先週読んだ新刊書5冊
先週に読んだ新刊書は以下の5冊です。最初のクルーグマン教授の新書以外はすべて借りて読んでいます。クルーグマン教授の本だけ買い求めました。エンタメ系の小説が1冊だけ混ざっていたりします。
まず、ポール・クルーグマン『そして日本経済が世界の希望になる』(PHP新書) です。著者は紹介の必要もないくらいに有名な経済学者で、2008年のノーベル経済学賞の受賞者です。本書は、クルーグマン教授の「語り下ろし」だそうで、原著があるわけではなさそうです。内容は、圧倒的にアベノミクスがほぼ完全に正しいことを繰り返し述べています。ただし、アベノミクスの第3の矢の成長戦略だけは、単なるターゲティング・ポリシーとして否定しています。私の見方と完全に一致しています。中央銀行の独立性に対する考え方くらいまではいいんですが、最後の方の新興国経済に関する見方などは、それはそれで評価できる部分もある一方で、「放談」日会員証を持つ人がいるかもしれないと、勝手に心配したりしています。
次に、読売新聞政治部『安倍晋三 逆転復活の300日』(新潮社) です。タイトルに「300日」とありますが、実際はそれよりももう少し長く、いわゆる3党合意の2012年8月から今年2013年7月の参議院選挙までをカバーしています。日銀がインフレ目標を掲げる際の綿密な取材に基づく検証、TPPに関する取組みなど、経済政策的にとても興味深い内容を含んでいます。もちろん、選挙や政治面も充実しています。次の国政選挙までの「黄金の3年間」を手に入れた安倍内閣の次なる手はなにか。とても示唆に富んでいると受け止めています。
次に、ポール J. ザック『経済は「競争」では繁栄しない』(ダイヤモンド社) です。本書では、かなり単純に「競争=テストステロン」、「信頼=オキシトシン」という図式で描き出そうとしていて、p.14 ではそれを極端な形で認めることさえしています。私にはなかなか理解が進みません。
次に、ジョシュ・シェーンヴァルド『未来の食卓』(講談社) です。サラダから始まって、魚や肉など、副題の「2035年 グルメの旅」にふさわしく、20年余り先の将来にはどのような料理が流行っているだろうか、をジャーナリストの著者が探訪します。私は年齢を重ねて50歳を過ぎたころから人生残り僅かになったと感じ、食欲を性欲とともにほとんど放棄した仙人のような生活を送っていますので、料理や食事には余り大きな興味はないながら、将来の流行についての方向性を考える参考として読みました。
最後に、長沢樹『上石神井さよならレボリューション』(集英社) です。おそらく、この著者の3冊目の本で、私はその前のデビュー作『消失グラデーション』と『夏服パースペクティブ』をいずれも読んでいて、決して評価は高くなかったんですが、連作短編集になっている本書はとても面白く読みました。決して殺人でも何でもない、イタズラの水準の謎を眉目秀麗で成績優秀な高校生が解いて行くという仕立てで、この著者らしく少しセクシーな観点も織り込んでいます。この著者の作品の中では私がもっとも好きな小説です。
今週、連休明けは少し小さいカバンを持ち歩く必要がありそうですので、文庫本を読もうかと考えています。アーチャーの「クリフトン年代記」あたりをターゲットにしています。
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コメント
いつもながら硬軟取り混ぜた読書に感服いたします。しかし、「仙人のような」という言葉は気になりました。私も50歳くらいまでは仕事しか趣味のないノーテンキ親父でしたが、55歳以降は、やはり残りの人生の少なさを感じて、出来る範囲で、ある意味享楽的に生きようと思いました。「仙人」になるのはもう少し歳をとってからで良いと思っております^^。
投稿: kincyan | 2013年10月14日 (月) 03時40分
「仙人」は食欲と性欲限定なんですが、年齢関係なしに東京の美術展も行列を忌避して行かなくなった気がします。性欲は別にしても、以前であればこの季節は必ず月見バーガーを食べていましたし、BSE問題をクリアして吉野家に牛丼が復活した折には職場の若手とともに食べに行ったり、単身赴任した際には東京では見かけない地元のチャンポンなどを盛んに食べたりしたんですが、最近ではすっかり食欲が衰えました。特に、中学生と高校生の2人の倅と食事していると量の面で差を大きく感じます。
その分、というわけでもないでしょうが、このブログでもカテゴリーを設けている読書と音楽は興味が向いているような気がします。時間の過ごし方が変化したのかもしれません。
投稿: ポケモンおとうさん | 2013年10月14日 (月) 07時58分