同じく、化学プラント用タンクやタブレット向け部品を中心に伸びた。在庫指数は普通乗用車やショベル系掘削機械の輸出の船便待ちが増えたことなどで、1.5%上昇し108.6。在庫率指数は0.5%低下の110.5だった。
併せて発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは8月が0.2%上昇する見込み。法人向けパソコンで米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」の更新需要が集中し、情報通信機械工業が伸びるもよう。9月は1.7%上昇を見込んでいる。その結果、7-9月期の鉱工業生産指数は前期に比べ2.4%上昇する見通し。
失業率3.8%に改善 7月、女性の雇用環境好転
総務省が30日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0.1ポイント低下の3.8%で、2カ月連続で改善した。女性だけでは3.3%で、1997年9月以来15年10カ月ぶりの低水準となった。厚生労働省が発表した有効求人倍率(同)も0.02ポイント改善し0.94倍となった。男性中心の製造業でも新規求人が急増し、雇用環境の改善の動きは強まっている。
厚労省は雇用情勢の判断を「改善が進んでいる」とし、2カ月連続で上方修正した。この表現を使うのは2007年8月以来となる。
失業率低下は2カ月連続で改善した女性がけん引した。女性の雇用者は医療・福祉や卸・小売業を中心に、前月から7万人増えた。
男性の失業率は0.1ポイント悪化し4.2%になったが、雇用者は2万人増えた。総務省は「企業の採用意欲は落ちていない」と分析した。6月に前年同月比で13カ月ぶりにプラスに転じた製造業の新規求人数は、7月に12.6%増と上げ幅を急拡大した。電機や自動車業界のほか、猛暑の影響で食料品製造業も求人を増やした。
正社員に限った有効求人倍率は0.54倍となり、前年同月を0.07ポイント上回った。厚労省は「今後は量の確保だけでなく、雇用の質を高めていくことが重要」とみている。
7月全国CPI、2カ月連続上昇 上昇率は4年8カ月ぶり水準
総務省が30日朝発表した7月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は生鮮食品を除く総合が前年同月比0.7%上昇の100.1で、2カ月連続のプラスだった。上昇率は原油価格や穀物価格が高騰した08年11月(1.0%上昇)以来、4年8カ月ぶりの水準。電気代やガソリン価格が引き続きけん引役となった。
目立って伸びた項目は電気代で10.1%上昇。上昇率は第2次石油危機の影響を受けた1981年3月(41.2%上昇)以来、32年4カ月ぶりの高さだった。原子力発電所の稼働停止を受け、電力会社が電気料金を引き上げたことが影響した。
ガソリン価格も円安を背景に仕入れ価格が上昇し、10.5%上がった。耐久財ではテレビ価格の下落幅縮小が続いたほか、パソコン価格が上昇したという。
生鮮食品を含む総合は、猛暑による生鮮野菜の相場高騰で0.7%上昇の100.0と2カ月連続で上昇した。
同時に発表した8月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が0.4%上昇の99.5だった。全国と同じく電気代とガソリン価格が押し上げたが、電気代の上昇率は13.9%と前月の15.4%から縮小した。
総務省は先行きについて「都区部はエネルギーの押し上げ寄与が弱まる可能性があるが、全国、都区部とも来月はプラスの傾向は大きく変わらない」とみている。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、鉱工業のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。ただし、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。これについては雇用統計のグラフでも同じです。

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生産は市場の事前コンセンサスには届かなかったものの、震災からのリバウンド以来の大きな増産となり、順調に拡大しています。生産に関して品目別に見ると、モス型半導体集積回路(メモリ)、デジタル伝送装置、軽乗用車の順に増産に寄与しており、出荷の上昇に寄与した業種は、はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、鉄鋼業などでした。引用した記事にもある通り、目先の8-9月も製造工業生産予測調査に従えば、8月+0.2%増の後、9月+1.7%増と順調に生産拡大を続ける予定のように見受けられます。先月の段階の製造工業生産予測調査では7月が+6.5%増の後、8月は▲0.9%減となっていましたので、7-8月でやや平準化された形になっています。不安材料は中東情勢とそれに伴う石油価格の上昇なんですが、地政学的なリスクが真っ先に上がるのではエコノミストの私には見通しようもありません。

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生産が順調に拡大していますから、雇用も堅調に推移しています。上のグラフは上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。引用した記事にもある通り、雇用の先行指標である新規求人数こそ横ばいでしたが、遅行指標の失業率と一致指標の有効求人倍率は順調に改善しています。報じられている通り、女性の雇用改善が大きいようです。

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上のグラフは、季節調整していない原系列の産業別雇用者数の前年同月差をプロットしています。濃い緑色の医療・福祉は従来から雇用者増の大きい産業分野なんですが、これに加えて、今回の景気回復・拡大局面は日本ではめずらしく消費主導ですので、黄色い卸売・小売業における雇用者の拡大も目立っています。7月は生産の増産が大きかったので水色の製造業も雇用を増加させています。他方、青の建設業は、まだ公共投資がピークアウトしたとは思えないんですが、7月にはマイナスに転じています。製造業については見方が分かれるものの、統計的な裏付けは取っていませんが、医療・福祉や卸売・小売業などは女性の非正規を雇用しているような気がしてなりません。

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最後に、消費者物価も上昇幅を拡大しています。しかし、これはいわゆるアベノミクスや日銀の異次元緩和の効果かどうかはやや怪しいと私は受け止めています。上のグラフは生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの全国と東京都区部の前年同月比上昇率とエネルギーと食料を除く総合で定義されるコアコアCPI全国の上昇率を折れ線グラフでプロットし、全国コアCPIの上昇率に対する寄与度をエネルギーと食料とその他に分けて積上げ棒グラフで示してあります。たしかに、コアコアCPIの上昇率もかなりマイナス幅を縮小させたとはいえ、まだマイナスのままですし、明らかに黄色い棒グラフのエベルギーにけん引された物価上昇だということが出来ます。もちろん、エネルギー価格の上昇には円高がいくぶんなりとも寄与していますので、それがアベノミクスや日銀の異次元緩和の効果ということも出来なくはないんでしょうが、現段階では、需要拡大から波及したGDPギャップの縮小に基づく物価上昇ではない、と考えるべきです。もっとも、かつての「よいデフレ、悪いデフレ」ではありませんが、インフレについても「よいインフレと悪いインフレ」にはまったく差がないとまでは思わないものの、そんなに大きな違いはないものと私は考えています。

8月最後の政府統計はいずれも順調な景気回復・拡大を確認できる内容だったと私は受け止めています。足元から目先の秋口にかけてはもちろん、消費税率引上げ前の年度内いっぱいは順調な景気が続くものと期待しています。それにしても、シリア介入はどうなるのでしょうか?

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2013年8月29日 (木)

東京ドームでジャイアンツに3タテを食らってセリーグは終戦!

  HE
阪  神0001010000 261
読  売0000000111x 390

阪神は巨人にまったく歯が立ちませんでした。温存していた能見投手をいっぱいまで引っ張りましたが、最後は力の差はいかんともしがたく、巨人に3連敗の巻でした。セリーグは終戦になってしまいました。ペナントレースに妙な未練を残して、ポストシーズンに悔いを残さないことを望みます。

クライマックスシリーズは、
がんばれタイガース!

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商業販売統計からマインドに支えられた消費のサステイナビリティを考える!

本日、経済産業省から7月の商業販売統計が発表されました。ヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列で見て前年同月比▲0.3%の減少、季節調整指数の前月比で▲1.8%の減少となりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

7月の小売販売額、3カ月ぶりマイナス 天候不順など響く
経済産業省が29日発表した7月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆7430億円で、前年同月に比べ0.3%減った。マイナスは3カ月ぶり。特に百貨店など大型小売店がマイナスに転じた。前年より日曜日が1日少なく、一部地域での記録的な豪雨、6月への夏物セール前倒しなどが響いた。
小売業の内訳をみると、機械器具が薄型テレビやレコーダーの不振で7.4%減と大きく落ち込んだ。自動車もエコカー補助金制度がなくなったことが響き6.2%減と落ち込みが目立った。
一方、燃料は石油製品価格の上昇で7.9%増えた。高温が続いたことで夏物の売れ行きが伸びた織物・衣服・身の回り品は0.9%増だった。
大型小売店は0.7%減の1兆7124億円で、3カ月ぶりのマイナス。既存店ベースも1.6%減と2カ月ぶりに減少した。このうち百貨店は宝飾品や時計といった高額品の販売が依然として好調だったが、セール前倒しの影響が大きく2.2%減と3カ月ぶりに減少に転じた。スーパーも天候不順の影響が大きく1.2%減だった。
コンビニエンスストアは4.8%増の9014億円。店舗内で抽出するコーヒーや総菜の販売増が寄与した。既存店ベースはタバコの減少が響いて0.7%減だった。

というわけで、いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。続いて、商業販売統計のうち小売業販売のグラフは以下の通りです。影をつけた部分は景気後退期であり、毎度のお断りながら、直近の景気の山は内閣府の認定通りに昨年2012年4月なんですが、このブログのローカル・ルールで、2012年11月を直近の景気の谷と仮置きしています。

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7月統計はいかなる観点からも消費の停滞を示していると私は受け止めています。すなわち、報道には出ていませんが、梅雨明け後にはかなりの猛暑で気温が上がり、それなりの猛暑効果が見込めたハズなんですが、そういった消費の増加はマクロでの統計には相殺されて現れていません。猛暑需要を上回る停滞があったと考えるべきです。もちろん、一部地域での豪雨で外出が控えられたことは消費にはマイナスだったでしょうが、上に引用した記事にもあるように、宝飾品や時計といったレベルの高額商品ではなく、テレビや車といった実用的な高額商品の売上げが減少しているのは、所得とマインドが思ったほど伸びていないことが原因と私は受け止めています。すなわち、8月8日付けのエントリーで取り上げた景気ウォッチャーやその翌日の8月9日の消費者態度指数など、マインドは足踏みを示しています。所得についてはアベノミクスの第1の矢である金融政策のラグの範囲内でまだ現実化していません。

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まず、マインドや資産効果については上の業態別の小売売上高の推移が示唆に富んでいます。グラフは季節調整済みの系列をプロットしており、基準年は2010年です。見れば明らかですが、衆議院解散やアベノミクスの前、昨年のミニ・リセッション中からいずれの業態、百貨店、スーパー、コンビニとも売上げを伸ばし始めており、当然ながら、今年に入って年央までは、トレンドとして増加を続けているコンビニを別にしても、必需的な消費の比率が高いと推察されるスーパーよりも選択的な消費の割合が高いと考えられる百貨店の伸びの方が大きくなっていました。しかし、7月にはコンビニも含めてスーパーも百貨店も減少に転じました。スーパーよりも百貨店の方が大きく落ち込んでいるのは見ての通りで、水準としてはミニ・リセッション時をさらに下回っています。マインド効果や資産効果の剥落が疑われます。誤解を恐れずに極めて単純化すれば、食料などの必需的な消費よりも衣料などの選択的な消費のほうが所得やマインドに対する弾性値が高く、実用的な高額商品はさらに弾性値が高く、実用的でない宝飾品などの弾性値はさらに高いと考えるのが自然です。もっとも、最後のカテゴリーは平均的な国民の消費に基づくものではないかもしれません。6月統計までの伸びに対する反動という面はありますが、いずれにせよ、百貨店売上げの大きな落ち込みは所得よりもマインドに支えられた最近までの消費のサステイナビリティに対する疑問を裏付けていると私は受け止めています。なお、所得については、私はまだ金融政策のラグのために発現していないと考えています。月曜日8月26日のエントリーでは、ジャクソンホール会合での黒田総裁発言などを引いて、ラグが短い可能性を示唆しましたが、訂正しておきたいと思います。やっぱり、岩田副総裁の京都における発言などを見ても、エコノミストの常識として、金融政策の効果が発揮されるまで4-6四半期のラグはあるという考えに戻ってしまいました。日経新聞の記事を見ても、金融政策の効果は来年度から本格化する、と岩田副総裁は発言した旨が報じられており、逆にいえば、ラグは4四半期以上ある、という含意だと受け止めています。極めて常識的です。

従来から指摘しているように、アベノミクスのど真ん中と私が考える政策は第1の矢の金融政策であり、ラグを埋めるために第2の矢の財政政策が発動されています。第2の矢の財政政策で第1の矢の金融政策のラグの時間を買っているわけです。第3の矢の成長戦略は、その名の通りの構造改革による生産性や潜在成長率の回復のための政策であればOKなんでしょうが、報道される限り、TPPを除いてターゲティング・ポリシーにしかなっておらず、どこまで経済成長に貢献するかは疑問だと私は考えています。いずれにせよ、金融政策が一定のラグを経て効果を発揮して所得が増加し始めるまで、マインドに支えられた消費がサステイナブルかどうかを注視する必要がありそうです。

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今日は下の子の誕生日!

すでにお祝いのごちそうは済ませてしまいましたが、今日が我が家の下の子の誕生日です。今日から15歳です。このブログの吉例で、ジャンボくす玉を置きますので、お祝い下さる方はクリックして割ってみましょう。

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2013年8月28日 (水)

何の策もなく漫然とした試合運びでジャイアンツに連敗しマジック再点灯を許す!

  HE
阪  神010200000 380
読  売20102000x 570

この直接対決3連戦の重要性をベンチも選手もどこまで理解しているのか、理解していないのか、ただただ漫然と野球をしているだけのように見えてなりません。私は関西人ですからアッサリしていると思うんですが、ここまで何の策もなく執念もなく連敗をしていては優勝はありえません。明日負ければホントにセリーグは終戦になってしまいます。

せめて明日は、
がんばれタイガース!

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8月31日の「野菜の日」にちなんで、野菜は足りているか?

昨夜の野球観戦で疲れ切ってしまい、今夜の記事は簡単に済ませたいと考えています。
ということで、来たる8月31日は「野菜の日」だそうで、これにちなんでカルビーが「大人の野菜に関する意識調査」の結果を先週8月23日に公表しています。「大人の」がついているのは、アンケート調査対象が20歳以上であることも含め、子供には子供の野菜に関する事情があるんだろうと思います。まず、カルビーのサイトから調査結果のトピックを3点引用すると以下の通りです。

「大人の野菜に関する意識調査」結果
トピック①: 大人が好きな野菜と嫌いな野菜のトップ1は夏野菜の「トマト」と「ゴーヤ」
トピック②: 2人に1人は「野菜不足」、20代・30代は6割以上が実感
トピック③: 野菜不足は、野菜ジュースやサプリメントで、「野菜チップス」も野菜の代わりに購入

この調査は医者の診断や検査の実施などのフィジカルな測定結果でなく、あくまで、意識調査であって、好き嫌いとか、野菜が足りているか足りていないかの実感であったりしますので、読み解く上でその点の注意は必要です。すなわち、医学的には野菜が足りているにもかかわらず、ご本人は不足している感じていたり、あるいは、その逆の結果が出ている可能性は排除できません。

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まず、上のグラフは好きな野菜と嫌いな野菜のそれぞれのトップ10です。じゃがいもやとうもろこしなどは「野菜」のカテゴリーに入るのか、「穀類」ではないのかという気もしますが、それはさて置いて、当然ながら理解できる結果です。嫌いな方で2番めに入っているセロリは私も苦手で、おそらく、唯一食べられない野菜だという気がします。もっとも、ゴーヤは食べたことがないかもしれません。好きな野菜については、私は基本的に緑黄色野菜が好きで、ニンジンやブロッコリなどをよく食べます。しかし、調査結果ではブロッコリは苦手な野菜に入っています。ブロッコリについては日本よりも米国で苦手と答える人の比率が高いんではないかと私は直感的に考えています。20年以上も前のパパ・ブッシュ大統領がそういった発言をしたこともあります。なぜかと私なりに推測すると、米国ではブロッコリは生で食べるからです。25年ほど前のパパ・ブッシュ大統領のさらに前のレーガン政権下の1980年代末に、私は米国準備制度理事会 (FED) のリサーチアシスタントをしていたころ、FED の職員食堂では野菜が量り売りで売られていたんですが、ニンジンやトマトは言うに及ばずブロッコリも生で売られていました。それにドレッシングをかけて、秤にのせて料金を支払います。ただし、時々夕食で入ったステーキハウスなんかでは、付け合せのブロッコリは火を通してしんなりしていたような気もするんですが、これはステーキといっしょに鉄板に乗せられていたためではないか、と私は理解しています。米国の首都のワシントンD.C.の FED の職員食堂という極めて限定された例ですが、ブロッコリを生で食べることがほとんどない日本とは米国は違うんだということを実感しました。

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次に、上のグラフは野菜不足の実感についての回答結果です。右側の円グラフの作りが異様で、私なら絶対にこんな処理はせずに年代別の「はい」と「いいえ」の棒グラフにするんだろうと思いますが、20代から60代まで男女各40名という偏ったサンプルを対象にした調査ですので、こんな処理も許容範囲かもしれません。それはともかく、20-40代というこの調査の対象としては比較的若い年代で野菜不足が実感されています。若い世代が特に悲観的ということもないでしょうから、おそらく、実際にも野菜不足なんだろうと私は受け止めています。さらに、グラフは引用しませんが、野菜不足解消方法を問う設問では、野菜ジュースやサプリメントが1-2位を占めています。また、この調査を実施したカルビーの思惑通りに、野菜チップスも4位に入っています。当然ながら、こういった調査では調査実施主体に好意を持った調査客体の比率が高まるといわれており、野菜チップスなんて聞いたこともない人も少なくないような気がしますが、調査主体に都合のいい結果になりがちです。例えば、アムネスティ・インターナショナルによる死刑制度廃止に関するアンケートでは死刑廃止が多くなるバイアスが出る可能性とか、あるいは、朝日新聞の世論調査では内閣支持率が他に比較してやや低めに出る可能性、などの例がそうだと指摘する人がいたりもします。ただし、全体として、日本人の食生活は先進国の中ではヘルシーなものだと私は認識しており、微妙な表現ながら、野菜もそれなりに足りているんではないかと考えています。でも、野菜チップスのマーケティングのためには野菜不足を強調する必要があるのかもしれません。

調査客体の選び方をはじめとして、かなりバイアスのある調査結果ではないかという気がしないでもありませんが、野菜の日にちなんだアンケート調査結果のご紹介でした。

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2013年8月27日 (火)

東京ドームに観戦に行くも阪神はボロ負け!

  HE
阪  神000000000 060
読  売20020000x 4110

本日は、我が家のおにいちゃんとともに野球観戦に東京ドームへ行き、3塁側の内野席から応援していたんですが、阪神はボロ負けでした。まったく作戦らしい作戦のない試合でしたが、力量の差を見せつけられた気がします。送りバントも、盗塁も、阪神サイドではほとんど何もなしで、投手に代打を送って交代させるくらいでした。相撲で言えば、正面からぶつかってがっぷり四つに組んで、なすすべなく土俵を割った、というカンジでしょうか。年に1回しか観戦に行かない我が家にとって、こんな試合にブチ当たったのが不運かもしれません。来年はもっと早くのタイミング、5月くらいに観戦に行こうかと考えなくもありません。
下の写真は試合終了後のスコアボードです。アホらし。

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それでもやっぱり、
がんばれタイガース!

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2013年8月26日 (月)

3か月連続でプラスとなった企業向けサービス価格から金融政策のラグを考える!

本日、日銀から7月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されています。前年同月比上昇率で+0.4%と前月と同じ結果でした。3か月連続の前年同月比プラスですから、そろそろサービス価格上昇が定着するのかもしれません。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

7月の企業向けサービス価格、3カ月連続上昇
運輸がけん引

日銀が26日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.3と、前年同月比0.4%上昇した。プラスは3カ月連続で、上昇率は前月と同じだった。前年に落ち込んでいた運輸が円安を背景に大きく伸びた。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。前月と比べて7月は横ばいだった。
業種別にみると、運輸は2.7%上昇し、前年からの伸び率は6月から0.8ポイント拡大した。7月に円安が進み、主に外貨建てで取引される運賃を円換算した価格が押し上げられたほか、道路貨物輸送では燃料費の上昇を価格に転嫁する動きも出た。
情報通信は0.9%下落したが、6月と比べ前年からの下落幅は縮まった。金融や通信業を中心にソフトウエア開発の需要が堅調で、案件の増加が単価の下落に歯止めをかけている。広告は1.2%下落。7月の参院選に向けて、各政党からの新聞広告の出稿が増えたが、テレビ広告では昨年のロンドン五輪の反動で減少した。

というわけで、いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。企業向けサービス価格指数 (CSPI) のグラフは以下の通りです。影をつけた景気後退期は毎度のお断りで、直近の景気の山は内閣府の認定通りに昨年2012年4月なんですが、このブログのローカル・ルールで、2012年11月を直近の景気の谷と仮置きしています。

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企業向けサービス価格指数 (CSPI) の7月の前年同月比上昇率+0.4%への寄与度を品目別に細かく見ると、引用した記事にもある通り、運輸が+0.59%ともっとも大きく、中でも外航貨物輸送が+0.43%を占めています。次に、土木建築サービズなどの諸サービスが+0.16%となっています。金融・保険も+0.05%とプラスです。ソフトウェア開発などを情報通信は▲0.17%のマイナス寄与ながら、5-6月の前年同月比▲1.1%から7月には▲0.9%にマイナス幅を縮小させています。全体的にジワジワとサービス価格は上昇しているようです。
なお、私は黒田総裁に交代した今年4月以降の日銀の異次元緩和が物価に及ぼす影響は、4-6四半期くらいのラグを持つ、と考えていたんですが、日経新聞の記事によれば、黒田総裁はカンザスシティ連銀主催のジャクソンホール会合にて公演し、異次元緩和はすでに市場、実体経済、物価予想の3つの面で好影響が出ていると発言したと報じられています。日銀のサイトにアップされている黒田総裁の発言要旨でも、同様の発言が確認できます。ですから、統計で示される物価の上昇率にはまだ異次元緩和は及んでいないと考えるのが多くのエコノミストのコンセンサスだと私は受け止めていたんですが、消費者物価も年央にプラスに転じていますし、私の考えるように金融政策から物価への波及は4-6四半期というのんびりした長さのラグではなく、もっと早いのかもしれません。もっとも、このあたりは現時点で確認することはかなり難しく、事後的にフォーマルな実証分析を待つしかありません。

アベノミクスの第1の矢である金融政策は着実に効果を示し始めています。第2の矢の財政政策は第1の矢のラグを埋めるための「時間を買う政策」であると私は受け止めていたんですが、現在、総理大臣官邸で開催されている「消費増税についての集中点検会合」に関する報道などを見れば、今や市場における日本財政の信認を回復するための財政調整の方が重視されるとの意見を持つエコノミストも少なくないように見受けられます。

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2013年8月25日 (日)

下の子のお誕生日のお祝い

今日の夕食は下の子のお誕生日のお祝いのごちそうでした。ホントの誕生日は8月29日なんですが、ご本人がいろいろと忙しく、我が家での誕生日祝いは今日の夕食になりました。中学3年生ですから15歳になります。身長はすでに私を超えて、立派な体格です。

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新井選手の5打点をはじめクリンナップ8打点で中日を3タテ!

  HE
阪  神260010000 9110
中  日000002020 450

5番新井選手の5打点をはじめ、クリンナップ3人で8打点ですから、打線は本調子に近いと感じました。中4日の先発メッセンジャー投手も6回2失点なら十分な出来といえます。ペナントレースもまだいいセン行くかもしれません。火曜日の東京ドームの初戦、能見投手の先発が予想される試合を観戦の予定です。

東京ドームでも3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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2013年8月24日 (土)

中日クローザーの岩瀬投手を攻めて9回4得点で阪神が劇的な逆転勝ち!

  HE
阪  神000000004 480
中  日000010000 182

中日のクローザー岩瀬投手を攻めて、9回大逆転勝ちでした。相手エラーで同点に追いついた後、西岡選手のタイムリーで逆転し、マートン選手の2点タイムリーで止めを刺しました。やっぱり、私の直感通りに、打線は調子を取り戻しつつありますので、今日の藤浪投手のように6回1失点で先発投手が試合を作り、昨日今日と2連勝で荒稼ぎのボイヤー投手のようにリリーフ陣もゼロに抑えれば、ひょっとしたら、ペナントレースもまだいいセン行くのかもしれません。来週の東京ドームの初戦、能見投手の先発が予想される試合を観戦の予定です。

明日も3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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2013年8月23日 (金)

完全アウェーの誤審と和田監督退場に奮起してナゴヤドームで阪神快勝!

  HE
阪  神000005200 7130
中  日000200000 2100

とてつもない誤審でした。試合を左右しかねないポイントだったんですが、和田監督退場に打線が奮起して、6回は打者一巡で5点を奪って中日に快勝です。やっぱり、私の直感通りに、打線は調子を取り戻しつつありますので、現状の投手力を持ってすれば、私自身はすでに諦めたペナントレースながら、ひょっとしたら、いいセン行くのかもしれません。来週の東京ドームの初戦は観戦の予定ですが、能見投手先発が濃厚です。もう一度がんばって下さい。

明日も、
がんばれタイガース!

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最近読んだ経済以外の専門書から

8月も残すところ来週1週間となり、子供達の中学校や高校の夏休みも終わりに近づきました。といったこととは何の関係もなく、最近読んだ経済書以外の専門書のご紹介です。

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まず、アーロン L. フリードバーグ『支配への競争』(日本評論社) です。昨年、『キッシンジャー回想録 中国』上下巻が話題になりましたが、今年の中国論はこの本で決まりかもしれません。著者はプリンストン大学教授であり、ブッシュ政権下でチェイニー副大統領の補佐官を務めた中国問題の専門家です。そして、一言でいうと、『キッシンジャー回想録 中国』とはまったく逆の結論に達しています。すなわち、本書は1990年代初頭から最近までの米中の外交戦略を分析し、来たるべき数十年の中国の方向性を読み解こうとしており、結論として、中国のパワーと野心が増す中で、中国と利益が対立する多くの分野で米国は強硬な姿勢を採るべきだと明確に主張しています。封じ込めと連携を並べた造語である「コンゲージメント」という言葉も出て来ますが、融和的なキッシンジャー路線とは大きく異なると理解すべきです。ただし、本書が書かれたのは2011年であり、その後のオバマ大統領の再選、習近平主席への中国指導体制の交代などの前に上梓されていますので、少しこの点は考慮に入れて読むべきだと受け止めています。特に考慮すべきはエネルギー問題です。本書ではほとんど考慮に入っていませんが、米国がシェール・オイルやシェール・ガスの実用化を可能とする技術開発に成功し、中東へのエネルギー依存を低下させることに成功しつつある一方で、エネルギー集約型の成長をせざるを得ない中国との間で摩擦が軽減される可能性がやや出始めています。中国と我が国を含む周辺諸国との国境紛争や中国とアフリカ等との外交関係の進展は資源問題をテコにしているだけに、この点はエコノミストの私にも興味あるところです。ただし、本書を読み解くにはそれなりの水準の知識が必要で、私は必ずしも十分に理解したと主張するだけの自信はありません。

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次に、イアン・スチュアート『世界を変えた17の方程式』(ソフトバンク・クリエイティブ) です。本書と次の『円周率のあるんだ道』は数学書です。まあ、タイトルを見れば分かると思います。著者は英国ウォーリック大学数学部教授で、入門書を多く出版しています。本書はかなり難しい内容で、基本的に、物理学や化学や生物学などの自然科学系への数学の応用なんですが、最後の17番目にはブラック・ショールズ方程式も経済学を代表して登場しています。また、ベル・カーブの正規分布を表す方程式も統計学を通じて経済学との関係が深いといえます。物理学ではなんといっても、相対性理論を表す E=MC2 が13番目に登場しますし、波動方程式、ナヴィエ・ストークス方程式、シュレーディンガー方程式など、超有名な方程式のオンパレードです。なお、誠に残念ながら、私は「シュレーディンガーの猫」については、何度聞いても読んでも理解できません。直感的に理解する方法はないんでしょうか。また第16章ではカオス理論が取り上げられており、カオスとランダムは異なるということを主張しています。私は当然だと思うんですが、まだカオスとランダムを混同する科学者もいるのかもしれません。なお、私は地方大学に出向している時にランダム・ウォークに関して簡単に取りまとめた "An Essay on Random Walk Process: Features and Testing" と題するエッセイを紀要論文として刊行しています。ご参考まで。本題に戻って、経済学でも物理学でも、余りにノイズの多いマクロあるいはミクロの現実に観察された系をノイズを除去した方程式、あるいは、連立方程式体系でモデルとして構成することほどラクなことはありません。外国語が不得意な私にも数学を言語として用いることが可能ですから、数学は今後も大いに応用されることと思います。また、本書では現在というか、最近まで、数学の方程式は連続かつ無限の仮定の下で発展して来たが、コンピュータの進歩などにより離散かつ有限の数学に、別の言葉を私なりに選ぶと、紙と鉛筆でアナリティカルに方程式を解く数学から、コンピュータでリカーシブに解く数学に取って代わられる可能性を示唆しています。これについては私も同意すると思います。

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最後に、上野健爾『円周率が歩んだ道』(岩波現代全書) です。著者は京都大学理学部の名誉教授で、もちろん数学を専門としています。『世界を変えた17の方程式』と違って、西洋中心の数学観ではありません。すなわち、日本は言うに及ばず、中国、イスラム、インドなどにおける円周率のお話が盛り沢山です。ただし、円周率ですから、どうしてもストーリーの中心はアルキメデスから始まって、ニュートンとライプニッツの微積分の誕生を見た近代欧州になります。それにしても、そろばんという前近代においてはとてつもなく強力な計算機を持っていた我が国が、そのために数学の理論的な展開に遅れを来たし、技術的な解法に先進性を示した、というのは分かる気がします。円周率については、その昔にコンピュータのマシン・パワーを計測するためのプログラムがありました。(0, 1)の区間で乱数を発生させて、2組の乱数をカーテシアン座標にプロットし、それらの原点からの距離を計測し、1より大きいかどうかで再帰的に円周率を求めるものです。それでも10桁くらいまでの円周率を得るのは難しくありませんでしたが、この手法はあくまで確率的に円周率を求めるものであり、解析的に式を解いて行く手法ではありません。ですから、コンピュータのない世界では使えません。最後にどうでもいいことながら、7月22日のエントリーで鈴木光司『エッジ』がシャーリイ・ジャクスン賞を受賞したことを取り上げましたが、この『エッジ』は物理学ホラーで、円周率の値が小数点以下何桁かからゼロが続き出して、実は円周率は無限に続くわけではない、とか、リーマン予想が崩れた、とかから地球と宇宙の崩壊が始まり、突如として人間が消失します。円周率が無限小数の無理数ではない世界とはホラーなのかもしれない、と思ってみたりしました。いささか数式の展開や背理法を用いた数学的な証明が多くて、専門的な知識ない場合は無意識的な拒否反応を示す向きもなくはなさそうな気がしますが、そのあたりを飛ばして読んでもとても良質な教養書だと思います。

先週後半の夏休みから、あまり新刊書は読まずに、森博嗣のミステリとか、高田郁の時代小説とかの文庫本をツラツラと読み返したりしていました。わずかに3冊ばかりですが、国際問題と数学の教養書の読書感想文でした。

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2013年8月22日 (木)

人口の多さと経済的豊かさの関係やいかに - 日本総研のリポートから

一昨日8月20日に日本総研から「数字を追う: 1人当たりGDP・GNIの実態と人口から見える成長課題」と題するリポートが公表されています。国連統計などから1人当り国民総所得(GNI)を概観し、「人口大国」である米国や日本の特徴を明らかにした上で、日本の産業構造をドイツと比較したり、目を新興国に向けて「中所得の罠」について論じています。やや焦点が散漫になっているような気がしないでもありませんが、いくつか興味深い論点を含みますので、私のブログでも取り上げておきたいと思います。

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まず、上の表はリポート p.4 (図表3)1人当たりGNI上位20か国 (2011年) を引用しています。G5に入る大国では米国がギリギリ20位ですが、日本、ドイツ、フランス、英国は見ての通りです。人口は万人単位の絶対数ではなく、なぜか相対的な順位で示してありますが、米国を別にして、1人当たりGDP・GNI上位20位の各国は人口から見て小国である可能性が示唆されています。また、上位7か国までが特に飛び抜けて1人当たりGDP・GNIが大きくなっており、8位のオーストラリア以降、30位の英国まで差は小さく、倍率にして2倍の差はないことが見て取れます。

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次に、上のグラフはリポート p.5 (図表4) 1人当たりGNIの要因別寄与度 を引用しています。左上の国名に影をつけてある7か国については区別されていますが、最初に示した表の通り、この7か国が飛び抜けて1人当たりGDP・GNIが大きくなっているためであり、かつ、上のグラフに示された通り、比較優位ある特定の高付加価値分野の産業と少ない人口が1人当たりGDP・GNIを高めていると分析されています。例えば、これら7か国の人口の平均は218万人だそうです。リポートでも指摘されている通り、労働者や資本をこれらの高付加価値産業、例えば、日本の労働力人口の数千万人の多くをモナコのギャンブルに振り向けても、収穫逓増という意味での規模の経済はもちろん、生産関数の1次同次は成り立たないと考えるべきです。

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ということで、上のグラフはリポート p.8 (図表5) 1人当たりGNI、人口の上位20か国の分布 を引用しています。大雑把に人口と1人当りGNIは逆相関があり、「人口大国」と経済的な豊かさを両立させているのは日米だけ、あるいは、せいぜいが日米とドイツだけとリポートでは指摘しています。私もその通りだと受け止めています。米国における人口と豊かさの両立について、リポートでは「競争原理の重視、新規分野への挑戦などを通じて資源再配置が繰り返され、生産性・効率性を向上させていくメカニズムが経済システムに組み込まれている結果」であると、特段の分析なしに結論しています。

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なお、これら日米独のG3の経済を論ずる場合、特に、サブプライム・バブル崩壊までは、米国が金融をはじめとする非製造業、日独は製造業に比較優位があるとされて来たんですが、特に、製造業の各産業における日独の比較を試みたのが上のグラフであり、リポート p.9 (図表6) 日本とドイツの製造業の増勢 を引用しています。リポートの論旨とはかなり離れますが、この10年間で我が国製造業が金融政策当局の誤った政策に起因する為替の増価により競争力を失って増勢が削がれ、いかに自動車産業のモノカルチャー化が進んだかを読み取ることが出来ます。

最後に、リポートでは世銀の China 2030 などに基づきつつ、1960年に中所得国であった国のうち、2008年に高所得国に移行したシンガポール、アイルランド、イスラエル、香港、スペイン、韓国などとBRICs諸国を比較しており、これまた特段の分析はないんですが、ブラジルとロシアは人口が1億人を超えており、中国とインドにいたっては10億人を超えているわけですから、高所得の基準である1人当りGNIで12,616ドルに達するためには「生産性が高い部門に経済資源が効率的に配分されるような経済システムの構築が必要」とし、特に人口10億人を超える中国とインドに関しては「既存の例では政治・経済体制の異なる米国型しか存在せず、他のモデル追求は未踏の領域」と評しています。
BRICs諸国のうち、ブラジルとロシアに関してはほぼ1人当り所得が10000ドルのラインに達して、「中所得の罠」を脱しつつある一方で、中国とインドについては10億人を超える人口を保ちつつ「中所得の罠」を突破するのは今後の課題であり、IMF/世銀やアジア開銀 (ADB) でも注目しています。例えば、IMFのアジア太平洋部のシン部長の "Emerging Asia: At Risk of the 'Middle-Income Trap'?" では、"a larger risk of growth slowdown stemming from subpar infrastructure" とか、 "improving economic institutions is a further challenge" などとインフラ整備や制度面の向上の必要性を示唆しています。もっとも、日本総研のリポートではBRICs諸国ということで中国とインドだけについて「中所得の罠」を考察しているんですが、IMFやADBでは中国とインドに加えて、ASEAN諸国、すなわち、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンなどについて分析が進められています。

学術論文と違ってシンクタンクのリポートですので、どうしても、フォーマルな分析や既存研究との比較などは見られませんが、日独の製造業比較や新興国の経済発展のハードルとなりかねない「中所得の罠」など、それなりに興味深いテーマが取り上げられています。分析の冴えは感じられませんが、情報の収集と取り上げるテーマに工夫が現れていなくもないと私は受け止めています。

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2013年8月21日 (水)

終盤にマートン連発でDeNAに圧勝!

  HE
阪  神020010042 9131
D e N A000012000 390

昨夜の後味の悪い敗戦から、今夜はマートン連発でDeNAに勝利です。5連敗を免れています。巨人がめずらしくもヤクルトに負けて、ふたたびマジック消滅、阪神自力優勝の可能性復活です。このあたりの複雑怪奇さが「マジック」と呼ばれるゆえんでしょう。打線は調子を取り戻しつつありますので、そこそこ投手陣が抑えれば勝率がよくなるような気がします。来週の東京ドームに照準を合わせて、もう一度がんばって下さい。

明日も、
がんばれタイガース!

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景気動向指数研究会による景気基準日付は2012年4月を山と認定

本日、内閣府において景気動向指数研究会が開催され、暫定的ながら昨年2012年4月を第15循環の山と認定しました。その前の第14循環の谷が2009年3月でしたので、景気拡大局面は37か月だったことになります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気「山」は12年4月、拡大局面37カ月 政府判定
内閣府は21日、有識者で構成する景気動向指数研究会(座長・吉川洋東大教授)を開き、景気の拡大局面から後退局面への転換点を表す景気の「山」を2012年4月と判定した。09年4月から始まった景気拡大局面の期間は37カ月と、戦後6番目の長さとなる。
今回の回復局面は、08年秋のリーマン・ショック後の急回復期にあたり、内閣府は「テンポは急速だった」との見方を示した。
判定には景気動向指数のうち景気の現状を示す一致指数を構成する11の経済指標から不規則な動きを取り除き、過去にさかのぼって再構成した「ヒストリカルDI」を活用する。同DIは12年5月以降、判断の分かれ目となる50%を下回っている。そのため景気動向指数研究会の委員7人は、景気の「山」を暫定的に昨年4月に認定することで一致した。
今回の「山」認定はあくまで暫定で、正式な認定はデータが出そろった時点で、景気後退が底入れする「谷」の時期も含めて認定する。委員の1人からは「『谷』は昨年11月となる可能性があり、その後は上り坂になっている」との声も出た。座長を務める吉川教授は、今回の議論の対象ではなかったとしながら、「仮に11月を『谷』とすると、非常に短い景気後退だったということになる」と語った。

ということで、いつもの通り、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、政府文書では「設定」establishment を用いており、日経新聞では「判定」judgement という用語を用いていますが、私は「認定」または「同定」identification が正しいんではないかと考えていますので、このブログでは用語を訂正しています。続いて、下のグラフは引用した記事でも言及されていたヒストリカルDIの推移です。本日の景気動向指数研究会の配布資料のうち、資料2 参考図表集の p.7 図表5-2 を引用しています。

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ヒストリカル DI のデータは、2012年4月54.5%、5月45.5%ですから、この間に上から50%ラインを切っていることになります。ですから、2012年4月が景気の山ということになります。同様に、引用した記事にもある「昨年2012年11月が景気の谷」という説に対しても、2012年11月45.5%、12月81.8%ですから、下から50%のラインを切っており、十分に根拠のあるところです。じゃあ、現時点で決めちゃえばいいじゃないか、と思わないでもないんですが、速報性に欠ける統計資料なんぞも用いますので、伝統的に1年くらい遅れることになります。ほぼ確実に、年内にもう一度景気動向指数研究会が開催されて、2012年11月を景気の谷と同定すると私は固く信じています。景気の山が3月か4月かについては外しましたが、谷については後述のように外しようはないと思います。
なお、何らご参考までですが、景気後退の Depth と Duration については、同じく、景気動向指数研究会の配布資料のうち、資料1 論点メモにおいて、Depth は「CI一致指数が過去の参照すべき後退局面のうち下降が小さかった例と同等以上に下降」、また、Duration は「景気の山(谷)が、直前の景気の谷(山)から5ヶ月以上経過、かつ前の景気循環の山(谷)から15ヶ月以上経過」と目安が示されています。

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ちなみに、上のグラフは景気動向指数の推移です。このCI一致指数を見ると景気の山は2012年3月なんですが、現時点でも政府による公式の景気基準日付の認定にはヒストリカルDIを用いて、CI一致指数は景気後退の Depth の目安に用いられるにとどまっています。他方、米国ではNBERによる景気基準日付の認定にはいわゆるストック・ワトソン型の指数が用いられており、私も大学に出向していた時に推計して紀要論文に取りまとめた記憶があります。まあ、ヒストリカルDIとCI一致指数では、一長一短でどちらがいいとはいえませんが、第15循環の場合、山は2012年3月と4月で1か月ズレますが、谷は2012年11月で一致するようです。

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2013年8月20日 (火)

DeNAに大逆転負けして自力優勝ふたたび消滅!

  HE
阪  神007001000 8131
D e N A003500001x 9140

DeNAにしまりのない負け方で再び自力優勝がなくなり、巨人にマジック再点灯です。両チームの監督が先発投手の替え時をつかめないままともに7失点しています。DeNAの中畑監督の場合はあれよあれよと言う間の7失点ですが、阪神の和田監督の場合はせっかく打線が7点取ったんですからピッチャーをしっかり見極めて勝ちに行って欲しかったです。ほとんど無策の監督だということは理解していますが、それにしても7点取られて追いつかれるまで、まったく動きなしとは勝とうという気があるかどうか、とても疑われます。両チームともひどいものでしたが、ベンチワークの差で落とした試合だという気がします。

明日は、
がんばれタイガース!

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どういう人が自由貿易を支持するのか?

米国通商代表部 (USTR) のマイケル・フロマン代表が来日して、昨日、日本記者クラブで環太平洋経済連携協定 (TPP) などに関して記者会見を行い、多くのメディアで取り上げられています。中には、東京新聞のように「フロマン代表どんな人? 手ごわい交渉人」と題した紹介記事を掲載しているメディアも少なくないようです。実は、その前に先月か先々月か、日経新聞の経済教室で慶応大学経済学部の木村福成教授が、杏林大学総合政策学部の久野新講師の論文を引いて、自由貿易の選好に関する議論を紹介していました。私の方で論文を取り寄せて読んでみましたので、いくつかの論点を紹介します。引用元は以下の通りです。

いずれの論文も、データは、ISSP (International Social Survey Program) の下で実施されたISSP National Identity II, 2003 から入手しています。質問事項には当然ながら貿易等に対する考え、および回答者の個人属性が含まれており、その結果は国際比較可能な形でデータベース化されています。ISSP では他にもさまざまな調査を実施しており、詳細は ISSP のサイトで確認することが出来ます。

ということで、久野論文ではいくつかのモデルで実証分析がなされていますが、私の見たところ以下の点が注目すべき結果を残しているように見受けられます。なお、経済要因と非経済要因への分割は2番目の久野論文に準じており、性別が経済要因か非経済要因か、などについては異論が残る可能性もあるものの、一応、ここで議論するのは意味がないと考えます。

  • 経済要因
    • 女性は自由貿易を支持しない。
    • 高齢になるに従って自由貿易は支持しない。
    • 熟練労働者は非熟練労働者よりも自由貿易を支持する。
    • 農林水産業および食品加工業の従事者は自由貿易を支持しない。
    • 関税で保護されている産業の従事者は自由貿易を支持しない。
    • モデルにより統計的に有意でない場合もあるが、概して失業者は自由貿易を支持する。
  • 非経済要因
    • 帰属コミュニティーへの愛着に関しては、都道府県レベルの愛着が強いと自由貿易は支持しないが、アジアへの愛着が強いと自由貿易を支持する。
    • 愛国心の観点から日本に誇りを持つ場合、政治的影響力や歴史に誇りを持つ場合は自由貿易は支持せず、科学技術に誇りを持つ場合は自由貿易を支持し、経済的成果に誇りを持つ場合は特に支持・不支持の傾向は見られない。

マイクロ・データの分析は専門外なんですが、とても興味深い結果です。もちろん、国際比較すれば結果は大いに異なり、例えば、当然ですが、豪州は農業従事者は自由貿易を支持しそうです。しかし、久野論文では豪州を除く各国で女性は自由貿易を支持しないとの結果を得ています。日本でも、主婦連は「TPPの交渉参加に反対します」と態度を明らかにしており、女性が自由貿易を支持しない点については整合的な気もします。一方で、年齢については分かる気もしますし、少なくとも、これら以外の経済要因については常識で理解できるところではないでしょうか。非経済要因についても、愛国心に着目するとしても何に対して誇りを持つかによって自由貿易への態度が異なる点は斬新な発想だという気がします。繰返しになりますが、とても興味深い実証分析結果でした。

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2013年8月19日 (月)

赤字を続ける貿易収支と地域別景気局面を考える!

本日、財務省から7月の貿易統計が発表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比12.2%増の5兆9620億円、輸入額は前年同月比19.6%増の6兆9860億円、差引き貿易収支は1兆240億円の赤字でした。中国からの輸入が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

7月の貿易赤字、1兆240億円 中国からの輸入最大
輸出数量指数は14カ月ぶりプラス

財務省が19日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆240億円の赤字だった。赤字は13カ月連続で、7月としては前年(5286億円の赤字)を上回り比較できる1979年以降で最大だった。単月でも赤字額は過去3番目の大きさ。アジアと中国からの輸入額が過去最大になったうえ、原粗油や液化天然ガス(LNG)など高水準の燃料輸入が影響した。
輸入額は前年同月比19.6%増の6兆9860億円で、9カ月連続で増えた。中東やロシアからの原粗油や、中国からの半導体等電子部品や衣類などの輸入が増えた。この結果、中国からの輸入額は1兆4909億円と単月として過去最大となった。これに伴いアジアからの輸入額も3兆1207億円と過去最大だった。
輸出額は前年同月比12.2%増の5兆9620億円。米国向けの自動車や、中国向けではポリエステル繊維やペットボトルなどの原料となる有機化合物などが伸びた。輸出額増は5カ月連続。円安による輸出環境の改善もあって輸出数量指数は1.8%増と、14カ月ぶりにプラスに浮上した。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=98円83銭で、前年同月比24.3%の円安だった。
地域別に見ると、米国向け輸出は1兆1059億円と前年同月比18.4%増。7カ月連続で増えた。対米国の貿易黒字も18.6%増の5000億円で7カ月連続で増加。一方、中国との貿易収支は3864億円の赤字。17カ月連続の赤字で、7月としては過去最大だった。欧州景気低迷の影響で欧州連合(EU)との貿易収支は1026億円の赤字。7カ月連続の赤字で、赤字額は7月としては最大となった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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グラフの下のパネルの季節調整済みの系列を見れば明らかなんですが、足元では輸出の増勢がやや鈍化した一方で、輸入が引き続き増加傾向を示していることから、差引の貿易赤字は高水準を続けています。輸入についてはさて置き、輸出は7月の季節調整済みの金額ベースで前月比▲1.8%減と8か月振りの減少となっています。ただし、引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列で見た輸出数量の前年同月比は14か月振りにプラスに転じています。貿易指数のグラフがあればよかったんですが、財務省のサイトで明らかにされている通り、貿易指数の基準年が改定され、長期の系列は7月の確報値が発表される8月29日の公表となっています。
ですので、輸出に関して足元の短期的なデータだけを確認すると、景気局面の違いが反映されていると私は受け止めています。すなわち、新興国の景気が停滞する一方で、米王先進国は緩やかながら景気が持ち直して来ており、アジア向けの輸出数量が足元の6月と7月で2か月連続の前年同月比マイナスを記録している一方、米国向けとEU向けの輸出数量は7月にプラスに転じました。ただし、輸入を見ると引き続き原発停止に伴う火力発電向けの燃料輸入が貿易赤字の大きな原因のひとつとなっていることは確かです。貿易収支とエネルギー政策の組合せについては、かなりハッキリと分かるようになっており、現在の貿易赤字と原発低稼働率の組合せか、あるいは、震災前までの貿易黒字と原発高稼働率の組合せか、メディア的に政権の判断を迫るというより、エコノミスト的には国民の選考が考慮されるべきだと私は考えています。

昨年11月半ばから為替の円高修正が始まりましたが、半年余りを経て、通常2-3四半期といわれるJカーブ効果は、直感的ながら、ほぼピークに達したのではないかと受け止めています。これまた直感的に、貿易赤字を解消するにはさらに為替が円安にならないと苦しいような気がしています。

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2013年8月18日 (日)

藤浪投手の好投でヤクルトを3タテし自力優勝復活!

  HE
ヤクルト100001000 291
阪  神03010020x 690

先発藤浪投手が6回2失点と試合を作り、打線も2回ウラに逆転した後も活発に加点し、9安打ながら6点と投手陣を守り立てました。リリーフ陣は久保投手から松田投手、最後は安藤投手と終盤7-9回を見事に抑え、ヤクルトを3タテして自力優勝の可能性が復活しました。逆から見れば、ジャイアンツのマジックが消滅したことになります。私自身はペナントレースはほとんど期待していないんですが、というよりも、ムリしない方がいいくらいに考えているんですが、完全な消化試合になるよりはムードが出て来た気がします。さ来週の東京ドームを観戦予定ですので、そこまで引っ張って欲しいと思います。

横浜でも、
がんばれタイガース!

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夏休みを終え明日から仕事に復帰

今年はチョコチョコと休んで年休の残日数に不安があるところに、子供達も父親とは遊んでくれない年齢に達したことを実感し、夏休みは短めでした。かつては、1週間ベタで休むことが奨励された時期もあり、私もそうしていましたが、現在ではチョコチョコと連続しない休暇の方が多くなりました。明日からお仕事に復帰します。それにしても、今年は梅雨明けから気温が上がり、ここ2週間ほども猛暑続きで、「四万十市」なんて、今まで聞いたこともなかった高知県の市も有名になり、私はすっかり夏バテで痩せ衰えてしまいました。おかげで、年初来右肩上がりだったボディマス(BMI)指数も夏に入ってから猛暑で大きくダウンしています。BMIは夏に標準の22に近づき、秋から冬にやや増加する例年のパターンだという気もします。

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2013年8月17日 (土)

打線が打てないながらも見事な完封リレーでスミ1を守りヤクルトに連勝!

  HE
ヤクルト000000000 050
阪  神10000000x 150

1回マートン選手のラッキーなタイムリーを先発鶴投手から松田投手、福原投手と見事な完封リレーで守り抜いてヤクルトに連勝です。打線は5安打1点と物足りないんですが、今日のところはよしとしましょう。

明日も3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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2013年8月16日 (金)

ヤクルトのミスにも助けられ新井選手の2打点でサヨナラ勝ち!

  HE
ヤクルト010000000 161
阪  神000010001x 260

福留外野手と西岡内野手がスタメンに復帰して、ようやくほぼシーズン開始当初の陣容に戻った気がします。そんなこんなで、今夜は5番打者新井選手の同点ホームランとサヨナラ犠飛で勝ちました。ペナントレースはほぼ決着したような気がしますが、もう少し野球を楽しみたい気がします。

明日も、
がんばれタイガース!

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2013年8月15日 (木)

スタンリッジ投手が踏ん張ってホームラン攻勢でようやく広島に勝利!

  HE
広  島000000010 150
阪  神00010002x 330

投手陣はスタンリッジ投手が8回1失点と踏ん張って福原投手につなぎ、打撃陣は復帰なった福留外野手と昨日退場のマートン外野手のホームラン攻勢で、何とか3タテを免れ、広島からようやく1勝を上げました。投手陣については昨夜の岩田投手が例外であって、全般的によく投げて抑えているんですが、打撃陣は今日も実は3安打と振るわずまだまだ課題が残った気がします。でも、鳥谷選手はまずまずのバッティングを続けており、福留選手、マートン選手と調子を上がっており、大いに期待が持てます。

明日からのヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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夏休み2日目にジブリ映画「風立ちぬ」を見に行く

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夏休み2日目の今日は、ジブリ映画「風立ちぬ」を見に行きました。一応、子供達もお誘いしたんですが、結局、私1人で見に行きました。零戦の設計者である堀越二郎の生涯を描いたアニメです。二郎と菜穂子の急な結婚式のシーンが感動的でした。ジブリ作品は飛行機が好きで、「紅の豚」も見ましたが、それ以来の飛行機作品ではないでしょうか。大昔の「魔女の宅急便」も飛行機ではありませんが、箒で空を飛ぶ物語でした。
なお、朝日新聞のニュースで、禁煙学会がこの映画に対して喫煙シーンが多いとジブリに要望書を送付した旨報じられています。確かに、結核を患った妻といる部屋での喫煙シーンなどを問題視しているようです。しかし、このシーンは手を握り合っているところが肝ですし、禁煙学会の意見もよく理解できるところではありますが、なんともいえないながら、時代背景を考えると私はややジブリに同情しています。

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2013年8月14日 (水)

先発岩田投手が初回に5失点で試合を壊して広島にボロ負け!

  HE
広  島500011000 7120
阪  神001000000 150

いきなりヨーイドンで初回に5失点と、先発岩田投手が試合を壊してしまいます。こうなると、もうどうにも止まりません。試合はドンドン壊れて行きます。マートン選手も退場を食らい、新井選手も2併殺とブレーキです。初回に5失点なのに、打線は5安打では勝てません。ジャイアンツが着々とマジックを減らしています。

明日は3タテを逃れるべく、
がんばれタイガース!

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夏休み初日に自転車で図書館を回り、百田尚樹『海賊とよばれた男』上下 (講談社) を読む

今日から今週いっぱい、やや短いんですが、夏休みに入りました。
朝から出かけて、何ヶ所かの図書館を回って、借りていた本を返却したり新たに借りたりしました。少し前ですが、今年の本屋大賞受賞作がようやく予約の順番が来て読み終えました。

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今年の本屋大賞受賞作、すなわち、百田尚樹『海賊とよばれた男』上下 (講談社) です。ここまで出光の提灯持ちをする必要があるんでしょうか。ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎先生ほど反体制派に徹することもないとは思うんですが、やや疑問です。私はこの作者の作品は『永遠の0』と『モンスター』しか読んだことがなく、『永遠の0』も有川浩作品と同じで都合よくストーリーが進みますし、むしろ、『モンスター』が読んだ中では一番よかった気がします。

多くの善良なる市民にはどうでもいいことですが、読書感想文の日記ではなくお出かけの日記に分類しておきます。

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2013年8月13日 (火)

またもマエケンを打てずにメッセンジャー投手を見殺し!

  HE
広  島100000100 270
阪  神000000001 130

今週は京セラドームの6連戦でホームなんですが、いきなりマエケンを打てずに敗戦でした。メッセンジャー投手は8回2失点ですから、十分に先発投手としての役割を果たしながら見殺しにされました。点差は2-1と1点差ですが、点差以上に差のあるゲームでした。いくつかチャンスがありましたが、特に、ラッキーセブンのチャンスには代打がポップフライと三振では得点につながりません。もっとも、3安打では作戦も立てようがないかもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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基調判断が上方改定された機械受注統計は先行き増加に向かうか?

本日、内閣府から6月の機械受注統計が発表されました。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済みの系列で7774億円、前月比▲2.7%減となりました。まず、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

6月機械受注、2カ月ぶり減 4-6月はリーマン前以来の水準に
内閣府が13日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比2.7%減の7774億円だった。マイナスは2カ月ぶり。前月に過去最高の伸び率だった非製造業からの受注が反動で大きく落ち込んだ。
主な機械メーカー280社が6月に非製造業から受注した金額は17.5%減の4623億円と2カ月ぶりのマイナスだった。システム改修を進めていた金融機関の投資が一服したことで反動減となった。統計が遡れる2005年4月以降で過去最高の下落率となり、5月から6月にかけて変動幅が大きくなった。
製造業からの受注金額は2.4%増の3042億円で、2カ月連続のプラス。電気機械から半導体製造装置やコンピューター、造船業から原動機などの受注が伸びた。
同時に発表した4-6月期の船舶・電力除く民需の受注額は6.8%増の2兆2999億円だった。5四半期ぶりのプラスで、リーマン・ショックの影響が広がる直前の08年7-9月期(2兆6117億円)以来の水準に回復し、四半期の伸び率も06年4-6月期の7.9%増に次ぐ過去2番目の高さだった。非製造業が12.5%増と四半期として過去最高の伸び率となったことが寄与した。
内閣府は6月の落ち込みを踏まえながらも回復基調に変化はないとみている。見通しが上方修正となる可能性も見込み、機械受注の判断は前月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」へ6カ月ぶりに上方修正した。
7-9月期については5.3%減の見通し。製造業、非製造業の両方で主にパソコンやATM関連の電子通信機械が落ち込むとみている。

いつもながら、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。日経新聞の記事で見かけたんですが、内閣府は景気の山を2012年4月と非公式に認定している、というか、そのようにリークしているようですが、私のブログではあくまで景気の山は2012年3月だったと仮置きしておきます。

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従来から、機械受注については月次統計ながら毎月の振れの大きい指標として知られており、今年に入ってからもコア機械受注の季節調整済みの前月比で見て、1月▲7.5%減、2月+4.2%増、3月+14.2%増、4月▲8.8%減、5月+10.5%増、6月▲2.7%減というカンジで、プラスとマイナスがほとんど交互に並び、ならしてみればプラスの傾向があるか、ということは上のグラフの6か月移動平均でも直感的に理解できるんではないかと思います。四半期で見ても、昨年2012年4-6月期から4四半期連続で前期比マイナスを付け、今年2013年1-3月期には▲0.0%減を記録した後、足元の4-6月期には+6.8%増とプラスに転じています。ただし、7-9月期見通しは▲5.3%減に落ちると見込まれています。引用した記事にもある通り、そのあたりを総合的に勘案したんではないかと思うんですが、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」に上方改定しています。日経QUICKによる市場の事前コンセンサスも前月比で▲7.1%減であったところ、実際の▲2.7%減は予想レンジのほぼ上限といえます。ですから、足元の機械受注は決して悪くなく、先行きについても、大雑把で直感的には、機械受注は緩やかながら増加の方向にあり、GDPベースの設備投資も機械受注からラグを伴いつつ持ち直すと私も考えています。ただし、先行き7-9月期の見通しがマイナスと出たので、それほど一直線に進むわけではないのかもしれません。

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景気動向とも関連して、緩やかながら機械受注が増加に向かうと私が期待するもうひとつの理由は上のグラフの達成率です。四半期で作成されるデータですので、この4-6月期分が公表されています。グラフを見ても明らかな通り、景気に敏感な指標であり、エコノミストの間では経験則として、90%を超えるかどうかで大雑把な景気局面が判断できると考えられています。当然ながら、昨年2012年11月でミニ・リセッションを終了し、4-6月期には96.1%まで跳ね上がっています。

明日から夏休みを取るので私の頭が「お休みモード」に入っている可能性はありますが、毎月のブレの大きい機械受注はどうも苦手な指標のひとつのような気がします。でも、日本経済が順調に景気回復・拡大の経路に乗る中で、今後ややギクシャクした動きを繰り返す可能性は残るものの、機械受注や設備投資も緩やかながら増加に向かうんではないかと期待しています。

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2013年8月12日 (月)

4-6月期GDP速報1次QEはやや物足りない結果か?

本日、内閣府から4-6月期のGDP統計速報1次QEが発表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.6%、年率では+2.6%となりました。3四半期連続のプラス成長を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4-6月期実質GDP、年率2.6%増 3期連続プラス
内閣府が12日発表した2013年4-5月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.6%増だった。プラスは3四半期連続。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による円安・株高を背景に景気回復期待が高まり、個人消費が引き続きけん引した。一方、設備投資はプラスに転じることはできなかった。
QUICKが9日時点で集計した民間予測の中央値は前期比0.9%増、年率3.6%増だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%増、年率では2.9%増だった。名目でも3四半期連続のプラスだった。
実質GDPの内訳は内需が0.5%分押し上げ、外需は0.2%分のプラスだった。輸出は3.0%増。円安を追い風に米国向け自動車などが堅調だった。輸入は1.5%増。液化天然ガス(LNG)など高水準のエネルギー輸入が影響した。
項目別に見ると、個人消費が0.8%増と3四半期連続でプラス。円安、株高基調を受けて消費者心理が上向き、外食や旅行、衣料などへの支出が増えた。株式売買が活発で金融取引も増えた。
住宅投資は0.2%減。5四半期ぶりのマイナスに転じた。設備投資は0.1%減。減少は5四半期連続。個人消費の改善を受けて小売りなどは底入れしたが、製造業は慎重姿勢が続いた。公共投資は1.8%増。政府の13年度補正予算による緊急経済対策の効果が出てきた。民間在庫の寄与度は0.3%のマイナスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.3%。15四半期連続で前年を下回った。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.1%下落した。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2012/4-62012/7-92012/10-122013/1-32012/4-6
国内総生産GDP▲0.2▲0.9+0.3+0.9+0.6
民間消費+0.1▲0.4+0.5+0.8+0.8
民間住宅+2.1+1.6+3.6+1.9▲0.2
民間設備▲0.3▲3.2▲1.4▲0.2▲0.1
民間在庫 *(▲0.2)(+0.1)(▲0.2)(▲0.1)(▲0.3)
公的需要+0.9+1.0+1.0+0.3+1.0
内需寄与度 *(+0.0)(▲0.2)(+0.3)(+0.5)(+0.5)
外需寄与度 *(▲0.2)(▲0.7)(▲0.1)(+0.4)(+0.2)
輸出▲0.2▲4.5▲2.7+4.0+3.0
輸入+1.3▲0.0▲2.0+1.0+1.5
国内総所得GDI▲0.2▲0.6+0.2+0.6+0.7
国民総所得GNI▲0.1▲0.6+0.3+0.6+1.4
名目GDP▲0.8▲0.9+0.1+0.6+0.7
雇用者報酬▲0.3+0.7▲0.4+0.7+0.4
GDPデフレータ▲1.0▲0.8▲0.7▲1.1▲0.3
内需デフレータ▲0.7▲1.0▲0.8▲0.8▲0.1

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4-6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスであり、グレーの民間在庫が在庫調整の秦篆に伴ってマイナス寄与を示した他は、赤い民間消費、黄色い公的需要、黒い外需とバランスよく成長に寄与しているのが見て取れます。円高是正も含めて、アベノミクスによる経済効果が現れていると考えるべきです。

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年率+2.6%成長は決して悪くない数字だと受け止めています。引用した記事にもある通り、市場の事前コンセンサスが3%をはるかに超えていましたので、一瞬、やや物足りない気がして、例えば、株式市場などは下げたりしましたが、よくよく考えると市場の事前コンセンサスから下振れした要因は在庫調整の進展と設備投資ですから、家計部門は引き続き堅調ですし、決して悪くない結果だと考えるべきです。在庫の寄与度が▲0.3%となっていて、この在庫を除外した最終需要の伸びは前期比+0.9%、年率+3.5%ですから、ほぼ市場の事前コンセンサスにミートします。だからというわけでもないんですが、官庁エコノミストである私も政府の一員ながら、少なくとも、政府は来春に予定されている消費税率の引上げに関しては、この統計はフォローの風だと考えているハズです。各種メディアで、安倍総理が「順調に景気は上がって来ている」と発言したと報じられていますが、こういった意味も含まれているのかもしれません。
ただし、企業部門の底上げについては単純ではありません。日経新聞の報道によれば、経済財政担当大臣は「設備投資の回復を後押ししていくことが必要」と指摘したようですが、キャッシュ・リッチになった企業に滞留している資金を循環させるには2通りあり、甘利大臣ご指摘の通り設備投資を促進するか、もうひとつは賃上げへのインセンティブ付与です。GDP統計だけを見ていると設備投資をプラスにして、企業部門も成長に貢献する姿を思い浮かべがちですが、設備投資はそこそこでも賃上げによる消費の後押しは景気回復・拡大を強力にサポートします。上のテーブルにある通り、実質で見た雇用者報酬はほぼGDP成長率に見合っていますが、生産性向上分を含めて賃上げの余地はまだ残されているように見受けられます。いずれにせよ、GDPコンポーネントの動きから単純に設備投資支援に直行するのではなく、企業が大量に溜め込んだ内部留保をどう成長に結びつけるか、しっかりと考えるべき重要な政策課題だという気がします。

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トピックとして、ほとんど誰も注目していないんですが、先週8月7日付の1次QE予想のエントリーで予告しておいた通り、4-6月期GDP統計の一つの特徴は名実逆転の終了です。最初にお示ししたテーブルからも明らかで、季節調整済みの系列で見て名目成長率が実質成長率を上回っています。ただし、デフレータについては物価指標の伝統に従って、季節調整していない原系列の前年同月比で見ると上のグラフの通りです。ここ2-3四半期で急速にマイナス幅を縮小しているのが見て取れます。デフレ脱却に向けて前向きに受け取るべき動向だと考えています。

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上のグラフは財別の消費の伸び率をプロットしています。消費税率引上げ前の駆込み需要はどのような財にでも現れ、非耐久財やサービスも同様です。例えば、消費税率引上げの前日や前々日に散髪に行ったりするのは十分に理解できる合理的な消費行動です。しかし、まだ1年近くも前の現時点では、やはり耐久財が駆込み需要の中心となります。現時点でせっせと足繁く理髪店に通っても仕方ありません。その意味で、今年に入ってから耐久財消費が伸びているのは象徴的なのかもしれません。もちろん、より細かく財別の消費動向を分析する必要はありますし、昨年後半のミニ・リセッション期の反動かもしれませんが、今後の消費動向を見る上でのひとつのポイントとなりそうな気がします。

前回の1-3月期のGDP統計でも同じことを書きましたが、短期的にはアベノミクスは成功したと考えてよさそうです。順調な日本経済の回復・拡大は消費税率引上げの直前まで続きます。その後の駆込み需要の反動については、それなりの覚悟が必要かもしれません。

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2013年8月11日 (日)

先週読んだ経済書・専門書などから

先週読んだ経済書や専門書のたぐいのレビューです。夏休みの参考図書というわけでもないんですが、私は今週後半に夏休みを取る予定にしており、その時には経済書をパスして小説ばかり読むかもしれません。

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まず、高橋洋一『アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる』(講談社) です。著者は財務省出身で安倍政権の経済ブレーンのひとりと目される、あるいは、自称するエコノミストです。第1部が「俗説を正す」とあり、黒い日銀になる前の白い時代の日銀理論など16の俗説について論破しています。ことごとく正しいと私は受け止めています。第2部が自慢話の「アベノミクスに歴史あり」で、著者の大蔵省のころからの経験などが語られます。第3部が面白くて「アベノミクスの死角」と題されています。4点あって、面従腹背の日銀リスク、麻生副総理のサポートを失う政治リスク、税金の無駄使いの財政リスク、そして、役所が成長産業を知っているというあり得ない前提に基づいた官僚リスクです。その他についても、主張はとっても明快です。第1に、小泉政権の経済政策が成功したのは構造改革ではなくて、日銀が量的緩和を実施した金融政策の功績であり、第2に、アベノミクスの核心はインフレ目標に基づく金融政策であると指摘しています。さらに、第3に、メディアや経済界などで重視されているように見える成長戦略については、成長分野について官僚が十分な見識や情報を有しているとはとても考えられない、ということで、この3点が理解できれば十分といえます。インプリシットに、小泉政権の郵政民営化にどれだけの意味を見出すかに疑問符を付けているような気がしないでもありません。なお、ついでながら、本書でも引用されている IGM Forum におけるエコノミスト・ポールに従えば、世界最先端のエコノミストたちは、日銀が正しい金融政策を取っていれば日本のデフレは防げた、と考えているようです。ただし、最後に、先進国の中でデフレに陥っているのは日本だけではなく、スイス国立銀行の Monthly Statistical Bulletin に従えば、スイスも2年近く消費者物価の前年比マイナスを続けています。7月12日付けのエントリーで指摘した通りです。デフレという現象とリフレ政策について理解を深めるためには、このあたりはさらなる分析が必要と私は考えています。

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次に、諸富徹『私たちはなぜ税金を収めるのか』(新潮選書) です。我が母校の京都大学経済学部の財政学、すなわち、島恭彦先生、池上惇先生を継ぐラインに位置する先生です。私の在学中の財政学の担当教授は池上先生でした。現在はともかく、その昔は、財政学や金融論は官学の方がレベルが高い、などといわれていたこともありました。それはさて置き、ホッブズやロックのころの英国までさかのぼって租税を納める先としての国家を論じ、19世紀から米国に目を転じて20世紀初頭に米国が所得税制を確立する過程を考察し、現在の21世紀におけるグローバル税制としての欧州の金融取引税を取り上げています。私は経済政策とは市場の均衡が好ましくない場合にズラすことである、と常々考えていて、税制そのものによって資源配分や所得分配、あるいはマクロ経済の安定性に何らかの影響を及ぼす政策には意味があると認識していますが、本書では何ら支出先に言及がないため、少し戸惑う読者もいるかもしれません。すなわち、租税の徴収制度を維持するための租税にどれだけ意味があるか、については否定的に考える論者もいる可能性があります。例えば、トービン税は国際間の金融取引を何らかの必要に応じてブレーキをかける税制であって、金融取引に課税すること自体に意味があるんですが、その税収をどのように使うのかと考えるのも頭の体操として必要な気がします。なお、私はマルクスの『資本論』全3巻を読んでいて、役所の採用面接でも自慢したくらいですから、何ら気にならないんですが、京都大学経済学部の財政学はマルクス主義経済学に基づいています。このあたりは、いわゆる帝大の経済学部の伝統であって、一橋大学や神戸大学などの高商の経済学部とは伝統が異なります。何ら、ご参考まで。

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そして、小島明『日本経済はどこへ行くのか』 1-2 (平凡社) です。著者は日本経済新聞出身のジャーナリストです。第1部の副題が「危機の20年』、第2部が「再生へのシナリオ」となっています。第1部では1998年からデフレが始まったと同定し、ジャーナリストらしく総花的なデフレ論を展開しています。タイトルは「複合デフレ」です。国家公務員として作文する時、わけが分からないとか、そこまでいわないまでも、十分に解明し切れていない時に、「構造xx」とか「複合xx」と称しておけば便利であると先輩から聞いた記憶があり、ジャーナリストの世界でもそうなのかもしれないと勝手に想像しています。第2部では我が国経済の潜在力と称して、いかにも出来の悪い生徒を擁護して先生や環境のせいにするような論調には少し違和感を覚えます。しかしながら、長い経験に裏打ちされた主張には耳を傾けるべきものも多く、第1部の p.216 から始まる高齢者優遇に関する批判については、私も大いに同意できます。私もよく用いる「シルバー・デモクラシー」、また、「高齢者ポピュリズム」、さらに、「世代の品格」という言葉まで動員して世代間不公平を論じます。圧巻です。ただし、メディアの論客として、やっぱり、アベノミクスの成長戦略に対して過剰な期待をにじませており、霞が関の官僚たちが日本の成長分野に関して大いなる情報を有しているとの誤解を読み取れます。また、日本再生のためには貯蓄主体となり資金リッチになった企業が、いかなる方法でその資金を生産的な用途に振り向けるかにかかっていることを忘れるべきではありません。私が考えるに2つの方法があり、第1に資本蓄積、すなわち、設備投資を行うことです。第2に賃金支払、すなわち、国民の所得へのトランスファーです。いずれも税制で対処するのが効率的であり、投資減税は現在でも議論されていますが、賃金支払の損金控除の拡大などで賃上げに振り向けるように誘導することも可能でしょう。後者の議論はとても不足していると私は受け止めています。

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続いて、小幡績『ハイブリッド・バブル』(ダイヤモンド社) です。著者は大蔵省出身の慶応大学のエコノミストです。前著の『リフレはヤバい』(ディスカヴァー携書) は3月14日付けの記事で取り上げ、その際に、モデルが理解できなくて、「全体として整合的なモデルの中での理論分析になっているかどうかはやや怪しい」と書いたんですが、そのせいかどうか、第8章の補論で理論モデルを提示しています。従って、このモデルはよく分かりました。要するに、市場参加者を3つのタイプに分け、テールリスクを無視する限定合理的な投資家の存在により国債バブルが安定的であると主張し、従って、国債暴落の可能性は小さい一方で安楽死に至る可能性が高いが、これを回避するためには国債償還という財政再建を実行するのが王道、ということになります。特に面白みのない議論というのが私の受止めです。まあ、有り体にいえば、「だからどうした」ということなのかもしれません。疑問を簡単に2点だけ提示すると、第1に、この「ハイブリッド・バブル」の理論モデルはホントに1980年代末の日本型バブルや米国のサブプライム・バブル、あるいは、ほかのバブルを整合的に同じ理論モデル内で定式化できるかどうかです。リンゴが落ちるのに星が落ちないのを見て、ニュートンは万有引力を発見しましたが、リンゴと星に個別それぞれの引力の法則を当てはめたとしたら、トンデモ理論と見なされかねませんが、同様に、それぞれ個別のバブルに別個の理論モデルを用意しなければならないのであれば、もしそうならば、その理論モデルには何らかの疑問が残るといわざるを得ません。第2に、バブルは国債ではなく、貨幣としての、あるいは、もっといえば、fiat money としての円に対して生じていた可能性があります。すなわち、流動性の罠の下では国債は貨幣と無差別となりますから、円という貨幣に対するバブルが国債に対するバブルに見えた可能性を指摘しておきたいと思います。円は通貨として外為などの資産市場で取引される金融資産であることを思い出すべきです。

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また、下田淳『ヨーロッパ文明の正体』(筑摩選書) です。少し専門から外れるんですが、経済史も経済学のうちで大学で授業を取ったりしていましたし、出向した地方大学では経済学部長は日本経済史の先生だったりしました。本書は棲み分け論に基づくユダヤ人虐殺からひも解き初めて、最終章は欧州における資本主義の誕生で締め括られています。なお、補論で日本における資本主義化の成功を解き明かしています。経済史の場合、マルクス主義的な史観を用いることが決して少なくないんですが、本書もそういった傾向は見られます。それはさて置き、本書のテーマは「なぜヨーロッパで資本主義が発生したのか」を解明するという、今まで散々取り組まれて来て、その上で決定的な答えの見つかっていないテーマとなっています。私も読み始めた段階からムリがあることを承知の上で、それほど期待せずに読み進んだりしました。本書のキーワードは京都大学における霊長類研究で著名な今西錦司教授の用いた「棲み分け」となっていますが、結果的に私の目から見てやっぱり失敗しています。まず、「資本主義」の定義から始めるべきですが、資本主義が定義されていません。さらに、気候決定論や地理決定論を廃して、棲み分け論や貨幣のネットワークに資本主義の起源を求めようとしていますが、資本主義の定義をしていないために、トートロジーに陥っているような気がします。「資本主義が存在したから資本主義が勃興したのである」と結論しているように私には見えます。分業の発生についても説得的ではありません。最初から期待は高くなかったものの、やっぱり残念です。

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さらに、やや経済からも外れて、グッドマンほか『若者問題の社会学』(明石書店) です。かなり専門外なんですが、著者や編者は社会構築主義に立脚する社会学者であり、日本の若者論を解明しています。社会構築主義は本質主義に対立する概念であると私は理解していますが、違っているかもしれません。はなはだ自信のないことで申し訳ありません。序文は『絶望の国の幸福な若者たち』の著者の古市憲寿氏です。私も読みました。本書では、帰国子女、援助交際、体罰、児童虐待、ひきこもり、ニートなどを取り上げており、おそらく、ニートに関する分析の結論があまねく当てはまるんでしょうが、p.276 にいう通り、「日本の文脈におけるニート出現の事例は、一握りのキーアクターが協調して行ったクレイムメーキングの成果であった」ということになります。これではみもふたもないので、少しだけ体罰や虐待について、暴力という観点から私なりに補足します。本書の主張ではなく、私の理解では、近代的な法治国家においては暴力は国家だけに認められたカギカッコ付きの「特別な行為」ということになります。ですから、教育的な観点からの体罰や躾を目的とした虐待については否定されるべきです。逆にいえば、合法的な暴力はただ一種類であり、それは、主権を持つ国民から選出された議員からなる議会により法律が制定され、その法律に基づいて裁判所が認定し、かつ、裁判所の判決に基づいて執行機関として政府が暴力を執行する、ということになります。それ以外は、家庭の虐待はいうまでもなく、学校やスポーツ指導の場などにおける体罰も、近代的な法治国家では暴力として許容されない、というのが私の基本的な考えです。もちろん、現実にはクリアに暴力かどうかの認定が難しいのは理解しますが、原則は守られるべきです。

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最後に、もっと経済から外れて、ゲーリー・トーベス『ヒトはなぜ太るのか?』(メディカルトリビューン) です。とても興味ある話題なんですが、さらに私の専門から外れます。ヒトが太る原因について本書は明快であって、食べるカロリーと消費するカロリーの差で決まるのではなく、炭水化物の摂取によってヒトは太るのであり、脂肪やタンパク質はいくら摂取しても太らない、と延々と主張しています。確かに、肥満や過体重の問題については、せいぜいが人類においては数百年の歴史しかない問題でしょうから、著者の主張には納得できる部分が少なくありません。ただし、私は専門外なので何とも判断はつきかねます。

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先発藤浪投手が9回2安打無失点で中日に競り勝つ!

  HE
阪  神0000000001 160
中  日0000000000 031

昨日今日と、ナゴヤドームで中日相手に競った試合を勝利し、長期ロードに入って何とか2カード連続で勝ち越しました。先発藤浪投手が初めて9回を投げ抜いて2安打無失点のピッチングでした。最後は、フォアボールの鳥谷選手をマートン選手の長打で返して決勝点でした。

今週、京セラドームの6試合を、
がんばれタイガース!

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2013年8月10日 (土)

猛暑の夏にスーパークールビスについて考える!

今週半ばの立秋から猛暑が盛り返して、注目のスーパークールビズなんですが、当然ながら、私のオフィスでも適用されています。ただし、ネオマーケティングが7月下旬に実施したネット・アンケート「節電に関する調査」では男性のうちクールビズを実行しているのは、わずか64%にとどまっているとの結果もあったりします。スーパークールビズに話を戻して、開始当初に環境省の指針が示されていたりします。ノーネクタイにノージャケットは、そもそも、クールビズの定義だった気がしますが、ポロシャツやスニーカーもOKですし、TPOに応じた節度ある着用でしたら、ジーンズやTシャツも可となっています。サンダルは私が公務員になった大昔から執務室では履き替えていたような気がします。

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しかしながら、いかんせん役所の分かりにくい表現ですので、はるやま商事「クールビズに関す るアンケート」から画像を借りると上の通りです。この真夏の季節のクールビズとしてイメージされるのは真ん中のノーネクタイとノージャケットのワイシャツにスラックスというスタイルではないでしょうか。この画像では折り目のあるスラックスに革靴のビジネスシューズのように見受けられます。もちろん、チノパンも「スーパー」のつかない普通のクールビズのころからOKでした。とすると、右の2つがスーパークールビズということになります。ワイシャツではなく、プルオーバーのポロシャツに九分あるいは七分くらいの丈のズボン、さらに、デッキシューズやスニーカーということになります。
実は、スーパークールビズが許されていながら、私は今までプルオーバーのポロシャツは1度しか着て行ったことはありません。襟のないTシャツなどは1度もありません。地方大学勤務のころは、丸首Tシャツに短パンでも、学生のいない夏休みはまったくOKだったんですが、東京のオフィスではそうは行きません。スニーカーもまだ未経験です。しかし、九分あるいは七分くらいの丈のチノパンやロールアップパンツは割としょっちゅう着用に及んでおり、スリムフィットのジーンズも着ます。シャツもマドラス・チェックの普段着をたまに着て行きます。シャツでは、沖縄のかりゆしが取り上げられる場合が多いんですが、我が家はジャカルタで子育てして来ましたので、今週はバティックを着たりしました。ただし、上の画像と違って、バティックはもちろんですが、シャツはズボンから出して着崩す場合が多くなっています。というのも、突然ながら、万城目学のデビュー作『鴨川ホルモー』は我が母校の京都大学を舞台にしているんですが、その中で「イカキョー・ファッション」なるものがあって、何でもズボンにたくしこんでしまう「いかにも京大らしいファッション」をやや見下してこう呼ぶのだそうで、実は、「イカキョー」にならないように苦労していたりするわけです。靴はデッキシューズも含めてカジュアルな革靴が多いです。スニーカーは休日専用です。私の場合はビジネスシューズはすべてリーガルなんですが、雨に強いオイルレザーで軽いカジュアルシューズを履き慣れると、時折履くリーガルを重く感じてしまいます。カジュアルシューズならショートソックス、デッキシューズならベリーショートのソックスにする場合が多いように思います。もっとも、私の場合だけかもしれませんが、上の画像の真ん中のごくごく普通の以前からのクールビズと比較して、例えば、ポロシャツに七分丈のロールアップパンツ、足元はデッキシューズにしても、着用に及んだ本人は、それほど大きく涼しいとは感じません。でも、昨年なんですが、バティックに九分丈のチノパンを合わせたところ、「涼しげな格好である」と部下から評価されたことがありました。ひょっとしたら、スーパークールビズは本人が涼しいのではなく、公共財的に、周囲の人を涼しげな雰囲気にさせるというの金魚鉢的、あるいは、風鈴的な純和風の効果があるのかもしれないと感じたことを記憶しています。

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最後にTシャツに関して、あくまで、ついでのお話しなんですが、上の写真はキース・ジャレット・トリオの「スタンダーズ・ライブ」、日本でのアルバム名は「星影のステラ」のTシャツです。買った覚えはないんですが、なぜか持っています。買ったのを忘れただけかもしれません。ECMの謹製とタグにありますから、ホンモノなんではないかと思います。そのうち、オフィスに着て行こうかと考えないでもありません。

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2013年8月 9日 (金)

阪神が中日相手に競った試合を落として、とうとう巨人にM39点灯!

  HE
阪  神011000000 270
中  日201001000 491

阪神が競った試合をモノに出来ずに中日に惜敗し、とうとう巨人にマジック点灯です。負けた原因は私が見る限り2つあり、クリンナップの得点力とベンチの采配です。特に、マートン選手の得点力が交流戦のころに比べてメチャクチャに落ちています。さらに、大リーグ帰りの福留選手や西岡選手が戦列を離れて選手層が薄くなり、代打を送るにも人材にこと欠きます。ベンチの采配はいうに及ばずで、打線がバカスカ打って大勝する以外は、競った試合をベンチの采配でモノにしたケースは最近ではほとんど見かけません。逆に、そんな試合があれば大いにクローズアップされると思います。スポーツ新聞の1面を飾るでしょう。それくらいめずらしくなっています。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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2か月連続で悪化した消費者態度指数は先行き経済に影を差すか?

本日、内閣府から7月の消費者態度指数が発表されました。昨日の景気ウォッチャーが供給サイドのマインド指標であるのに対して、消費者態度指数は典型的な需要サイドのマインド指標です。季節調整済みの系列で見て、前月差▲0.7ポイント低下し43.6となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数、2カ月連続悪化 判断を8カ月ぶり下方修正
内閣府が9日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は43.6と前月から0.7ポイント低下した。内閣府は「1982年6月から現在までの平均値(42.4)は上回っており、水準としてはまだ高い」とみるが、2カ月連続の悪化を踏まえ基調判断を「改善している」から「改善のテンポが緩やかになっている」に下方修正した。
判断を下振れさせたのは2012年11月以来8カ月ぶり。
指数を構成する4項目のうち「収入の増え方」「暮らし向き」「耐久消費財の買い時判断」の3項目が2カ月連続で悪化した。ボーナスが増えても所定内給与の前年割れが続いているため、収入面ではマイナスに響いたとみられる。
電気料金や食品価格の上昇は暮らし向きの悪化要因になった公算が大きい。デジタル家電価格の下げ止まりは耐久消費財の買い時判断の悪化に影響したようだ。一方で「雇用環境」は有効求人倍率や失業率の改善を背景にプラスを確保した。
1年後の物価見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)が2.3ポイント上昇の86.2%と7カ月連続で増えた。08年9月(86.7%)以来4年10カ月ぶりの水準で、日用品や食品、エネルギー価格に先高観を持っているようだ。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は7月15日で、有効回答数は6310世帯(回答率75.1%)だった。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事でした。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。今年4月でデータの連続性が切れています。なお、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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消費者態度指数は、引用した記事をよく読めばわかるかもしれませんが、4項目のコンポーネントから成り立っており、7月は「収入の増え方」と「暮らし向き」と「耐久消費財の買い時判断」の3項目は前月から低下したんですが、「雇用環境」は上昇しました。雇用環境と収入が乖離しているのがやや不可解ですが、雇用が悪くないマインドですので、一定のラグの後、収入に関するマインドも上昇する可能性が高いと私は考えています。統計が改善を示した雇用がいいのであれば、収入から消費に波及することが期待されます。供給サイドのマインド指標ながら、昨夜の景気ウォッチャーと同じように私は考えています。特に、ボーナスがいい反面、所定内給与が上がらないので収入マインドが低迷していると分析されているのであれば、何ら問題視する必要はないと考えるべきです。ただし、消費者態度指数は景気ウォッチャーほど水準が高くありませんから、統計作成官庁の内閣府が貴重判断を半ノッチ下げたのも理解できます。いずれにせよ、それほど懸念するには及ばないと受け止めています。

消費者マインドに関して別のソースですが、今週火曜日の8月6日に明治安田生命から「夏に関するアンケート調査」が公表されています。図表は引用しませんが、夏休みに使う予定の金額は83,622円となり、昨年から648円増加し、3年振りの増加を記録したとか、「国内旅行」が「帰省」を5年振りに逆転したとか、消費者マインドがアベノミクスにより改善していることを伺わせる内容となっています。何ら、ご参考まで。

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2013年8月 8日 (木)

総力戦の延長11回を俊介のタイムリーで広島に勝利しマジック点灯を許さず!

 十一 HE
阪  神00000000001 180
広  島00000000000 0101

総力戦の延長11回を戦い抜いて広島に勝利です。チャンスがありながら拙攻で潰し、最後は俊介選手のタイムリーで勝利でした。ジャイアンツのマジック点灯を許しません。今夜は7回から早くもマートン外野手に代走を送るなど、積極的に仕掛けましたが、和田監督の勝負勘と違って、結局、延長戦での決着でした。松田投手の三者三振はお見事でした。

明日からのナゴヤドームも、
がんばれタイガース!

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7月の景気ウォッチャーは高い水準を示し、4-6月期の経常収支は黒字幅を拡大、財政試算は黒字化せず!

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャー調査の結果が、また、財務省から6月の経常収支などの国際収支が、それぞれ発表されました。景気ウォッチャーは前月比で見て現状判断DIがやや低下し、先行き判断DIは横ばいとなっていますが、いずれも50を超えてかなり高い水準です。また、経常収支は季節調整済みの系列で見て、ようやく貿易赤字が縮小しつつあって経常収支の黒字幅が拡大して来ています。まず、かなり長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月街角景気、4カ月連続悪化 内閣府「回復基調は変わらず」
内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比0.7ポイント低下の52.3で4カ月連続の悪化だった。高額品販売の伸びに一服感がみられ、百貨店の夏のセールも低調だった。半面、企業動向は受注や生産の増加を受けて改善したほか、雇用も建設業やサービス業で求人が増えた。
家計関連では「海外特選ブランドは円安により数度にわたって値上げが行われ、販売量が減少している」(南関東の百貨店)、「日々暑く、来客数も少ない。商店街全体の客も少なく、大変厳しい状況が続いている」(南関東の衣料品専門店)といったコメントが並んだ。
2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は横ばいの53.6だった。マイナスから脱却するのは3カ月ぶり。電気料金や食品、燃料価格の上昇の懸念から家計関連が悪化するが、政策効果に対する期待が続き、企業や雇用の分野では現状と同様にプラスとなる。「輸出が増えて関連企業では繁忙感が続く」(中国の鉄鋼業)、「政治が安定したことで企業に安心感が広がっている」(中国の人材派遣会社)といった声があった。
各指数は好不況の判断の目安となる50台をいずれも維持した。内閣府は街角景気の基調判断を前月の「このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「緩やかに持ち直している」に変更した。内閣府は変更について「前月と同じようなテンポでの回復基調は変わってない」と説明し、基調判断の横ばいにすぎないことを強調した。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は92.3%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化している。
経常黒字5期ぶり増加 1-6月、所得収支がけん引
財務省が8日発表した2013年1-5月の国際収支状況(速報)によると、経常黒字は前年同期比0.6%増の3兆2114億円だった。経常黒字額が拡大するのは半期ベースで10年5-12月期以来、5期ぶり。液化天然ガス(LNG)など高水準のエネルギー輸入で貿易収支は1985年以降、最大の赤字だったが、企業の海外投資の見返りである所得収支の黒字も85年以降で最大の黒字となったことが補った。
経常黒字の最少記録は85年以降では12年5-12月(1兆6316億円)。半期ごとに縮小した傾向が一転、増加になった。経常黒字減少に歯止めがかかりつつあるように見えるが、財務省国際局は「足元ではこうした数字が出ているが、先行きの見通しは経済情勢、為替、天然ガス、原油の動向等いろんな要因があるので、確たる見通しを一概に言えない」と判断を避けた。
貿易・サービス収支は4兆9589億円の赤字。半期ベースでは5期連続の赤字で、85年以降で最大の赤字。このうち輸送に絡む保険料や運賃を含まない国際収支ベースの貿易収支は4兆2382億円の赤字。これまで最大の貿易赤字だった12年5-12月(3兆3888億円)を上回った。輸出は3.5%増。米国向け自動車やアジア向けの有機化合物などが伸びた。輸入は8.6%増。LNGなど高水準のエネルギー輸入に加え、中国などからのスマートフォンなど通信機輸入も増えた。旅行や輸送などの動向を示すサービス収支も7207億円の赤字だった。
所得収支は8兆6783億円の黒字。これまでの最大は08年1-5月(8兆6670億円)だった。日本企業による海外投資に円安効果も加わり、海外事業による子会社などからの配当金受け取りや、証券投資による配当金や債券利子の受け取りが増えた。
併せて発表した5月の経常収支は3363億円の黒字だった。5カ月連続の黒字だが、黒字額は前年同月比20.3%減った。このうち貿易収支はLNGなどエネルギー輸入が影響し1392億円の赤字。所得収支は、海外事業から受け取る配当金などが増え、15.0%増の6720億円の黒字だった。

いつもながら、どちらの記事もとてもよくまとまっているという気がします。でも、経常収支の記事はかなり1-6月の年半期に偏っていたりします。続いて、景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIのグラフは以下の通りです。影をつけた部分は景気後退期ですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールとして直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月と仮置きしています。

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7月の景気ウォッチャー現状判断DIは52.3と前月から▲0.7ポイント悪化しましたが、いまだに高水準で50を超えています。先行き判断DIは53.6と前月から横ばいで、これも50を超える高い水準を維持しています。統計作成官庁の内閣府では、基調判断を「このところ持ち直しのテンポが緩やか」から「緩やかに持ち直し」に変更しています。どう違うのか、私には分かりません。たぶ、同じなんでしょう。現状判断DIも先行き判断DIもコンポーネントは家計、企業、雇用の3部門なんですが、いずれも家計が前月比で下降しています。ただし、雇用については建設業やサービス業などで求人が増加したこともあって、上昇を示しています。雇用に動きがあるのであれば、一定のラグを伴って家計へもポジティブな動きがあり、所得の増加から売上増とマインドをさらに回復させる可能性も十分あるのではないかと私は受け止めています。いずれにせよ、景気ウォッチャーは50を超える高い水準で底堅く推移していると考えてよさそうです。ただし、50をさらに超えてドンドン上昇するタイプの指標ではないことは認識しておくべきです。60とかせいぜい65くらいに天井がある指標ですから、上昇のモメンタムが失われて高原状になっても、決して悲観する必要はありません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示しており、積上げ棒グラフは経常収支を構成する貿易収支などのコンポーネントです。色分けは凡例の通りです。季節調整済みの系列をプロットしていますので、季節調整していない原系列の統計を基にした引用記事とは少し印象が異なるかもしれません。2011年3月の震災のあたりから傾向的に経常収支の黒字幅が縮小しており、その要因は貿易赤字の拡大であることが読み取れます。ただし、この4-6月の統計ではやや経常収支の黒字幅が拡大しているように見えます。4月については赤い棒グラフの投資収益収支が大きな黒字を出し、5-6月については黒い貿易収支のマイナス幅がジワジワと縮小しているようです。いずれもアベノミクスに伴う円高修正の結果である可能性が高いと私は考えています。なお、経常黒字の拡大に伴い、4-6月期の外需寄与度はGDP成長率に対して、+1.0%弱くらい、すなわち、大雑把に+0.7-0.8%くらいのプラスの寄与を示すものと私は考えています。

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最後に、本日の経済財政諮問会議において「中長期の経済財政に関する試算」が内閣府から提出されています。上のグラフは p.3 から国・地方の基礎的財政収支と公債等残高を引用しています。赤い折れ線は経済再生ケースを示しており、2013-20年度平均で実質成長率+2.1%、名目成長率+3.4%を前提にしていますが、この経済再生ケースで、さらに、消費税率を予定通りに引き上げたとしても、2020年度における財政のプライマリー・バランスは黒字化しないとの結論を得ています。ただし、上のパネルに見られる通り、経済再生ケースではプライマリー・バランスの対GDP比で見た赤字は縮小しますので、直感的には Bohn の検定であれば財政はサステイナブルと判定されそうな気もします。一応、私は地方大学に出向していた際に、「財政の持続可能性に関する考察: 成長率・利子率論争と時系列データによる検定のサーベイ」と題する紀要論文を書いていますので何らご参考まで。

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2013年8月 7日 (水)

先発岩田投手が広島を6回1失点に抑えて久し振りに勝利投手!

  HE
阪  神101120020 7120
広  島001000000 172

先発の岩田投手が6回を1失点に抑えて広島に完勝でした。出せなかなり活発に広島の二線級投手を打ち込み7得点を上げます。リリーフ陣は、7回から松田投手、8回は安藤投手とつないで、最後は久保投手でした。久保投手は先発で使うのも一案と私は考えていたので、少し疑問の残る用兵だったんですが、ファームでリリーフ向けの調整をして来たんでしょうから、これで押し通すのかもしれません。どこまでクローザーを固定するんでしょうか。あるいは、固定しないんでしょうか。

明日も、
がんばれタイガース!

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来週月曜日発表の4-6月期GDP1次速報は年率+3%を超える高成長か?

来週月曜日の8月12日に今年2013年4-6月期GDP速報1次QEが内閣府より発表されます。明日の経常収支はまだですが、必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ウェブ上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で7-9月期以降の景気の先行きに関する部分を中心に取っているつもりです。それ以外はアッサリと済ませてあります。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.9%
(+3.6%)
7-9月期を展望すると、中国経済の先行きに不安が残るものの、①緊急経済対策の本格化に伴い公共投資が大きく増加すること、②米国の堅調な経済成長や円安を背景に輸出環境が改善に向かうこと、③消費税率引き上げを控えて住宅投資や個人消費の一部で駆け込み需要が顕在化すること、などから、引き続き高めの成長率が続く見通し。
大和総研+0.7%
(+3.0%)
先行きについては、内需は堅調に推移することが見込まれる。消費者マインドの改善による個人消費の増加が続いていたが、企業部門の収益増加を背景に、所得の増加に支えられて個人消費が増加する環境へと移行することが期待される。加えて、2014年4月の消費税増税を見越した駆け込み需要も個人消費や住宅投資を増加させる。設備投資については、円安や堅調な内需を背景に企業収益が改善しており、企業の設備投資意欲も徐々に高まっていることから、増加に転じることが期待される。
みずほ総研+0.8%
(+3.1%)
日本経済は、7-9月期もプラス成長を維持すると予想される。景気対策関連事業の失効に伴い、公共投資は高い伸びが続くとみられる。円安を背景とした輸出の拡大、企業業績の改善を受けた設備投資の回復も継続するであろう。民間企業の夏季ボーナスが前年比で増加したとみられる中、個人消費も底堅い推移が見込まれる。民間需要・公的需要・外需がそろって拡大する好循環が維持され、7-9月期の実質GDPも前期比年率+3.0-+4.0%程度の高成長が続くと予想している。
ニッセイ基礎研+0.9%
(+3.6%)
海外経済の悪化から輸出が下振れするリスクはあるが、景気は先行きも堅調に推移する可能性が高い。雇用・所得環境の持ち直しが個人消費を下支えすること、円安による輸出、設備投資などの押し上げ効果がさらに高まること、2013 年度前半は住宅投資、2013年度後半は個人消費を中心に消費税率引き上げ前の駆け込み需要が生じることなどから、2013年度内は高めの成長が続くことが予想される。
第一生命経済研+0.9%
(+3.5%)
7-9月期以降についても好調さは続くとみられ、年率+3%を上回る高成長が持続すると予想される。円安による輸出数量押し上げ効果は今後一段と強まることに加え、設備投資も増加傾向で推移しそうだ。また、公共投資の大幅増はほぼ確実、住宅投資も伸びを高める可能性が高い。また、消費者マインドが引き続き高水準にあるなか、足元では雇用にも持ち直しの動きが見られ、個人消費も底堅さを保つとみられる。
中国経済の減速が輸出の頭を抑える可能性がある点や、米国の金融緩和縮小に絡んで金融市場が混乱するリスクについては注意が必要だが、国内要因に限って言えば、当面、景気を大きく押し下げる要因は見当たらない。年度内の景気は好調な推移が続く可能性が高そうだ。
伊藤忠経済研+0.8%
(+3.2%)
外需動向に不安は存在するものの、内需の増勢に支えられ、7-9月期以降も日本経済は高めの成長を維持する見込みである。まず、昨年度補正予算に盛り込まれた公共工事の執行が本格化し、7-9月期は公共投資が大幅に増加する。また、消費税率引き上げ前の駆け込み需要により住宅投資の増勢が加速、個人消費も堅調推移を維持する可能性が高い。業績改善の下で、設備投資も増加が続くと考えられる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+0.9%
(+3.8%)
日本銀行による大胆な金融緩和などを追い風に、日本経済はようやく、物価の下落を伴わない景気回復を取り戻すことになりそうだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.7%
(+3.0%)
1-3月期と比べて拡大のテンポは緩やかになるものの、景気回復の動きが続いていることを確認する結果になろう。
三菱総研+0.9%
(+3.5%)
3四半期連続のプラス成長を予測する。内需主導での回復持続を裏付ける結果となろう。

ということで、多くのシンクタンクや金融機関では、4-6月期は3%を少し上回るくらいの高成長で、しかも、7-9月期も3%くらいの高成長が続き、リスクは海外要因、すなわち、中国をはじめとする新興国の景気減速や欧州経済のさらなる悪化、あるいは、米国のQE3の早すぎる終了などを上げています。また、今回の予想の特徴のひとつは、季節調整済みの系列で見た前期比で名目GDPの伸びが実質GDP成長率を上回ると予想するエコノミストがかなり多いということです。上の表に取り上げた中では、ニッセイ基礎研以外のすべての機関が名実逆転の終了を見込んでいます。もっとも、物価を見る場合の伝統に従って、GDPデフレータも季節調整していない原系列の前年同期比で評価する場合が多く、その基準ではまだマイナスが続いているということになります。もちろん、マイナス幅はかなり大きく縮小すると予想されています。このポイントについては、上のテーブルの「ヘッドライン」にも取り上げた通り、特に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のリポートが詳しく取り上げています。なお、下のグラフはGDP成長率の推移について、ニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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私の予想も大きくは異ならないんですが、注意すべきポイントがひとつだけあり、それは来年4月からの消費税率引上げに対する駆込み需要の大きさです。来年4月のさらに1年半後にも消費税率の引上げが予定されていて、通常の1段階よりは今回の2段階の方が仮需の発生は抑えられると考えるべきですが、現時点では私は情報を持ち合わせません。GDPベースで1-2%くらいの大きさを予想する向きもあるようですが、もっと大きいかもしれません。年度内くらいはこの駆込み需要も含めて高成長が続くわけですが、どこまでサステイナブルかは注視する必要があります。

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2013年8月 6日 (火)

マエケンを打てず広島に競り負けて終戦近し!

  HE
阪  神000000000 072
広  島000000001x 130

マエケンを打てません。結局、ゼロ行進で先発メッセンジャー投手を見殺しにした上、負けるべくして負けたかのようなサヨナラ負けでした。結局、太平洋の向こうから獲得した鳴り物入りの西岡、福留、コンラッドは戦列を離れ、クローザーにコンバートした久保は使い物にならず、現時点では戦力的には昨年よりも落ちているんですから、ベンチの作戦が冴えなければ昨年より落ちる結果しか出て来ません。当然の終戦でしょう。

たとえ消化試合になっても、
がんばれタイガース!

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6月の景気動向指数は低下したものの7月にはリバウンドの見込み!

本日午後、内閣府から6月の景気動向指数が発表されました。ヘッドラインとなるCI一致指数は▲0.8ポイント低下して105.2となりました。CI先行指数も7か月振りに低下しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数7カ月ぶり低下 内閣府「基調は不変」
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が0.8ポイント低下の105.2と7カ月ぶりにマイナスに転じた。欧州向けの自動車需要が減少したあおりで、輸送機械や電子部品・デバイスの生産や出荷が落ち込んだことが響いた。製造業の残業時間減少も押し下げた。
ただ経済産業省が7月の製造工業生産予測調査について6.5%の上昇を見込んでいることなどから、内閣府は「特に景気動向の基調が変わったわけではない」とみている。一致指数の動きから機械的にまとめる景気の基調判断は前月までの「上方への局面変化を示している」との表現を据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は3.7ポイント低下の107.0と7カ月ぶりのマイナスだった。下げ幅はリーマン・ショックの影響を受けた09年1月(4.9ポイントの低下)以来、4年5カ月ぶりの大きさ。鉄鋼や化学工業分野で在庫が上昇したことや、5月から6月にかけて株価が下がったことが響いた。
景気に数カ月遅れる遅行指数は0.5ポイント上昇の110.6と2カ月連続のプラスだった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が50.0、先行指数が66.7だった。

相変わらず、とてもよくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、CI一致指数と先行指数ともに昨年12月か続けていた上声が7か月振りの低下となりました。一致指数への寄与度で見ると、有効求人倍率や大口電力使用量、小売業販売額(前年同月比)などがプラスの寄与を示した一方で、輸送機械を除く投資財出荷、鉱工業生産財出荷、鉱工業生産指数、所定外労働時間、耐久消費財出荷などが軒並みマイナス寄与となりました。鉱工業生産統計やこれに連動する毎月勤労統計などで示された6月の生産の弱さがそのまま出た形となっています。ですから、これも引用した記事にもある通り、7月の製造工業生産予測指数がはね上がると見込まれていますので、景気動向指数も上昇のモメンタムを取り戻すと考えるべきであり、6月統計だけの一時的な現象と受け止めています。従って、「上方への局面変化」で基調判断は据え置かれているのも当然と考えるべきです。もっとも、景気動向指数の基調判断はかなり機械的に下されるのは何度かこのブログでも書いた通りです。
鉱工業生産などの来月の経済指標を確認する必要はありますが、現時点で得られる情報を基にすれば、我が国の景気は順調な回復・拡大のパスに乗っていると私は考えています。むしろ、景気動向指数に関してややテクニカルに気にしているのは、昨年のミニ・リセッションを景気後退であったと景気動向指数研究会が判断するかどうか、だったりします。前回の会合から2年近く開催されておらず、景気転換点の候補日から1年くらいで通常は開催されていますから、8月はこういった種類の会議は開催しない季節だというものの、いまだに開催のアナウンスもないということは景気日付を判定しないということで、インプリシットに昨年のミニ・リセッションは「山谷のある景気循環ではない」という同定がなされたんではないか、と私は密かに受け止めています。

来年4月からの消費税率引上げについては、おそらく、9月に発表される4-6月期のGDP統計2次QEがもっとも影響力を持つと私は考えていますが、9月上旬に発表される景気動向指数もその名の通り景気動向を占う指標として参照されることと予想しています。

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2013年8月 5日 (月)

消費税率引上げや社会保障制度変更の家計への影響試算に関する大和総研のリポートを読む

先週8月1日に、大和総研から「消費税増税等の家計への影響試算」と題するリポートが発表されています。来年4月からの消費税率の引上げや社会保障の制度変更などについて、片働きや共働き、あるいは、年収などのいくつかの属性に分類して家計の可処分所得がどのように変化するかを試算しています。リポートでは「シミュレーション」と銘打っていて、モデルの外生変数を変更したといえなくもないんでしょうが、「試算」と位置づけるのが適当な気がします。それはさて置き、大和総研のサイトからリポートのサマリーを引用すると以下の4点です。

サマリー
  • 消費税率の引き上げ等の税・社会保障の制度改正を踏まえ、世帯構成ごとに、2011年から2016年までの家計の姿をシミュレーションした。
  • 消費税率の引き上げはどの世帯も一定率の負担増となるが、世帯構成によって2011年から2013年にかけての負担増の内容は異なる。このため、これまでと比べ、負担増のペースが急になる世帯と負担増のペースが緩やかになる世帯とがある。
  • 年収240万円の年金夫婦世帯においては、負担増の実施時期が2014年に集中している。
  • 現役世帯においては、およそ年率3%以上の賃上げが実現すれば物価上昇や税・社会保障の負担増があっても実質可処分所得を増加させることができ、デフレ脱却とともに家計が豊かになり経済成長を実感できるようになるものと考えられる。

今夜のエントリーでは、いくつかグラフを引用するなど、この大和総研のリポートについて、簡単に紹介しておきたいと思います。なお、試算の前提として、物価は消費税率の引上げに起因する場合を除いて変化せず、消費税率1%ポイントの引上げにより消費者物価が0.72%ポイント上昇すると仮定されており、また、経年の所得変動や家族の年齢構成の変化などは考慮されていません。

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まず、上のグラフは、いわゆる標準世帯に近いタイプとして、リポートから p.3 図表1-B 年収500万円・片働き4人世帯の実質可処分所得の減少要因のうち主なもの を引用しています。2011年をベースとして、すでに住民税年少扶養控除の廃止や子ども手当(児童手当)の縮減などが始まっており、額は小さいものの、厚生年金の保険料もアップしています。さらに、来年2014年4月とさ来年2015年10月の2段階で消費税率が10パーセントまで引き上げられます。結果として、年収500万円世帯はもともと可処分所得は430万円余りのところ、2011年をベースとして2016年には額で▲30万円、率で▲7%を超える可処分所得の減少となります。

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次に、上のグラフは、同じ年収500万円ながら単身世帯のケースで、リポートから p.8 図表5-B 年収500万円・単身世帯の実質可処分所得の減少要因のうち主なもの を引用しています。同じく、2011年をベースとして2016年には額で▲18万円、率で▲4.5%くらい可処分所得の減少となります。単身世帯と片働き子供2人の世帯を同じ年収で比較するのは少し無理があるんですが、それでも、上のグラフで見て、住民税年少扶養控除の廃止や子ども手当(児童手当)の縮減など、今回の税制改正や社会保障制度の変更により子供を持つコストがますます大きくなった可能性が示唆されています。単純に所得面だけを考えると、少子化に拍車をかけかねない制度変更といえます。かねてより、私は子ども手当については世代間不公平の緩和などの面から一定の評価をしていて、大学出向中にその趣旨の紀要論文を書いたりしたんですが、世代間の、あるいは、子供の有無の不公平を緩和する政策としては、今でも子ども手当は評価すべきと考えています。

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次に、上のグラフは、年金受給の引退世代の例として、リポートから p.9 図表6-B 年収240万円・年金夫婦世帯の実質可処分所得の減少要因のうち主なもの を引用しています。引用はしませんでしたが、年収1000万円や300万円のケースも試算されていますが、この年金受給の引退世代は2011年をベースに2015-16年で可処分所得の減額が▲10万円程度で済むのに対して、片働きだけで比較して、年収300万円では▲20万円を超え、500万円ではすでに見たように▲30万円を超え、年収1000万円では▲60万円近くに達します。消費税率の引上げですから一定の逆進性は残るものの、高齢の引退世代を優遇し、子育て家庭に厳しい制度変更と見なされかねません。

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最後に、上のグラフは、物価と賃金の変動を試算に入れて、リポートから p.10 図表7 年収500万円・片働き4人世帯の実質可処分所得の試算 (物価・賃金変動を考慮) を引用しています。最初のサマリーにもありましたが、およそ年率3%以上の賃上げが実現すれば、物価上昇や税・社会保障に伴う負担増があっても実質可処分所得は増加することから、デフレ脱却とともに家計が豊かになり経済成長を実感できるようになる、と期待されます。アベノミクスによるデフレ脱却と景気拡大により、何としても、インフレを上回る賃上げが実現することを願っています。

最後に、リフレ派の論客として名高い三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミスト片岡剛士さんのページが同社のサイトに開設された旨、8月2日付けで発表されています。この4月にはご著書をご寄贈いただいたり、いろいろとお世話になっていますので宣伝しておきたいと思います。今後とも、ますます期待しております。

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2013年8月 4日 (日)

ドラ1ルーキー対決を藤浪投手が投げ勝ち、ラッキーセブンの大量点で巨人のマジック点灯を阻止!

  HE
阪  神100000501 7120
読  売000000000 0111

ルーキー対決で藤浪投手が投げ勝ち、巨人の菅野投手を打ち崩して、ラッキーセブンの大量点を勝ちパターンの投手リレーで守り切って大勝でした。取りあえず、巨人のマジック点灯を阻止しました。2点目のホームインをした藤川俊介選手の走塁が光りました。ベンチの指示だとすれば、代打に送ったにもかかわらず、桧山選手に外野フライは期待薄だと考えていたりしたんでしょうか?

東京から広島・名古屋とロードが続く今週も、
がんばれタイガース!

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2013年8月 3日 (土)

がっぷり四つに組んで力負けし終戦が近づく!

  HE
阪  神200001000 3100
読  売02000110x 4111

先発の能見投手を延々と引っ張って失点し、巨人の打力に屈しました。東京ドーム特有のホームランも何本かありましたが、初回のマートン選手の先制ツーランも似たようなものですし、スクイズまで敢行して執念を見せましたが、結局、力負けして終戦が近づいたような気がします。でも、明日のマジック点灯だけは何とか避けたいものです。

取りあえず明日は、
がんばれタイガース!

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米国雇用統計は基本的に堅調ながらやや物足りない結果!

昨日、米国労働省から7月の米国雇用統計が発表されています。いずれも季節調整済みの系列で見て、ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数の前月差増加は+162千人にとどまりましたが、失業率は前月から▲0.2%ポイント低下して7.4%となりました。また、5-6月の非農業部門雇用者の増加幅はやや下方に改定されました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

U.S. Adds 162,000 Jobs as Growth Remains Sluggish
America's employers added 162,000 jobs in July, fewer than expected, with the previous two months revised downward slightly as well.
The unemployment rate, which comes from a different survey, ticked down to 7.4 percent as people got jobs or dropped out of the labor force.
The job gains reported by the Labor Department on Friday were concentrated in retail, food services, financial activities and wholesale trade. The manufacturing sector gained 6,000 jobs; government employment stayed basically flat.
July represented the 34th-straight month of job creation, but the latest pace of employment gains is still not on track to absorb the backlog of unemployed workers anytime soon. At the average rate of job growth seen so far this year, it would take more than seven years to close the so-called jobs gap left by the recession, according to the Hamilton Project at the Brookings Institution.
Other indicators disappointed, too, with both average hourly wages and the length of the private-sector workweek shrinking modestly in July.

引用した記事は昨夜の時点での第1報のバージョンを私がメモしておいたものですから、現時点では差し替えられている可能性があります。悪しからず。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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先月7月6日のブログでは当時の発表から「+175千人増というのはかなり微妙な数字」と書きましたが、今月は+162千人ですから、「微妙な数字」の範囲に入る一方で、かなり物足りなさが増しているのも事実です。基本的に米国の雇用は堅調なんですが、やや物足りなさも残る、といったところかもしれません。この物足りなさの背景としては、第1に、市場の事前コンセンサスの雇用者増が約180千人だったのをやや下回ったこと、第2に、先月と先々月、すなわち、5-6月の雇用者増加幅が下方改定されていること、などが上げられます。他方、失業率は▲0.2%ポイントも低下しましたが、職探しをする人が減少して統計上の失業者が減ったことから、失業率が比較的大きく下がったと受け止められており、数字ほどの評価は下されていません。繰返しになりますが、米国の雇用は基本的には堅調ながら微妙な段階に差しかかりつつあります。

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米国の雇用について手放しで堅調といい切れないもうひとつの要素は、雇用・人口比率がサッパリ上がらないことです。日本のように高齢化がとてつもないスピードで進行している国であれば、高齢化に伴って労働市場から退出する人が多いわけですから、雇用者の比率が停滞ないし減少する可能性も十分にありますが、移民人口が決して少なくなく、人口がそれなりに増加を続けている米国では、まだ高齢化がそれほどのスピードでは進んでいませんから、デモグラフィックな要因よりは景気に起因する循環要因でこの雇用・人口比率が上がらないんだろうと私は考えています。

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最後に、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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2013年8月 2日 (金)

先発スタンリッジ投手が3安打完封の快投で巨人に先勝!

  HE
阪  神100000003 450
読  売000000000 031

8回までスミ1を守り切った先発スタンリッジ投手の快投で巨人に先勝です。結局、スタンリッジ投手は巨人を相手に2度めの完封勝利でした。打つ方は初回のマートン外野手のタイムリーから、なかなか追加点が奪えなかったんですが、9回ツーアウトからマートン選手のタイムリーと新井選手のツーランで大きく引き離してダメを押しました。先発投手がゼロに抑え、4番と5番が2打点ずつと、とっても投打のかみ合った試合でしたが、もう少し早めに得点が欲しいところかもしれません。

杉内投手を打ち崩して明日も、
がんばれタイガース!

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今週読んだ本を振り返る!

今週に読んだ本は以下の5冊です。正確にいえば、上下巻があるので6冊かもしれません。何と、極めてめずらしいことなのですが、すべて買った本です。なぜかと考えると、夏休みに入って子供達も読むから買ったわけです。なお、基本は読んだ順です。他意はありません。

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まず、今野敏『宰領』(新潮社) です。表紙の画像に見える通り、警察庁キャリアの竜崎と伊丹のコンビの「隠蔽捜査」シリーズ第5弾です。竜崎が署長を務める大森署管内で国会議員が失踪し、誘拐事件に発展します。お決まりとはいえ、キャリアとノンキャリアの確執、警視庁と神奈川県警の対立、それらを乗り越えて、合理的な情報分析と判断で突き進む竜崎署長のいつもの姿が見て取れます。他方で、二浪している長男の東大受験が重なり、プライベートでも難しい時期の事件発生です。最後は、警視庁のSITと神奈川県警のSTSといういずれも特殊捜査班のスペシャリストの活躍の場が見られます。誘拐犯との電話での交渉、そして最終的には突入と、何ともカッケーです。もちろん、特殊捜査班のスペシャリストだけでなく、何のブレも見せない竜崎の判断と行動もカッケーです。

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次に、柳広司『楽園の蝶』(講談社) です。『ジョーカー・ゲーム』、『ダブル・ジョーカー』、『パラダイス・ロスト』の結城少佐のスパイ機関を舞台にしたシリーズから、1933年という戦前を舞台にした同じ作者の『ロマンス』まで含めて、戦前の軍隊を舞台にしたシリーズは何冊か読んだんですが、この作品は1942年という太平洋戦争が始まった後、しかも、日本の軍隊が舞台ではなく、日本が中国東北部に傀儡国家として成立させた満州の満州映画協会、通称「満映」を舞台にしています。スパイ機関を舞台にした緊張感ある雰囲気ではなく、ややのんびりしたムードを漂わせています。実は、『ビッグコミック・オリジナル』に2006年まで連載されていた『龍 -RON-』というマンガがあります。極めて舞台設定が似ています。主人公が京都のボンボンであり、満映を舞台にしている点はまったく同じです。残念ながら、スケールでは本作品ではなく『龍 -RON-』の方がはるかに上を行きます。いずれにせよ、満映の甘粕正彦理事長という実在の超大物に加え、この作品では悪名高い731部隊の石井少将まで登場するんですから、現実とフィクションの結合が難しいと感じました。


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また、湊かなえ『高校入試』(角川書店) も面白かったです。昨年10-12月にフジテレビで土曜のドラマとして放送されていました。同じようなタイトルでシナリオのバージョンも出版されています。そのため、フジテレビのサイトに「相関図」が出演者の顔写真入りでアップされており、とても分かりやすいんですが、「事件関係者」マークが張ってあるのでネタバレになっています。一応、ミステリなんですから要注意でしょう。ストーリーは、要するに、高校入試の妨害の犯人探しのミステリなんですが、ややムリのある設定となっていて、高校の次の大学のレベルよりも小説の舞台となる橘第一高校、通称「一高」に合格する方がステータスが高く、他の高校から一流大学に進むよりも、一高から三流大学に進む方が親の満足度が高い、というのは明らかに現実的ではありません。それにしても、私も大学教授に出向してセンター入試や大学の入試を経験しましたが、学校というものの閉鎖性や教職員の思考パターンについて、かなりステレオ・タイプで現実的ではない部分も少なくないものの、それなりに一般社会で受け入れられそうなレベルまでモデル化しているのはさすがでした。ただし、首謀者が2人も名乗りでるのは決着つけて欲しかった気がします。

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次に、室積光『史上最強の大臣』(小学館) です。同じ作者の『史上最強の内閣』は3年近く前に読んで2010年12月12日に読書感想文をアップしてあります。その第2弾といえます。前回は北朝鮮のミサイル発射に際して「一軍内閣」が京都から登場するというストーリーでしたが、今回は教育がテーマになっています。作者は「3年B組 金八先生」で俳優として体育教師を演じていたらしいですし、小説家としてのデビュー作となる『都立水商!』では水商売を教える都立高校を舞台にしていますから、それなりに土地勘があるかもしれませんが、何よりも、現在の日本でもっとも理想から遠いのが教育であり、大きく立ち遅れているのが教育改革だというのは衆目の一致するところでしょう。ですからこそ、『高校入試』なんてミステリが売れるわけです。また、本書はとっても鋭くも、団塊の世代への批判を内包しており、世代間における断絶や格差のひとつの側面もあぶり出しています。

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最後に、J.T.ブラナン『神の起源』(ソフトバンク・クリエイティブ) です。出版社の売り言葉に「ダン・ブラウンより面白い!」とありましたので、ついつい買ってみました。実はまだ読んでいる最中であって、最後の結末を見届けていないんですが、南極の氷河の中から4万年ほど前の人の死体が見つかったことから話が始まって、発見者のNASA所属の女性科学者とその元夫でネイティブ・アメリカンの男性が秘密結社から逃亡しつつ、米国の正当なる当局と科学者の良識を信じるという、確かに、ダン・ブラウンのラングドン教授シリーズやジョン・グリシャムの特に「ペリカン・ブリーフ」のようなノリでストーリーは進みます。第2部で逃げまわって米国にたどり着いたところから、下巻に入って第3部の途中ですので、面白さを判断するには結末を知る必要がありますが、今のところはおもしろそうだとしかいいようがありません。そのうちに、いろんなメディアで書評が登場すると思いますので、ソチラもご参考に。

実は、伊坂幸太郎『死神の浮力』(文藝春秋) も買ってあるんですが、まだまったく読み始めてもいません。そのうちに取り上げたいと思います。

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2013年8月 1日 (木)

中日にも負け越してペナントレースは巨人の独走か?

  HE
中  日100104000 6101
阪  神101101000 490

8月も僅差を競り負けて始まりました。明日から長期ロードに出て、しばらく甲子園には戻れないんですが、勝って旅に出ることは出来ませんでした。それにしても、フォアボールで塁を埋めての満塁ホームランでしたから、ダメージはかなり大きく、6回でほぼ勝負ありになって、選手も戦意を喪失したように見受けられました。これでオールスターが明けてから2勝6敗となり、明日からの巨人戦に負け越すようなことがあれば、そのままペナントレースは消化試合になってしまうかもしれません。

明日からの東京ドームの巨人戦は、
がんばれタイガース!

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Yahoo! JAPAN による「ビッグデータ参院選議席予測を振り返る」

一昨日に軽く予告をしておいたんですが、Yahoo! JAPAN から「ビッグデータ参院選議席予測を振り返る」と題するリポートが発表されています。もともと、ビッグデータには私は強い関心があり、何らかの予測に役立つ可能性が十分にあると考えていましたが、国政選挙における予測について検証した結果であり、大いに興味をそそられています。
実は参議院選挙前の昨年12月の衆議院選挙でも「衆議院議員選挙とYahoo!検索の驚くべき関係」と題したリポートが公表されていたところ、イマイチ評価のしにくい総括となっていましたが、今回の参議院選挙では政党別の当選者数についての結果を全面に押し出し、しかも、都道府県選挙区別にも結果を明らかにして、とても分かりやすくリポートされています。簡単に方法論から始めて紹介したいと思います。

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まず、上の概念図は、直前予想の「ビッグデータが導き出した参議院選挙の議席予測」からの引用で、2種類の予測方法である相関モデルと投影モデルの簡単な考え方を示しています。まず、相関モデルでは、昨年12月の衆議院選挙レポート「衆議院議員選挙とYahoo!検索の驚くべき関係」の結果を元にして分析を行い、各政党ごとの検索量と得票への関係を補正した上で、特定期間における検索量から得票数を推定しており、次の投影法では、過去の選挙事例を基に公示日前後における検索量の変化を増加率としてスコア化し、今回の公示前の検索数を用いて得票数を推定しています。相関モデルでは補正はあるものの、時間軸に対してかなりリニアな関係が想定されているのに対して、投影法では一定のモメンタムも考慮されていると受け止めています。

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そして、今回のリポートから 2013.7 参院選全体の予測と結果比較 のグラフを引用すると上の通りです。グラフに見られる通り、与党数76議席、野党数45議席と与野党でみると議席数は完全に一致しましたが、個別政党で見ると当然ながら予測数値から少しハズレがあり、全121議席中の一致数とその比率は、相関モデルでは105議席(87%)、投影モデルでは111議席(92%)となりました。一定の評価が出来る予測だと私は考えています。

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さらに、今回のリポートから 2013.7 参院選選挙区予測と結果比較 のグラフを引用すると上の通りです。見れば分かるでしょうが、上が相関モデル、下が投影モデルの結果です。大ハズレしたのは岩手県と沖縄県です。岩手では小沢代議士の影響力について議論があったのは記憶に新しいところかもしれません。また、首都圏の東京都と埼玉県、さらに愛知県でやや成績が悪くなっています。しかし、全体として、今回の参議院選挙のうちの選挙区選挙については、かなりいい成績のように見えます。また、グラフは省略しましたが、比例代表結果についても与野党で1議席の予測誤差しかなく、これも十分な精度といえます。

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最後のグラフは、今回のリポートから 相関モデルの検証 - 2 を引用しています。右のパネルで政党別の補正率が示されていますが、特に、公明党については補正率が小さ過ぎたとの結果が得られています。すなわち、公明党に投票した人達は、ネットで検索などせずにまっしぐらに公明党に投票した、ということですから、かなりあり得るんではないかと私は受け止めています。また、予測に用いた補正率が昨年の衆議院選挙から弾き出されているとすれば、今回、実線の必要補正率が破線を上回った各党は一定のブームに乗ったといえるのかもしれません。

最後に、リポートでは、今後の課題として3点上げており、第1に、諸派や無所属の織り込みが困難であり、第2に、低投票率の影響が組織政党に有利に働き、それが公明党の大きな補正率の乖離につながった可能性を指摘し、第3に、政党や候補者ごとの検索量と得票の関係が、特に、都議会選挙と重なったために見極めにくかった、となっています。Yahoo! JAPAN では、選挙のほかにも「Yahoo!検索から見えた今年のインフルの猛威」なども発表しており、ビッグデータの今後の活用の方向が示されているともいえ、私も静かに注目しています。

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