« 楽天リサーチのアンケートに見るハロウィンの楽しみ方やいかに? | トップページ | アセモグル & ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』とジンガレス『人びとのための資本主義』ほか »

2013年10月 4日 (金)

海外情報からアジア開発銀行の経済見通しと米国財務省の連邦政府債務不履行のマクロ経済への影響のリポート

今夜も遅くなりましたので、ごく簡単に、このブログの特徴のひとつである海外情報を紹介したいと思います。

まず第1に、やや旧聞に属する話題ですが、一昨日、2013年10月2日にアジア開発銀行 (ADB) から「アジア開発見通し2013改定」 Asian Development Outlook 2013 Update が公表されています。pdf ファイルの全文リポートもアップロードされています。副題は Governance and Public Service Delivery となっています。アジア新興国・途上国の成長率見通しは、4月時点から2013年、2014年ともにやや下方修正されています。下の画像はアジア開発銀行のサイトから引用しています。クリックすると別タブで詳細な成長率見通しの pdf ファイルが開きます。

photo

アジアの新興国・途上国の全体では、2012年の成長率の実績+6.1%に対して、4月時点の見通しでは2013年度は+6.6%と2012年実績を+0.5%ポイント上回ると見込まれていましたが、今回の改定で2013年は+6.0%にとどまると下方修正されています。2014年についても4月時点の+6.7%から今回は+6.2%に下方修正されています。特に、中国とインドについては過去10年のような高成長よりかなり低い成長率となる "Such growth is much more tepid than the enviable rates both countries enjoyed over the past decade" と指摘しています。中国については、低成長は長期的な構造改革を優先したコストである "Slower growth in the PRC is the price of structural reform for the long term" と分析しています。しかし、これら中国とインドの2大新興国の低成長はアジアの経済成長を鈍化させるものの大きな障害にはならない "Slower growth in the giants hampers but does not hobble growth across Asia" として、アジア経済のいっそうの悪化は避けられると結論しています。

次に第2に、昨日10月3日、米国財務省から債務上限の瀬戸際政策に関するマクロ経済への影響に関するリポート The Potential Macroeconomic Effect of Debt Ceiling Brinkmanship が発表されています。タイトルはほぼ直訳したんですが、意味としては米国の連邦政府が債務不履行に陥った影響をいくつか並べ立てています。6ページほどの簡潔なリポートですが、米国財務省のサイトからサマリーを引用すると以下の通りです。

Report on Macroeconomic Effect of Debt Ceiling Brinkmanship
Today, the U.S. Department of the Treasury released a report on the potential macroeconomic effects of debt ceiling brinksmanship. The report states that a default would be unprecedented and has the potential to be catastrophic: credit markets could freeze, the value of the dollar could plummet, and U.S. interest rates could skyrocket, potentially resulting in a financial crisis and recession that could echo the events of 2008 or worse. By looking at the disruptions to financial markets that ensued in 2011, the report examines a variety of economic indicators – including consumer and small business confidence, stock price volatility, credit risk spreads, and mortgage spreads - through which a similar episode might harm the economic expansion. The report also notes that if the current government shutdown is protracted, it could make the U.S. economy even more susceptible to the adverse effects from a debt ceiling impasse than it was prior to the shutdown.

太字にして下線を付した部分が肝なんだと思いますが、その部分の最後の"the events of 2008" というのは、9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻から始まった一連の大ショックを指していることは言うまでもありません。また、2011年年央の債務上限引上げの議論が紛糾した際には、2011年の4-6月期と7-9月期の間で家計の資産が2.4兆ドル失われた "Between the second and third quarter of 2011, household wealth fell $2.4 trillion." と指摘していたりします。連邦政府のシャットダウンのため、本日発表予定だった米国の雇用統計は出ませんでした。いつまで続くんでしょうか?

|

« 楽天リサーチのアンケートに見るハロウィンの楽しみ方やいかに? | トップページ | アセモグル & ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』とジンガレス『人びとのための資本主義』ほか »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 海外情報からアジア開発銀行の経済見通しと米国財務省の連邦政府債務不履行のマクロ経済への影響のリポート:

« 楽天リサーチのアンケートに見るハロウィンの楽しみ方やいかに? | トップページ | アセモグル & ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』とジンガレス『人びとのための資本主義』ほか »