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2013年8月 5日 (月)

消費税率引上げや社会保障制度変更の家計への影響試算に関する大和総研のリポートを読む

先週8月1日に、大和総研から「消費税増税等の家計への影響試算」と題するリポートが発表されています。来年4月からの消費税率の引上げや社会保障の制度変更などについて、片働きや共働き、あるいは、年収などのいくつかの属性に分類して家計の可処分所得がどのように変化するかを試算しています。リポートでは「シミュレーション」と銘打っていて、モデルの外生変数を変更したといえなくもないんでしょうが、「試算」と位置づけるのが適当な気がします。それはさて置き、大和総研のサイトからリポートのサマリーを引用すると以下の4点です。

サマリー
  • 消費税率の引き上げ等の税・社会保障の制度改正を踏まえ、世帯構成ごとに、2011年から2016年までの家計の姿をシミュレーションした。
  • 消費税率の引き上げはどの世帯も一定率の負担増となるが、世帯構成によって2011年から2013年にかけての負担増の内容は異なる。このため、これまでと比べ、負担増のペースが急になる世帯と負担増のペースが緩やかになる世帯とがある。
  • 年収240万円の年金夫婦世帯においては、負担増の実施時期が2014年に集中している。
  • 現役世帯においては、およそ年率3%以上の賃上げが実現すれば物価上昇や税・社会保障の負担増があっても実質可処分所得を増加させることができ、デフレ脱却とともに家計が豊かになり経済成長を実感できるようになるものと考えられる。

今夜のエントリーでは、いくつかグラフを引用するなど、この大和総研のリポートについて、簡単に紹介しておきたいと思います。なお、試算の前提として、物価は消費税率の引上げに起因する場合を除いて変化せず、消費税率1%ポイントの引上げにより消費者物価が0.72%ポイント上昇すると仮定されており、また、経年の所得変動や家族の年齢構成の変化などは考慮されていません。

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まず、上のグラフは、いわゆる標準世帯に近いタイプとして、リポートから p.3 図表1-B 年収500万円・片働き4人世帯の実質可処分所得の減少要因のうち主なもの を引用しています。2011年をベースとして、すでに住民税年少扶養控除の廃止や子ども手当(児童手当)の縮減などが始まっており、額は小さいものの、厚生年金の保険料もアップしています。さらに、来年2014年4月とさ来年2015年10月の2段階で消費税率が10パーセントまで引き上げられます。結果として、年収500万円世帯はもともと可処分所得は430万円余りのところ、2011年をベースとして2016年には額で▲30万円、率で▲7%を超える可処分所得の減少となります。

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次に、上のグラフは、同じ年収500万円ながら単身世帯のケースで、リポートから p.8 図表5-B 年収500万円・単身世帯の実質可処分所得の減少要因のうち主なもの を引用しています。同じく、2011年をベースとして2016年には額で▲18万円、率で▲4.5%くらい可処分所得の減少となります。単身世帯と片働き子供2人の世帯を同じ年収で比較するのは少し無理があるんですが、それでも、上のグラフで見て、住民税年少扶養控除の廃止や子ども手当(児童手当)の縮減など、今回の税制改正や社会保障制度の変更により子供を持つコストがますます大きくなった可能性が示唆されています。単純に所得面だけを考えると、少子化に拍車をかけかねない制度変更といえます。かねてより、私は子ども手当については世代間不公平の緩和などの面から一定の評価をしていて、大学出向中にその趣旨の紀要論文を書いたりしたんですが、世代間の、あるいは、子供の有無の不公平を緩和する政策としては、今でも子ども手当は評価すべきと考えています。

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次に、上のグラフは、年金受給の引退世代の例として、リポートから p.9 図表6-B 年収240万円・年金夫婦世帯の実質可処分所得の減少要因のうち主なもの を引用しています。引用はしませんでしたが、年収1000万円や300万円のケースも試算されていますが、この年金受給の引退世代は2011年をベースに2015-16年で可処分所得の減額が▲10万円程度で済むのに対して、片働きだけで比較して、年収300万円では▲20万円を超え、500万円ではすでに見たように▲30万円を超え、年収1000万円では▲60万円近くに達します。消費税率の引上げですから一定の逆進性は残るものの、高齢の引退世代を優遇し、子育て家庭に厳しい制度変更と見なされかねません。

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最後に、上のグラフは、物価と賃金の変動を試算に入れて、リポートから p.10 図表7 年収500万円・片働き4人世帯の実質可処分所得の試算 (物価・賃金変動を考慮) を引用しています。最初のサマリーにもありましたが、およそ年率3%以上の賃上げが実現すれば、物価上昇や税・社会保障に伴う負担増があっても実質可処分所得は増加することから、デフレ脱却とともに家計が豊かになり経済成長を実感できるようになる、と期待されます。アベノミクスによるデフレ脱却と景気拡大により、何としても、インフレを上回る賃上げが実現することを願っています。

最後に、リフレ派の論客として名高い三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミスト片岡剛士さんのページが同社のサイトに開設された旨、8月2日付けで発表されています。この4月にはご著書をご寄贈いただいたり、いろいろとお世話になっていますので宣伝しておきたいと思います。今後とも、ますます期待しております。

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