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2013年9月21日 (土)

リニア中央新幹線の経済効果やいかに?

メディアで広く報じられているところですが、今週水曜日の9月18日、JR東海からリニア中央新幹線に関する「環境影響評価準備書」が発表されています。来年の着工と2027年の開業を目指し、全線286キロの詳細なルートと具体的な駅の場所が明らかになっています。まず、ルートを Yahoo! ニュース The Page のサイトから引用すると以下の通りです。

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一時は南アルプスを回避して山梨と長野の県境付近で大きく北に蛇行するルートも報じられていましたが、どうやら、直線に近いルートで決着したようですが、新大阪まで延伸する際には、わが故郷の京都は通らないようです。もっとも、新大阪までの開業は2045年度を予定しており、30年余り先の話ですから、今年ですでに50歳を過ぎている私は寿命が尽きる可能性もあります。また、これも広く報じられている通り、全線286キロのうち地上部分は約40キロに過ぎず、残りの86パーセントがトンネルというか、地下になります。騒音対策や用地取得手続きを簡略化するためだそうですが、車窓からの景色は楽しめそうもありません。

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次に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「政策研究レポート: リニア時代到来への期待」において試算されている経済効果は上の通りです。すなわち、2025年の開業年から50年間の経済効果で、名古屋までの開業により10.7兆円、大阪まで延伸すれば16.8兆円と算出されています。試算では大雑把な経済効果の県別の大きさも発表されており、赤が濃いほど経済効果が大きくなっています。ですから、東北北部や山陰、北陸、四国南部、福岡を除く九州などの地域経済への波及は小さいと見込まれています。ほど、現在の新幹線が通っている地域、特に東海道ないし東海道・山陽に偏っているといえます。さらに、産業についてもリポートでは首都圏では金融・サービス業が、名古屋県では製造業の活性化が見込まれるとしています。観光への波及は「中間駅周辺地域では観光面での交流増進が強く期待される」という表現にとどまっています。

9月9日の東京オリンピックの経済効果を取り上げたエントリーでも、地域的な偏りと産業的な偏りを指摘しましたが、従来と同じ産業構造のままの量的な拡大を目指すんではなく、東京オリンピックやリニア新幹線で活性化される地域や産業にいかにスムーズに労働や資本の移動を図るかが重要になります。

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