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2013年11月29日 (金)

いっせいに発表された政府統計から景気の現状を考える!

本日は月末最終の閣議日ということで、政府統計がいっせいに発表されました。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ発表されています。すべて10月の統計です。まず、統計のヘッドラインなどを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

鉱工業生産指数10月0.5%上昇 「持ち直しの動き」
経済産業省が29日発表した10月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比0.5%上昇の98.8で、2012年5月(98.8)に並ぶ水準だった。プラスは2カ月連続。アジア向けに半導体製造装置が伸び、冬場を前に住宅向けの暖房生産が指数を押し上げた。
QUICKがまとめた市場予想(2.0%上昇)は下回った。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動きで推移している」のまま据え置いた。
業種別でみると15業種のうち9業種が上昇した。台湾などの半導体受託生産大手が活発に設備投資に動いており、はん用・生産用・業務用機械工業が7.4%上昇した。住宅用エアコンや工場用機器の好調を受け、電気機械工業も5.4%増えた。薄型テレビやスマートフォン(スマホ)に使うフィルムの生産が増えたプラスチック製品工業も2.3%増だった。
出荷指数は1.8%上昇の98.6。はん用・生産用・業務用機械工業が生産と同様に伸びたほか、普通自動車や軽自動車の販売が好調な輸送用機械工業も出荷が増えた。在庫指数は出荷の増加に伴って0.5%低下の107.8、在庫率指数は3.7%低下の106.0だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査は11月が0.9%上昇、12月は2.1%上昇との見通し。工場の修理を終えて鉄鋼業の生産が増える公算が大きい。
10月の完全失業率、4.0%で前月比横ばい 就業者数は増加
総務省が29日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は4.0%で、前月比横ばいだった。景気の回復基調を背景に就業者数が増加しており、失業率は4%程度の低水準で推移している。総務省は雇用全体として緩やかに回復しているとし、「持ち直しの動きが続いている」との判断を維持した。
男性の完全失業率は横ばいの4.3%、女性は0.2ポイント上昇の3.7%だった。完全失業者数は男性が161万人で前月より2万人減った一方、女性は105万人と5万人増えた。女性は仕事を探していない非労働力人口が18万人減少したことで失業者が増えた格好。総務省は「女性の労働市場への参入が活性化している」と分析している。
10月の就業者数は6327万人で前月比8万人増えた。15-64歳人口に占める就業率は72.2%(原数値)と、比較可能な1968年1月以降の過去最高を更新した。
10月の有効求人倍率0.98倍 5年10カ月ぶり高水準
厚生労働省が29日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.03ポイント上昇の0.98倍と、2カ月ぶりに改善した。リーマン・ショック前の2007年12月に並ぶ5年10カ月ぶりの高い水準で、QUICKがまとめた市場予想(0.96倍)を上回った。円安で輸出採算が改善した自動車など製造業が全体を押し上げ、6カ月連続で0.9倍台の高水準で推移した。
雇用の先行指標となる新規求人数は0.6%増と2カ月連続で増加した。新規求人倍率は0.09ポイント上昇し、1.59倍だった。07年3月の1.60倍に次ぐ6年7カ月ぶりの水準。事業主による人員整理などを理由にした離職者数は緩やかな景気の回復を受けて11カ月連続で減少し、有効求職者数が1.9%減った。
前年同月と比べた新規求人数(原数値)は10.8%増だった。業種別にみると、職業紹介や労働者派遣業などを含む「サービス業(他に分類されないもの)」が景気の回復基調を背景に22.5%増えた。自動車関連など製造業は20.2%上昇。建設業も公共事業や14年4月の消費増税前の駆け込み需要に伴う住宅着工の増加などで13.5%伸びた。
都道府県別で最も有効求人倍率が高かったのは東京都の1.45倍、最も低かったのは沖縄県の0.58倍だった。
10月全国CPI、5カ月連続上昇 「エネルギー以外も上昇の動き」
総務省が29日朝発表した10月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合(コア指数)が前年同月比0.9%上昇の100.7と5カ月連続で上昇した。08年11月(1.0%上昇)以来の上昇率で、5カ月連続のプラスは07年10月から08年12月まで15カ月連続で上昇して以来となった。総務省は「エネルギー以外でも価格上昇や下落幅縮小の動きが広がっている」とみている。
上昇品目数は241、下落は211。09年5月以来、4年5カ月ぶりに上昇品目数が下落を上回った。電気代やガソリンといったエネルギーが引き続き指数を押し上げ、傷害保険料の引き上げもCPI上昇の主因になった。薄型テレビは価格下落が続いているが、他の家電製品の価格競争は一服した。生鮮食品を除いた食料では鶏卵の価格上昇が目立った。
食料とエネルギーを除く総合(コアコア指数)は前年同月比0.3%上げた。08年10月以来、5年ぶりにプラスに転換し、1998年8月(0.7%上昇)以来の大きな伸びだった。傷害保険料の引き上げや、円安を背景に値上げの動きが広がった海外パック旅行の価格上昇が主な要因だった。
同時に発表した11月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が0.6%上昇の99.6だった。09年2月(0.6%上昇)に並ぶ上昇率だった。

いつもの通り、よくまとまった記事でした。とても長い引用でしたので、これだけでお腹いっぱいという気がします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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10月の鉱工業生産は、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比の増産が+2.0%増と強気でしたが、実績は+0.5%にとどまりました。もっとも、出荷が前月比で+1.8%増、逆に在庫は▲0.5%減、在庫率は▲3.7%減でしたので、まずまずいい数字と私は受け止めています。業種別で見て前月からの増産が大きかったのは、はん用・生産用・業務用機械工業が+7.4%増、電気機械工業が+5.4%増などですが、特に、この2業種は9月の減産が大きかった反動という面もあり、押しなべて、特に大きく増産したとは考えられませんが、生産は緩やかに持ち直しており、「持ち直しの動きで推移している」という基調判断の通りだと思います。製造工業生産予測調査による先行きも、11月が前月比で+0.9%、12月が+2.1%のそれぞれ増産ですから、足元から目先に先行きにかけて、生産はまずまず堅調に推移すると見込まれています。その後は、来年4月の消費税率引上げによる駆込み需要とその反動次第、ということになります。

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生産が堅調に推移していますので、雇用もまずまず順調に量的な拡大が図られています。すなわち、遅行指標の失業率こそ日経QUICKによる市場の事前コンセンサス3.9%を上回って前月から横ばいでしたが、一致指標の有効求人倍率は日経QUICKによる市場の事前コンセンサス0.96より0.02ポイントいい数字をたたき出し、先行指標の新規求人数も順調の増加しています。全体として、雇用統計はリーマン・ショック前の水準に近づきつつあります。ですから、New York Times のブログでクルーグマン教授が「バブル恐怖症」 Bubblephobia についてコラムを書いていますが、その昔の「白い日銀」であれば我が国でも引締めに走った可能性がゼロではないと考えるリフレ派のエコノミストもいそうな気がします。それはともかく、量的な雇用はかなり拡大を続けていますので、ヘーゲル弁証法的な「量的変化が質的変化に転化する」に従って、賃上げや雇用条件の改善につながる方向に進むかどうかを注視する必要があります。何度もこのブログで繰り返しましたが、デフレ脱却の十分条件は賃金の上昇です。

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消費者物価上昇率は生鮮食品を除く全国総合のコアCPIで見て、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+0.9%の上昇でしたので、10月はジャストミートしました。電気代やガソリンといったエネルギーが引き続き物価を押し上げるという構図は変わりありませんが、食料とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPIも10月にはプラスに転じましたので、エネルギーに加えて、一般物価水準の上昇が観察され始めていると私は受け止めています。もちろん、麻生副総理・財務大臣が慎重な見方を示したと報じられている通り、デフレ・マインドの払拭には、まだまだ時間がかかる可能性もあります。

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最後に、今日発表された経済指標を離れて、昨日、SMBCコンサルティングから「2013年ヒット商品番付」が発表されています。上に画像を引用した通りです。「アベノミクス効果」がダントツだったと評価されているようです。東北楽天は私の実感としてはもう少し番付が上位でもいいような気もしますが、プロ野球に関心が高くない人もいますので、このあたりかもしれません。もうすぐ12月の年の瀬に入りますが、来年は何が流行るんでしょうか?

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