東京都「地震に関する地域危険度測定調査」を見る
広く報じられている通り、昨日9月17日に東京都から「地震に関する地域危険度測定調査」(第7回) が公表されています。この地域危険度測定調査は東京都震災対策条例に基づき概ね5年ごとに実施しており、7回目となる今回は都内の市街化区域の5,133町丁目について、各地域における地震とその後の建物の倒壊や火災に関する危険性を測定しています。町丁目ごとに詳細な地域危険度マップが併せて公表されているのが特徴のひとつで、我が町の安全性についてひと目で分かるようになっています。まず、長くなりますが、調査結果の概要などについて報じた記事を東京新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
都が大地震危険度調査 区部東部に「5」集中 壊リスクは減
東京都は17日、震度5強-7の地震が発生した際の「地域危険度」の測定調査結果を公表した。都内五千百三十三の町・丁目ごとに、建物倒壊と火災の危険性、消防救助活動のしにくさ(活動困難度)を調べ、5段階で相対評価した。危険度が高いのは足立区、荒川区、墨田区など区部東部に集中。都内全体の建物倒壊の危険度は、建て替えの進展などにより、5年前に比べ7.5%減った。
地域危険度は、都が約5年ごとに調査している。今回は東日本大震災後、17年ぶりに改定した液状化予測図なども反映させた。
建物倒壊と火災の危険度、活動困難度を加味した総合で最も危険度の高いランク5に分類されたのは、全体の1.6%に当たる84カ所の町・丁目。市区町村別では足立区が22カ所で、荒川区と墨田区が各15カ所、葛飾区7カ所、大田区と江東区が各6カ所。多摩地区はすべてランク3以下だった。
建物倒壊の危険度が高いのは、地盤が軟弱な荒川や隅田川沿いの下町地域、大田区の木造住宅密集(木密)地域など。火災危険度が高いのは、木密の多い環状7号沿い、区部のJR中央線沿線に分布していた。
「活動困難度」は、今回新たな指標として導入した。避難や消火、救助活動のしやすさを、幅の広い道路が多いかどうかで算定。下町地域や品川区のほか、中野区、杉並区など山手地域の一部でも高い所があった。
都防災都市づくり課の青木成昭課長は「結果を耐震化や不燃化の計画に反映させる」と話している。
危険度マップは都のホームページで公表し、都庁の都民情報ルームで報告書や冊子を販売する。
と言うことで、「地震に関する地域危険度測定調査」では東京23区において建物倒壊・火災危険度・災害時活動困難度を考慮した総合危険度が5段階中4と5にあたる地域を「危険度の高い地域」として地図上に示しています。その地域危険度マップを東京都のサイトから引用すると以下の通りです。
なお、23区と違って地図はないんですが、多摩地域において建物倒壊・火災危険度・災害時活動困難度を考慮した総合危険度が5段階中4に当たる地域は、武蔵野市吉祥寺北町1丁目と西東京市泉町5丁目だけとなっており、いずれも火災危険度が4であり、危険度5の地域は多摩地区にはないようです。加えて、この地域危険度マップを示した東京都のサイトでは、23区別にそれぞれの危険度の高い地域、すなわち、建物倒壊・火災危険度・災害時活動困難度を考慮した総合危険度が5段階中4や5に当たる地域を色・パターン別に示した詳細なマップを pdf 形式のファイルでダウンロード出来るようになっています。ファイルのサイズが大きくて時間がかかりましたが、私も早速ダウンロードしてみました。我が家が住んでいる区、私の勤務先の区、上のおにいちゃんの高校がある区、下の子の中学校がある区、の計4枚です。調べたところ、通勤・通学路を含めて総合危険度の高い地域はないように見受けられました。
引用した記事にも現れた「木密」という言葉が周知されたように、2011年3月の震災後は防災に関する意識が高まっています。従って、このような情報の提供は大いに有り難いと思いますが、それだけに、正しく情報を理解し、本来の目的に外れた使い方をしないような良識も必要だという気もします。
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コメント
参考になりますね。私の家は江戸川区の対岸で載っておりませんが想像できます。よく知っている江戸川区でいえば、古い家が密集している地域が危険地帯となっているのが読み取れます。東京都は、積極的に危険な地域の整備をしているようですね。千葉で言うと浦安市の古い市街地は防災対策を念頭に置いた区画整備が実施されつつあります。
投稿: kincyan | 2013年9月21日 (土) 12時11分
防災上とても有益な情報です。「さすがに東京都」と感心させられました。大雑把に、江戸時代から人の住む下町方面にいわゆる木密が見られる一方で、いわゆる郊外型の新興住宅地はそうでもない、ということになりそうな気がします。取りあえず、我が家のある地域の危険度は高くなさそうです。
投稿: ポケモンおとうさん | 2013年9月21日 (土) 19時51分